1年間使い放題&基本料金もタダ(*条件あり)で使える激アツな携帯回線「楽天モバイル」の自社回線サービスを、より快適で安全に運用するため、1台のiPhone・スマホで2つの回線(電話番号)を契約して使う、いわゆる「DSDS/DSDV」運用について解説します。

2020年4月より一般向け本格サービスが始まった楽天モバイル(MNO)では、先着300万人まで高速通信が使い放題の基本プラン料金が1年間無料(最低利用期間もなし)、さらに事務手数料も全額ポイント還元・ウェブ申し込みをするとさらに契約特典でポイントが貰えるという、お得というには度が過ぎた”祭り”状態です(本キャンペーン終了しました)。

 

詳しく楽天モバイル(MNO)のキャンペーンを知りたい方はこちら → 「 楽天モバイル公式ページ

基本料金も無料、初期手数料も実質タダということで、金銭的には楽天モバイルへ乗り換えるデメリットはほとんど無いといえる状態ですが、サービスが始まったばかりの楽天モバイル(MNO)は、”携帯が繋がらない”・”サービスやシステムの不備”・”サポートの不備、不足”といったモバイルサービス全体として満足できる・安心して使えるかどうか判らないというリスクが無いとは言えません

例えば、2020年4月時点において、楽天モバイルのサポートが受けられるという「my 楽天モバイル」アプリのメッセージサポートでは、メンテナンスの頻発・サポートの著しい遅延(回答を得られるまでに何日も待たされる)が発生しています。

他にもアプリの承認システムに欠陥があったり、アプリの契約情報表示・反映が遅延していたりと、実際に管理人も契約して不安に感じる部分が無いとは言えない状況です。

このような状況で、今使っている携帯会社・SIMサービスを残したまま、楽天モバイルを副回線・予備として運用するために便利なのがDSDV対応・DSDS対応スマホの存在です。

一般的に携帯電話・スマートフォンでは、1台の機種で1つの電話番号・通信プランを契約できるモデルだけがドコモ・au・ソフトバンクの3大キャリアでは販売されてきましたが、一部のモデル・SIMフリースマートフォンの中には「2枚の番号を同時に/切り替えて使える」端末が存在します。

DSDS=Dual Sim, Dual Standby、DSDV=Dual SIM, Dual VoLTE standbyを意味しており、DSDSは”2枚のSIMカードで同時待ち受けが出来る”こと、DSDVは”2枚のSIMで同時に「VoLTE」の待受が出来る”ことに対応した端末に使われます。

アップルではiPhone XS/XR以降(かつiOS13以降)の端末を「DSDS」という表記をしています。

DSDSまたはDSDVに対応した機種にも2種類のタイプがあり、2枚のSIMカードを同時に挿入できる機種と、1枚のSIMカードとeSIMによるDual SIM対応をした機種があります。

iPhoneの場合は、2018年以降に発売された iPhone XSシリーズ/XR、iPhone 11シリーズ、2020年発売のiPhone SE(第2世代)が、「1枚のSIMカード+eSIM」によるDSDV対応機種となっています。

*海外向けのiPhoneにはeSIMではなく一部SIMカードが2枚挿入できる(Dual SIM Slot)モデルも存在します。

同じく物理SIMカード+eSIMによるデュアルSIM利用ができる機種には、Google Pixel4も挙げられます。

(Pixel 4でeSIMを契約した状態)

一方で、Androidスマートフォンには物理的なSIMカードを2枚入れられる機種も多く存在します。

物理的なSIMカードが2枚挿入できる機種の場合は、既存のドコモ・au・ソフトバンク・ワイモバイル・UQモバイルおよび各種格安SIMサービスなどのプランをそれぞれ契約し、SIMカードを入れることでDSDV/DSDSが出来ます(それぞれの利用可否は端末と契約回線の通信仕様に依存します。すべての組み合わせ・対応機種で同時利用が出来るとは限りません)。

従来eSIM対応回線としてデータSIMのみのIIJmioくらいしかサービスがなかったため、iPhoneで「2つの音声回線待受(DSDV)」は出来ず、DSDS止まりでしたが、楽天モバイル・大手キャリアのeSIM対応20GBプラン登場により、事情が変わりました。

2021年3月時点において、eSIMが利用できるサービスは楽天モバイルのほか、ソフトバンクのLINEMO・auのpovoも出てきました。楽天モバイルの場合にもeSIMと通常のSIMカードの両方を提供していますので、対応端末を使えば1台のスマホで他社回線との同時利用が出来ることになります。

楽天モバイル回線でデュアル運用が出来る条件

前項で説明した通り、デュアル回線で運用するためには「物理的に2枚のSIMカードが搭載出来る」または「1枚のSIMカードとeSIMを搭載している」機種を用意することが第一条件ですが、楽天モバイルのMNOを含めてデュアル運用をするために必要な準備・条件はそれだけではありません。

楽天モバイルでは物理的なSIMカードとeSIMの両方を契約して利用することが出来ますが、ドコモ・au・ソフトバンクの通常契約回線は物理的なSIMカードを使うため、例えば「物理SIM+eSIM対応のiPhone」で楽天モバイル側と他社回線が両方とも物理SIMカードタイプの契約だと、当然ながら両方を同時に挿入することが出来ません。

そのような場合には楽天モバイルのSIMカードをeSIMに変更する必要があるでしょう。または、物理的にDual SIMスロットを備えた機種に交換しなければなりません。

もし楽天モバイルのプランを物理SIMカードとして契約しつつ、eSIM側に他社のプランを導入することを考えた場合、「IIJmioのeSIMプラン」であれば対応のiPhone/Pixel等であれば2回線利用することが出来ます。しかし、IIJmioには2020年時点でデータプランしか存在しないため(eSIM用の音声プランが提供されていない)、DSDVにはならず、通話は楽天モバイル回線のみで行うことになるでしょう(通話を楽天モバイル+通信をIIJ、または通話も通信も楽天モバイル、といった切り替え利用が可能)。

さらに別の問題として、そもそも楽天モバイル(MNO)のサービスで利用できるスマートフォン・iPhoneが限定的であることにも注意が必要です。

楽天モバイルによれば、「eSIM似対応した製品」として上記のとおり新しいiPhoneシリーズ・Google Pixel4シリーズを挙げていますが、上記の機種はすべて動作保証外です(実際には管理人もiPhone11 ProとPixel 4で利用出来ることを確認済みですが、”絶対に使える”ことを保証は出来ません)。

楽天モバイルが販売する機種で「eSIM」に対応するスマホは「Rakuten mini/hand/Big」などがあり、Rakutenオリジナルスマホシリーズは物理SIMスロットを搭載していないため、DSDS/DSDV運用は不可能です。

参考:iPhone SEより小さな楽天モバイル専売 Rakuten mini新色レッド発売-購入前に覚悟したほうが良いこと

楽天モバイルでの利用が確認された機種は、楽天モバイルが販売している以下のページにあるスマートフォンのみです(2020年4月時点、全23モデル。対象機種は追加・変更されることがあります)。

☆「楽天モバイル(MNO) 対象機種

eSIMに対応したiPhone XS以降の機種・iPhone SE(第2世代)、あるいはGoogle Pixel 4シリーズで楽天モバイルのeSIM契約+他社の物理SIMカードを挿入すれば、事実上としてはDSDVが可能になっています(くどいようですが、iPhoneもPixelも現時点では動作保証外です)。

なお、eSIM↔物理SIMカードへ変更するためには事務手数料(3000円)が必要となりますので、頻繁に楽天モバイルの回線を異なる端末に入れ替えたい場合には注意が必要です。

楽天モバイルのDSDV対応機種(動作確認機種)

楽天モバイルが正規に販売する動作確認機種のうち、物理的にSIMカードを2枚挿入できるDSDV対応スマートフォンはいくつかあります。

例えば、「Huawei nova 5T for Rakuten Mobile」がDSDV対応機種です(同名のモデルでも他社販売モデルは動作保証外)。

nova 5Tにはnano SIMサイズのカードスロットが2箇所あるため、楽天モバイルの物理SIMカード契約+他社のSIMカードを同時に搭載出来ます。

また、nova 5Tは楽天モバイルだけでなく、ドコモ・au・ソフトバンクの4キャリアすべてのVoLTEに対応します。

*楽天モバイル販売品は楽天モバイルのVoLTEには確実に繋がりますが、他キャリアでの動作を保証するものではありません。利用しているプラン・SIMカードの種類によっては利用ができないこともありますので、詳しくは各メーカー・携帯会社にお問い合わせ下さい。

☆「楽天モバイル – nova 5Tの機能・スペック

この他に楽天モバイルが販売する機種でDual SIMスロットを備えた機種は、

【楽天モバイル販売機種】

・Huawei nova 5T (4キャリアのVoLTE対応)
・OPPO A5 2020 (ソフトバンクのVoLTE非対応)
・OPPO Reno A 128GB (ソフトバンクのVoLTE非対応)
・OPPO Reno3 A (ソフトバンクのVoLTE非対応)

【SIMカードを入れ替えて利用できる機種*】

・Google Pixel 4/4 XL (追加)
・Xiaomi Redmi Note 9S
・Huawei nova lite 3
・Huawei P30 lite
・OPPO Reno 10x Zoom
・OPPO R17 Pro
・OPPO Find X
・AQUOS sense3 plus SH-M11
・AQUOS sense3 SH-M12
・AQUOS zero2 SH-M13

などがあります(楽天販売モデル以外はソフトウェアの更新・APN設定をすることで使える機種があります)。

上記の機種の多くはドコモ・au・ソフトバンクで利用ができるため(各機種対応する周波数帯をよく確認してください)、追加で楽天モバイルの物理SIMカードを発行すればDSDV/DSDSができる可能性があります。

楽天モバイルが販売する正規モデルの場合には、楽天モバイルで無料通話・メッセージ管理が出来る「Rakuten Link」アプリも問題なく使えるため、楽天モバイルでDSDV/DSDSを安定して使いたいのなら対応端末を1台手に入れておくことをオススメします。

 

(参考)iPhone SE2で楽天モバイルを使う場合の注意点

2020年4月24日(キャリア版は5月11日)に発売日を迎える最新のアップル端末「iPhone SE(第2世代)」で楽天モバイルを使おうと考えている人も多くいらっしゃるかもしれません。

iPhone SE2は旧型のiPhone 8とは異なり、nano SIMカードスロットの他にeSIMに対応するため、デュアルSIM運用が可能です。

iPhone XS/XR/11シリーズなどで実際に楽天モバイルが使えているからといって、100%iPhone SE2でも安定して使えると思ってはいけません(とはいえ、使えない可能性も極めて低いと予想されます)。ソフトウェアやサービスの仕様・制限が変わることで突然使えなくなっても文句は言えません。

参考:2020年4月正規サービス開始 楽天モバイル自社回線で使えるスマホ・iPhoneはどれ?利用・対応周波数(Band)/eSIMの設定

今使っているドコモやau・ソフトバンクなどの物理SIMカードをnano SIMスロットへ挿入+楽天モバイルのeSIMプランを追加することでデュアル運用が出来る見込みです。

eSIMに対応したiPhoneでは、カメラを使って専用のQRコードを読み取ることで、プロファイルをインストール出来ます。

具体的なiPhoneのeSIMに楽天モバイルのプロファイルを導入する手順としては、

1. 「楽天モバイル公式サイト」でeSIMプランを申し込む/物理SIMカードからeSIMへ変更する
2.  iPhoneのカメラで楽天モバイルから発行された専用QRコードを読み取る
3.  画面表示に従い、モバイルプランのインストールを進める
4. デフォルト回線(通話や通信につかう優先回線)を選ぶ

このような手順で、eSIM対応のiPhoneに楽天モバイルMNO回線を追加します。

なお、iPhoneでは楽天モバイルの利用・アクティベートに使うmy楽天モバイル・Rakueten Linkのアプリが使えないため、通常の初期設定はAndroid端末で開通させるなどの対処が必要です(アクティベートしてから物理SIM→eSIMへ変更申請をする)。

2020年4月時点で、iPhoneで楽天モバイルのeSIMプランの設定を行った場合、SMS受信が出来ない・テザリングが出来ないといったトラブル事例もあります(いくつかの問題は設定や接続方法を見直すことで改善が可能な事例があります)。

認証やアクティベートが設定しても使えな場合は → 楽天モバイル(MNO/自社回線)のAPN設定方法 ユーザー名/パスワードなどの設定項目-繋がらない場合の対処法

また、事務手数料の還元キャンペーンの特典を貰うためにもAndroid端末が必須ですので、iPhone以外の端末も1台確保しておくほうが無難です。

上記のような問題があるため、今使っているドコモやauの回線をそのままにして、楽天モバイルを副回線として追加する方法が活きてきます(楽天モバイルの設定・動作に問題があっても、とりあえず主回線で通信や通話が出来るから)。

楽天モバイルの公式動作確認がされた機種で使う場合はともかく、現時点ではeSIMを利用したDSDS/DSDVが出来る端末は動作保証対象外であるため、楽天モバイルを副回線として追加することで「万が一楽天モバイルの回線がうまく繋がらない場合/設定出来ない場合」にも携帯が使えないという状態を回避しましょう。

楽天モバイル(MNO)でDSDV/DSDS出来るiPhoneやスマホは?デュアル運用出来る条件・eSIM設定方法