2022年モデルのiPhone 14シリーズのうち、上位モデルのiPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxだけが使える「4800万画素モード」のレビューです。

Apple iPhoneシリーズでは2015年に発売されたiPhone 6sで初めて1200万画素のカメラを搭載して以降、ずっとメインカメラの画素数は1200万画素(12メガピクセル)を維持してきました。もちろん新型になるにつれて広角・望遠カメラ機能が増えたり、センサーが大きくなるなど”写真の品質”に関わるアップグレードは毎年行われてきましたが、iPhoneカメラの画素数アップは7年ぶりとなりました。

一方で、iPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxに採用された4800万画素のカメラは、初期状態だと1200万画素モード(12MP)でしか撮影が出来ません。

48MPモードを使うにはユーザー自身による設定の変更が必要であり、いくつかの注意点もあります。デフォルトではオフになっている「48MPモード」のカメラを使う価値があるのかどうか、実際にどのくらい画質が変わるのか作例を公開します。

iPhone 14 Proで48MPモードを使う方法(Apple ProRAW)

iPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxの写真機能は、デフォルト(設定を変更しない、初期状態まま)では1200万画素モードのみでの撮影が実行される仕様となっています(2022年9月のソフトウェア時点)。

高画素モードで撮影するためには、以下の操作が必要です。

[設定]→[カメラ]→[フォーマット]→【写真撮影】の項目にある”Apple Pro RAW”のスイッチをタッチしてオン

ProRAW解像度は「48MP」と「12MP」を選択することが可能で、高画素で保存したい場合には「48MP」に設定しておきましょう。

続いて、カメラアプリを起動して、画面上にある「RAW」の表示アイコンをタッチしてオンにします(初期状態だと”RAW”の文字の上に斜線があり、オフになっています)。

RAW-48MPモードは、1倍のメインカメラ利用時のみ有効となります。ズーム・超広角レンズに切り替わると12MPのRAW写真が保存されますので、「4800万画素」にこだわる場合は1倍で撮影を行ってください。

なお、写真モードの縦横比率が「4:3」以外のスクエア/16:9などになっていると、48MPではなく36MPで保存されます。この場合はカメラ画面上部の「∧」をタップして、比率の変更を行ってください。

iPhone 14 Pro通常モード/高画素モード画質比較

 

では実際にiPhone 14 ProのRAW-48MPモードで撮影した場合と、通常状態(12MP)の画質を比べてみましょう。

iPhone 14 Proのメインカメラはあまり接近して撮影ができない(近づくと超広角カメラによるマクロモードになってしまう)ため、15センチくらい離れた場所から、以下の鉱物標本を撮影してみました。

上記の距離感で撮影したものを、RAW 48MPモード/標準モードに切り替えて撮影して、大きく拡大したものが以下の画像です。

(画像をタップして拡大)

上記は全長3センチ程度の小さな石です(大人の親指の先程度のサイズだと思ってください)。画質は大きく拡大しないとわからない程度ですが、明らかに4800万画素モードにした場合のほうが細部までくっきりと、高い解像度になっています。

ちなみに、通常モードでの撮影時のファイルサイズは2.7MB、一方のRAWファイルは39.9MBのデータサイズです。実に10倍以上の容量を必要とするため、常用するものではありません(iPhone 14 ProのA16チップでも保存にも少し時間がかかる)。

(画像をタップして拡大)

上記も同様に、少し離れた位置から写真撮影補正用のカラーチャートシートを撮影・一部を大きく引き伸ばしたものです。ぱっと見だとさほど差はないものの、数字の「4」に注目すると標準モードよりもくっきりと写っていることを確認出来ます。

続いて、3年前の上位機種 iPhone 11 Proとも比較してみましょう。

(画像をタップして拡大)

iPhone 11 Proと比べた場合にも、やはりiPhone 14 ProのRAW 48MPモードのほうが高画質である様子がわかります。

しかしながら、このように写真を何倍にも引き伸ばして、並べて比較でもしない限り、iPhone 14 Proの4800万画素モードでも、通常モードでも、旧モデルのiPhoneでも、そこまで極端に画質の違いを感じることはないでしょう。

また、iPhone 14 ProのRAW 48MPモードは十分に明るさがある場合でしか動作せず、暗い場所でナイトモードになると12MPに切り替わります。これは4800万画素のうち、4つの画素を1つに合わせて(クアッドピクセル)使うことで明るい写真を作り出すための技術が働くためです。

以上から、Apple iPhone 14 Proシリーズの4800万画素カメラの高画素モードを試したい場合には、

・事前に設定でフォーマットを変更する
・カメラで「RAWモード」をオンにする
・1倍の状態で撮影する
・十分に明るい場所で撮影する(ナイトモードを使わない)
・ DNG (Digital Negative) ファイルフォーマットの編集環境

もちろんiPhone 14 Proでは初期設定のまま、何も考えずに撮影してもキレイな写真を撮影できますが、これらの設定・仕様を理解していないと、高画素モードを使いこなしての写真撮影は出来ません。

RAWモードで撮影した写真は、iPhoneの写真アプリのほか、DNGフォーマットの編集が可能なアプリ・ソフトウェアで編集が出来ます。RAWファイルで撮影する意味は単に「高画素」というだけではありませんので、こだわりを持って撮影後のRAW現像を楽しみたい人は、iPhone 14 Pro/Pro Maxを買う価値があるといえるかもしれません。

RAW 48MPモードを常にオンにしてたくさん写真を撮影してしまうとiPhone本体のストレージ・iCouldに大容量のデータを転送することになってしまいかねないため、利用時・変更時には注意してください。

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[実機レビューRaw撮影]これがiPhone14 Proの4800万画素カメラだ 12MP/48MPモード切り替え方-画質の違い