NTTドコモより発売中のシャープ製スマートフォン AQUOS zero2(あくおす・ぜろつー /型番SH-01M)のゲーミング性能をさまざまな観点からチェック・評価し、e-Sports向きのデバイスであるかどうかを解説します。
ドコモ AQUOS zero2 SH-01Mは2020年1月30日に発売されたハイエンドモデルのAndroidスマートフォンです。ドコモとしては初の「AQUOS zero」シリーズの取り扱いとなりました(初代 AQUOS zeroはソフトバンク/SIMフリーモデルがあります)。
日本国内で「ゲーミングスマホ」と言えば、Black SharkやASUSのROG Phoneシリーズなど、海外ではRazer Phoneといったモデルが有名ですが、AQUOS zero2もシャープの公式サイト上で「AQUOS zero2 × e-Sports」として、ゲームを思う存分楽しめるスマホとしてPRしています。
ドコモではAQUOS zero2以外にも、性能の高いスマホ・大画面のスマホ自体は何種類も取り扱いがありますが、直接的に「ゲーミングスマホ」としてアピールされるモデルは珍しいため、今回はAQUOS zero2 SH-01Mのゲーミング性能をじっくりとチェックしていきます。
本体重量41グラム/長時間プレイでも疲れない「軽量さ」
AQUOS zero2の最大の特長は発表時点で「世界最軽量の大画面スマホ」(6インチ/電池容量3000mAhのスマホデバイスにおいて。シャープ調べ)であり、一度でもAQUOS zero2の実機を触ってみれば、他のスマホとは明らかに違う軽量さを体感出来るはずです。
AQUOS zero2の本体重量を測ってみたところ、メーカー公称値の141グラムと一致しました。
141グラムがどれほど軽いのか、現在ドコモから発売中のiPhone・ハイエンドスマホと比べてみましょう。
機種名 | 画面サイズ | 本体重量 |
AQUOS zero2 SH-01M | 6.4インチ | 141グラム |
Xperia 5 SO-01M | 6.1インチ | 164グラム |
Galaxy Note10+ SC-01M | 6.8インチ | 197グラム |
P30 Pro HW-02L | 6.5インチ | 192グラム |
iPhone 11 Pro Max | 6.5インチ | 226グラム |
iPhone 11 Pro | 5.8インチ | 188グラム |
iPhone 11 | 6.1インチ | 194グラム |
iPhone XR | 6.1インチ | 194グラム |
iPhone 8 | 4.7インチ | 148グラム |
上記の通り、一般的な6インチ以上のディスプレイを搭載したスマホは180グラム~200グラム程度の重さが標準であるのに対して、AQUOS zero2の141グラムという重量は別格となっています。
iPhoneと比べた場合、AQUOS zero2(6.4インチ)よりディスプレイが小さなiPhone 11(6.1インチ)と比べても約3割・50グラム以上の差があります。
そして、4.7インチサイズのiPhone 8すらAQUOS zero2の軽さには敵いません(iPhone 7は138グラムなのでAQUOS zero2より少し軽い)。
数字としてはたかだか数十グラムの差ではありますが、長時間スマホでゲームをプレイしていると腕が疲れることもあるでしょう。
あとは仰向けに寝転がってスマホを操作するときなどは、重量感のあるスマホだと落としたときの恐怖感が強くなりますが、軽量なスマホほど落下の衝撃も小さくなります(いくら軽いSH-01Mでも顔面に落とせば痛いでしょうけれど)。
☆「ドコモ公式サイトでAQUOS zero2のサイズ比較(Virtusizeツール)をする」
SH-01MのSDM855による高処理性能/大容量メモリ
AQUOS zero2 SH-01Mには、Qualcomm Snapdragon 855(SDM855)と呼ばれる2019年夏~2020年春頃までのハイエンドモデルに採用されたSoCが採用されています。
同じチップセットを採用したモデルであれば似たような性能を示しますが、AQUOS zero2もあらゆるゲームを快適に遊べる水準の処理性能を持っています。
RAM(メモリー)容量はドコモのAQUOSシリーズ歴代最大の8GB、本体のストレージ容量も256GBあり、大容量アプリゲームをたくさん保存できます(初期設定後の空き容量は約232GB。micro SDカード等による外部ストレージは非対応)。
ベンチマークテストアプリの「Antutu Benchmark」でスコアを測定すると、およそ430,000~460,000点ほどのスコアが出ます(連続利用により若干数字がブレます。詳細は後述)。
スコアの中身は以下のような数値となっています。
ver.8.2.4 | AQUOS zero2 |
SoC | SDM855 |
総合スコア | 452,029 |
CPU | 133800 |
CPU数学演算 | 37065 |
CPU共通アルゴリズム | 29606 |
CPUマルチコア | 67129 |
GPU | 173740 |
Terracotta | 42643 |
Coastline | 59170 |
Refinery | 71927 |
MEM | 75772 |
RAMアクセス | 33386 |
ROM APP IO | 9966 |
ROMシーケンシャル読み込み | 20548 |
ROMシーケンシャル書き込み | 6472 |
ROMランダムアクセス | 5400 |
UX | 68787 |
データセキュリティ | 11252 |
データ処理 | 21913 |
画像処理 | 13540 |
ユーザーエクスペリエンス | 22012 |
(測定時CPU温度19℃→33.7℃)
他のSDM855搭載機種に比べてベンチマークテストのスコアが特に高いわけではありませんが、ほとんどの高処理が必要なゲームでもスムーズに動く水準です(ゲームの動作状況はアプリ/バージョンごとの相性によって異なる可能性があります)。
4倍速い、240Hzタッチディスプレイ
スマホでゲームの勝敗・成否を決するポイントの一つ、「ディスプレイの描写/タッチの反応」について、通常状態で毎秒60秒の描写回数であるのに対して、AQUOS zero2は2倍の毎秒120回の更新を行います。
さらに、この120回/秒のフレーム間に黒画面を挿入することで毎秒240回の高速表示を行い、画面の残像を抑える特殊な描写を実現しています(240Hz表示はアプリ依存で設定が有効にならないことがあるとされています)。
従来比4倍の超高速駆動と、 240Hzのタッチ性能を 組み合わせることで、 反応遅延を約80%短縮(型落ちのAQUOS zeroとの比較)
スマホのタッチ検出も毎秒240回の周期で行われるため、リズムゲームのほんの僅かなズレにも対応出来ます。
AQUOS zero2のディスプレイに関して、有機ELパネルの特性として同じ画面を長時間表示させ続けると焼付きが生じる可能性があるため、ゲームによっては一定時間ごとに画面の切り替えや休憩を入れることをおすすめします。
AQUOS zero2の発熱・放熱について
スマホのゲームプレイでネックになりがちなのは、「本体の発熱・過熱による性能低下」です。
AQUOS zero2の場合には上記のイラストにあるように、「熱を全体に広げて熱を逃がす」という設計がされているそうです。
これがどのくらいゲームプレイに影響するのか、Antutu Benchmarkによるテストを連続で行い、発熱具合を非接触型温度計で確認してみました。
AQUOS zero2では、長時間ゲームや高処理のアプリを動作させつづけると背面のカメラレンズの上あたりを中心に発熱が起こります。室温20℃の環境において、20分ほど連続でベンチマークテストを走らせた状態でカメラ上部では最高36℃程度までの温度上昇が確認出来ました。
一方、スマホのボディ中央~下部にまでは高温状態は伝達されず、スマホを手で持つ部分は30℃以下に収まっています。
AQUOS zero2でゲームを連続プレイすることで「発熱が起きない」のではなく、「発熱を感じずプレイ出来る」という印象です(ただし、横向きでスマホを両手で支えていた場合、カメラレンズ側を触っていると相応の熱を感じました)。
AQUOS zero2の発熱の傾向として、一番熱くなりやすいのが本体背面パネル上部(カメラ周辺から、その上のあたり)、次にディスプレイ面が早めに温度が上昇します。スマホ背面のパネル中央~下部は数十分ゲームを遊んでも30℃~35℃ほどに収まっており、手で触るとほんのり~やや温かいという程度です。30分以上連続動作をさせても全体が「熱くて触れない」というレベルにはなりませんでした。
連続でゲームプレイをプレイしたことを想定してベンチマークテストを複数回連続で実施したところ、1回目(温度が高くない状態)では46万点前後、2回目以降はおよそ42~43万点前後で安定しています。30分以上連続で動作をさせても40万点を下回ることはなく、発熱による性能の低下はほとんど観測されませんでした。
ただし、後述する「充電しながらのプレイ」では一部性能の低下も生じます。
*スマホの発熱は利用するアプリ、周囲の温度環境にもよって大きく変化します。上記はスマホスタンドに立て掛けたまま実験した結果です。個人が家庭用の測定機器で行った簡易実験であるため、あくまで参考程度にご利用下さい。
AQUOS zero2とiPhone 11 Proの発熱・処理性能を比べてみた
2019年9月に発売されたAppleの最新モデル iPhone 11 ProとAQUOS zero2 SH-01Mの処理性能・発熱具合を同じくベンチマークテストアプリを連続で動作させることにより比較してみました。
iPhoneとAndroidスマートフォンであるAQUOS zero2はOS(オペレーションシステム)が異なるため、処理性能の直接的な比較が出来るかどうかは判りませんが、Antutu Benchmarkのスコア上はSnapdragon 855ではiPhone 11シリーズのA13チップには及ばない結果となりました。
全く同じタイミングでiPhone 11 ProとAQUOS zero2でベンチマークテストを開始すると、iPhoneのほうが圧倒的に早く全てのテストプロセスを完了させ、高いスコアを叩き出します。
関連記事:[実機レビュー]iPhone11ProのAntutuベンチマークスコア A13チップが驚異の数字を叩き出す
一方で、発熱についてはiPhone11 ProのほうがAQUOS zeroよりも熱くなりやすい傾向にあります。
ベンチマークテストを開始して10分程度が経過した時点において、iPhone 11 Proの背面温度は約34℃まで上昇しました。
同時刻において、AQUOS zero2の背面温度を測定してみると・・・
AQUOS zero2の場合は前項でも解説したとおり、背面パネルの中央~下部は熱を持ちにくく、30℃以下の状態を保っていました。
iPhoneもAQUOSも、本体の上部・カメラ周辺はもう少し熱く(38~40℃前後まで上昇)なります。
充電しながらでも発熱しにくいパラレル充電
AQUOS zero2は本体の軽量さを重視したコンセプトとなっているため、ディスプレイサイズに比べてバッテリー容量は少なめ(3130mAh)。ゲームで遊んでいるとガンガン電池が減ります。1回の充電で遊べる時間・連続駆動時間については他機種に比べてSH-01Mが優れているとは言えませんが、充電については工夫がされています。
AQUOS zero2では「パラレル充電」と呼ばれる方式に対応しており、本体のカメラ左側あたりに2つの充電ICを搭載しています。スマホは充電中に特に熱を持ちやすいものですが、充電ICを分散させることで表面積を増やし、熱を拡散できるとしています。
ただ、前述の通りゲームをプレイすると充電中ではなくてもカメラ周辺は相応に熱くなり、充電中に熱を分散するとしても極端に影響があるのかどうかは確認出来ませんでした(充電ICが搭載されているカメラ左側が明らかに熱くなることだけは触って確認出来ます)。
また、充電しながらの連続プレイだと若干処理性能の低下も観測されました(Antutu Benchmarkで30万点程度まで下落)。一般的なゲームであれば性能が落ちた状態のAQUOS zero2でも動作に影響があるとは限りませんが、CPU温度が40℃を超えるような状況ではパフォーマンスが抑えられる設定になっているようです。
最も熱くなりやすい充電IC部分を避けて持てば(本体を横にして、カメラが左寄りになる向きに)、充電中でもそれほど熱を感じること無くゲームを遊ぶことは可能です。
AQUOS zero2はドコモが安い-キャンペーンでポイント還元も
AQUOS zero2はドコモ以外の携帯会社でも購入することが可能ですが、2020年2月時点において、最も機種変更価格が安く設定されているのがドコモのSH-01Mです。
ドコモ SH-01M | 本体価格87,912円 | ウェブで機種変更(Xi→Xi) →3,000dポイント +デビューキャンペーン →5,000dポイント |
a社 | 本体価格97,200円 | Wallet 5,000円相当キャッシュバック |
S社 | 本体価格95,040円 | PayPayボーナスライト 5,000円相当プレゼント |
機種変更向けのスペシャル特典は公式オンライン限定のキャンペーンです(2020年2月25日時点。終了日未定)。
機種変更(Xi→Xi)でもオンラインショップを使えばドコモの特典と、シャープ主催のデビューキャンペーン特典がもらえますので、キャンペーン実施中の購入をおすすめします。
デビューキャンペーンで5,000円分のdポイントを貰うためには2020年3月15日までに購入、3月22日までにSH-01M内のアプリから応募する必要がありますので、AQUOS zero2をお得に買いたい場合はキャンペーン期間中の購入をおすすめします(機種変更以外の価格やキャンペーンの詳しい適用条件はドコモサイトを参照ください)。
☆「ドコモ公式サイトでAQUOS zero2の価格・キャンペーンを見る」
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