NTTドコモから2019年9月13日に発売された最強カメラスマホ「P30 Pro HW-02L」を買ってみましたので、本機種の一番の魅力である「ズーム機能」を試すべく、いくつかのスマホとズーム撮影比較をしてみました。

P30 Pro HW-02Lの写真カメラ性能は2019年夏時点で現存する全スマホの中でトップクラスであることは疑いないものの、一方で最近のスマートフォンは一定の水準以上のモデルであれば、一般的な風景や人物・ペット・花などを撮る範囲ならば、2~3万円程度の格安スマホでも十分に綺麗です。撮影した写真を大画面のパソコンなどに表示させたり、拡大印刷でもしなければ、高級スマホでも低価格スマホでもそれほど差を感じることも無いはずです。

P30 Proの4つのレンズは、

・4,000万画素の広角カメラ(メインレンズ)
・2,000万画素の超広角カメラ
・800万画素の望遠カメラ(ズームレンズ)
・ToFカメラ(深度測定用)

というそれぞれ異なる機能があります。最も大きい画素数のメインレンズは4000万画素となり、他社の一般的なスマホの画素数よりも数字は大きくなっていますが、画素数が大きければ良いカメラ・綺麗な写真が撮れるというわけではありません(同様に画素数が同じなら同じクオリティの写真になるという意味でもありません)。

最近のスマホではほとんどのモデルが「カメラが進化した」「デジカメ並のカメラ性能」「AIできれいに撮れる」とアピールするメーカーが増えましたが、本当の写真のクオリティは撮り比べてみなければ、その実力は分かりづらいところです。

写真撮影に十分な明かりがあり、美しい景色・素敵なアイテムを用意して撮影すれば、どんなスマホでも「素敵な写真」になることでしょう。

しかし、P30 Proは他社のスマホ・歴代のスマホカメラとは明確に性能の違いが判るシーンがあります。それが「暗めの場所でのズーム撮影」です。

ズーム(望遠)の機能は、スマートフォンに搭載されているレンズとセンサーの性能が直接的に影響するため、ごまかしの効きにくい条件です。また、今回は上記写真のような照明を消した室内で光るLEDライトを撮影することで、色の調整・明るさの調整能力を比べることが出来ると期待できる条件にしてみました。

今回は上記の高さ5センチほどの「フレグランスジェルライト」を3メートルほど離れた場所から、全く同じ条件で撮影した写真を比較してみます。

P30 Proの比較に使ったスマホ

・2018年12月発売 Huawei Mate20 Pro (個別レビューはこちら)

2018年時点での最強系カメラを搭載した、ファーウェイの大画面スマホです。今回使用したP30 Proとも似た性能・機能を持っている、超ハイエンドモデルです。購入時のお値段は12万円。

・2018年発売 P20 Pro HW-02L(個別レビューはこちら)

2018年夏モデルとして発売され、その圧倒的な写真クオリティで多くのユーザーを驚かせたP30 Proの前モデル P20 Pro HW-02K。購入時のお値段は10万円(当時は月々サポートがあったので実質価格はもっと安い)。

・2019年6月発売 Sony Xperia 1 (個別レビューはこちら)

ソニーの新デザインスマホとしてシリーズ名が変わった「1」。6.5インチの縦長大画面・ソニースマホとして初めてトリプルカメラを搭載したハイエンドモデルです(ただしすでに2019年秋冬モデルとして少し小型化された後継機のXperia 5が発表されてしまったため、生産終了・ドコモでの取り扱いは終了が近いかもしれません。公式サイトでもすでに取り寄せ予約を受けていない)購入時のお値段は10万円。

・2018年発売 Google Pixel 3 (個別レビューはこちら)


日本で初めて正規に発売されたGoogleの「Pixel」シリーズのハイエンドモデルとして登場したPixel 3は、カメラレンズは1個だけですがGoogleの画像処理技術の賜物なのか、特に夜景・暗所撮影では非常に綺麗な写真が撮れることで有名です。ドコモでは2019年9月に一括2万円まで値下げされ、投げ売り状態です(関連:ドコモのスマホが超絶値下げ Pixel 3/Pixel 3 XLが一括19800円へ値下げ)。購入時のお値段は9.5万円。

・2017年モデル iPhone X (個別レビューはこちら)

2017年に発売された初代「X」シリーズのiPhone。ホームボタンが無くなり顔認証だけになった新しいデザインの先駆けモデル。2019年iPhone 11から見ると2世代落ちということになりますが、デュアルカメラ搭載でカメラも結構綺麗でした。購入時のお値段は12万円。

そして、P30 Pro HW-02Lです。

2019年夏モデルとして発表され、9月まで発売が延期されて登場した大本命。購入時のお値段は8.9万円。

以上、2018-2019年モデルの中でも比較的性能が高いスマホばかりで比較してみます。

P30 Proおよび比較機種の作例

*各画像をクリックするとオリジナルサイズに拡大できます。容量・サイズがやや大きいため、パソコンやタブレットなど大画面で比較することをオススメします。

 

【Xperia 1で10倍ズーム】
f/1.6
1/10秒
ISO 800
露出補正 -1.7
【Pixel 3で最大ズーム】
f/1.8
1/24秒
ISO 88
通常モード

夜景モード
【iPhone Xで10倍ズーム】
f/2.4
1/40秒
ISO 100
露出補正 +1
35mm換算 286mm相当
【P20 Proで10倍ズーム】
f/1.8
1/24秒
ISO 88
35mm換算 270mm相当
通常モード

夜景モード
【Mate20 Proで20倍ズーム】
f/2.4
1/135秒
ISO 50
35mm換算 541mm相当
【P30 Proで10倍ズーム】
f/3.4
1/33秒
ISO 160
35mm換算 270mm相当
【P30 Proで30倍ズーム】
f/3.4
1/50秒
ISO 160
35mm換算 811mm相当
【P30 Proで40倍ズーム】
f/3.4
5秒
ISO 100
35mm換算 1055mm相当
夜景モード

P30 Proはデジタル併用で50倍ズームまでいけますが、50倍ズームを使うとさすがに画質が低い&暗い場所では手ブレが酷くて撮影が困難なため、40倍で止めました(50倍を使うには今回の撮影距離は近すぎるため)。

撮影はすべて手持ち撮影で、三脚等は使っていません。【夜景モード】と書いた場合は、それぞれのスマホに搭載されている夜景撮影用の機能を使っています。その他はすべてオートモードで、LEDライトの中央付近をタップして明るさの調整をしています。

ただしXperia 1の場合だけはライトに明るさの調整を合わせても白飛びしてしまっていたため、手動で明るさを強制的に暗くしました(限界まで暗くして、上記の仕上がりです)。

P30 Proの40倍ズームと、P20 Pro, Xperia1で撮影した写真を同じくらいの大きさに拡大・トリミングすると、以下のような違いが出ます。

Xperia 1のカメラは十分な明るさがある場合にはそれなりに綺麗に夜景を撮ることも出来ますが、今回のように「距離が遠く、暗い場所にある灯り」に対して、明るく仕上げることを重視した調整・画像処理が行われる傾向にあり、夜景撮影をすると明るい部分が白くなりすぎます(普通の夜景を撮影しても同じ傾向です)。

ズーム専用のレンズを搭載していないPixel 3は、シングルレンズの割にはかなり頑張っています。ただし、P30 ProやMate20 Proのようなズーム専用レンズを持っている最上位モデルには細部の描写が劣ります。

最高倍率が10倍であるiPhone X, P20 Proに比べて、Mate20 Proは最大30倍までズームをすることが出来ます。画質的にはMate20 ProのズームはP20 Proとそれほど変わらない(同じ光学3倍ズーム相当のレンズ)ものの、P20 Proに比べてMate20 Proのほうが明るさの調整の影響でやや暗めながらMate20 proのほうがはっきりと映っています。

そして、P30 Proでは光学5倍相当のズームレンズを搭載しているため、今回のテストでは圧倒的な画質・適切な明るさ・色調整が行われました。上記の比較サンプルで見ていただいた通りの差があります。

P30 Pro機能面での違いは、P20 Pro, Mate20 Proでは夜景モードにすると最大10倍までしか設定できませんが、P30 Proは50倍ズーム状態でも夜景モードが使えます。50倍では手ブレをしてしまうため夜景モードはあまり実用的ではないかもしれませんが、20~30倍程度までならば手持ちのままでも夜景をアップで綺麗に撮ることが可能です。

ドコモのP30 Pro HW-02Lは(多少)安い!

導入部でも少し価格面について触れましたが、今回比較した6台のスマートフォンの中で、カメラ性能が一番優れているP30 Proなのに、ドコモモデルの定価は最も安く設定されています(発売当時の価格と比較した場合)。

 

Pixel 3, P20Pro, Mate20 Proなどはすでに値下げされているため2019年9月時点では安くなっているものの、それぞれ発売当時の定価で比較すると、

モデル 発売日 発売当時の価格
(税込み)
iPhone X 64GB 2017年11月3日 125,064円
P20 Pro HW-01K 2018年6月15日 103,680円
Pixel 3 64GB(SIMフリー) 2018年11月1日 95,000円
Mate20 Pro(SIMフリー) 2018年11月30日 120,803円
Xperia 1 SO-03L 2019年6月14日 103,032円
P30 Pro HW-02L 2019年9月13日 89,424円

このような価格差です。いずれも発売時点でそれぞれのフラッグシップモデルとして最高峰の性能を持ったスマホであるため10万円前後の高額スマホですが、カメラ性能には上記で比較した通り、特定の場面・シチュエーションでは差が出ます。

もちろんカメラ以外の面で比べるとP30 Proは必ずしもトップではない(処理性能はSDM855を搭載したXperia 1や最新のiPhoneに劣る。画面が大きいので、Pixel 3より持ち運びづらい、RAM /ROMは6GB/128GBとハイスペックモデルのなかでは平凡など)ものの、P30 Proも画面内指紋認証搭載・ワイヤレス充電対応・おサイフケータイ対応・防水防塵性能もあり、機能面で不足を感じる場面は殆ど無いはずです。これで他社ハイエンドモデルの中では価格が安く設定されているというのですから、P30 Proは十分に割安と言っていいと思います。

カメラを重視してスマホを選びたい場合にはP30 Proの圧倒的な性能を試してみるのもオススメですし、価格の下がったPixel 3, Mate20 Proあたりも上記の全機種を実際に購入している管理人の感覚でいうと十分に満足できる性能を持っていると思いますので、予算にあわせて選んでみてください。

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