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2019年5月17日よりGoogleストアまたはソフトバンクで発売が予定されている2019年夏モデルスマートフォン Pixel 3aおよびPixel 3a XLに搭載されたSoC Snapdragon 670(SDM)の処理能力や対応機能について解説します(NTTドコモでもPixel3aの発売が決定しました)。

Snapdragon 670(パーツ名:SDM670)は、2.0GHz+1.7GHz, 64ビットのオクタコアプロセッサーという仕様の新しいチップではあるのですが、最高峰の性能というわけではありません

QualcommのSnapdragonシリーズでは800番台のものがそれぞれの時代の最高峰向け・ハイエンドモデルのスマートフォンに採用されます。2019年モデルで言えばXperia 1、Galaxy S10,AQUOS R3などが採用している「Snapdragon 855」が最高性能を持っています。

参考記事:「 2019年春夏~SDM855(Snapdragon855)搭載スマートフォン比較/スペック 最新モデル情報まとめ

Pixel 3a, Pixel 3a XLは”2018年モデルのPixel3の廉価版”とされているように、Pixel 3/3XLに搭載されていた1世代前の最高峰チップ「Snapdragon 845」よりも処理性能は低くなっています。

SDM845のPixel3ではベンチマークアプリ(Antutu Benchmark)では非常に高い成績を誇っており、動画アプリ・ゲームアプリもサクサクと楽しむために十分な性能があると言って良いでしょう。

では、廉価になったSnapdragon 670では実際にどれくらいの処理能力が下げられていて、ゲームや各種アプリがスムーズに動くのかどうかが気になるところかと思います。

SDM670の技術仕様

SDM670に関して、Qualcomm社が公開している情報によると、

・最大2.0GHzのオクタコアCPU
・Qualcomm AIエンジンは前世代のチップに比べて1.8倍の向上

・10nmプロセス技術
・Kyro CPUは前世代のチップに比べて15%パフォーマンスが向上
・Adreno 615GPUはゲーム・高画質なグラフィック・UHDの再生などが可能
・カテゴリーX12 modemにより最大 UL600 Mbps/DL150 Mbpsに対応
・Quick Charge 4+に対応し、15分で50%もの急速充電に対応、旧世代から30%向上
・Bluetooth ver. 5.0 (接続速度2Mbps)
・USB 3.1, USB-Cに対応

・マルチSIM(Dual SIM Dual VoLTE)に対応

といった特長があります(*上記はPixel 3a/3a XLの対応機能・スペックそのものではありません。あくまでチップが対応する性能です)。

より詳しいデータはQualcomm Product-Snapdragon 670 mobile Platformを参照ください。

SDM670の処理能力目安

QualcommのSoCでは、一般的に”シリーズの数字”(2xx,4xx,6xx,8xxなど)が大きいほど性能が高く、同じシリーズ内であれば3桁の数字が大きいほど新しく・性能が高い傾向にあります。

例えば、Snapdragon 200シリーズは低価格なエントリーモデル向けスマートフォン・折りたたみ携帯電話タイプなどに使われます。


(Snapdragon 210を搭載したドコモケータイ SH-02L)

Snapdagon 400シリーズもエントリーモデル~初心者向けのモデルに多く採用されます。

(SDM450を搭載したらくスマ F-01L)

Snapdragon 600シリーズになるとちょっとランクが上がり、ミドルスペック-ハイスペックモデルに使われます。

(SDM625が搭載されたZenFone3)

SDM600系統では650→660→今回のSDM670と新しくなってきています。なお、600番台でも620・630はやや性能が低いチップです。

Snapdragon 800版系統は各メーカーのフラッグシップモデルに使われることが多く、ソニーのXperiaシリーズならば

・SDM 855:2019年モデル(Xperia 1)
・SDM 845:2018年モデル (Xperia XZ2シリーズ,XZ3)
・SDM 835:2017年モデル (Xperia XZ1シリーズ)
・SDM 820:2016年モデル(Xperia XZ)

などがありました。

同じシリーズ内ならばより新しいチップのほうが性能は高くなりますが、技術の進歩により古いハイスペックモデ向けのチップより新しいミドルスペック向けチップのほうが性能が高くなるということもありえます。

実際の絶対的な処理能力と体感できるスピードは必ずしも一致しない(スマートフォンそれぞれのシステムやインターフェイスによって動作が変わるため)のですが、Antutuベンチマークテストアプリの結果(Ver 7.x系)で比較すると、Pixel 3a/3a XLに搭載されたSnapdragon 670は以下のようなポジションになります。

SDM 855:35万点前後
SDM 845:28万点前後 (Pixel 3)
Kirin 980:28万点前後(Mate 20 proなど)
SDM 835:22万点前後 (Pixel 2)
Kirin 970:21万点前後(P20 Proなど)
SDM 820/821:18万点前後
SDM 670:16万点前後 Pixel 3a/Pixel 3a XL
SDM 710:15万点前後(OPPO Reno, R17 Proなど)
SDM 660:14万点前後
Kirin 950:13万点前後(honor 8)
Exynos 7885:12万点前後 (Galaxy Feel2)
SDM 650:10万点前後
SDM 805:9万点前後 (Nexus 6)
Kirin 659:8万点前後 (P20 lite)
SDM 625:8万点前後
SDM 450:7万点前後

*スコアはあくまで目安です。測定環境や一緒に動作しているバックグラウンドアプリ・バージョンによっても大きくスコアに差が出ることがあります。

Pixel 3aと3a XLのAntutu Benchmarkスコア

2019年6月、実際にドコモモデル Pixel 3aを入手し、Pixel 3と並べてベンチマークテストを実施してみました。

Pixel 3と比較してみると、以下のような差があります。

測定機種 Pixel 3
(SDM845)
Pixel 3a
(SDM670)
トータルスコア 285543 158987
CPU 89264 61686
GPU 124165 44282
UX 57792 40533
MEM 14322 12486

(Antutu Benchmarkはver 7.2.2を利用しています)

ベンチマークの総合的な数値で比較するとPixel 3aとPixel 3には2倍近くの差が生じます。しかし、これは実際に「Pixel 3のほうが動作がすべて2倍早い(半分の時間で操作が出来る)」という意味ではありません

Pixel 3と3aを並べて同時にテストを実施すると、確かに両者の動作には違いがあります。Antutuベンチマークでは3Dアニメーションの再生や画像処理・計算などさまざまなスマホを使う上で必要な動作をテストするのですが、まずPixel 3と3aではアニメの滑らかさに明確な違いがあります。

Pixel 3aでもアニメが止まる・画面出来ないほど動きが鈍くなるわけではないのですが、Pixel 3と比べると動きのある3Dアニメがコマ落ちしているかのように見えます。

また、テストに掛かる時間も大きな差があり、同時にテスト開始→それぞれのスコア表示完了までに【26秒】ほどの時間差が生じました(Pixel 3はテスト終了までに7分半くらい掛かっている)。各ステップでどんどんPixel3にPixel 3aは遅れをとっていきます。

つまり、同じ処理を行うのにPixel 3では450秒・Pixel 3aでは480秒程度掛かるとして、実動作としては10%も違いは無いと言えます(あくまでAntutu Benchmarkのテスト中の動作に限ります)。2台を並べて動作を比較すれば違いが分かるかもしれませんが、極端に体感として日常動作に差が生じるというものではありません。

Pixel 3a/Pixel 3a XLの処理性能は、旧チップのSDM660~SDM820に近い動作が期待できます。

具体的に近いスコアのスマホ機種名を挙げると、

・SDM660搭載: ZenFone 4(通常モデル), ZenFone Max Pro M2, arrows NX F-01K, OPPO R11s/R17 Neo, AQUOS R Compactなど

・SDM820搭載:Xperia XZ, Xperia X Performance, HTC 10, Galaxy S7 edge, Axon 7など

このような機種とベンチマークのトータルスコア的には近くなります。ただし、先述のとおりSnapdragon 600系統でも新しいSDM670ならば最新の技術によって最先端の急速充電に対応・バッテリー省エネ機能・高速通信モデムなどに対応するため、古いスマホより快適に感じることが出来る可能性もあります。

Antutuベンチマークテストで13-15万点前後の結果を示すスマートフォンならば、一般的なゲームアプリはスムーズに動くことが期待できます。

(SDM660のF-01Kで3Dキャラクターが動くゲームも遊べる)

ただし、Pixel 3→ 3aで削られた機能の一つ「Pixel Visual Core」が非搭載になったため、画像処理に関わる動作ではハイエンドモデルに体験が及ばないことも考えられ、超高負荷がかかるエフェクトが多用されたムービーやAR/VR機能を楽しむには、SDM670搭載のPixel 3aシリーズでは若干のパワー不足が感じられる可能性があります。

実際にPixel 3aの実機をテストしてみたところでは、Pixel 3と比べても大きく品質に劣るところは少なく(もちろん同じではないですが)、ワンランク上のミドルスペックモデルとして幅広いユーザーに向けた一台になりそうです。

NTTドコモではソフトバンクより1万円以上安く、税込46,656円(消費税8%時点)での提供が予定されています。

☆「NTTドコモ  Google Pixel 3a 価格・キャンペーン情報

特定のゲームやアプリをPixel 3aで楽しみたいと考えている場合には、SDM670の性能と特性を考えて、自分にとって十分かどうか判断してみてください。あらゆるゲームが快適に遊べるスペックが欲しいのなら3aシリーズではなくオリジナルのPixel 3, Pixel 3 XLの購入をおすすめします。

関連記事:[レビュー]ドコモPixel3 Google謹製ハイエンドスマホは他社と何が違うのか?実機使用評価と割引・機種変価格維持費

4万円台になったPixel 3a搭載のSnapdragon670(SDM670)の実力は?Antutuベンチスコアやゲームの快適性
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One thought on “4万円台になったPixel 3a搭載のSnapdragon670(SDM670)の実力は?Antutuベンチスコアやゲームの快適性

  • 2019年5月10日 at 7:47 PM
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    Visit CoreはHDR+の処理速度を高めるのがメインなのでゲームなどにはほとんど関わりません。
    670搭載機種は中華スマホなどにありますが、3D多用ゲーム(Asphaltやデレステ)でも最高設定で普通に遊べますね。

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