2018年9月6日からソフトバンクが新しく受付を開始するスマートフォン向けのパケットプラン「ウルトラギガモンスター+」および「ミニモンスター」では、それぞれ最安で月額3千円台円・月額2千円台~で使える「値下げされたプラン」として発表されました。
しかし、本当に新プランのほうが魅力的なのか、旧プランから変更した場合にトラップは無いのか、詳しく提供条件と料金を解説していきます。
なお、本ページではネット通信用のパケットプランだけに注目して解説していきますので、基本プラン(通話に関する部分)の料金やシステムについて知りたい人は過去記事(ソフトバンク新料金「通話基本プラン」 従来のスマ放題との違い)を先にご覧ください。
新料金のパケットプランは2種類しか選べない
ソフトバンク・ドコモ・auの3キャリアでは従来ユーザーが1ヶ月に使えるデータ容量プランとして、1GB/2GB/3GB/5GB/7GB/10GB/20GB/30GB/50GBといった、多数の「定額データプラン」を提供してきました。
しかし、これからのソフトバンクスマホで選べるパケットプランは2種類のみに限定されることになりました(プリペイドスマホ向けなどの特殊なプランを除く)。
料金プランの構成としては、以下のようなイメージになります。
基本のプラン構成:通話基本プラン+(通話定額オプション[かけ放題/5分かけ放題])*+[ ミニモンスター/ウルトラギガモンスター+]
*通話定額のオプション(定額/準定額)は、任意加入です。2018年8月時点でかけ放題のオプション加入を必須とする割引・キャンペーン情報はありません。
ウルトラギガモンスター+のサービス内容
ウルトラギガモンスター+(プラス)とは、従来のデータ定額50GBに、対象のサービスを利用した場合にはインターネット通信に使ったパケット量(ギガ)を消費しない「カウントフリー(動画SNS放題・ギガノーカウント)」サービスが付与された、新しいプランです。
対象となるサービスは2018年9月の開始時点で以下のような動画・SNSアプリが含まれます。
対象のサービスであれば、どれだけ使ってもパケット容量が減ることがなく、使い放題になります。
ただしサービス内の広告や一部サービスの利用をした場合はカウントフリー対象外=パケット消費が生じるケースもあります。
【カウントフリーにならない動作】
・Youtubeの場合:広告をクリックして表示された画面
・LINEの場合:音声通話・ビデオ通話
・Instagramの場合:音楽の再生
・Facebookの場合:音楽の再生・Messengerの利用
どのサービス・挙動がカウントフリーの対象外になるのかはソフトバンクがユーザーの利用状況を解析するシステム次第・提供規約次第となりますので、詳しくはソフトバンクにお問い合わせください。
また、カウントフリーのサービスにおいて、一定期間において著しく大量通信を行なった場合はソフトバンクの判断で速度制限が課される可能性も明記されています(判断基準は非公開)。
ミニモンスターのサービス内容
新パケットプラン「ミニモンスター」は、スマートフォンの利用頻度が少ないユーザー~利用頻度にばらつきがあるユーザー向けの「他段階料金プラン」です。
利用したデータ容量に応じて、パケットプラン料金が1980円から6480円(割引後の価格)まで変動します。自分でプラン変更をしなくても自動で切り替わっていきます。このプランのメリットとしては、ネットを使わない月の料金を節約できる・速度制限が最大の50GB到達まで発生しない、という点があります。
ウルトラギガモンスター+とは異なり、ミニモンスターにはカウントフリー機能はありません。
新パケットプランの料金比較
ウルトラギガモンスター+の場合は同一家族(離れて暮らす家族・親戚やシェアハウスの同居人などもカウント適用可能)の人数によって、割引額が変更される「みんな家族割+」が新設されました。
1人だけの利用:割引なし
2人が対象:500円引き
3人が対象:1500円引き
4人以上が対象:2000円引き
このみんな家族割+はすでに提供されていた「みんな家族割」(プラスなし)からの変更となります。
過去のみんな家族割では、
1人だけの利用:割引なし
2人が対象:1500円引き
3人が対象:1800円引き
4人以上が対象:2000円引き
となっていましたので、すでにウルトラギガモンスタープランで利用中の2人・3人の家族グループにとって改悪となります。
家族の中でカウントされる対象プランは「ウルトラギガモンスター+」または「ミニモンスター」を使っていても割引基準に数えられるという違いがありますので、複数の家族でソフトバンクを使うケースならば新プランのほうが有利になることもありえます。
旧プランと新プランでは利用できる容量のステップ(区切り)が異なるため、単純な比較が出来ないケースもあります。
旧プランの「おてがるプラン」の利用時には「おてがるプラン専用割引」として、新プランで利用できる「1年おとく割(1000円×1年)」と同等の値引きがあります。
上記のプラン料金を比べると、小容量かつ契約する機種が限定されるという条件付きであれば、旧プランのおてがるプランのほうが1~3GB程度を使うユーザーにとっては安い選択肢があったと言えます(おてがるプランについて詳細はこちら)。
おてがるプランは主に旧モデル・低価格なスマホにのみしか使えないという制限がありますが、新プラン「ミニモンスター」は最新iPhoneやスマートフォンにも使えるという料金面以外で大きな違いがあります。
新プラン変更への注意点
以下、現在判明している新プラン(通話基本プラン・ウルトラギガモンスター+・ミニモンスター)に関わる注意点・デメリットを列挙します。
デメリット1.月月割が2年契約時に使えない・廃止される
2018年9月6月より、ソフトバンクは順次月月割を事実上廃止します。
2年契約または2年契約(フリープラン)にご加入の場合、月月割は適用されません。
新プランに加入して機種購入を行う際、各種の値引きが適用される2年契約/2年契約(フリープラン=自動更新されない2年契約)を選ぶと、端末購入価格に適用された月月割が無くなります。
また、現在月月割が適用されている回線のプランを新プランに移行した場合にも、2年契約の基本プラン値引きを受ける場合は月月割が終了しますので注意が必要です(2年契約を解除すれば、月月割を継続できる手続き変更も可能(サポートに確認済み)。機種購入を伴わないプラン変更は2018年11月1日より始まります)。
デメリット2.ニ年目から料金が上がる
これは新プランだけに限りませんが、最近のスマートフォン料金プランでは各社が「最初の1年だけ割引が適用される」というキャンペーンを出しており、ソフトバンクの新プランでは「1年おトク割」が該当します。
ウルトラギガモンスター+、ミニモンスターの最安値料金である月額3480円・1980円~は、それぞれ1年目だけに到達可能な価格であり、2年目からは維持費が上がることを前提にして、総合的におトクさを考慮しなければなりません。
デメリット3.データ容量の繰越が出来ない
従来のデータ定額プランでは、使いきれなかった容パケットデータ容量を翌月に繰り越して使うことが可能でしたが、新プランは繰越機能がありません。利用する容量に大きなばらつきがあるユーザーはミニモンスタープランを選ぶことになり、システムが大きく変わる点に注意が必要です。
デメリット4.みんな家族割+が使えないと割高
ソフトバンクの新プランでは「家族みんなで使うとお得」を強調しています。しかし、それは逆に言えば「1人だけでソフトバンクを使うと損」とも言えるため、単身者・家族が別のキャリアを使っている場合にはソフトバンクを安く使い続けることが困難になります。
みんな家族割が適用できないユーザーは、ソフトバンクに留まり続けるより他社・あるいはワイモバイルに移ったほうが良いでしょう。
デメリット5. 2年契約をしないと割高
「通話基本プランの解説」ページで指摘したとおり、新プランでは2年契約を結ばない場合、基本料金が2年契約時よりも毎月3千円近くも値上げされます。
2年間利用を続けた場合、64,800円も高い基本料金を支払うはめになります。2年契約の短期違約金は9,500円とされていますので、4ヶ月以上使うのであれば2年契約をした上で解除料を支払ったほうが、2年契約未加入よりも安くなります(ただし月月割の適用を受ける場合、トータルでの差額はこの限りではない)。
通常は2年契約をしたほうが有利になるはずですが、月月割の値引き額と契約期間次第でどちらがお得になるのか個別に計算する必要があるでしょう。
デメリット6. ネットセット割引を使わないと割高
ソフトバンクではスマートフォンと一緒に使うと値引きを適用できる固定回線を提供しており、新プランとセットで利用することで各プランのCM価格に到達出来ます。別の固定回線を利用している場合は契約変更時の違約金もキャッシュバック還元されるキャンペーンがありますので、導入を検討しましょう。
☆「SoftBank Air」/ワイヤレスタイプの固定回線
☆「ソフトバンク光」通常の光回線
デメリット7.プラン変更をすると旧プランに戻れない
現在提供されているスマ放題・スマ放題ライトは新規契約・プラン変更での受付を順次終了することが発表されています。
スマ放題「通話定額プラン」およびスマ放題ライト「通話定額ライトプラン」、「おてがるプラン」の新規契約時の申し込み受け付けや、ご加入中のプランを継続して利用するお客さまが新たに機種変更する際の「月月割」の提供などを、2018年9月5日以降、順次終了
一度新プランに変更してしまう・新プランで新たに契約した場合は旧プラン提供後は戻すことが出来なくなりますので、旧プランのほうが使い方に合っている・2年契約を維持したまま月月割も使いたいのであれば、プラン変更は見送ることをオススメします。
まとめ
新プラン料金体系と旧プランでは、上記のように大きくシステムが変更されました。ただ基本料金が変わるだけでなく、サービス内容そのものが変更されています。
動画やSNSサービスをよく使う人ならウルトラギガモンスター+に変更することで、容量を気にせず使えて、家族でまとめてソフトバンク新プランを利用+固定回線サービスまでまとめることが出来れば、スマホ料金・ネット料金負担を下げることが出来る可能性はあると考えられます。
一方で、割引を中途半端にしか使えない・大容量のプランが必要なく・ミニモンスタープランの容量区切りが使いづらいと感じるユーザーも出てくるはずです。その場合は旧プランのまま維持して何らかの安く使えるキャンペーンが出てくるのを待つか、ワイモバイルに移動する・他社へMNPをするなどの転出も考慮すべきかもしれません。
本当に新プランがお得になるのかどうか、各自の利用状況・家族の契約状況などを総合して考えなければ、安易にプラン変更をすると損をしてしまう・料金が割高になってしまうリスクもあることを理解しておきましょう。
上記は2018年8月30日時点にソフトバンクの公式サイトおよびサポートに問い合わせた結果を分析したものであり、今後さらに適用条件やキャンペーンが追加されることによって状況が変わるかもしれませんので、新プランへの移行・新しく契約を検討する際には公式サイトで最新情報の確認を行なって下さい。