2021年9月発売の最新機種 Apple iPhone 13 Proのカメラ機能に関する実機レビュー・評価です。

Apple iPhone 13 ProおよびiPhone 13 Pro Maxには、過去のモデルに比べて明るいレンズ・ズーム性能が高い望遠レンズが搭載されたほか、マクロ撮影機能が追加されています。

マクロ撮影とは、被写体にギリギリまで近づいて撮影するいわゆる「接写」機能です。

歴代モデルのiPhoneは接写に弱く、他社の高機能Androidスマートフォンに明確に劣っていました。しかし、新型iPhone 13シリーズは他社スマホ並の超接近撮影を可能にしています。

iPhone 13 Proのマクロ撮影機能を2年前の型落ちモデル iPhone 11 Proと比べると、まさに「!」と感嘆したくなるほどの差を実感出来ます。

一方で、アップルのカメラ撮影補助機能はこだわって写真を撮りたいユーザーには「余計なお世話だ」と感じてしまうかもしれない仕様になっています。

iPhone 11 Proの最短撮影距離と写真

まずはマクロ撮影機能がない、iPhone 11 Proの場合です。

上記は高さ3センチほどのおもちゃを、iPhone 11 Proの標準カメラでピントが合う最短距離まで近づいて撮ったものです。

距離にしておよそ7~8センチというところでしょうか。

iPhone 11 Proではこれ以上近づいてしまうと、メインレンズでは写真がボケてしまいます。

「おもちゃを拡大して撮る」という目的だけであればズームカメラを使用して撮影する、広角カメラで撮影した写真を切り出す(トリミング)ことでデジタルズーム処理をすることも出来なくはありませんが、当然画質は劣化します。

しかし、新しいiPhone 13なら、こんなに近寄ることが可能になりました。

iPhone 13 Proの最短撮影距離と写真

iPhone 13 Proで同じおもちゃを、フォーカスが合う最短距離まで近づいて撮影してみました。

いかがでしょうか。前出のiPhone 11 Proではおもちゃ全体がフレームに入る距離でしたが、今回は猫の顔だけのドアップが撮れました。小さな毛ぼこりすら写ってしまいます。

カメラレンズから被写体までの距離は2~3センチ程度。ここまで近づいてもピントが合います。

iPhone 13シリーズのマクロ撮影機能はマクロ専用のレンズがあるわけではなく、超広角レンズを使ったクローズアップです。

似たような機能はAndroidスマホでは数年前から実装されたモデルがありましたが、iPhoneでも同じことがようやく出来るようになりました。

(更新)ただし、iPhone13のマクロ撮影機能が邪魔になることも…

2021年9月25日時点の最新ソフトウェアの状態において、iPhone 13シリーズでは被写体に一定の距離まで近づくと自動でレンズが最適化され、マクロ撮影機能が有効になります。

接写をしたい場合にユーザーが意識すること無く、手軽に接近できるのは便利である一方で、広角レンズ(標準レンズ)に比べてマクロ撮影に使われる超広角レンズのほうが画質が低いため、マクロ機能が必要ない距離でも勝手に切り替わって写真が劣化する現象が発生しています。

上記3枚はiPhone 13 Proのカメラが勝手に切り替わる場面を別のカメラで撮影したものです。2枚めの写真をじっくり見ると、カメラが切り替わる一瞬だけ残像が見えます

広角カメラ→超広角カメラに切り替わるとき、「超広角カメラの写真をズームする」ことで、ほぼ同じ画角を再現しているため、カメラ自体はスムーズに切り替わります。しかし、iPhone 13 Proの超広角カメラと広角カメラに使われているセンサー・カメラレンズが違うため、切り替え前後の画質に差が出てしまうのです。

超接近状態ではマクロ機能が有効になったほうが画質は良くなるものの、上記のように「マクロと標準カメラが切り替わる境目」あたりだと、標準カメラのままで撮影したほうがキレイな写真になります。

2021年9月25日時点のソフトウェアではカメラのレンズを固定することが出来ず(ビデオモードでは撮影中の「カメラをロック」設定がある)およそ10センチ~15センチくらいに近づくと、カメラの切り替えが勝手に動いてしまいます。

十分に接近した場合にだけマクロモードに切り替わるのならともかく、ちょっと接近判定が緩い気がします(意図しない距離でカメラが変わってしまう)。

カメラが切り替わる瞬間にシャッターを押すとピンぼけが発生したり、狙った構図での撮影がずれてしまうことになるため、この「勝手に切り替わる/カメラのレンズを固定できない」状態は、場合によっては撮影ミスを生じさせる不具合と言えるでしょう。

今後のアップデートで改善(マクロモードを強制解除できるボタンなどの追加)がされることを期待したいところです。

[2021年10月配信のiOS 15.1に更新することで、カメラ設定により自動マクロ切り替えをオフにすることが出来るようになりました。邪魔だと感じた人は最新のソフトウェアにアップデートして変更をしましょう]
(更新)iPhone13Pro実機レビュー 超接近!マクロ撮影・超広角レンズによる接写が可能 でも自動切り替えは余計だ