2020年冬モデルの最高峰 Apple iPhone 12 Pro MaxとSony Xperia 5 IIのカメラ性能を実機で比較します。

2020年11月13日に発売されたiPhone 12シリーズの最上位機種 iPhone 12 Pro Maxは、iPhone 12 Proや旧モデルのiPhone 11 Pro, iPhone11Pro Maxよりも優れたカメラが搭載されています。

iPhone 12 Pro Maxのカメラには新しく大きなカメラセンサーが採用されており、従来の機種・iPhone 12 Pro と比べても広角カメラは暗い場所での撮影性能がアップ・ズーム性能がアップしているとされています。

一方、Android機種の2020年冬モデルトップ人気機種のひとつ、SONY Xperia 5 II(docomo:SO-52A/au:SOG02/SB)もiPhone 12 Pro Maxと同じく超広角+標準+望遠によるトリプルカメラを採用・デジタルカメラ分野で使われている「ZEISS(つぁいす)レンズ」をスマホに搭載することで、旧来のモデルよりレベルアップした写真が撮れるようになりました。

そこでiOSの最高峰となるiPhone 12 Pro Maxとソニーの最新スマホ Xperia 5 IIにて、超広角カメラ・ズーム性能・夜景モードによる明るさ補正などをカメラテストしてみました。

iPhone12ProMaxとXperia 5 IIのカメラ仕様

iPhone12Pro MaxとXperia 5 IIのカメラはどちらも「12メガのトリプルカメラ」ですが、それぞれのレンズ仕様・機能は一部異なります。

カメラ仕様 Xperia 5 II iPhone 12 Pro Max
広角(標準) 12.2MP
f/1.7
24mm
12MP
f/1.6
26mm
超広角 12.2MP
f/2.2
16mm
12MP
f/2.4
14mm
望遠 12.2MP
f/2.4
70mm
12MP
f/2.2
65mm
その他 LiDARスキャナ搭載

*焦点距離は35mm換算。より多くのスマホカメラのセンサーサイズ情報はこちらを参照。

Apple iPhone 12 Pro Maxの望遠レンズは光学2.5倍相当、Xperia 5 IIは光学3倍相当になります。

また、iPhone 12 Proシリーズには被写体までの距離を測定し、焦点をあわせる・ボケを再現するなどの用途に使われるLiDARスキャナセンサーが搭載されています。LiDARスキャナを使うと3D空間撮影写真などを作ることも可能です。

関連記事:iPhone12ProMax新機能 LiDARスキャナの使い方/3D空間データの取り込み

超広角カメラの歪み・画角比較

まずは歴代iPhoneのカメラよりも大きなセンサーを利用したというiPhone 12 Pro Maxの超広角カメラをチェックしていきましょう。

Xperia 5 II
広角モード
iPhone 12 Pro Max
広角モード

Xperia 5 IIの超広角レンズは焦点距離16mm相当、iPhone 12 Pro Maxの焦点距離は14mm相当です。上記は全く同じ距離から撮影した画像(加工・トリミング無し)です。iPhone 12 Pro Maxのほうが少しだけ広い範囲が1枚の写真に収まります。

一般的に広角レンズで撮影した写真はレンズによる歪みが発生しますが、iPhone 12 Pro Max・Xperia 5 IIともにキレイに歪みが補正されています。

歪み補正モードにしておけば、直線的な物体を撮影する場合にも不自然な傾きを抑えられます。

*Xperia 5 IIもiPhone 12 Pro Maxでも歪み補正優先・画質優先の選択が設定画面で調整出来ます。ワイドレンズの歪みを敢えて利用した印象的な写真が撮りたい場合には事前に設定変更で対応可能です。

上記の写真から一部を拡大したものが下記画像です。

(タップで拡大出来ます)

歪みが現れやすいの隅を拡大してみても、歪みの補正具合に大きな違いは見られません。

拡大写真をよく見てみると、iPhone 12 Pro Maxのほうが色は明るく・コントラストが強めに調整されている一方で、ノイズはXperia 5 IIのほうが少なく滑らかに処理されています。

両モデルとも画素数は12メガピクセルとなっているため、分解能・画質自体は似たようなものです。

iPhone・Xperiaズーム性能の比較

続いてiPhone 12シリーズの中でもPro Maxだけが対応する2.5倍望遠レンズと、Xperia 5 IIの3倍ズームを比較してみます。

先程と同じチャートサンプルを3メートルほど離れた位置から最大ズームで撮影し、一部を切り抜いた写真が以下のものです。

(タップで拡大可能)

広角レンズでの撮影時と同じく、iPhone 12 Pro Maxのほうがズームレンズでも色が鮮やかに見えます。iPhone 12 Pro Maxの焦点距離は65mm・Xperia 5 IIの焦点距離は70mmであるため、ズーム性能は似たようなものですが、iPhone 12 Proのほうがよりくっきりと撮影できる傾向にあります。

ちなみに、光学2倍までのiPhone 11 Pro(2019年モデル)と比べると、明らかにiPhone 12 Pro Maxとは色合いの調整が異なっています。

(タップで拡大可能)

ズーム倍率としては2倍と2.5倍であるため、そこまで大きな画質の差は感じられませんが、iPhone 12 Pro Maxのほうが明暗がくっきりとしています。

ズームレンズがないiPhone 11やiPhone 12、iPhone SE2以前のモデルと比べればiPhone 12 Pro Maxの望遠性能は大きくアップしていると言えます。

また、画質には表れませんがiPhone 12 Proシリーズでは新しいOIS(光学式手ぶれ補正)が採用されており、広角・ズーム時でも手ブレが起きにくくなっているという進化もあります。

ただし、最上位のiPhone 12 Pro MaxやXperia 5 IIの望遠性能であってもより高倍率なレンズを搭載したAndroidスマホに遠く及びません

下記は光学5倍相当のレンズを搭載したGalaxy Note20 Ultraでズームをした写真比較です。

Galaxy Note20 Ultraは最大で50倍ズーム(光学+デジタル)に対応するため、たかだか12倍のiPhone 12 Pro Max・9倍のXperia 5 IIではGalaxyの最上位機種やファーウェイのP40 Pro/P30 Proなどのカメラ機能特化スマホの望遠性能には到底太刀打ち出来ません。

Xperia 5 IIでは旧型のXperia 5に比べてセンサーが大きくなり、より明るい写真が撮れます。しかし、例えばGalaxy Note 20 Ultraのセンサーは更に大きな1/1.33型。センサーが極端に大きいというほどではありません。

スマホカメラにズーム性能を求めるユーザーはiPhone・Xperiaよりも高性能な倍率カメラを搭載したスマホを選んだほうが満足度は高いかもしれません。

関連記事:Galaxy Note20 Ultraカメラ実機レビュー- 月面クレーターは撮れる?P30 Proとズーム性能比較

iPhone・Xperia暗所撮影の比較

続いてiPhone 11シリーズから対応したiPhoneのナイトモードを、照明を消して薄暗い状態にして撮影比較してみます。

夜景モードが使えないiPhone SE(第2世代)だと、以下のような明るさになります。

これをiPhone 12 Pro MaxとXperia 5 IIで撮影すると・・・

(タップで拡大出来ます)

このようにiPhone 12 Pro Maxならまるで照明がついているかのように明るく撮影可能です。XperiaよりもiPhoneのほうが色鮮やかな仕上がりになっています。

今回の条件ではおよそ3秒のナイトモードが発動しています。iPhoneでは周囲の明るさに応じて自動で撮影時間が設定され、状況に応じてマニュアルで最長10秒までの露出時間を選ぶことが可能です。

一方でXperia 5 IIでは「夜景モード」という設定はない(Xperia 10 IIにはある)ものの、シーンに応じて「夜景」「低照度」を感知して長めのシャッタースピードで撮影が出来る機能があります。

ナイトモードで撮影した写真を拡大したものが下記の画像です。

(タップで拡大出来ます)

暗所テストにおいてもiPhone 12 Pro MaxとXperia 5 IIの画質は似たような水準です。ノイズはややiPhone 12 Pro Maxのほうが目立ちますが、コントラストの調整によりiPhoneのほうが遠目にはキレイに見えます。

なお、普通の夜景写真を撮る場合はXperia 5 IIもiPhone 12 Pro Maxもまるで一眼レフのマニュアル撮影を駆使したかのような”映える”写真がカンタンに撮れます。

上記はいずれもXperia 5 IIで撮影したものです(圧縮・加工済み)。最新機種のスマホなら夜景撮影に三脚は不要です。ポスターのように大きく印刷するような場合を除き、オリジナルの画質ならパソコン等の大画面で見る場合にも十分な解像度です。

Xperia 5 IIの場合は標準レンズに比べて超広角レンズだとセンサーが小さいためか、夜景撮影をするとややノイズが目立ち、光がぼんやりとした印象になるため夜景を撮るなら超広角は多用しないほうがよいかもしれません。

iPhone 12 Pro MaxとXperia 5 IIのカメラ評価

旧モデルよりも進化したカメラが搭載されたiPhone 12 Pro MaxとXperia 5 IIで超広角・ズーム・暗所での撮影テストをしてみた印象では、どちらも旧モデル・それぞれの専用レンズに対応しないモデルに比べれば、格別にきれいな写真が撮れるように進化しています。

特にiPhone 12 Pro Maxでは単にズーム性能が上がった・センサー・ピクセルが大きくなったという以上に、ドルビービジョン対応HDRビデオ撮影・ 写真のスマートHDR 3に対応するといった機能面・ソフトウェア上の調整などによる画質・機能向上が感じられました。

「iPhone12 Pro MaxとXperia 5 IIのどちらがキレイに写真を撮れるか」というざっくりとした評価をするなら、前述の通り色合いの綺麗さ・補正から受ける印象によりiPhone 12 Pro Maxのほうが全体としては高評価です。

しかし、iPhone 12 Pro MaxもXperia 5 IIも旧シリーズに比べればカメラ性能は上がっていますが、ズーム性能は2020年冬時点で最高峰のスマホカメラには一歩及ばないという評価です(現在最高峰のズーム性能があるスマホとしては、Huawei P40 Pro/OPPO Find X2 Pro/Galaxy S20 Ultraなどがあります)。ズーム性能を重視しないなら、iPhone 12 Pro Maxは最高水準の一台といえると思います。

一方で、「画質」には影響しませんがXperia 5 II(およびXperia 1 II)ではソニーのデジタルカメラ「α」で培った瞳フォーカスや「Photo Pro/Cinema Pro」アプリによる写真撮影のUIも魅力の一つといえます。

iPhoneの標準カメラ機能では出来ない、シャッタースピード・ISOの細かな調整がXperiaなら可能となり、プロフェッショナルな設定を使いこなして写真を撮りたいというのならXperia 5 IIを選ぶのも良いでしょう(iPhoneでもアプリ等で拡張設定が使えるものもあります)。

iPhone 12 Pro Max・Xperia 5 IIはドコモ・au・ソフトバンク各社から発売されています。機種変更価格が高いと感じた場合はどのキャリア版でもカメラ機能は同じですので、乗り換えで購入検討をすることもオススメです。

*価格・割引は各キャリアごとに異なります。詳しくは各社HPを参照ください。

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