2020年夏モデルとして発売中のソニーのスマートフォンシリーズ”Xperia”の最新モデル、5Gスマートフォンの最高峰「Xperia 1 II」および格安4Gモデル「Xperia 10 II」のカメラ性能を実際に撮り比べします。

ソニーのスマートフォンシリーズでは、過去には毎シーズンのように「Compact/スタンダード/Premium」という3つの兄弟モデルを同時期に発表していた頃もありますが、2020年のXperiaスマホはPremiumモデルに相当する後継機の「Xperia 1 II」(エクスペリアワン・マークツー/docomo型番SO-51A, au型番SOG01)と、格安スマホの「Xperia 10 II」(エクスペリアテン・マークツー/docomo型番 SO-41A, au型番 SOV43, ワイモバイルモデル)の2ラインナップとなりました。

Xperia 1 IIとXperia 10 IIの関係は主に「高級モデルと廉価モデル」という違いであり、最も大きな差である5Gスマートフォン・4Gスマートフォンという通信規格の違い以外にもさまざまな性能・機能の違いがあります。

(左 Xperia 1 II, 右 Xperia 10 II)

今回は2機種の違いの中で日常的に差が感じられるカメラ性能について、全く同じ環境で撮り比べた写真の画質を詳細にチェックしてみようと思います。

Xperia 1 IIとXperia 10 IIの販売価格は2倍以上(ドコモ・auモデルの場合)かけ離れているため、当然ながらカメラ性能は値段が高いXperia 1 IIのほうが上です。

最先端で高いスマホのカメラ性能が良いことは誰でも分かることですが、実際にどの程度の差があるのか、安いスマホでも十分満足できる水準にあるかどうか/高いお金を払ってまで最上位機種を買うメリットがあるかどうか、購入前の参考にしてみてください。

個々の機種についての詳しいレビュー・評価を先に見たい方はこちら → 【Xperia 1 IIの実機レビュー・詳細評価】/ 【Xperia 10 IIの実機レビュー・詳細評価

Xperia 1 IIとXperia 10 IIのカメラの違い

2020年モデルのXperia 1 II・Xperia 10 IIは、どちらもトリプルカメラ仕様となっています。

しかし、それぞれのスマホに使われたカメラパーツは異なっており、レンズ毎の性能・仕様がすべて異なっています。

カメラレンズ Xperia 10 II
カメラ仕様
標準カメラ 1200万画素
F値 2.0
センサーサイズ 1/2.8インチ
35mm換算 26mm相当
望遠カメラ 800万画素
F値 2.4
センサーサイズ 1/4.0インチ
35mm換算 52mm相当
広角カメラ 800万画素
F値 2.2
センサーサイズ 1/4.0インチ
35mm換算 16mm相当

従来のXperiaシリーズ格安モデルの場合、カメラレンズは1個か2個でした(例 Xperia 8はレンズ2個、Xperia Aceは1個)。Xperia 10 IIは格安価格帯ながらシリーズで初めて広角・標準・ズーム専用のレンズを搭載することにより、さまざまなシーンできれいな写真が撮れるようになっています。

一方、同じ「トリプルカメラ」でも、Xperia 1 IIのカメラは以下のような仕様になっています。

カメラレンズ Xperia 1 II
カメラ仕様
標準カメラ 1220万画素
F値 1.7
センサーサイズ 1/1.7インチ
35mm換算 26mm相当
望遠カメラ 1220万画素
F値 2.4
センサーサイズ 1/3.4インチ
35mm換算 70mm相当
広角カメラ 1220万画素
F値 2.2
センサーサイズ 1/2.5インチ
35mm換算 16mm相当
深度測定用 3D iToFセンサー搭載

Xperia 10 IIに比べてXperia 1 IIでは主に

・カメラセンサーが大きい
・望遠カメラのズーム機能が高い
・ZEISS Lensを採用している

・深度測定用センサーがある

このような差があります。標準・望遠・広角カメラすべてのユニットが異なるため、これがそれぞれどのような写真映りに影響するのか、見比べていきましょう。

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暗所撮影でのXperia 1II/10IIの違い

Xperia 1 II (SO-51A)およびXperia 10 II (SO-41A)を用いて、LEDライトを点灯させたミニチュアハウスを撮影してみました。

Xperia 1 IIの場合はオート撮影、Xperia 10 IIの場合はオートモードの他、専用の「ナイトモード」の2種類の設定を試してみました。

Xperia 10 II Xperia 1 II
ナイトモード無し

ナイトモードあり

Xperia 10 IIのナイトモード利用時と、Xperia 1 IIのオートモード写真について、中央部分を切り出して(拡大して)比較してみると、画質の違いがよく解ります。

Xperia 10 IIでも縮小している・スマホの画面で見るレベルなら問題なくキレイな写真だと感じられるものの、拡大してしまうとノイズが目立ち、Xperia 1 IIのほうが格段にクリアな画質になっています。

明暗差の大きなシーンで威力を発揮するXperia のナイトモードですが、センサーが大きなXperia 1 IIの前には画質に大きな隔たりがあり、夜景撮影・ラインナップ撮影においてもXperia 1 IIのほうが確実にキレイな画質になります。

Xperia10 IIのナイトモードは白飛びを抑えて、明るさのバランスを調整することに長けています。一方で十分な明るさが無い場合にはノイスが目立ち、画質の低下が見られる場合も多いため、使いどころが難しい場面もあります(Xperiaは暗めの夜景より、煌々としたラインナップ系が得意な印象)。

ズーム撮影でのXperia 1II/10IIの違い

続いて、センサーサイズ・焦点距離が異なるズーム(望遠)カメラの違いです。

全く同じ距離・明るさにおいて、それぞれの最大ズームで撮影してみました。

Xperia 10 II Xperia 1 II

それぞれの写真を拡大して切り出してみると、違いがよく解ります。

35判換算70mm相当のXperia 1 IIのズームを使うと、Xperia 10 IIでは潰れてしまう小さな文字までくっきりと読み取ることが可能です。また、色の発色についてもXperia 1 IIのほうが鮮やかに調整される印象があります(上記写真は画像サイズ以外は未加工)。

Xperia 10 IIの望遠レンズは光学2倍相当です。ズーム機能が無かった旧モデルに比べれば被写体を拡大したい場合に有利ながら、倍率はあまり高くなくセンサーがメインレンズより小さいため、十分な明るさがある場合かつ3~5倍程度までの環境で利用することをおすすめします。

広角撮影でのXperia 1II/10IIの違い

Xperia 1 IIとXperia 10 IIでは、35mm判換算で16mmという同じ焦点距離相当のレンズを搭載しています。

しかし、やはり画素数とセンサーが異なります。

Xperia 10 II Xperia 1 II

全く同じ距離から撮影した場合、写真に収まる範囲はXperia 1 IIでもXperia 10 IIでもほとんど同じです。

しかし、周辺部を拡大してみると画質に違いが出ます。

超広角レンズにおいてもXperia 10 IIに比べて Xperia 1 IIでは画面の周辺部までノイズが少なく、くっきりとした写真を撮ることが可能です。

以上、暗所撮影・ズーム撮影・広角撮影、すべての場合で圧倒的にXperia 1 IIのほうがキレイな写真に仕上がると断言出来ます。

しかしながら、画質の優劣は上記のようにパソコン上で拡大したり、敢えて並べて比較でもしない限りはXperia 10 IIのカメラでもキレイな写真を撮ることは出来ますので、カメラを重視したいのならXperia 1 IIを、値段を重視したい(古いXperiaシリーズのカメラでも特に不満を感じていない)のなら、Xperia 10 IIを選ぶのも良いでしょう。

参考:Xperia 1 IIとXperia 10 IIの価格の違い

2020年7月時点においてXperia 1 IIおよびXperia 10 IIはau・ワイモバイル・ドコモにて取り扱いがあります。

各社の公式サイト価格は以下の通りです。

取り扱い店 Xperia 1 IIの価格
au 133,600円
ドコモ 123,552円

(2020年7月27日時点、各税込み、割引前価格)

取り扱い店 Xperia 10 IIの価格
au 49,990円
ワイモバイル 54,000円
ドコモ 41,976円

*2020年7月時点で、それぞれ新規・機種変更などで割引・販売キャンペーンが実施されています。

詳しい価格・割引・月額料金はそれぞれのサイトで確認してください。

特にワイモバイルでは発売記念キャンペーンを2020年8月3日まで実施中です。

関連記事:[期間限定]ワイモバイルXperia10II 1.8万円値下げ&最大13555円還元が狙えるサマーセール

Xperia 1II/10IIのマニュアルモードの違い

最後に写真の画質的な部分ではなく、ソフトウェア上の違いについても解説します。

Xperia 1 IIとXperia 10 IIでは、カメラユニットの物理的な違い以外にも、モードの違いがいくつかあります。

”夜景専用モード”があるのはXperia 10 IIのみとなっています(2020年7月時点のソフトウェア)。

前項でも紹介しましたが、ナイトモードを使う場合には数秒間スマホを動かさずにデータを取り込むことで、キレイな夜景写真を画像処理技術によって作り出す事が出来ます。


(SO-41Aで撮影した写真)

他のXperiaスマホでも「低照度」やAIシーン判定での夜景モードはありますが、数秒間の撮影による画像処理を行うモードは、Xperiaシリーズでは初対応のはずです。

前述の通りXperia 10 IIではXperia 1 IIを含む最上位モデルに比べてカメラの各仕様・性能自体が低いため、夜景モードを使っても他社最高峰カメラを積んだモデルには敵いませんが、古いスマホ・低価格スマホの中では楽しめるカメラになっているという評価です。

また、Xperia 10 IIのマニュアルモードでは設定できる項目・組み合わせが一部少なくなっています(例えばISO/シャッタースピードのいずれかを指定すると、他方は自動で決まってしまう。上位のXperiaだと個別に設定可能)

マニュアル設定項目 Xperia 10 II Xperia 1 II
ISO感度 50~3200 64~3200
シャッタースピード 1秒~1/4000秒 30秒~1/8000秒

(ドコモモデル、2020年7月時点の最新ソフトウェアの場合)

Xperia 1 IIでは「Photography Pro」という専用のマニュアル設定が出来るアプリが搭載されています。


Proアプリを使った場合の撮影はやや上級者向けで、シャッタースピード・ISO値、ホワイトバランスなどをソニーのデジタルカメラと同じように細かく設定出来ます。

Xperia 1 IIにはソニーの2020年フラッグシップモデルらしい最高峰のカメラ機能・UIが採用されていますので、5G通信だけでなくカメラ機能を楽しみたい方はXperia 1 IIを試してみてください。

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