世界初Leicaレンズによるクアッドカメラを採用した2019年夏モデルスマートフォン P30 Proが海外にて正式発表されました。本機種はドコモから格安スマホ並の実質1万円で販売中のP20 Pro HW-01Kの後継機となるため、日本での割安販売も期待できる夏モデル注目機種となります。
ただ、旧モデルのP20 Pro HW-01Kは2018年夏モデル、同じくファーウェイの上位モデルスマートフォンMate20 Proは2018年冬に発売されたばかりでもあり、それぞれの機種を昨年購入したユーザーにとっては「もう新しい機種が出ちゃったのか?!」と若干困惑する早さです。
ここでは新機種 P30 Proに追加された新しい機能や強化されたスペックと、旧モデルのP20 Pro, Mate20 Proからの進化点・変更点に注目して、「P30 Proが買いなのか」、旧モデルを売ってでも買い換えるメリットがあるのか比較していきます。
*本ページの情報は2019年3月27日時点で発表されている海外モデルの公式データを参照しています。日本向けモデルでは仕様が変更される可能性もあるため、日本モデル・ドコモモデル登場時に情報を追記していきます。最新情報は必ず公式サイトも参照して検討を行ってください。
P30 Proの主要スペック・比較
まずはP30 Proの主な仕様を数値でチェックします。
ディスプレイ (解像度) |
6.47インチ OLED (2340×1080) |
生体認証 | ディスプレイ内蔵 指紋センサー/顔認証 |
サイズ | 158.0×73.4 ×8.41mm 192グラム |
背面カメラ | Leica4眼 40メガ(広角)+ 20メガ(超広角)+ 8メガ(望遠)+ TOFカメラ |
メモリー/ストレージ | 6GB+128GB/ 8GB+256GB/ 8GB+512GB |
フロントカメラ | 32メガ |
CPU | Kirin 980 | 防水/防塵 | 対応 IP68 |
バッテリー | 4200 mAh | OS | Android 9 |
P30 Proの主な仕様は上記の通り、2019年モデルらしい最高峰のスペックとなっています(ストレージ・メモリーについては販売国により128GB/256GB/512GBが存在します。RAM 8GB/ROM 512GBモデルは日本では出ないかもしれません)。
仕様の数字を見る限りでもP20 ProよりもMate 20 Proに近く、ドコモ版P20 Pro HW-01Kより大きくスペックアップしています。
ここでP30 Pro, Mate20 Pro, P20 Proのスペックをリストにして比較してみます。
項目 | P30 Pro![]() |
P20 Pro (HW-01K) ![]() |
Mate20 Pro (国内モデル) ![]() |
販売/取扱 価格 |
未定 (EU6GB/128GB 999ユーロ≒12.4万円~) |
ドコモのみ 定価:103,680円 MNP価格:一括10,368円 機種変更価格:実質18,792円 →実質10,368円(2019年1月値下げ) 【価格情報はこちら】* (オンライン限定価格) |
定価:約12万円 ・amazon ・ →10万円に値下げ中 ![]() ・エキサイトモバイル ![]() ![]() など |
OS(発売時) | Android 9 |
Android 8.1 | Android 9.0 Pie |
ディスプレイ (解像度) |
6.47インチ OLED (2340×1080) |
6.1インチ OLED (2240×1080) |
6.39インチ 19.5:9比率 OLED (3120×1440) |
サイズ | 縦:158.0 mm 横:73.4 mm 厚さ:8.41 mm 重さ:192グラム |
縦:155 mm 横:74 mm 厚さ:7.9 mm (最厚 9.5mm カメラレンズ部) 重さ:180グラム |
縦:157.8 mm 横:72.3 mm 厚さ:8.6 mm 重さ:189グラム |
電池容量 | 4200mAh |
3900mAh | 4200mAh |
充電 | Type-C USB Qi対応 |
Type-C USB Qi非対応 |
Type-C USB Qi対応 |
CPU | Kirin 980 |
Kirin 970 | Kirin 980 |
RAM/ROM | 6~/128GB~ |
6GB/128GB | 6GB/128GB |
SIMカード | 国内版不明 |
nano SIM (シングル) |
Dual SIM, Dual VoLTE Standby nano SIM×2スロット (NMカード排他利用) *au VoLTEはアップデートで対応予定 |
セキュリティ | ディスプレイ内蔵指紋認証 顔認証 |
指紋認証(本体前面ボタン内蔵) 顔認証 |
ディスプレイ内蔵指紋認証 顔認証 |
カメラ | Leica クアッドレンズカメラ 4000万画素カラーセンサー (f/1.6) +2000万画素広角レンズ (f/2.2) +800万画素ズームレンズ(5倍. f/3.4) +Fime-of-Flightカメラ インカメラ 3200万画素 |
DxOmark 109点 Leica トリプルレンズカメラ 4000万画素カラーセンサー (f/1.8) +2000万画素モノクロセンサー (f/1.6) +800万画素ズームレンズ(3倍, f/2.4)インカメラ 2400万画素 |
Leica トリプルレンズカメラ 4000万画素カラーセンサー (f/1.8) +2000万画素広角レンズ (f/2.2) +800万画素ズームレンズ(3倍. f/2.4)インカメラ 2400万画素 |
テレビ | 非対応 |
非対応 | 非対応 |
防水/防塵 | IP68 (海外版時) |
IPX7 IP6X |
IPX8 IP6X |
おサイフケータイ | 不明 |
NFC(Felica)搭載 | 非対応 |
*数値は個体・モデルによって若干の誤差があることがあります。
P20 Pro, Mate20 ProとP30 Proを比べると、サイズ的にはP30 ProとMate20 Proはかなり似ています.
ディスプレイのインカメラ部分はノッチ(凹)からティアドロップ(しずく型)に変更され、より広いエリアをディスプレイパネルが占めるようになりました。
一方では、ディスプレイの解像度についてはP30 ProではフルHD+止まりであり、Mate20 Proより抑えられています。
Mate20 Proから導入された In-screenの指紋センサーがP30 Proにも引き継がれました。
最近ではiPhone, Galaxyシリーズでもスマホの前面から物理ホームボタンを廃止することによって画面領域を広げるデザインが流行っています。P20 Proではタッチ式のホームボタンがディスプレイの下部にありました。
実際にMate20 Proを購入して使っている評価としては、通常の指紋センサーに比べてディスプレイ内蔵型の認証はワンテンポ反応が遅く感じます。我慢出来ないほどに遅いというわけではないのですが、指紋認証が終わる前に顔認証のほうでロックが解除されるケースも多いです(Mate20 Proでは指紋センサーと顔認証を両方併用できる)。
顔認証に比べて指紋認証のほうが一般的に精度が高いと言われていますが、最新のファーウェイ端末の顔認証は写真をかざした程度では解除できないようになっていますので(Galaxy Note8など古いスマホは写真だけで解除できてしまう)、実用としては顔認証をメインに考えたほうが便利です。
また、ディスプレイ内蔵型は使用する保護フィルム(ガラスフィルム)の種類によっては反応がしなくなる・認識しづらくなるケースもあります(Mate20 Proでは液体硬化タイプの接着ガラスフィルムを使うと浮きなし・指紋センサーも動作していることを確認しています→「Mate20Proの曲面ディスプレイでも全く浮かない保護ガラスフィルム UV照射塗布型」)。P30 Proを購入して保護フィルムを使いたい場合は、良く商品との相性を確認したほうが良さそうです。
バッテリー関連はMate20 Proとほぼ同じ仕様になり、容量4200mAh・ワイヤレス充電(Qi)に対応、スマホ→スマホへ「ワイヤレス給電」も可能になりました。
P30 Proはカメラが「4眼」に
P20 Pro, Mate20 Proはともに「Leicaトリプルカメラ」を搭載した最強カメラスマホとして2018年モデルのスマホ業界ではトップに君臨していましたが、P30 Proはついに「4眼」になりました。
4つのレンズはそれぞれ、
・4000万画素のメインレンズ(F値が1.8→1.6へ明るくなった)
・2000万画素の超広角レンズ(Mate20 Proと同じ)
・800万画素のズームレンズ(光学3倍→5倍相当になった)
・Huawei Time-of-Flightカメラ(3次元情報を取得するカメラ)
とされており、P20 ProともMate20 Proとも少し仕様が変わっています。20メガピクセルの広角レンズだけはMate20 Proと同じ仕様です。超広角レンズはP20 Proにはありませんでしたので、これも大きな進化と言えます。
ズームレンズは3倍から5倍へアップグレードされており、デジタルズームと組み合わせて最大50倍まで拡大すると月の表面が確認出来るほどの倍率を実現するとしています。
旧モデルとのレンズを比較すると、以下のような仕様に差があります。
項目 | P30 Pro | Mate20 Pro | P20 Pro |
メイン | 4000万画素 (F/1.6) |
4000万画素 (F/1.8) |
4000万画素 (F/1.8) |
広角 | 2000万画素 (F/2.2) |
2000万画素 (F/2.2) |
無し |
ズーム | 800万画素-5倍 (F/3.4) |
800万画素-3倍 (F/2.4) デジタル併用10倍 (超広角から数えると 16mm→270mmまで 16.9倍相当) |
800万画素-3倍 (F/2.4) デジタル併用10倍 |
センサー | TOFカメラ (3次元情報) |
無し | 2000万画素 モノクロセンサー(F/1.6) |
インカメラ |
3200万画素 F/2.0 |
2400万画素 F/2.0 |
2400万画素 F/2.0 |
また、最大感度(ISO)が409600に対応し、目視では真っ暗に見える暗い環境でも、真昼のように明るい写真が撮れるとされています(P20 ProのISOは最高102800)。40万のISO値は並のデジタルカメラ・一眼レフすら対応していない仕様であり、はっきり言ってスマホの小さなセンサーで40万までISOを上げてしまうと画像が粗すぎて実用的とは言い難いものになりますが、暗視カメラや夜行動物観察のような特殊用途に活用出来そうです。
(ソニーのカメラでISO409600に上げて撮影した例。ほとんど真っ暗な部屋でも、フラッシュ無しで撮影が可能になります)
また、インカメラ(フロントカメラ)も32メガピクセルにまで画質がアップされ、こちらも並のスマホのメインカメラよりも高い画素数になっています。
Huawei TOFカメラとは?
TOF(time-of-flight )とは、光の飛行時間を利用して3次元情報、つまり奥行きを測定する技術のことで、ものを写し取るためのカメラというよりはセンサーの役割を果たします。
P30 ProのTOFカメラレンズは3つ並んだレンズの一番下にあるもので、被写体との距離を正確に測り、ポートレート撮影の背景ぼかし・AIS長時間露出撮影に効果を発揮するとしています。
CPUはMate20Proと同じ Antutu30万超え
P30 Proに搭載されているCPUはKirin 980となり、P20 Pro(Kirin 970)より1世代新しいものです。Kirin 980を搭載したMate20 Proと同等の処理性能が期待できるため、ブーストモードにするとAntutu Benchmark(ver 7系)では300,000点以上のスコアを叩き出します。
他社2019年夏モデルのAndroidスマートフォンではSnapdragon 855ではベンチマークスコアは35万点超えになりますので、若干P30 Proのほうがスコア的には劣る可能性がありますが、あらゆるアプリ・ゲームが十分快適に遊べる高性能さになります(Kirin搭載モデルではアプリとの相性によって動きが鈍くなる事例もあります)。
日本での発売見込み・価格
2019年3月に発表されたファーウェイ P30 ProおよびP30は日本でも発売されることが濃厚です。
ただし、どのようなモデルが日本市場で投入されるかは予測が難しい状況でもあります。
2018年夏モデルとしてドコモではP20 Pro HW-01Kを発売しました。HW-01Kでは海外モデルのP20 Proとは異なりSIMスロットがSingle化され、キャリアロックが掛かっていました(SIMロック解除はできます)。P20 Proの国内正規SIMフリーモデルは発売されることなく、兄弟機種のP20, P20 liteはSIMフリーモデルが出ました。
一方で、Mate20 Proの場合はドコモから発売されず、キャリアモデルがソフトバンク・SIMフリーモデルが家電量販店やMVNOから販売されています。
Mate20 ProはDSDV(4G+4GによるデュアルVoLTEスタンバイ)が可能でした。P30 Proの場合もSIMフリーモデルで発売されれば2枚のSIMを使えるモデルが国内でも使える可能性がありますが、ドコモモデル限定となった場合には、再びシングルSIMモデルになっている可能性もあります。
また、P30 Proの販売価格は海外では12万円を超えていることもあり、仮にドコモが発売する場合にも2019年の新料金プラン改定後(月々サポートの廃止)になってしまうと本体負担額が高くなり、キャリアでの取扱が難しくなる可能性も考えられます(直近ではシャープのAQUOS zeroをauでは価格高騰を理由に取り扱わなかったとされています)。別の問題としてファーウェイの製品・デバイスには「余計なもの」が含まれているなどという報道もあり、キャリア各社が投入を渋る可能性もあります。
P30 Proはキャリア・SIMフリーモデルのいずれかで日本への投入がされることはまず間違いありませんが、ドコモモデル・ソフトバンクモデルがありえるのかどうか、正式な発表を待つしかありません(情報を入手次第、本サイトでも紹介します)。
P30 ProよりP20 Proのほうがお買い得かも
前項で解説したとおり、P30 ProはP20 Proよりは最上位モデル Mate20 Proに性能的には近く、旧モデルのP20 Proを上回る価格設定になることが予想されます。
金に糸目を付けず最高峰のスマホが欲しい!というのであればP30 Proを発売直後に購入すれば新機能をいち早く体験出来るかもしれませんが、お値段重視であれば投げ売りされているドコモ版P20 Pro・ソフトバンク/SIMをフリー版のMate20 Proを買ったほうがお得かもしれません。
発売当時はP20 Pro・Mate20 Proはそれぞれ定価10万円超えをしていたこともあり、高嶺の花という印象がありました。しかし、2019年3月の年度末セール時点において、両機種ともに超大幅値下げが実施されています。
ドコモ版P20 Pro HW-01K |
ソフトバンク版 Mate20 Pro |
SIMフリー版 Mate20 Pro |
|
本体定価 | 103,680円 | 120,960円 | 120,830円 |
(2019年3月27日時点、各税込み。割引には各種条件があります)
P30 Proがドコモ・ソフトバンク・SIMフリーモデルのいずれで発売される場合にしても、おそらく発売直後はかなりの高値・割引は多く付かない可能性が高いです。P20 ProとP30 Proの実売価格差を見てからどちらを買うべきか考えてみても遅くないかもしれません。
☆「ドコモスマホ値引き 最強カメラスマホP20 Pro HW-01Kが機種変も1万円に 1年で4万円値下げ」
P30 Proの発売日情報
2019年3月27日時点で日本でのP30 Pro発売に関する正式情報はありません(→ドコモでの正式発売が確定しました)が、海外ではすでに予約受けが始まっています。
イタリア・ドイツのアマゾンではP30 Proの発売日は2019年4月5日に設定されています。
日本で発売される場合にも2019年夏モデルとして投入される可能性が高く、正式発表は2019年4月~5月頃、発売日は同じく2019年初夏頃が予想されます(ドコモモデル HW-01Kの発売日は2018年6月15日でした)。
P30 Proの日本投入正式発表があり次第、情報を追加します。
ドコモ版P30 Pro HW-02Lは2019年9月発売
いろいろとトラブルがあって発売が見送られていたドコモモデルP30 Proは2019年8月下旬より予約受付を再開、9月中に発売されることが決まっています。
詳しくは「[8/21]NTTドコモ 延期していたファーウェイP30 Pro HW-02L発売決定 予約受付再開」を参照下さい。