2018年11月下旬より発売開始(→発売日は2018年11月22日に確定しました)となるドコモの2018年冬モデルとして発表され、ガラケーユーザー、そしてあるいはスマホユーザーにも「こんなのを待っていた!」という声も聞こえてくるほど話題になっている超薄型・軽量携帯の「カードケータイ KY-01L」に機種変更してみたいと感じた人も多いでしょう。

しかし、11月の発売前にじっくりとその性能と価格を見て、冷静に判断してから機種変更をすることをオススメします。「ケータイはシンプルなのが一番だ!」という程度の認識でカードケータイを選んでしまうと、後悔してしまうかもしれない理由をデモ機を実際に操作してきた感想と共に列挙していきます。

11月22日、実機を入手しましたので詳しく使い勝手・レビューを行っていきます。

*2020年1月時点の最新価格情報・キャンペーン情報に関する考察も追記しました。

カードケータイ KY-01Lの概要

京セラがドコモから出す製品としては20年ぶりとなる、カードケータイ KY-01Lは2018年8月末時点において4G対応のストレート型携帯電話機で世界最軽量・世界最薄となる「厚さ5.3mm・重さ47グラム」を達成した、ドコモ専売のガラケーです。

その名の通り、KY-01L本体の大きさは他のスマホ・ガラケーとは全く異なるサイズ感であり、比較対象はクレジットカードのようなものになります。

シャツやジャケットの胸ポケットに入れても全く邪魔にならず、京セラの担当者さんが「持ち歩いていることを忘れてしまう」と冗談混じり、あるいは本気で言うくらい、お手軽に持ち運べる携帯端末になっています。

ドコモのスマートフォンの中では比較的小型の「Xperia XZ2 Compact SO-05K」と比べても、こんなにサイズが違います。

カードケータイを2台重ねても、まだSO-05Kより薄くなっています。

実機を手にした瞬間、「これは本当に電話なのか?」と思わず笑ってしまうほどの軽量さでした。

今となっては比較的小型だったとも言える4.7インチのiPhone 7と比べてもこの大きさです。

ディスプレイは電子ペーパーの技術を使ったモノクロの表示。一見しただけではスマートフォンどころか携帯電話にも見えないかもしれません。

最近のスマートフォンはとどまることを知らないほどに高性能化がする一方で、ディスプレイもどんどん大きくなり、重量・サイズは肥大化する傾向にあります。高い性能・大きな画面を活かして動画を見たりゲームをしたりするにはスマホというデバイスはとても便利ですが、「電話とメールだけできればあとは別にどうでも良い」というユーザーには、ポケットに入らない・持ち歩きづらい大きなスマホに買い換えるのは躊躇してしまう人も多いため、このようなシンプルなカードケータイを求めている人がいっぱい居るはずです。

しかし、実際にカードケータイを使ってみると、「カードケータイは今までのガラケーともまた違った使い方が想定された新ジャンルのデバイスである」と感じました。

その理由をKY-01Lの性能・使い勝手に関して5つのポイントにまとめて詳しく説明します。

さきにドコモの公式サイトでスペック・価格を見たいひとはこちら→「ドコモ公式HP:カードケータイ KY-01Lの価格・スペックをみる

注意点その1. 従来ガラケーより極端に短い利用可能時間

カードケータイ KY-01Lは超軽量・超薄型を実現するため、内蔵されたバッテリーは380mAhという容量の小さなものしか搭載されていません。これは一般的なAndroidスマートフォンの1/8程度の容量です。カードケータイ本体自体が、普通のスマートフォンのバッテリーくらいの大きさしかありませんので、KY-01Lにどうしたってスマホやフィーチャーフォンのような大きな電池は積むことが出来ないのは仕方がありません。

KY-01Lでは、連続待ち受け可能時間は最長100時間程度、連続通話可能時間は約110分とされています。つまり、フル充電の状態から2時間通話をすると、電池が完全に消耗してしまうことになります。

ここで現在ドコモで購入可能な折りたたみ携帯 アクオスケータイ SH-01Jの場合とカードケータイの電池性能を比べてみましょう。

項目 アクオスケータイ
SH-01J
カードケータイ
KY-01L
電池容量 1800mAh 380mAh
連続待ち受け可能時間 約610時間 約100時間
連続通話可能時間 LTE 約440分
3G 約620分
LTE 約110分
3G 約160分

また、電池の取り外しもKY-01Lでは出来ませんが、SH-01Jなら予備電池を持っていればユーザーが交換することもできます。

電池が劣化してきた場合にもSH-01Jならばバッテリーを買い換えるだけ(2018年10月時点で電池パック「SH44」は2700円で販売中)ですぐに新品と同じ電池の持ちに戻ります。

連続待ち受け可能時間は、電波状況の安定した場所で静置した場合に100%から電源が切れるまでの最長時間です。実際に通話やメールを使う場合には2~3日で充電が必要になります。

連続でたった2時間通話しただけで電池が空になってしまうのでは、ビジネス用途にも少し不向きでしょう。

電池容量が小さいので仕方が無いと言ってしまえばそれまでですが、一般的なスマートフォンよりも電池の持ちが悪いということになり、「ガラケーは電池の持ちがスマホよりも良いから使い続けている」というユーザーにはKY-01Kは向きません

ドコモのケータイに電池の持ちの良さを求めているのなら、普通の折りたたみ携帯であるSH-01Jをオススメします。

上記はSH-01Jで実際に管理人がスタンバイさせた状態の電池消耗を追跡した図です。めったに電話を使わないのなら、SH-01Jなら10日以上充電しなくても大丈夫です。

*2018年11月時点、SH-01Jはガラケーユーザーの買い替え需要が集中しているのか、在庫供給が不安定です。ほしい方は早めに予約・取寄注文をしないと数週間待ちになる例がありえます。

関連記事:docomoガラケー SH-01Jを買ったらすぐにやりたい電池長持ち設定まとめ

注意点その2. 防水性能の弱さ

カードケータイ KY-01Lは「IPX2」という規格の防滴性能があります。その性能は以下のように定義されています。

IPX2とは、器具の上方200mmの位置から3mm/分の水滴を携帯電話に落下させる。また、器具を15°傾けた状態とし、各位置で2.5分間、4位置で計10分間試験する条件で、通信機器としての機能を有することを意味します

カードケータイKY-01Lは「防滴」であり、「防水」ではないため、お風呂場やプール・海での利用は想定されていません。

ポタポタとディスプレイに少し水しぶきが掛かる程度なら問題ありませんが、シャワーのような勢いのある水が掛かってしまう・完全に水没させるのはNGです。

防水・防滴性能が全く無い機種に比べればマシですが、SH-01Jが対応するIPX5/IPX8のような上位の防水性能とは異なりますので、外で携帯を使いことが多いユーザーにはちょっと心許ないかもしれません。

注意点その3. 操作・ディスプレイの表示が遅延する

カードケータイ KY-01Lの表示部は「電子ペーパーディスプレイ」と呼ばれる、特殊な技術を使ったパネルを採用しています。

普通のスマホ・携帯のようにカラーで表示することは出来ません。しかしながら電子ペーパーの特性として「静止画面の消費電力はゼロ」、屋外で太陽が出ている環境でも文字がくっきりと読めるという利点があります。

ただし、スマートフォンを操作したことのある人がKY-01Lの画面を操作すると、「明らかに動きが遅い」と感じてしまうでしょう。タッチの反応・スライド・画面の移動はiPhoneやスマートフォンに比べて目に見えて遅く、スマホの素早い操作になれている人だとイライラするかもしれません。画面をすばやく切り替えていくと表示が乱れ、タッチについて来ません。

カラー表示はできないため(16段階でのモノクロ・濃淡での表現になる)、ウェブサイトのデザイン次第で閲覧が厳しいこともありえます。

また、バックライトが無いため周りにいっさい光がない環境だとディスプレイが見えなくなります。

KY-01Lに搭載されたCPUはSnapdragon 210という、京セラのガラホシリーズ「DIGNOケータイ」やASUSのタブレット「ZenPad 7.0 (Z370KL)」などにも採用されたことのあるチップです。カードケータイはゲームをするような端末ではないため必要最低限という意味では問題は無さそうですが、とにかく最新スマホのような快適なタッチ操作とは別次元であることを理解しておきましょう。

電子ペーパーの操作性はこの程度のものだ、ということを前提にすれば通話をしたりメールを書いたりするにはそれほど問題は感じませんんでしたので、これは慣れの問題かもしれません。操作性の感じ方には個人差がありますので、気になる方は購入前に店頭で実機を触ってみると良いでしょう。

注意点その4.FOMAプランは使えない

カードケータイ KY-01Lは Xi通信方式に対応した新型ケータイであるため、従来のFOMAプラン・iモード接続での契約は不可となります。

FOMAプランからXiプランに変えることで必ずしも料金が高くなるわけではなく、ドコモのケータイプランは最安月額1,580円から選べる低料金なものから、スマホと一緒にパケット容量をシェアするプランまでさまざまなものが選べるようになっていますので、機種購入時に必要なプランをしっかりと確認して加入してください。

関連記事:ドコモ2018年冬最新ガラケー カードケータイKY-01L価格・利用料金、機種変更の維持費解説

注意点その5.機種変更価格が高い

カードケータイはスマホのようにいろんな事が出来るわけでもないため、本体代金も安いだろう・・・と思うかもしれませんが、実際には従来のケータイより価格は同等~割高です。

料金の安さを求めてKY-01Lに買い替えを検討しているのなら、もっと安いドコモケータイがあることを理解した上で、その特徴に魅力を感じる人にしかオススメは出来ません。

機種変更価格
(FOMAから買い替え)
カードケータイ
KY-01L
アクオスケータイ
SH-02L
本体定価 31,680円 31,680円
割引 割引対象外 はじめてスマホ購入サポート
▲16,500円
機種負担額 月額1,320円
(24分割時)
月額約633円
(総額15,180円)

(2020年1月23日時点、各税込み。ウェブ機種変更時はポイントによる還元)

”はじめてスマホ購入サポート”は、FOMAガラケーからXiケータイに機種変更した場合にも適用されますが、2020年1月時点ではカードケータイは割引対象外となっています。また、新規やMNPでも対象となる「端末購入割引」もカードケータイは対象外です。

以下は参考用・発売当時のデータです。

機種変更価格
(FOMAから買い替え)
カードケータイ
KY-01L
アクオスケータイ
SH-01J
本体定価 31,752円 33,696円
月々サポート -891円×24回 -1,404円×24回
機種負担額 月額432円
(総額 10,368円)
月額0円
(総額0円)

(2018年12月18日時点。詳しい販売価格・割引については「ドコモ ケータイ一覧」を参照下さい)

カードケータイ KY-01Lの定価3.2万円という価格は、機種代金としてはもちろん一般的なスマートフォンより安いものの、機種変更時の割引(月々サポート)が少なめであるため、高性能なスマホよりも実質価格が高くなってしまうことすらあります(例えば10月19日に値下げされた2017年ハイエンドスマホ Xperia XZ1 Compactなら月額216円で機種変更が可能)。

たかだか月額数百円の差ではありますが、ドコモのケータイとしては実質負担額0円で購入できる他の機種があることを忘れてはいけません。

KY-01Lを買うべき人とは?

ここまで5つの観点から「FOMAガラケーからカードケータイに買い換えると困るかも」と思われるポイントを紹介しましたが、カードケータイだからこそのメリット・魅力ももちろんあります。

KY-01Lの最大の魅力は冒頭の概要でも書いたように、カードサイズの超小型・超軽量なサイズなのですが、それ以外にも以下のようなケースならば、カードケータイを買うメリットがあるでしょう。

腕時計デバイスのApple Watch Series4(40mm)と比較しても、これほどにコンパクトです。

・他にない、近未来的なアイテムが好きな人
・通話専用のサブケータイとして利用

・アプリDLが不可のため、子供の携帯利用として
・カメラ非搭載であるため、ビジネス利用として
・テザリングが出来るため、緊急時のWi-Fiルーターとして

このカードケータイはそれ単体で利用するというよりも、iPhoneやスマホを持っている人がもう一台プラスして使うということが想定されています。

タブレットと2台持ちがオススメ

いよいよ平成も終わろうかというタイミングまで「スマホではなくガラケー」に強くこだわるユーザーでも、決してスマホが使いこなせない・ITに疎いからスマホを使わないという人ばかりではないそうで、ガラケーユーザーでもモバイルパソコン・タブレット端末をバリバリ使いこなす利用者もたくさんいます。

カード携帯は先述の通り「通話だけ」という用途であればスタイリッシュなデザインと持ち歩き易さからビジネスマンに需要があると思われますが、カードケータイ単品で使う場合は不便利に感じる場面がどうしても出てきます。

移動中もネットやメールも大きな文字ですばやく確認出来るタブレット端末を使えば、通話以外では不便なカードケータイのデメリットを補うことが可能です。

上記は「YOGABOOK」という、特に軽量なタイプのLTE通信可能なタブレットPCですが、カードケータイとセットにしても重さはわずか737グラムしかありません(パソコン690グラム+ケータイ47グラム)。

昔はモバイルパソコン・タブレットというと高価な印象がありましたが、今ではむしろガラケーよりも安く買える端末も少なくありません。

例えば、ドコモが扱う「dtab」シリーズは、機種代に対する割引額が大きく、実質0円以下で販売中です。

☆「ドコモタブレット 8インチ dtab Compact d-02K」/ 機種定価 45,360円 – 月々サポート総額 59,616円引き付き=実質0円以下

カードケータイ+タブレット端末をセットで契約しても高額なスマートフォン1台買うより安く維持出来るプランも組めるため、ネットやアプリも楽しみたいというガラケーユーザーは、カードケータイと一緒にタブレットも追加してみることをオススメします。

2018年11月より、ドコモのケータイ(spモード)を購入する際の割引(月々サポート/端末購入サポート)適用条件が変更され、携帯電話では「電話だけ出来れば良い」という場合には最安月額1,200円のプランが組めるように改定が行われました。

spモード・パケットパック/シェアオプションに加入しない場合はモバイル通信によるネット接続ができなくなってしまいますのでメールすら出来ないプランということになってしまいますが、カードケータイを真の意味で「通話用」として使うのなら、このプランはピッタリです。

内訳 月額料金
KY-01L本体代金 1,323円
月々サポート ▲891円
基本プラン カケホーダイライト(ケータイ)
1296円
spモード
パケットプラン
総額 月々1,728円~
(3年目から1,296円~)

今までであればiモード/spモード(300円)・パケットプランプランも300円~(ケータイプラン)などに加入して利用するのが一般的だったドコモガラケー料金において、通話以外利用しないと割り切って使うのであれば、このような安い料金を選択することが出来るようになりました。

なお、この「パケットプラン無しで月サポ適用」は、2018年11月1日以降にドコモケータイ(spモード)を契約・購入した場合に適用出来ます(KY-01L以外のドコモケータイでも同じプランが使えます)。

関連記事:2018年11月1日~ドコモのガラケーが更に安く月額1200円~ 月サポ値引き条件緩和 パケットプラン不要へ

*”カケホーダイライト(ケータイ)”を含む、カケホーダイ&パケあえるプランは2019年5月31日を以って新規受付は終了しています。現在は「ケータイプラン」または「ギガホ/ギガライト」の新料金プラン移行しています。Xiケータイで使える旧プランを契約中の場合はそのまま継続することも可能です。新料金プランについて詳しくは「ドコモ新料金プラン(2019年10月改定)」を参照ください。

カードケータイという形状については、とことんシンプルさを追求した機能美もあり、ファッションアイテムとしての面白さも感じました。

しかし、従来のFOMAガラケーを使い続けているようなユーザーにとって、ある程度の「電話としての利便性」も重視するのあれば、カードケータイは「ガラケー」らしい重要な機能も切り捨てている(電池容量の少なさ、おサイフケータイ無し、防滴のみ、ワンセグ無し、物理テンキー無し、カメラ無し、アプリダウンロード不可)ことを十分理解しておかないと、買ってから「こんなに出来ることが少ないと思わなかった」と後悔してしまうかもしれませんので、他のドコモケータイと比較した上で、カードケータイを選ぶのか従来通りの折りたたみケータイを選ぶのか考えてみることを推奨します。

☆「NTTドコモ カードケータイKY-01Lを詳しくみる」/2018年11月22日発売(11月20日10時~事前購入手続き開始)

ドコモの人気ケータイ SH-02Lについての詳しいレビューは以下のページも参照下さい。

☆「ドコモガラケー SH-02Lをスマホユーザーが使ってみた感想と評価

irumo
ドコモ最新カードケータイKY-01Lは本当に買いか?FOMAガラケーから機種変更はおすすめ出来ない理由