2018年冬にドコモから登場した異色なガラケー「カードケータイ KY-01L」と2019年にリニューアルされたAppleの小型タブレット iPad mini (第5世代, 2019)を購入し、「小型ガラケー+コンパクトiPad」で生活してみました。
ドコモの最新ガラケーである カード携帯 KY-01Lは京セラが開発した”電子ペーパー携帯”であり、一般的なガラケーともスマホとも大きく異なる新ジャンルのモバイル端末と言っても過言ではない、4Gケータイで世界最軽量(2018年の発売時点。メーカー調べ)の本体重量たった47グラムしかない携帯電話です。
実機詳細レビュー:[実機レビュー]ドコモカード携帯 KY-01Lの良いところ・不満点、出来ること/出来ないこと 全まとめ
カード携帯は軽さ・小ささを最重視した特殊な端末であるため、KY-01L一台で従来のガラケー・スマートフォンの代わりに使うにはやや厳しいというのが実際に購入して今まで使った感想でした。
KY-01Lは大きなデザイン賞を受賞するなど世界的にも評価される斬新な端末であることは間違いないものの、普通のiPhone・スマホの使いやすさに慣れきったユーザーが使うと、どうしても削られてしまっている多機能性・汎用性の無さには物足りなさを感じてしまいます。
一方、2019年3月末に発売された iPad mini (第5世代モデル,2019)は、旧モデルのiPad mini4から3年ぶりにリニューアルされたハイスペック&高コスパモデルとなっており、ここ数年でiPad Air, Proシリーズと大画面モデルばかりが追加されてきたAppleの大画面端末シリーズの中で、待望のコンパクトモデルとなりました。
新型iPad miniは新たにApple Pencilにも対応し5万円から買える、タブレット初心者にも導入しやすいモデルです。
この新型iPad miniをドコモのカード携帯 KY-01Lと一緒に使うことにより、カード携帯では物足りなかった部分をどのくらい補うことが出来るのか、実際に使ってみたレポートを細かくしていきます。
カード携帯を通話専用+ルーターにする
ドコモケータイ KY-01Lは、ぱっと見では電卓のようでもありますが、ドコモの4G, Xi通信に対応するれっきとしたガラケーです。
ディスプレイは白黒の電子ペーパータイプになっており、物理式のテンキーボタンはありません。操作方法はスマートフォンと同じようにタッチ操作で通話やメール、インターネットをすることも出来ます。
しかし、搭載されるブラウザは”カード携帯”で動作するように特殊な仕様になっており、表示される画像もすべてモノクロに変換されてしまうため、スマホと全く同じように使うことは出来ません。静止画は表示出来ますが、動画や音楽の再生も出来ません。
そこでカード携帯を通話のみに使い、ウェブの利用をするときにはすべてiPadに機能を任せて使うことにしました。
ドコモで発売されているiPadシリーズはすべてWi-Fi+Cellularモデルであるため、通信契約をすればiPad本体のみで通信も出来ます。今回利用しているのはアップルストアで購入したWi-Fi専用モデルであるため、通信を使う場合には「テザリング機能」(ドコモのモバイル回線→カード携帯→iPadという順番で接続する)を使うことになります。
カード携帯 KY-01Lのテザリング仕様は以下の通りです。
カード携帯をドコモ回線の中継として、最大10台までパソコンやタブレット機種・他のスマホなどをネット接続することも出来ます。接続方式はWi-Fiのみで、USBテザリング・Bluetoothテザリングには非対応です。
KY-01Lのテザリング利用方法は一般的なスマートフォンと全く同じです。
【設定】→【無線とネットワーク】→【テザリング】→ Wi-Fiテザリングのスイッチをオン/オフ
Wi-Fi機能をオンにした状態でiPad mini側から接続を探すと、すぐに繋がりました。
カード携帯のテザリングを介してiPad mini5でYoutubeやネット閲覧、アプリのダウンロードなども快適に行えています。通信にタイムラグが出る・接続が切れるというとこもなく、特に違和感はありません(回線速度はドコモ回線自体の混雑状況・接続状況による)。
ただ・・・テザリング連続利用時の電池の持ちは、かなり厳しいです。
カード携帯でテザリング+iPad mini5でYoutubeの連続再生耐久テストを実施したところ、およそ30分間の動画再生(カード携帯自体は全く操作しない状態を保持)でカード携帯側のバッテリーが94%→72%まで消費しました。30分間で通信した容量は247MBです(動画再生だけにしては消費がやや多いため、iPadの他の機能が通信をしていた可能性もあり)。
さらに1時間・1時間30分まで連続利用を続けたところ、1時間経過時点でカード携帯の残量は52%・1時間半経過時には31%まで減っており、およそ40%/1時間あたりのリニアな電池消耗となりました。単純計算で2.5時間で100%の電池を使い切ることになります。
もともとカードケータイ KY-01Lには380mAhの小さな容量のバッテリーしか搭載されていませんので、この消耗の早さは妥協しなければならない点であり、スタンバイ時でも電池は結構減っていくことも確認しています。
一方で、iPad mini5側の電池は1時間半に渡って動画を再生しつづけても100%→89%までしか減らず、カードケータイの5倍程度も電池は長持ちします。
Appleの公式表記でもWi-Fi利用時のビデオ再生は最大10時間程度とされています。今回の実験結果もほぼ同等と言えます(iPadのディスプレイ輝度は50%、Bluetoothはオフにしています)。
iPad mini5の電池に関してはよほどハードに使い続けない限りは、1日(朝から夜まで)で電池がなくなってしまうことはありません。朝・昼・夜のメールチェック、1時間のネット閲覧、1時間の動画・ゲームのエンタメ利用程度ならせいぜい3-4割程度の消費でしょう(通信の安定性などによっても消費は大きく変わります)。
カード携帯の小さな画面とは異なり、2018年モデル最大のiPhone XS Max(6.5インチ)よりもかなり大きな7.9インチサイズなら、1ページにスマホより多くの情報を表示できるため、スピーディーな情報確認・操作を可能とします。それによりスクロールの頻度を減らし、利用時間自体を短くすることも出来るでしょう。別売りのキーボードを使えばノートパソコンのように入力することも出来ます。
カード携帯ではメールの作成・文字入力も普通のスマホ・ガラケーに比べて操作が面倒に感じてしまいますので、iPadを使ってすべてのメールのやりとりをしたほうが手っ取り早いです。
iPadではWebメール(iCloudメールやGmail, Yahooメール)の利用に切り替えて使うのが楽です。どうしてもドコモメール(@docomo.ne.jp)を継続してiPadで使いたいのなら、ドコモメールをiPad向けに転送する・IMAPを設定して受け取ることも出来ます。
ドコモメールを普段使っている端末以外で受け取る方法については「NTTドコモ-ドコモメール-その他のメールアプリからのご利用」の設定方法を参照ください。
2019年新型のiPad miniおよびiPad Airには、2018年モデルのiPhone XS/XS Max/XRと同じく最新のA12チップが使われており、2017年モデルのiPhone 8やiPhone Xより高い処理性能を持っています。あらゆるアプリの利用・ゲームを快適に遊べるスペックとなっていますので、カードケータイでは出来ないiOS用アプリを存分に使えます。
iPhoneに使えてiPad mini5に使えないアプリは少なく、処理能力が不足することもまずありません(iPad向けアプリが配信されていない場合もあります)。カードケータイはGoogle Playアプリの利用が出来ないためLINEも出来ませんが、当然iPadを経由すれば利用が出来ます。
カード携帯の通話面では京セラの開発陣が拘って作っただけあり、必要最低限の機能が47グラムの小型なボディに詰め込まれており、携帯電話として最も大切な「通話」は高音質なVoLTEに対応します。
先述したとおりKY-01Lには380mAhのバッテリーしか搭載されていないため、連続通話可能時間は最大で110分程度が限界です。テザリングでiPadと併用することを考慮すると、カード携帯側のバッテリーの残量が常に気になります。
カードケータイをiPadと使う場合にテザリング利用を前提にしてしまうと、どうしても「カードケータイ側の電池問題」がつきまとい、1日にiPadでテザリングをいつも2~3時間以上使うのであれば、いつでも充電できる環境・モバイルバッテリーなどの併用は欠かせなくなります。
カードケータイの通話+テザリング機能によりiPadでネット利用という使い方で「出来ないこと」自体は少なくなります。しかし、iPad mini5(Wi-Fiモデル)+カードケータイ KY-01Lではまだ一般的な意味で「iPhone/スマートフォンの代わり」として使うにはもの足りない部分もあります。
iPad、タブレットはセルラーモデルが無難
今回購入したiPad mini(第5世代)では、それ単体ではモバイル回線が出来ない(SIMカードスロットがない)モデルです。自宅や職場・多くのスポットでWi-Fiによる無線LAN接続をする時間帯がメインであるため、iPadそのものに接続機能が要らない・回線契約をしたくないという理由があるのなら、上記のようにカードケータイによるテザリングで賄うことは可能ながら、テザリング利用時のカードケータイの電池消耗が気になってしまい、気軽に利用が出来ません。
コレを解決するには先述のとおりモバイルバッテリーを買ったり、ほとんどを無線LAN接続で使えるような「いつでも充電出来るような環境」で運用することを前提とするか、iPad自体をあまりネットに繋がないように努力するしかありません。
(KY-01Lはmicro USB, iPad mini5にはLightningケーブルによる充電が必要)
比較的小さなモバイルバッテリーでも内蔵電池容量が380mAhしかないカード携帯なら何十回も充電出来るものの、モバイルバッテリーの重さはカード携帯の数倍はあり、ややスタイリッシュな使い方とは言い難くなります。
モバイルバッテリーを持ち歩くことが面倒・邪魔になる&iPadでのネット利用を頻繁にしたいと考えるのならば、カードケータイとセットで使うiPad・タブレットはWi-Fi専用モデルではなく、モバイル契約が出来るセルラーモデルを選ぶべきです。
iPadのWi-Fiモデルとセルラーモデルでは定価がそれぞれ15,000円高くなります(SIMフリーモデルの場合)。
別途スマートフォンやタブレットなどをドコモで契約しているのであればパケットシェアオプション・2台目プラスによる回線契約をすれば、料金を比較的安く追加することも可能です。
しかし、もしカードケータイを通話専用として契約するのであれば、パケットプランも必要ありません(spモード/パケットプラン無し運用の携帯料金節約方法についてはこちら)ので、iPadだけのために新しくパケットプランを契約すると維持費がかなり高めになってしまうでしょう。
使い方・目的次第なのですが・・・管理人のオススメは、以下のような「ドコモでカードケータイ契約」+「SIMフリーのiPadを格安SIMのデータ通信」で運用する節約方法です。
例えば、LINEアプリのデータ通信カウントフリーがあるLINEモバイルで使うと以下のような携帯+iPad料金になります。
料金内訳 | カード携帯の料金 (ドコモ契約) |
iPad mini5の料金 (LINEモバイル) |
本体代金 (24分割) |
1,225円 (総額29,400円) |
64GBモデル 約2,533円 (総額60,800円) |
月々の値引き | ▲825円値引き (最大19,800円引き) |
— |
基本料金 | 5分以内のかけ放題付き カケホーダイライト(ケータイ) 1200円のみ |
LINEフリープラン 1GB付き 月々500円 (最低利用期間無し) |
月々合計 | 1,600円/月 (機種代込み) |
約3,033円/月 (機種代込み) |
*LINEモバイルではiPadの販売はありません。iPad本体は別途アップルストアや量販店等で購入が必要です(ドコモでは契約なしの本体のみ購入は出来ません。LINEモバイルの契約には別途事務手数料等が掛かります。ドコモのXiケータイ購入時はspモード/パケットプランを外しても月々サポートは継続するように2018年11月にプラン改定がされました)。
ドコモ回線でspモード無し・パケットプラン無し契約に変更すると、カード携帯本体ではメールも出来なくなります。しかし、月額1,320円で5分以内ならカケホーダイプランを契約できるという超格安プランが作れるのはドコモ本家の強みです。格安SIMサービスでさえカケホーダイオプション(+850円が相場)使うと月額2,000円以上になるのが一般的です。
関連記事:「ドコモのカードケータイ KY-01Lを格安SIM(MVNO)で使う方法 シンプルガラケー料金節約術」
このように、携帯をドコモ+iPadを格安SIMで契約すると、ドコモの2台目シェアプラン(本体代金含まず6,680円~)よりも2,000円以上節約になります。LINEモバイルの通信速度はドコモ本家に比べると不安定で遅いですが、お昼・夕方の混雑時間帯にはあまり使わないのであれば、料金を格安にすることも不可能ではない、ということを把握しておきましょう。
SIMフリーのiPad mini(第5世代)なら、LINEモバイル以外の格安SIMサービスでも利用できます(国内正規モデルならドコモ・au・Softbankすべての回線で利用が可能なはずです。iOSやSIMのバージョン・種別によっても利用可否が変わるため、詳しくは各通信会社・提供サービスにお問い合わせください)。
おサイフケータイが使えない問題
カードケータイ KY-01Lは「カード型サイズ」ではありますが、ICカード機能(おサイフケータイ)がありません。また、iPad mini(第5世代)も非対応です。
ドコモのガラケーやスマートフォンではおサイフケータイ機能が古いモデルでも付いていますし、iPhone 7以降の最新iPhoneもおサイフケータイに対応しはじめていますので、「いまさらおサイフケータイ無しは考えられない!」というキャッシュレス派のユーザーもいらっしゃるでしょう。
おサイフケータイ機能を使いたい場合には、そもそも機能が搭載されていないKY-01LとiPadではどうしようもありません(iPadのブラウザ・アプリを使ったQR決済機能なら使えます)。
コレを解決するには、普通に実物のカードを使うか、Apple Watchの併用が出来ます。
Apple WatchにSuicaを追加しておけば、おサイフケータイ対応携帯・スマホを取り出す必要もなくサッと支払い・駅の改札を通過することが出来ます(Apple WatchでSuicaを使うためには事前にカードをiPhoneおよび連携されたApple Watchへ登録しておく必要があります。詳しくは「Apple PayのSuica:JR東日本」を参照ください)。
どうしてもおサイフケータイ機能が使いたくて、他のスマホや携帯を併用しないのであれば「カード携帯+iPad mini+Apple Watch」でスムーズな決済を使うのも良いでしょう。Apple Watchも安くはないですが・・・
関連記事:Apple Watch Series4で電車に乗る方法・降りる方法(Suica登録) 簡単だが便利でもない?
「カード携帯」と「iPad mini」に何を求めるかが重要
ドコモ最小携帯の「カードケータイ KY-01L」と「新型iPad mini(第5世代・2019)」の組み合わせでiPhoneやスマートフォンの代わりになるような生活を実際に行ってみて、やはり感じたのは「iPhone/スマホ1台で済ませる楽さ」でした。
モバイル端末1台で通話も、メールも、ネットも、ゲームも、おサイフケータイ機能も出来るスマートフォンはやはり”スマート”です。
一方で、最近のスマートフォンは年々大画面化しており、大きくて重いスマホに嫌気が差して、カードケータイのようなシンプルなモデルへ回帰したいという欲求もよく判ります。
大きいスマホはポケットにも入れづらく、「昔のガラケーで十分だったのに」というユーザーもまだまだいるはずです。その点では、ワイシャツの胸ポケットに入れておいても重さ・嵩張りを感じさせないカードケータイのコンパクトさ・薄さは快適です。
iPad miniは7.9インチの大画面であり、今回の最新モデルは10万円超えの定価となったiPhone XSシリーズと同じA12チップを使ったハイパワーモデルが45,800円という低価格で買えるという魅力もあり、アプリツールやゲームをしたいユーザーの需要にも応える万能モデルとなっています。
”手軽に1台でなんでもこなしたい”というユーザーには、はっきり言ってiPhoneを買ったほうが「カード携帯+iPad」という組み合わせ運用より間違いなく楽です。しかし、カード携帯ならではのメリットとiPhoneより大きく・安いiPad mini(第5世代)のそれぞれの魅力もありますので、「スマホを使う楽さ」と「カード携帯+タブレットのメリット/デメリット」を理解して、どちらの使い方を選ぶかよく考えて機種変更することをオススメします。
できたら回答お願いします。
>Apple Watchへのカード追加はiOSに対応した端末(iPhone, iPad等)があれば出来ます。
iPhoneなしでiPadとApple Watchで、suicaを使えるようになるということでしょうか?
>ぽんさん
iPhoneありきで使っていたため全く意識していませんでしたが、iPhone無しではApple Watch自体を使い始める事が出来ませんので、iPhoneを使わない(iPadとApple Watchの連携も出来ない)Suicaの追加も不可だと思われます。すでに登録済みのカード・ウォッチしか手元にありませんので試すことは出来ませんが、何らかの回避方法(過去には無かった登録手順)があれば使えるのかもしれませんので、詳しくはアップルおよびJRにお問い合わせください。
誤解を招く記載で申し訳ありません。すぐに修正しておきます。