2020年5月、夏モデルスマートフォン「Xperia 1 II」(えくすぺりあ わん まーくつー)がauより発売されます。
Xperia 1 IIはソニー初となる「5G」に対応スマートフォンとなり、従来の「4Gスマホ」より何倍も速い最大通信速度を実現しますが、一方で5Gスマホは機種代金のほうも、従来機種より大幅なアップとなっています。
特にソニーの2020年夏モデルの”II(マークツー)”には「Xperia 1の改良版・第2世代」という意味が込められた端末になっており、Xperia 1(2019年夏モデル)およびXperia 5(2020年冬モデル)のコンセプトを引き継いでいる部分もあります。
「5Gを体験したい」というのであればXperia 1 IIを買う必要がありますが、まだまだ5G通信が出来るエリアも限定的であり、必ずしもすぐにスマホユーザー全員が5G対応機種に買い換えると幸せになれるとは限りません。
価格と性能のバランスを考えて敢えて型落ちのXperia 1/Xperia5を買うという作戦もありますので、Xperia 1 IIと4G Xperiaスマホの価格・性能の違いを詳しく解説します。
旧型 Xperia 1・Xperia 5の実機レビューを先に見たい方はこちら:「Xperia 1のレビュー・評価」/「Xperia 5のレビュー・評価」
Xperiaの5G速度・4G速度の違い
次世代通信規格「5G」は、サービス開始以前には「4G/LTEサービスの100倍速い」「2時間の映画を3秒でダウンロード出来る」などと言われていました。
規格上・技術上の仕様としては従来の4G通信に比べて圧倒的な超高速通信が出来るらしい5Gサービスですが、2020年5月時点、日本国内で実用化されている5Gサービスのスマホ通信は、実のところ4G通信に比べて何十倍も速いというレベルには到達していません。
ひとえに「5G対応」と言っても、通信の方式・電波の利用方法によって、最高速度(ベストエフォート)が変わってきます。詳細は解説はここでは省きますが(興味のある方は「NTTドコモ 5G」のページを参照)、Xperia 1 IIが対応する5G通信の下り最大速度は3.4Gbpsであり、ドコモ4G速度の約2倍どまりです。
ドコモの説明では「5Gの進化は”車の移動が飛行機になった」ようなもの、と表現しています。この違いとして移動(通信速度)と車載量(大容量転送・多接続)のようなものをイメージしているようですが、飛行機と言っても小型機からジャンボジェット、車でも軽自動車とF1カーとトラックでは、最高スピード・搭載量が全く違います。
飛行機の速度を1000km/hとして、一般道を走る車(50~60km/h)と比較すれば飛行機の移動スピードは10倍以上の速度と言えますが、300km/hを超える速度も出せるレーシングカーと比べればせいぜい3倍の違いです。
これまでの「4G/LTE対応スマホ」でも、発売された機種・通信技術の発達によって、最初期の2010年頃の速度と2020年時点の最高速度は桁違いに進歩しています。
最初期の4G/LTE対応スマートフォンの通信速度はドコモ Xiの場合最大75Mbps~くらいから始まりました。
しかし、Xperia 1/Xperia 5は2020年時点で下り最大通信速度1,576Mbpsまで対応しています。Xiに初めて対応したXperiaである「Xperia GX SO-04D」も当時下り最大75Mbpsでしたので、おなじ「4G」でも約8年で実に20倍以上のスピードアップを果たしました。Xperia 1/Xperia 5は2020年時点でも4G端末としてこの最高峰の4G速度に対応している機種です。
先程の「車(4G)と飛行機(5G)」のたとえ話でいえば飛行機の中にもライト兄弟が作ったような初期型から、音速を超える戦闘機まで種々の機体があるように、いつの日か5Gの通信速度もアップするのかもしれませんが、2020年5月時点においてXperia 1 IIとXperia 1/Xperia 5の規格上の通信速度は、そこまで大きな違いにはなりません。
受信通信速度/キャリア | auの場合 | docomoの場合 |
Xperia 1 II | 5G 下り最大3.4Gbps | 5G 下り最大3.4Gbps |
Xperia 1/Xperia 5 | 4G 下り最大1Gbps | 4G 下り最大1576 Mbps |
auの場合は約3倍、ドコモの場合は2倍程度の最高速度アップとなります(通信速度は接続するエリアによっても異なります)。
この速度アップに魅力を感じるかどうかは人それぞれでしょう。
*実際の通信速度(実効速度)はまた別の数字となります。単純に「Xperia 1 IIを使えばXperia1/5より2~3倍くらい通信が速くなる」という意味でもありませんのでご注意下さい。
Xperia 1 IIと型落ち機種の仕様比較
2020年モデルXperia 1 II(まーくつー)とXperia 1/Xperia 5の主な違いを数字的に見ていきましょう。
(左 Xperia 1,右 Xperia 5)
2020年モデルの5Gスマホ「Xperia 1 II」は名前に「Xperia 1」が含まれているように、Xperia 1に似ています。一方、Xperia 1とXperia 8(auやワイモバイル向けの廉価機種)の中間という意味で名付けられた「Xperia 5」もXperia 1と同じ4G世代の最高峰ランクスマホとなっていますので、合わせて比較していきます。
各仕様 | Xperia 1 II | Xperia 5 | Xperia 1 |
ディスプレイ | 6.5インチ 4K解像度 |
6.1インチ FHD+ |
6.5インチ 4K解像度 |
大きさ | 縦 166mm 横 72mm 厚さ 7.9mm |
縦 158mm 横 68mm 厚さ 8.2mm |
縦 167mm 横 72mm 厚さ 8.2mm |
重さ | 181グラム | 164グラム | 178グラム |
電池容量 | 4,000mAh | 3,000mAh | 3,200mAh |
電池持ち時間 | 4G:105時間 5G:100時間 |
105時間 | 85時間 |
ワイヤレス充電 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
CPU | SDM865 | SDM855 | SDM855 |
RAM/ROM | 8GB/128GB | 6GB/64GB | 6GB/64GB |
カメラ | トリプルレンズ +3D iToFカメラ |
トリプルレンズ | トリプルレンズ |
防水防塵 | 対応 | 対応 | 対応 |
3.5mmオーディオジャック | 対応 | 非対応 | 非対応 |
生体認証 | 指紋認証 | 指紋認証 | 指紋認証 |
*いずれもau向けモデル(SOV40/SOV41/SOG01)の場合。上位以外のスペックデータはauのサイトを参照下さい。
Xperia 1 IIと旧型モデルでは似ているようで、実はいろんな部分が進歩しています。
Xperia 1 IIに搭載されたSoCは2020年モデルのハイエンド Qualcomm Snapdragon 865となり、Xperia 1/5のSDM855よりも2~3割ほど処理性能が向上しています。
関連記事:2020年春夏~ハイエンドSDM865(Snapdragon865)搭載スマホ比較/スペック 最新情報まとめ
Xperia 1/5でもあらゆる動作が快適に感じられるほど高い処理性能であるとも言えるのですが、新しいSDM865チップ・RAM 8GBに増えることで通信速度・処理速度が飛躍的にアップしていることは間違いありません。
Xperia 1 IIと旧型モデル Xperia 1は21:9という特殊な比率の有機ELパネルを搭載、スマホでは珍しい4K解像度(1644×3840)に対応しています。
(同じ6.5インチのXperia 1とiPhone XS Max)
Xperia 1/Xperia 1 IIは、iPhoneや他社のスマホに比べてかなり縦長のデザインです。
一方、Xperia 5はワンサイズ小さく、持ち易さという観点ではXperia 1/1 IIよりも快適でした。
Xperia 1 IIで大きく進化した点として、カメラの変更も挙げられます。
Xperia 1/5もトリプルレンズであり、Xperia 1 IIも「1220万画素のトリプルレンズ」という点は変わらないのですが、カメラに使われているセンサー・モジュールが変更・3D iToFカメラを追加することで、画質は大きく向上しているとしています。
カメラの仕様 | Xperia 1 II | Xperia 1/5 |
メイン | 1220万画素 F値/1.7 センサーサイズ 1/1.7″ 24mm相当 |
1220万画素 F値/1.6 センサーサイズ 1/2.6″ 26mm相当 |
超広角 | 1220万画素 F値/2.2 センサーサイズ 1/2.55″ 16mm相当 |
1220万画素 F値/2.4 センサーサイズ 1/3.4″ 16mm相当 |
望遠 | 1,220万画素 F値/2.4 センサーサイズ 1/3.4″ 70mm相当 |
1220万画素 F値/2.4 センサーサイズ 1/3.4″ 52mm相当 |
深度測定センサー | 搭載 | 非搭載 |
このように、画素数こそ「全部1,220万画素」で同じなのですが、F値・センサーサイズ・焦点距離が変更されています。
特にメインカメラのセンサーサイズが1/2.6″型から1/1.7″型に大きくなったことが画質の向上に繋がっています。
ソニーによれば、Xperia 1に比べてXperia 1 IIのメインカメラは約1.5倍の高感度撮影を可能にしており、暗所での撮影に強くなったとしています。
Xperia1/Xperia 5も古いスマホに比べればきれいな写真が撮れますが、同時期に発売されたiPhone 11 Proやその他ハイエンドモデルに比べるとまだ一歩及ばない印象がありましたので、Xperia 1 IIでさらなるレベルアップを図っています。
*2020年時点の他社最高峰カメラを搭載した機種は1/1.7型よりもっと大きなセンサーを使っており、暗所撮影・超高解像度を実現したスマホも多数存在します。詳しくは「スマホカメラのセンサーサイズ一覧」を参照。
Xperia 1 IIと旧型4Gスマホの価格の違い
Xperia 1 IIは旧モデルのXperiaよりも性能が高く、4G/5G両対応になることで月々の支払料金が高くなる傾向にあります。
スマホ料金を節約したい場合、5G回線を使う対価に納得できるかどうか、よく料金を見比べてみてください。
モデル名 | 機種変更時 月々の負担* |
一括価格 |
au Xperia 1 II SOG01 | 3,440円/月 | 133,600円 |
au Xperia 5 SOV41 | 2,360円/月 | お得割適用 78,100円 |
au Xperia 1 SOV40 | 2,690円/月 | お得割適用 89,580円 |
*かえとくプログラム利用時の負担額。お得割はオンライン手続き時に適用されます(新規・乗り換え時は割引が増えます)。
一括価格の負担額では、機種変更時のXperia 1 IIとXperia 5で55,500円もの違いがあります。
Xperia 1 IIはかえとくプログラム(2年後に返却する)を適用することを前提にして、本体代金の負担額だけで月額3,440円です。ここに、通話料金・データプラン料金・各種オプション料金が加わるため、月額維持費はかなり高くなります。
かえとくプログラムを使わない場合はXperia 1 IIの代金13万円を24分割として、約5,566円×24回払いとなります。
Xperia 5とXperia 1 IIで前項で比較したとおり、性能面では全体的にXperia 1 IIのほうが上回っています。しかし、5.5万円あればもう一台スマホが買えるほど(例えばSIMフリーのiPhone SE2 128GBなら5.5万円)の価格差であることを理解して判断すべきでしょう。
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Xperia 10 IIもXperia 5と同じく有機ELパネル・トリプルレンズを搭載したデザインを継承しています。
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