auは2019年11月1日より、スマートフォン購入サポート「アップグレードプログラム DX」を改定し、新たに「アップグレードプログラムNX」の提供を開始します。

本稿では2019年10月31日までなら加入できるDXと、新システムとなるNXそれぞれに加入した場合のメリット・デメリットを解説するとともに、アップグレードプログラムを使う前提でDXとNXのどちらを利用したほうがお得になるのかを説明します。

アップグレードプログラムの概要

auが提供する「アップグレードプログラム」とは、カンタンに言うとスマホやiPhoneを新しく購入する時点で「将来auにスマホ本体を返却する」ことを前提として、スマホを安く買うことが出来るサービスです。

もう少し詳しく「安く買う」というイメージを説明すると、上記のイラストにある通り、スマホ本体の代金を48分割(4年)にして月々の支払いを行う場合に、スマホをauへ返却するまでは月々1/48の機種代(+プログラム利用料)を支払い続け、端末をauに返却したあとは残っている分割残債を支払わなくてOK(残債免除)、という仕組みです。

これによりauでは「最大半額」でスマホを買える、としてこれまで広告を繰り返してきましたが、実際にはauに対して端末を返却する必要がありますので”半額で購入する”というよりは、”半額分を支払ってリース購入をする”ようなシステムであること・アップグレードプログラムの利用料金が別途月額390円(最大24回)が掛かることにより、”半額以上の利用者負担が生じること”、そしてアップグレードプログラムは「au取扱店で新しい機種に買い替え」が条件になっていることから、優良誤認表示・独占禁止法に抵触する恐れがあるとして問題になったこともありました。

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現行のアップグレードプログラムは機種代金を分割で購入する場合の負担額を大きく軽減できるというメリットがありましたが、上記のような指摘と業界の動向を反映し、auでは2019年10月31日を以って現行のアップグレードプログラムDXを廃止(アップグレードプログラムEX/EX(a)は2019年9月30日に終了済み)することになりました。

2019年11月開始「アップグレードプログラムNX」とDXの違い

2019年10月末を以って「アップグレードプログラムDX」の受付は終了しますが、auではさらに新しく「アップグレードプログラムNX」の受付を開始します。この2つは名前はよく似ていますが、サービスの内容は結構大きく変わります

アップグレードプログラムDX(旧)とアップグレードプログラムNX(新)の違いを端的に抜き出してみると以下のようになります。

アップグレードプログラムの種類 DX
(10.31まで)
NX
(11.1より)
プログラム利用料 月額390円 無料
最大残債免除 本体価格の半額相当 本体価格の1/3相当
次回の機種購入 必須 不要

(*2019年10月20日時点の提供条件による)

旧プログラムDXでは、アップグレードプログラムの加入後最大24ヶ月間は「プログラム料金」として月額390円を支払い続ける必要がありましたが、新プログラムNXは無料で使えるようになります。

一方で、最大の免除額が本体代金の半額相当(48分割のうち、最大24回分免除)から、本体代金の1/3相当(36分割のうち、最大12回分免除)へ変更されます。

また、旧プログラムでは「機種返却と同時に、auで新しく機種購入(機種変更)をする」という項目も適用条件に入っていましたが、これが廃止されます。

(旧DX):対象の機種を12カ月1ご利用後、当社、au取扱店で新しい機種に買い替え/au回線を解約された後のプログラム料の請求は一旦停止し、特典を利用する際、停止期間のプログラム料を一括で請求します
(新NX):回線契約の継続や機種の買い替えといった条件はありません

とされており、返却した時点でau回線の解約を行っても、アップグレードプログラムNXの残債免除権利を行使することが出来るようになりました。

なお、いずれのプログラムを利用する場合にも機種代金は分割購入/割賦契約が必要となります。

高額スマホを買うならアップグレードプログラムDXがお得?

前項で解説したとおり、これまでのアップグレードプログラムDXは「本体の最大半額」、アップグレードプログラムNXは「本体の最大1/3」相当の残債を免除出来るというシステムに変わります。

アップグレードプログラムNXに加入できる機種はiPhone 11, iPhone 11 Proなどの最新iPhoneシリーズおよび各種スマートフォンとされており、一部の機種を除き、多くのスマホ購入時に使える予定です。

ここで、それぞれの残債免除額が「半額」から「1/3」に劣化している点と、プログラム利用料金390円が無料化されている影響で、アップグレードプログラムのDXを使ったほうが有利な機種・不利な機種が生じることになりました。

どちらのプログラムでも「2年使ったあとにauに返す」という点は同じであるため、ずっとauで使い続けると決めているユーザーは、お得に購入できるタイミングでアップグレードプログラムDXを使う・アップグレードプログラムNXになってから機種変更をする判断をしましょう。

具体例として、2019年10月18日に発売されたばかりの「Galaxy Note10+ SCV45」をアップグレードプログラムDX/NXで購入するイメージを計算してみます。

アップグレードプログラムの種類 10月31日までに
DXに加入して購入
11月1日以降に
NXに加入して購入
本体代金負担
(一括定価118,800円)
月々 2,475円
(48分割)
月々 3,300円
(36分割)
プログラム利用料 月々390円 無料
機種返却の時期 25ヶ月目 25ヶ月目
月々の合計負担/
2年間の総負担額
月々2,865円
(総額68,760円)
月々3,300円
(総額79,200円)

*アップグレードプログラムは機種購入時にのみ加入可能です。

このように、プログラム利用料金の負担額を含めても、本体価格自体が高いGalaxy Note 10+のような超高性能な最先端モデルを買う場合には、新しいアップグレードプログラムEXよりも現行のアップグレードプログラムDXのほうが安い負担で使うことが出来ます

一方で、もともとの本体価格が安い機種を買う場合にはDXのプログラム料金のほうが残債免除額に対する負担が大きくなるため、新しいアップグレードプログラムで購入したほうが有利になることもあります(2019年11月1日以降の本体価格・料金プランが変更される場合はこの限りではありません)。

アップグレードプログラムDXは2019年11月1日以降に加入することは出来ませんので、DXとNXの違いを理解した上でDXを使いたいと考えるのなら、10月中に機種購入と加入を行う必要があります。

アップグレードプログラムDXは2019年10月31日までに発売される2019年秋冬モデルのスマホにも利用可能です。

アップグレードプログラムDX対象機種:【iPhone】iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone 11、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus
【Android】Xperia 5 SOV41、Galaxy Note10+ SCV45、Xperia 8 SOV42、Galaxy A20 SCV46、Xperia 1 SOV40、Galaxy S10+ SCV42、Galaxy S10 SCV41、AQUOS R3 SHV44、TORQUE G04 KYV46、HUAWEI P30 lite Premium HWV33、Galaxy A30 SCV43、AQUOS sense2 かんたん SHV43、URBANO V04、Xperia XZ3 SOV39、Galaxy Note9 SCV40、AQUOS sense2 SHV43、LG it LGV36、BASIO3、TORQUE G03 KYV41

2019年10月18日発売:Galaxy Note10+
2019年10月25日発売:Xperia 5, Xperia 8, Galaxy A20

適用されるアップグレードプログラムは「予約時点」ではなく、購入・本契約手続きを行ったタイミングで加入となります。購入が11月以降になる場合はDXには加入できませんので、新機種で使いたい場合には早めの予約を推奨します。

それぞれの本体価格・プラン料金、アップグレードプログラムの詳細な加入条件については公式HPでご確認ください。

2019年11月からau4年縛りアップグレードプログラムDXを廃止→NXにリニューアル 加入メリットとデメリット