Googleの2014年モデルスマートフォンのNexus6(XT1100)を2015年モデルNexus6P発売直前の今更になって購入しましたが、今だからこそ出来るテストをやってみたいと思います。

[2015.10.22更新:お待たせしました!とりあえず実験完了です。]

Nexus6では、発売時にOS(オペレーションシステム)としてAndroid5.0 ,開発コードではLolipopと呼ばれるバージョンがインストールされています。私の購入したモデルでも、購入時にはAndroid5.0.1となっていました。

NexusシリーズのスマートフォンはAndroidの最新バージョンがいち早く提供されてアップデート出来るようになる「リファレンスモデル」として役割があるため、この2014-2015年の間にも何度かOSのバージョンアップがされています。

2015年9月末には最新バージョン Android6.0(コードネーム:マシュマロ)が発表されており、これもNexus6へは10月中旬を目処に配信が始まっています。

そのAndroid6.0なのですが、このバージョンからの新機能として「Doze」と呼ばれるスリープ状態の節電機能および「アプリスタンバイ」という同じくスリープ時におけるバッテリーの節電設定が可能になるとのことです。

この2つの節約機能が、どれだけ実際のバッテリーの持ちに影響を及ぼすのかを、買ったばかりの極めてピュアな状態に近いSIMフリーモデルNexus6を使って検証していきます。

共通条件(初期アプリ以外にインストールしたもの):Battery Mix(バッテリー残量監視用), PVStar(動画連続再生用), ESファイルエクスプローラー, Antutu Benchmark

上記以外のアプリは初期状態のもので、特別にアプリの停止・起動は行っていません。以下のテスト中を通してアプリのインストール状況は一切変更していません。

検証その1. 連続動画再生の電池の持ち具合

まずはじめに、Nexus6の連続使用可能時間を調べるために、「PVStar+」というアプリ(超便利なアプリでお気に入りなのですが、Google Play非公式のため、ご利用は自己責任となります)をインストールして、連続で動画再生を実行しました。

*本テストはスリープ節電には関係ありませんので、OSのバージョンによる影響は小さいことが予想されますが、参考情報としてテストを行いました。

【テスト条件】
・OSバージョン:Android5.0.1
・ディスプレイ明るさ:自動調整オフ、50%で固定、常時点灯
・テスト開始時:充電100%
・GPS off, Bluetooth off, SIM無し, Wi-Fi ON,
・バッテリー監視:Battery Mix利用
・動画再生アプリ:PV star+
・Youtubeから5分強の動画をループ再生(通信はおそらく初回のみ、2回目以降はキャッシュ再生)
・イヤホン接続

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実験の結果、電池残量100%から0になるまで(電源OFF、)動画は約12.5時間の連続再生が出来ました。Googleの公式スペックでは最長10時間とされていますので、それよりもやや長め(想定より電池消費の少ない)に再生をすることが出来たようです。

Nexus6 XT1100では容量3220mAhの大型バッテリーを搭載しており、「1日じゅう使い続けても大丈夫」というのが公式のキャッチフレーズです。ゲームアプリなどを動かす場合はもっと消費が激しい場合もありますが、画面が点灯し続ける動画再生でこれだけ保てばまずまずかな、という印象です。

検証その2. スリープ状態でのバッテリー消費確認

これが本記事の本命です。このテストがしたいがためにNexus6を買ったといっても過言ではありません。

【テスト条件】
・OSバージョン:Android5.0, 5.1, 6.0 の各バージョン
・ディスプレイ明るさ:自動調整オフ、50%で固定、測定中はほぼ消しっぱなし
・テスト開始時:充電100%
・GPS ON, Bluetooth ON, SIM無し, Wi-Fi ON, アンビエントディスプレイ ON
・バッテリー監視:Battery Mix利用
・バックグラウンドでのアプリは標準状態以外はバッテリミックスのみ動作
・アプリのバックグラウンド自動更新はオフ

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実験の結果、約24時間のスタンバイで8%を消費しました。測定中なんどか減り具合を確かめるためにディスプレイを点けていますが、それぞれ一瞬でほとんど電池消費には影響していないでしょう(後の測定でも同じように暴走が無いか確認していますので、測定条件は同一です)。

減り方はほぼ均一に消費していますので、計算上の連続待機可能時間は約300時間となりました。Googleのサイト上表記では待ち受け時間は最長400時間とされており、それよりやや消費の大きい条件になっていたようです。Bluetoothオン、GPSオンのままでも10日以上スタンバイで待機できるということになりますが、この数値はそれほど大きなものではありません。国内モデルのスマートフォンであれば600時間、700時間という連続待受が出来る機種もあります(実際にはキャリアアプリなどが裏で動くため、もっと消費は大きいと予想されます)。

なお、新型Nexus6Pのソフトバンクネットワークでの待ち受け時間は4G LTEで約400時間なので、現行モデルとほぼ違いは無いようです。

☆「ソフトバンク Nexus6P

nex6511Lolipopの安定バージョンとなった5.1.1(ビルド番号:LMY48I)状態でのテストです。5.1.1では何度がセキュリティアップデートが入りますが、回数が多くて面倒くさかったので全バージョンでは検証していません(苦笑)

LMY48Iの状態で、Android 5.0時と同一条件にてスタンバイテストを行った結果、約24時間のスタンバイで9%を消費しました。5.0と5.1での消費差は1%となり、これは誤差の範囲だと思われます。今回は24時間を超えて測定を継続しましたが、消費速度はほぼリニアな線を描きましたので、11~12日間程度の連続待機が可能であると見られます。

バージョンアップによる暴走などは見られませんが、特に電池の消費が抑えられるということも無いようです。

2015年最新バージョン、マシュマロ(ビルド番号:MRA58K)の省電力性能をテストします。OSはOTAではなく、手動でインストールしました。テスト条件は5.1以前全く同じで、Battery Mixのアプリは電池最適化(スリープに動作させない)設定から外しています。

60batteryst実験の結果、Android6.0でも約24時間のスタンバイで8%を消費しました。30時間まで放置して10%となっていますので、指定条件下での連続待受可能時間は約300時間というところでしょう。

Android 5.0時のスタンバイ状態:約8%/24時間
Android 5.1時のスタンバイ状態:約9%/24時間
Android 6.0時のスタンバイ状態:約8%/24時間

以上、すべて誤差の範囲で同等の待機電力消費であると言えるでしょう。

考察

面白みにかける結果になってしまいましたが、よくよく考えればこの結果は妥当でもあるのです。

Android6.0で搭載されたDozeモード(うたた寝モード)では、スリープ中におけるアプリの挙動を制御し、無駄なプログラムによる電池消費を抑える、というものです。しかし、今回の実験ではほぼ初期状態のままで比較実験を行ったため、節電する余地が無いほどに始めから無駄な電力消費が行われていなかったため、測定結果に差がでなかった、と考えられます。さすがは極限にシンプルなNexusスマホと言うべきでしょう。

もし通常利用をしていてたくさんのアプリがバックグラウンドで動作し、電池の減りが早くなっているという端末でDozeモードを試せば、きっと違いが出るのだと思います。Dozeモードの効果には使用状況に依る個体差があり、すでに十分に節電設定になっている端末ではAndroid6.0にしたところで効果は感じられない可能性がある、ということでした。

今回の実験から得られた知見は、

・Nexus6はAndroid5.0でもバックグラウンドでは余計な基礎アプリは動いていない
・Nexus6はどのバージョンでも基本システムで消費するバッテリーに差はない
・Nexus6をAndroid6.0にしても、バッテリーの異常消費・不安定な挙動は起こらない
・Dozeモードは「絶対的なバッテリー長持ち」を実現するものではない
・DozeモードではBluetooth, GPS, Wi-Fiなどのスタンバイ電池消費には影響しない(可能性が高い)

以上です。

後から考えてみれば、Dozeモードの効果を試すのであればある程度のアプリをバックで動かす条件を設定してテストすべきでしたが、それだと入れるアプリによって影響差が出るので、条件設定が難しいですね(´∀`;)

まだAndroid6.0で動かないアプリもありますのでムリをしてアップデートさせる必要はないと思いますが、メイン機種で待機電力が多くなっていると感じている端末はDozeモードの効果が確認出来るようになるかもしれませんね。Marshmallow更新対象機種をお持ちの方は、試してみるのも面白いかもしれません。



 

Nexus6はAndroid6.0への更新で電池の持ちが良くなる?実機でバッテリーの持ち具合比較検証

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