auおよびドコモから2020年夏モデルとして発売された5Gスマートフォン Xperia 1 II (エクスペリアワン・マークツー)と、旧モデルにあたる2019年夏モデル Xperia 1のカメラ機能を実機で比較してみます。
Xperia 1 IIは、”Xperia 1”という名称を引き継いだ直接的な後継モデルとなり、シリーズで特徴的な「21:9」比率の縦長・珍しい4K解像度のディスプレイを継承しました。
(左2020年モデル、右 2019年モデル)
真正面から見るとよく似ている2台ですが、旧モデルは4Gスマートフォン・新モデルは5Gスマートフォンという決定的な違いがあります。
ドコモモデル Xperia 1 II SO-51Aおよびauモデル SOG01では最大下り通信速度は3.4Gbpsに達し、ドコモ4Gのベストエフォート比で約2倍の高速通信が可能とされています。
確かに4Gモデルのスマホに比べて5G対応となったXperia 1 IIでは通信速度が早くなったものの・・・4G/LTEの通信速度でも特に困っていない・そもそも5Gエリアが限定的であるため、まだあまり5Gスマホである恩恵を受けられないというユーザーのほうが多いと思います。
一方で、Xperiaシリーズの場合は4G→5Gの対応が変わっただけではなく、旧型のXperia 1と新型Xperia 1 IIにおいて、カメラ機能が大きく進化しました。
旧モデル Xperia 1のカメラ機能は他社トップクラスのスマホに比べてあまり高い評価を得られないクオリティと言わざるをえない水準でしたが、2020年モデルでどう変わったのか、全く同じ条件で撮影をして比較紹介します。
Xperia 1 IIの機種そのもの、カメラ以外の部分のレビューを先に見たい人はこちら → 「[SO-51Aレビュー]Xperia1 II実機 ソニー初5Gスマホ/Zeiss-αカメラ評価-新機能」
Xperia1とXperia 1 IIのカメラ比較
Xperia 1とXperia 1 IIでは、どちらも「トリプルカメラレンズ」が搭載されています。しかしカメラユニットは全く同じではなく、Xperia 1 IIのほうが優れたパーツが使われています。
Xperia 1 ではカメラの中央部分に縦に3つのレンズが並んでいました(上記青紫の機種)。一方、Xperia 1 IIは「ZEISS T」のロゴが入りボディ左寄りに位置が変更・3つのレンズ以外に「3D iToF」センサーも増えています。
カメラレンズ | Xperia 1 (2019) カメラ仕様 |
標準カメラ | 1220万画素 F値 1.6 センサーサイズ 1/2.6インチ 35mm換算 26mm相当 |
望遠カメラ | 1220万画素 F値 2.4 センサーサイズ 1/3.4インチ 35mm換算 52mm相当 |
広角カメラ | 1220万画素 F値 2.4 センサーサイズ 1/3.4インチ 35mm換算 16mm相当 |
2019年夏モデルのXperia 1と2019年冬モデル Xperia 5もほぼ同じカメラ仕様となっていました。
これが、2020年モデル Xperia 1 IIだと以下のように変わっています。
カメラレンズ | Xperia 1 II(2020) カメラ仕様 |
標準カメラ | 1220万画素 F値 1.7 センサーサイズ 1/1.7インチ 35mm換算 26mm相当 |
望遠カメラ | 1220万画素 F値 2.4 センサーサイズ 1/3.4インチ 35mm換算 70mm相当 |
広角カメラ | 1220万画素 F値 2.2 センサーサイズ 1/2.5インチ 35mm換算 16mm相当 |
深度測定用 | 3D iToFセンサー搭載 |
Xperia 1 IIでは主に
・メインカメラのセンサーが大きくなった
・望遠カメラのズーム機能が上がった
・広角カメラのセンサーサイズが大きくなった
・ZEISS Lensを採用した
・深度測定用センサーが増えた
このような変更がありました。
ではいよいよこの仕様変化がどのように画質に影響を与えるのか、比較していきましょう。
暗所撮影テスト Xperia1とXperia 1 IIの違い
まず、「センサーが大きくなった」ことが影響すると予想される、暗い場所での撮影テストを実施しました。
照明を暗くして、僅かな明かりのLED球を付けたおもちゃを撮影してみました。
Xperia 1(2019) | Xperia 1 II (2020) |
シャッタースピード:0.1秒 ISO感度:400 ![]() |
シャッタースピード:0.167秒 ISO感度:800 ![]() |
上記はいずれも画像の中心部分にフォーカスをあわせて撮影したものです。オートモードを使う場合、Xperia 1に比べてXperia 1 IIのほうが全体を明るく調整する傾向にあるようで、今回の条件では何度撮影してもXperia 1 IIのほうがより明るく仕上がるようなシャッター時間・ISO調整がされました。
この状態では「カメラセンサーの差」だけを確認することが出来ませんので、マニュアルモードにてシャッタースピード/ISOも固定して撮影し、画像の一部を拡大・切り出したものが以下の写真となります(画質調整・縮小無し)。
Xperia 1(2019) | Xperia 1 II (2020) |
シャッタースピード:0.067秒 ISO感度:800 ![]() |
シャッタースピード:0.067秒 ISO感度:800 ![]() |
(画像をタップすると拡大出来ます)
シャッタースピード・ISOを固定した2枚の写真を比較すると、Xperia 1のほうがコントラストが強く・クッキリとした写真に仕上がる傾向が見られました。
一方、画像の色づいた部分を比べるとXperia 1に比べてXperia 1 IIのほうがノイズが少なく、滑らかな仕上がりになっているようです。
上記ではシャッタースピード(1/15s 固定)とISO(800固定)感度以外はデフォルトの設定のままです。画像の仕上がりにはソフトウェア・センサー・カメラレンズのコーティングなどが影響するため、「どの要素でこの違いになったか」を一概に説明することは出来ませんが、撮れる写真にはXperia1とXperia 1 IIでは明確に違いが見られることだけは確かです。
[スポンサード] |
ズーム撮影テスト Xperia1とXperia 1 IIの違い
続いて、Xperia1とXperia 1 IIのカメラユニットで変更があったズーム機能(焦点距離)についてです。
それぞれ望遠レンズは1220万画素とされており、画素数こそ同じですが焦点距離が2倍相当(52mm)から3倍相当(70mm)に変更されています。
今回も全く同じ距離・同じ環境から、それぞれのカメラで最大ズームにして撮影比較をしました(ウェブ用に縮小・圧縮済み)。
Xperia 1(2019) | Xperia 1 II (2020) |
![]() |
![]() |
違いがよく分かるようにそれぞれの画像をより大きく拡大して、並べてみました。
上記の画像を見て分かる通り、焦点距離が大きい(ズーム倍率が高い)Xperia 1 IIのほうが離れた被写体の細かい部分まで写し撮ることが可能です。Xperia 1では潰れてしまった英字も、Xperia 1 IIのズームならなんとか読むことが出来ます。
Xperia 1 IIのズームレンズは35mm換算で70mm相当であるため、それほど高いズーム倍率というわけではありません。他社のスマホだともっとズームに強いスマホも(例えばP30 Pro HW-02L)存在しますが、XperiaシリーズとしてはXperia 1 IIの望遠性能は上がっていると言って間違い無さそうです。
広角写真撮影テスト Xperia1とXperia 1 IIの違い
続いてF値が小さく、センサーが大きくなった広角レンズの写真も比較してみました。
Xperia 1(2019) | Xperia 1 II (2020) |
![]() |
![]() |
どちらも似たような画角・ワイドな写真が撮れます。
上記から写真の左上の部分を拡大・切り出して並べてみましょう。
広角レンズに関してはXperia 1 IIのほうが格段にノイズが少なく、キレイな写真になっていることが判ります(シャッタースピード・ISOは同じ条件です。)。大きく拡大しなければXperia 1の写真でも特に問題を感じるほど荒い画質というわけではありませんが、レンズ変更・センサー変更の影響が大きく出ているようです。
3D iToFセンサーのついて
Xperia 1 IIの新機能である「3D iToFセンサー」は、他のカメラレンズとは異なり赤外線を出し、その赤外線が反射されて返ってくるまでの時間を測定する技術を用いて被写体までの距離を測定するというものです。
3D iToFセンサーが直接的に画質に影響するわけでは(おそらく)ないものの、赤外線センサーを使うことで暗い場所でも素早く・精確にフォーカスが合うように改良されています。
Xperia 1 IIのカメラ撮影時に、スマホ画面を見ると紫色に発光している様子が確認できます(赤外線は目には見えませんが、スマホのカメラには映ります)。
Photography Proについて
Xperia 1 IIのソフトウェア(アプリ)上の新機能として、「Photography Pro」という独自のマニュアルモードが追加されていることも進化のひとつです。
Photography Proではソニーのカメラシリーズ「α」カメラのように、モニターを見ながら各種設定をスムーズに切り替え出来るように工夫された表示・アイコンでこだわりの設定が出来ます。
”マニュアルで設定を変更する”事自体、変更できる内容自体は旧モデルから大きく変わった部分はありませんが、「写真を撮る体験」自体に価値を見出すのなら、Photography Proを使うことによってデジタルカメラのような細かな設定を楽しく感じられるかもしれません。
以上、最新モデル Xperia 1 IIと旧型 Xperia 1のカメラの違いでした。この他にも最高60回/秒のAF/AE演算処理・20回/秒の連続撮影が出来るといった機能の追加もあります。
カメラメーカーとしてのソニーが好みであるのなら、最上位のXperia 1 IIを手に入れて最先端のスマホカメラを楽しんで見るのも良いかもしれません。
Xperia 1 IIはドコモ(型番SO-51A)およびau(型番 SOG01)より発売中です(2020年7月時点でソフトバンクでは取り扱いがありません)。