「みおふぉん」のサービス名でよく知られる格安SIMサービス(MVNO)のIIJmioから、2019年2月1日より通話専用の格安プランが追加されることが発表されました。
一般的な格安SIMがスマートフォン・タブレット端末向け(データ通信によるネット接続)であるのに対して、IIJのケータイプランは”通話専用に特化”させた珍しいサービスです。
ドコモでは2020年代にFOMA(3G)のサービスの終了を予定しており(関連記事:ドコモFOMAガラケーの完全終了は2020年代半ばに 3G停波)、料金の安さを重視している古いタイプのドコモガラケーを使い続けているユーザーがIIJへ乗り換えるメリット・デメリットをチェックしてみましょう。
先に公式サイトで料金やサービスについて見たい人はこちら→「IIJmio公式サイト:格安SIMサービスページ」
IIJの「ケータイプラン」概要
IIJmioの新しいサービス「ケータイプラン」=音声通話機能専用SIMとされているように、ケータイプランの基本料金内で出来ることは「音声通話+SMS送受信」に限定されます。
上記のイラストにも書いてありますが、一般的なスマホプランで使える「月間3GBまで」「月間7GBまで」といった、モバイル通信用のパケット容量がデータ通信容量が、一切含まれません。
また、IIJのケータイプランは普通のスマホでデータ容量上限に達したあと利用できる速度制限(200kbps程度)状態での低速通信も利用できない特殊な契約となります(比較として、音声通話+低速通信も出来るベーシックプラン(月額1250円~)というサービスが「楽天モバイル」にはすでに存在します)。
ただ、ケータイプランで全くネットが使えないかというとそうでもなく、非常に珍しい特徴として「クーポンバンドル」を追加購入することで、高速通信によるネット利用も可能になります。
2019年1月25日時点の高速通信追加のために必要なお金は以下のとおりです。
・500MB 1,500円(有効期限3ヶ月)
・2GB 3,000円(有効期限3ヶ月)
つまり、ある種の「データプリペイドプラン」のような使い方が出来るわけです(通話プラン用の基本料金はもちろん毎月掛かります)。
普段は通話しかつかわないけれど、旅行や長期連休時だけスマホやタブレットにSIMを挿して使いたいという場合にはケータイプランで契約したSIM1枚で済ますことが可能というのは特徴的です。
通話に利用できるネットワークはドコモプランおよびauプランがあり、どちらも同じ月額料金提供される予定です。両者の違いは利用できる周波数帯(バンド)にあり、ドコモ・au・SIMフリー端末など、それぞれ利用可能なスマホ・ケータイ端末が異なります(すべてのドコモ・auケータイで利用できるものではありません。動作確認端末などは公式サイトに記載があります)。
IIJケータイプランで使えるガラケー機種
IIJmioのケータイプランでは、ドコモのフィーチャーフォン(旧モデルのガラケー)でも、一部動作確認が取れているようです。
なお、「ケータイプラン」という名称ですが、同じSIMカードで対応していればスマホ・タブレット端末に利用することも出来ます。
過去のドコモプランに存在した「指定外デバイス料金」のようなシステムもIIJにはありません。SIMをケータイからスマホに入れ替えても追加料金が取られることはありません(ドコモの2019年現行プランでは指定外デバイスシステムは無くなりました)。
動作確認済み端末には、ドコモのFOMA/iモード専用ガラケーが含まれています。すべての機種で動作確認がされているわけではありませんが、過去に使っていたドコモガラケーを保存してある方は、IIJの格安SIMを契約することで通話用電話として復活させることもできそうです。
SIMカードのサイズは2019年1月時点では公式HPに記載が見つけられませんが、おそらくマルチタイプ(切り離して自由にサイズを選べる)が提供される見込みですので、標準FOMAカード~micro SIM・nano SIM対応のドコモガラケーでも使えるはずです。
ただし、auプランの場合は他のSIMと同じくVoLTE非対応の古い3Gケータイ(CDMA 1X WIN)は動作確認端末に入っておらず、使えない見込みです。
*個別機種の対応は「IIJmio 公式HP」で確認してください。
IIJmioケータイプランの料金・初期コストなど
IIJでは2019年2月1日からケータイプランを提供するにあたり、「ガラケーでも格安SIMを使おう!キャンペーン」というお得なキャンペーンを提供予定です。
IIJケータイプランの契約注意点
IIJのケータイプランでは、基本料金プラン内では高速でのデータ通信が出来ない(低速通信も出来ない)という特徴以外にも、いくつか既存のIIJ格安SIMプランとは異なる点があります。
・SIMカードの追加利用が出来ない
・クーポンバンドルの高速通信ON/OFFができない
・大容量データオプション(20GB/30GB)は追加出来ない
・IIJモバイルオプション(端末補償オプション、公衆Wi-Fiサービス、ウイルス対策サービスなど各種)は利用可能
・ケータイプランSIMから、データSIM専用/データ+SMS専用SIMへは変更不可
・ケータイプラン↔通常音声SIM(みおふぉん)へはプラン変更で切り替え可能
・ドコモ回線↔au回線の変更は不可(2019年1月発表時点)
・ドコモメールアドレスの引き継ぎは出来ない
などがあります。
特に気になるのは、「低速利用が出来ない」+「高速通信のオン/オフ」が出来ない点です。
通常のデータ通信プランがある契約では、スマホアプリまたはIIJの会員サイトから高速データ通信(クーポン)のオン・オフを任意に切り替えることが出来ます。
クーポンをオフにしておけば不要なデータ通信によるパケット容量消費を防ぐことが出来ます。しかしこの機能はケータイプランでは提供されません。バンドルクーポンを追加購入した後は常時高速通信が出来る状態になってしまい、バックグラウンドによるアプリやシステム更新によって一気にデータ容量を使い切ってしまうというトラブルには注意が必要でしょう。IIJのケータイプランを使うのであれば各自で設定をして対策するしかありません。テザリングでPCのアップデートをしてしまったら、2GB(3千円)なんてあっという間に消え失せることもあります(管理人もまさにテザリング+PCの更新によって5GBくらいふっ飛ばしたことがありますので・・・)。
ドコモFOMA停止後もIIJで使える?
2020年代にドコモは3Gサービス・FOMAサービスを停止させる予定を公言しています。
2019年2月サービスイン時点ではIIJのケータイプランでFOMAガラケーが使えることになっていますが、将来ドコモがFOMAサービス・3G停波を行った際には、ドコモ網を借りて使っているIIJでもケータイプランでFOMA専用ケータイは使えなくなる見込みですので注意が必要です(4G・Xi対応ケータイならば継続利用が出来るはずです)。
ドコモガラケーからIIJへ買い替えた場合の注意点
ドコモの本家回線で現在FOMAドコモガラケーを使っているユーザーが、IIJのケータイプランに買い替えたときに生じる各種注意点を解説します。
定期契約中の更新月に注意
現在ドコモで2年更新の定期契約プランに加入中の場合、更新月以外の変更時にはIIJmioのケータイプラン(ドコモ回線)に移動する場合にも解約金が発生する可能性があります。
これはau本家回線→IIJのauプランへ移動した場合も同様ですが、同じ番号のままIIJmioのサービスに移動することは出来ても、MNOとMVNOの契約更新月・利用年数は引き継ぐことは出来ません。
なお、2019年3月よりドコモ・au・ソフトバンクの各社は従来の更新月2ヶ月間→3ヶ月間に延長(1ヶ月前倒し)をしていますので、IIJmioへMNPする前に更新月と違約金発生期間をよく確認してください。
基本料金に無料通話は含まれない
従来のドコモのFOMAガラケー向けプランでは、基本料金に一定の無料通話分が含まれているプランが主流でした。
一方で、IIJmioのケータイプランはドコモ回線・au回線ともに月額料金に無料通話分は含まれません。通話をたくさん使いたい場合はIIJの有料通話オプションを追加することなら出来ます。
IIJの通話定額オプションは、「家族は30分、その他は3分までかけ放題」と「家族は10分、その他は3分までかけ放題」の2種類があります。
したがって、ケータイプランに追加した場合はそれぞれ月額料金がアップしますので、現在のドコモFOMA基本料金より高くなるかどうか、良く確認してください。
IIJmioで買えるガラケー(フィーチャーフォン)
上記で解説した通り、IIJmioのケータイプランの基本料金には端末代金(機種代金)は含まれませんが、ドコモのFOMAガラケーを持っていればそのまま端末を追加購入することなく契約移動をすることが可能です。
一方で、新しいガラケー端末をIIJmioから一緒に購入することも出来ます。2019年1月25日時点で公式に提供されているフィーチャーフォンカテゴリーは1種類のみとなります。
IIJで販売中のNichePhone-S(ニッチフォン-エス)は、超薄型・軽量のストレート携帯電話です。スマホのようなタッチパネルはなく、シンプルな数字と文字による表示のみとなりますが、メール(SMS)も利用可能です。テザリング機能も利用可能で、まさにIIJのケータイプランにはぴったりな端末といえるでしょう。
IIJでの販売価格は1万円台、ケータイプランの音声SIMでもセット購入時は3,000円分の選べるe-ギフト券が貰えるキャンペーンが実施予定です(販売価格・特典は随時変更されています。最新価格・キャンペーンは公式HPにて確認してください)。
ドコモのケータイプランとの比較
最後にドコモの4G対応ケータイに買い替え(FOMAガラケーからの買い替え)をした場合に、最新の料金プランとIIJmioのケータイプランで利用した場合の最安値比較を行ってみます。
項目 | ドコモで買い替え (SH-02Lの場合) |
IIJへ移動した場合 (ドコモプラン) |
手数料系 | 事務手数料:無料 (オンライン手続き限定) |
MNP転出 転入時手数料 (キャンペーン価格1円) SIM発行手数料 |
端末割引 | 総額28,200円 (1,175円×24回) →実質0円 |
別料金 |
最安月額料金 | 1,320円/月~ 詳しくは「ドコモ新ガラケー料金解説」を参照 |
1012円/月~ (無料通話無し) |
通話定額オプション | 5分かけ放題 基本料金に含む |
有料 |
ドコモでFOMAガラケーからXiケータイへの買い替え時には、事務手数料も端末代も実質無料になる機種があります。
ドコモの防水・おサイフケータイ付きのSH-02Lは、使い方・機能もほぼ従来のガラケーと同じです。
他にもドコモでは2018年発売の最新カードケータイ「KY-01L」・シニア向けの簡単携帯「らくらくホン F-02J」などもあります。
☆「ドコモガラケーレビュー カードケータイKY-01Lと折りたたみケータイ SH-01Jを使い比べ」
IIJmioのケータイプランは確かに最安の月額料金920円は、ドコモの最新携帯最安料金より安くはなりますが、移行時のコスト・短時間のかけ放題オプション代金・新しく携帯機種を用意する場合は割高になる可能性もありますので、両者のメリット・デメリットを良く比較してドコモガラケーを使い続けるか、IIJのケータイプランのほうが便利になるのか、検討してみてください。
☆「IIJmio ケータイプラン申込みサイト」/ケータイプランは2019年2月1日から申し込み受付開始
*ドコモのFOMAガラケーから機種変更時に事務手数料が無料になるのは公式オンライン手続きから購入を行った場合に限ります。事務手数料を払いたくない人は、以下の手続き解説を参考にして、簡単なガラケー取り替え操作を行ってください。