カメラ性能に力が入っている2023年モデル ソニー「Xperia 1 V」 (えくすぺりあ わん まーくふぁいぶ)と、2022年モデル上位モデル「iPhone 14 Pro」、ついでにGoogle上位モデル「Pixel 7 Pro」のカメラ性能実機比較レビューです。

この3機種はいずれもカメラ・写真性能がアップしていることを大きなウリにしたハイエンドモデルです。

長年フラグシップモデルでメインカメラに「1200万画素」(12MP)のカメラを搭載し続けてきたソニーとアップルは、iPhone 14 Pro/Pro Max・Xperia 1 Vのメインカメラにそれぞれ4,800万画素の高画素センサーを搭載しました(Xperia 1 Vは記録画素数約1200万画素)。

iPhone 14 Proシリーズでは「Apple Raw」により48メガモードでの高画素撮影もできるようになりました(48メガモードの撮影方法についてはこちら)。

Google Pixelスマホは2021年モデルのPixel 6 Proから「50 メガピクセル Octa PD Quad Bayer 広角カメラ」を採用しており、Pixel 7 Proも継続してカメラ性能が高いと評判です。

Xperia 1 Vは旧モデルより約1.7倍大きな「2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー」を採用しました。

Xperia 1 Vのメインセンサーサイズは「1/1.3インチ」、Pixel 7 Pro は「1.31インチ」ですので、センサーサイズはほぼ同じ大きさになりました。

Xperia 1 V/iPhone 14 Pro/Pixel 7 Proは安いスマホでは搭載されない場合もある「望遠レンズ」を含み、「超広角+広角(標準)+望遠」までの広い領域で高い写真性能を有していることを各社がアピールしています。

今回はこれらのスマホ実機を用いて、暗所での撮影・望遠性能・明暗差が大きな場合の作例で比較評価をしていきます。

暗所・夜景撮影比較

まずは暗めの環境での撮影比較例として、暗めのLEDライトを内蔵した置物を撮影してみました。すべて初期設定・オートモードで撮影しています。

Xperia 1 V iPhone 14 Pro Pixel 7 Pro

*画像はタップで拡大出来ます。画像はウェブ用に縮小しており、本来の写真データはもっと格段に高画質です。

肉眼ではかなり淡い光でライトアップされている置物なのですが、暗所撮影性能に優れるXperia 1 V/iPhone 14 Pro/Pixel 7 Proで撮影すると、どの機種を使っても細部までくっきりと写っています(性能の低いスマホだと、上記の時計台部分がほとんど真っ黒になるレベル)。

3台のスマホで写真を撮り比べると、Xperia 1 VよりiPhone 14 Proのほうが全体的に明るめに見える仕上がりになりました。色味はiPhone 14 Proが最も暖色系、Pixel 7 Proは寒色系、Xperia 1 Vはその中間という印象です(色味はフィルター・画質編集で変えることも出来ます)。

「画質」という意味で評価をすると、それぞれの写真をものすごく大きく拡大して比べた場合にはPixel 7 Proが最もノイズが小さく・滑らかに見えます。Xperia 1 V/iPhone 14 Proのノイズレベルは似たようなもので、顕著な差は見られません。微細な描写についても甲乙付け難いレベルです。

(Pixel 7 Proで撮影した夜景)

一般的な街中の夜景・ライトアップを撮影するだけなら、Xperia 1 VでもiPhone 14 ProでもPixel 7 Proでも超キレイな写真が撮れます。このあたりになると「スマホ/カメラの性能」ではなく、風景そのものの美しさ・撮影するタイミングや写真撮影の腕・センスの問題、写真加工技術の結果になってきますので、”Xperiaで撮ったきれいな夜景撮影”が見たいのであれば、ソニーのサイトに掲載されたプロが撮影した例を見れば十分でしょう。

ズーム性能の比較

続いて、およそ3メートルほど離れた場所からA4サイズの印刷サンプルをズーム撮影してみた結果です。

上記の写真のイラストを、それぞれの機種でズーム・一部を切り出したものが以下のデータです。

Xperia 1 V iPhone 14 Pro Pixel 7 Pro

3機種で最大ズームの比較をすると、Xperia 1 Vはややノイズが大きめですが、iPhone 14 Proよりも細かな数字・線の再現が自然な仕上がりになっています。iPhone 14 Proではコントラストは強めで、画像処理の結果なのか微細な文字が不自然に一部潰れています(本来滑らかなカーブである「0」の印刷が歪んで見える)。

Xperia 1 Vでは「標準のデジタルズーム」と「AI超解像ズーム」を選ぶことが出来ます(上記は超解像ズームON)。超解像ズームを使うとより滑らかで現実に近い加工がされます(ただし保存に少し時間がかかる)。

ズーム性能で評価するなら、Pixel 7 Proが頭一つ飛び抜けています。ノイズの少なさ・微細な文字の解像度もXperia 1 VやiPhone 14 Proよりも、Pixel 7 Proのほうが断然キレイです。

ちなみにそれぞれの望遠カメラの仕様は、

Xperia 1 V iPhone 14 Pro Pixel 7 Pro
1200万画素
焦点距離 85-125mm
F値2.3-2.8
光学 3.5-5.2倍相当
デジタル併用最大 15.6倍
1200万画素
焦点距離 77mm
F2.8
光学 3倍相当
デジタル併用 最大15倍
4800万画素
焦点距離 117mm
F値3.5
光学5倍相当
デジタル併用 最大30倍

このように、Pixel 7 Proの利用可能なズーム倍率もPixel 7 Proが一歩リードしています。

明暗差大/HDR調整の比較

もうひとつスマホカメラで差が出やすい状況として、とても明るいLEDライト-暗い背景を撮影した場合の調整を見てみましょう。

Xperia 1 V/iPhone 14 Pro/Pixel 7 Proの各オートモードで、LEDライトの光源に合わせて撮影をしてみました。

Xperia 1 V iPhone 14 Pro Pixel 7 Pro

これは「画質が良い/悪い」というテーマでの比較ではなく、メーカーごとの画像処理の傾向の違いが分かります。

前述の「暗所撮影」の比較ではXperia 1 Vの写真はiPhone /Pixelに比べて特に明るいということはなかったのに、明るいLEDライトを撮影すると背景まで含めてXperia 1 Vが最も明るめに調整されました。それでも極端な白飛びは抑えられており、キレイに全体が撮れています。

Pixel 7 ProとiPhone 14 Proでは全体像がやや暗めですが、最も明るい写真中央部分の白飛びエリアが極めて小さく、本来の色合いがよく分かる処理がされました。

なお、Xperia 1 VやPixel 7 Pro、iPhone 14 Proはそれぞれ撮影時に明るさを調整(より明るくしたり、暗くしたり)することも出来ますので、上記の差はあくまで「何も考えずに、設定無しで撮影した場合」の差であり、撮影時にプレビュー画面を見ながら”同じような明るさ”にすること自体は出来ます。

カメラアプリ/画像加工など

iPhoneの標準カメラアプリには無い機能である、マニュアル撮影がXperia 1 Vならば可能です。

Xperiaの上位シリーズの標準インストールされているカメラアプリ「Photography Pro」を使うと、シャッタースピード・ISO・ホワイトバランス・HDR(Dレンジオプティマイザー/オートHDR)の各種設定を個別に指定することも出来ます。フルマニュアルのモードを使いこなすには相応のカメラ知識が必要になるものの、写真機能に拘りのあるユーザーは、自分で設定を行って好みの風合いを再現することも出来るようになっています。

Google Pixel 7 Proでは、Google Pxiel シリーズで大人気の機能「消しゴムマジック」が使えます。

消しゴム処理前 消しゴムマジック後

消しゴムマジックは単に「画像を切り取る」のではなく、消したい対象の背景に本来あるはずの画を画像処理技術で補完し、自然に消し去ることが出来ます(写真によってキレイに処理できるかどうかは若干差が出ることもある)。

この消しゴム機能は、2023年7月時点のソフトウェアではiPhone, Xperiaの標準カメラアプリでは使うことが出来ません。

このように”カメラの物理的性能”以外の部分はメーカーが違うXperia, iPhone, Googleでかなりの違いがありますので、細かい点が気になるユーザーは店頭で試用するか、全部買って試してみる(?)のも良いでしょう。

より詳しい各モデルの実機レビュー・評価は下記も参照ください。

☆「Sony Xperia 1 V実機レビュー
☆「Google Pixel 7 Pro 実機レビュー

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[実機レビュー]4800万画素カメラXperia1V(2023)とiPhone14Pro 写真がキレイなのは?望遠・暗所比較