11月10日にドコモ・au・ソフトバンク各社から新発売されるソニーの新モデル Xperia XZ1(SO-01K, SOV36)や、夏モデルのXperia機種に搭載されている超スローモーション撮影機能について、いろんな環境で使ってみて感じた長所と短所についてレビューをしてみたいと思います。

Xperiaスマホに搭載されたスローモーション機能は、960fps(1秒間あたり960コマ)で撮影するという、スーパースローモーションモードがあります(通常の動画は1秒あたり30コマ)。例えば2017年モデルのiPhone(8/8 Plus/X)で撮影できるスローモードは最大240fpsですから、iPhoneの4倍細かく・ゆっくりと動画撮影が出来るということになります。

960fpsのスーパースローに対応した機種は以下のソニースマートフォンです。

販売キャリア HD対応
フルHD対応
ドコモ ・Xperia XZ1 SO-01K
・Xperia XZ1 Compact SO-02K
・Xperia XZ Premium SO-04J
・Xperia XZs SO-03J
・Xperia XZ2 SO-03K
・Xperia XZ2 Premium SO-04K
・Xperia XZ2 Compact SO-05K
au ・Xperia XZ1 SOV36
・Xperia XZs SOV35
・Xperia XZ2 SOV37
・Xperia XZ2 Premium SOV38
ソフトバンク ・Xperia XZ1
・Xperia XZs
・Xperia XZ2(702SO)

*2018年5月時点。各モデルの詳細はそれぞれの公式HPでチェックしてください。

→2018年夏モデルではXperia XZ2シリーズに加えて、Galaxy S9/S9+、Huawei P20 Pro HW-01Kでも960fpsスーパースローモーションが撮れるようになりました。HW-01Kで実際に撮影したスロー動画はこちらのレビューで公開しています。フルHDの960fpsに対応しているのはソニーだけです。

スーパースローモーションの機能そのものに関する詳細紹介は、ソニーの公式サイトを見ればとてもわかり易く書いてありますので、ここでは実際に使って感じた良い点・物足りない点についてだけピックアップして紹介します。

☆「スーパースロー-ソニーモバイル

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irumo

圧倒的な「スロー」で劇的なムービー撮影が出来る

一般的なスマートフォンやiPhoneでもスローモーション機能自体は搭載しているモデルがありますけれど、最新Xperia XZシリーズの960fpsというフレーム数の多さは、実際に撮影された動画を見ると、その凄さを実感できます。

実際に管理人がXperia XZ Premium SO-04Jを使って撮影した、ミルククラウン(牛乳の雫が落ちたときに、王冠(CROWN)のような形なることからこう呼ばれています)の様子です。目では見ることの出来ない、雫の跳ね上がりまで捉えられており、興味深いです。iPhoneなどの240fpsではここまでの早い動きを捉えられません。

他のサンプルは、ソニーが企画して吉本の人気芸人が撮影した動画がたくさんYoutubeにアップされていますので、いろんなおもしろスローモーション動画を見たい方は探してみて下さい(”おもスロ芸人”のキーワードで出てきます)。

ただ、このスーパースローモーションを上手く撮るには、ちょっとコツ(環境)が必要です。

スーパースローになるのは「約0.2秒分」

Xperiaのスーパースローモードで撮影できるスロー対象時間は、1回あたり最大約0.2秒分です。それ以上の長い時間をスローで撮影することが出来ないため、一瞬のタイミングを逃さずにスローボタンを押さないと、せっかくの劇的なチャンスを逃してしまう可能性があります。

先程掲載したYoutubeのミルククラウンの動画も、実は何回もスローモーション撮影を繰り返して、綺麗に雫が写り込んだ一回だけを切り出して編集しているのです・・・スローボタンを押すタイミングが一瞬でも早かったり、遅かったりするとミルククラウンは撮れません。

ワンショットモード/通常モード(動画撮影中にスローモーションに切り替える)で何度も連写でスローモーションを取り続けることは可能ですが、数秒間のタイムラグが生じるため、スローモーション撮影を開始するタイミングが面白いムービーを撮るにはもっとも重要だと感じました。

暗い環境では綺麗に撮れない

上記のミルククラウンのスローモーション撮影時には、実は上記のようにすぐ近くに他のスマホのフラッシュライトを利用して、強い光を当てながら撮影をしています。

デジタルカメラ・一眼レフ、あるいはスマホのマニュアルモードを使ったことのある人なら分かると思いますが、「1秒に960コマの写真を撮る」ということは、1枚あたりのシャッタースピード(露出時間)が非常に短くなるため、光量が足りない環境では真っ黒の動画になってしまいます。

通常のルームライト・照明下程度の明るさではISOが高くなりすぎ、非常にノイズが目立ちます。

まず、下の画像は撮影ボックス内で強いLEDのライトを当てた状態の画面です。

このくらいの明るさがあれば問題ないのですが・・・続いて、LEDライトを切って、以下のような明るさに変えてみます。


撮影ボックスの外から入り込む、普通の室内照明の明るさです。影になっているものの、この状態でも普通のスマホカメラ写真であれば明るさ調整によって綺麗な写真を撮ることが出来ます。

しかし、スーパースローモードでは、以下のような真っ暗の画質になっていまします。


なんとなく砂時計があることはわかると思いますが、強い照明・光源のない暗い場所では、スーパースローモードは使い物になりません

スーパースローモーションで面白いムービーを撮りたいのなら、まずは明るい環境で撮れる場所・照明を用意する必要がある点に注意して下さい。

画質はHDしか選べない

最新のXperiaシリーズでは最大で4K(2,160×3,840ピクセル)の高画質でムービーを撮ることが出来ます。しかし、スーパースローモードに切りかえるとHD画質(720×1,280ピクセル)まで落ちます

スマホ上の小さな画面で見ているだけならばHD画質でもそれほど気になりませんが、パソコンの大画面・Xperia XZ Premiumの4Kディスプレイで見ると、ちょっと画質の粗さを感じてしまいました

せっかく高画質のディスプレイであるSO-04Jでも、スーパースローを再生するときにはその実力を発揮することが出来ていません。

一般的なYoutubeなどの動画ストリーミングサービス向け・SNSで共有する程度でしたらHD画質でも十分でしょう。スーパースローの画質に過度な期待をしなければ大丈夫だと思います。

2017年モデルであったXperia XZ Premiumでは上述の通りHD画質しか選べませんでしたが、2018年モデルのXperia XZ2シリーズでは機能向上ににより、フルHD画質を選べるようになりました。

フルHDを選択するとスローに出来る時間が短くなりますが、画面に広い範囲が写り、シャッターチャンスを捉えやすくなりました。

HD設定時 フルHD設定時
   

上記は同じ位置からHD画質・フルHD画質に切り替えてみた場合の画角です。写っているおもちゃの大きさが異なることが分かるでしょうか。

HD画質設定時のほうが対象が大きく写って見えますが、これはデジタルズーム的な拡大であり、画質も低くなってしまっており、微細な描写でスーパースローモーションを取りたいのならフルHDに対応したXZ2シリーズがオススメです。

ドコモモデル Xperia XZ2 SO-03Kのレビューについては以下の記事を参照ください。

スローモーションモードでは狭い範囲しか写らない

Xperiaシリーズのメインカメラは、通常の写真では広い範囲の風景を1枚の写真に撮れる広角なレンズを使っていますが、スーパースローモードに切り替えると、カメラ正面のごく一部のみを切り出してムービーを撮ることになります。

通常のカメラモードでは上記のようにたくさんのマス目が1枚の写真に入ります。ここで動画モードに切り替えてみましょう。

写真モードに比べて、スマホ画面に写っている1つ1つのマスが大きくなった様子が分かるでしょうか。上記の例だと、カメラモードでは横幅が19センチ→動画モードで14センチ分に狭まっています。

そして、スーパースローモードに切り替えると、こうなります。


写っているマス目は横幅はおよそ9センチ分になり、通常写真モードに比べてスーパースローモードでは半分以下のエリアしか写っていない(面積比で言えば1/4以下)ことになります。要は、スーパースローモードではズームアップしたような画角で撮影をすることになるということです。

もちろん撮影する対象からその分だけ距離を取れば、目的の範囲をスーパースローモードで写すことが出来ますが、画質はHDになりますので、小さな対象物の動きを捉えるのは難しくなります。

まとめ

今回はあえて気になった点・物足りない点ばかりを列挙してみました。モバイル端末に詰め込める性能には限界があることは理解していますが、欲を言えば上記で挙げた「画質の低下」・「スロー撮影できる時間の長さ」・「写す事のできる画角」を、もっと性能アップをしてくれると嬉しいですね。今回利用したのは大画面モデルのXperia XZ Premiumだったので、ディスプレイの綺麗さに対する画質の低さが気になってしまいました。

2017年夏モデル以降(Xperia XZs, Premium, XZ1シリーズ)で利用できるようになったスーパースロー撮影で気になったのはだいたい上記のような点です。他のスマホ・古いスマホでは撮影できないユニークなムービー撮影が出来る面白い機能であることは間違いないでしょう。

スーパースロー撮影はXperiaスマホの一つのユニークな目玉機能であり、スーパースローモーションを試してみたい!という方は、ドコモでは4.6インチ(SO-02K)・5.2インチ(SO-01K,SO-03J)・5.5インチ(SO-04J)の3サイズを取り扱い、どの最新Xperiaを選んでもスーパースロ撮影が出来ます。好みのサイズに合わせて、最新モデルのスマホへ機種変更してみてください。

ドコモのスマホ3種類の主な違いは以下の記事で解説していますので、併せて参照ください。

☆「Snapdragon835搭載 Xperia XZ1シリーズ+Premium 異なる3サイズモデルを選ぶポイント

2018年モデルはスーパースローの画質アップ

本記事では2017年夏モデル(ROSSOは秋モデル)として発売されたXperia XZ Premium SO-04Jの実機を用いてスーパースローモーションの機能テストを行いましたが、2018年、次世代機が登場しました。

上記の写真では左からXperia XZ2 Premium, Xperia XZ2, Xperia XZ2 Compactの3機種において、スーパースローモーション撮影がフルHD画質で保存できるようにカメラ性能がアップグレードされました。これは非常に大きな進化です。

特に7-8月頃に発売が予定される最上位機種 Xperia XZ2 Premium(ドコモ・auにて取り扱い予定)はソニー初の2眼レンズ方式を採用しています。動画撮影においてはより高感度な暗所撮影ができるようにもなっており、カメラにこだわりのあるユーザーは2017年モデルよりも進化した「XZ2シリーズ」の検討をしてみてはいかがでしょう。

*当サイトでも各機種の発売日以降、実機を入手してテストを予定しています。興味のある方は後日の記事投稿をお待ち頂ければと思います。

docomoのXperiaシリーズの最新モデルの機種変更予約・注文は公式オンラインサイトで受付中です。詳しい手続き・購入の方法は以下の解説ページを参照下さい。

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2017年XperiaXZ1シリーズ新機能 960fpsスローモーション撮影の難点・惜しいところをレビュー