—最新のiPhoneを半額の負担で購入できる
こんな魅力的なフレーズでPRを始めた2017年の携帯電話業界の新しいiPhoneの売り方が広がっています。しかし、本当に安いのかどうか、パッとキャンペーンの内容を見ただけでは判断が難しい複雑なシステムになっており、加入すべきか否か迷っている人もいるはず。
ソフトバンクの「半額サポート for iPhone」、KDDIの「アップグレードプログラム(EX/a)」、そしてドコモの「機種変更応援プログラム(プラス)」、この3つは似ているようで、重大な部分が違っているポイントもあります。
ここでは3キャリアの提供するiPhoneを半額で使えるという各社のオプションサービスと、そもそも「半額で使えるということ自体がお得かどうか」という点に絞って過去のiPhone価格の変動から加入するメリットがどれほどあるのかを解説します。
先に簡単に(管理人の考える)結論を書いておきますと、「iPhoneの半額購入システムに価値がないとは言わないが、手間を惜しまないならもっとオトクに・便利に・自由に安くiPhoneを使う方法もありえる」ということになります。
どうしてこのような結論になるのか、過去の事例を使って詳しく解説しましょう。
説明を聞くより自分で公式サイトの情報を先に確認したいという人は各社の公式HPの解説ページ以下より参照ください。
☆「au Online shopでiPhoneのキャンペーンをみる」
☆「ソフトバンクのiPhone用キャンペーンをみる」
☆「ドコモのiPhone 8/8 Plusの価格・キャンペーンをみる」
3社のiPhone半額プログラム比較リスト
まず細かい特徴を分析する前に、3社のiPhone半額サポートの違いをざっと見るためにサービスの主要な点をピックアップして比較してみましょう。
プログラム名 | 【au】 アップグレードプログラムEX | 【au】 アップグレードプログラムEX(a) | 【au】 アップグレードプログラム(a) | 【SB】 半額サポートfor iPhone | 【SB】 半額サポートfor iPhone(1年オプション) | 【ドコモ】 機種変更応援プログラムプラス |
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プログラム料金 | 月額390円 最大2年9360円 | 月額390円 (2017/12/31まで無料) | 無料 | 無料 | 無料 (+半額の分割支払い) | 無料 |
対象機種 | iPhone/Android | iPhoneのみ | iPhone8以降のみ | iPhone8以降のみ | iPhone8以降のみ | iPhone8/8+ |
指定加入プラン | 新料金プラン | 新料金プラン | スーパーカケホ(a)+ データ定額5GB以上 | 各種パケットプラン (1GBも可)、子回線不可 | 各種パケットプラン (1GBも可)、子回線不可 | 各種パケットプラン (子回線も可) |
本体分割回数 | 48回 | 24回 | 24回 | 48回 | 48回 | 指定なし (一括払いも可) |
月額割引 | 毎月割不可 | 毎月割不可 | 毎月割不可 | 月月割併用可 | 月月割併用可 | 月サポ併用可 |
残債最大免除 | 最大24回分 (半額相当) | 最大12回分 (半額相当) | 最大12回分 (半額相当) | 最大24回分 (半額相当) | 最大24回分 (半額相当) | 無し (最大4万P還元) |
最短適用のタイミング | 25ヶ月目以降 (前倒し13ヶ月目~) | 13ヶ月目以降 | 13ヶ月目以降 | 25ヶ月目以降 | 13ヶ月目以降 | 13ヶ月目以降 |
端末の返却 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
返却端末の不具合時 | 2万円負担 | 2万円負担 | 2万円負担 | 2万円負担 | 2万円負担 | 無し (利用不可) |
次回のプログラム継続加入 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 縛り無し |
重要なところだけを抜き出して表を作ってみましたが、いかがでしょうか。似ている部分もたくさんあるのですが、シンプルな比較が成り立たないほど根本的な違いがあり、複雑でもあります。
プログラムの詳細は各社のサービス解説を読んでいただくとして、ここでは「半額の割引(残債免除)が端末返却という条件でお得かどうか」をメインに考えていきます。
3キャリアの残債免除額比較
さきほどの表でも出てきたように、auとソフトバンクでは24回または48回に機種代金を分割しておき、次の機種変更時にまだ支払いが終わっていない残債(最大半額相当)を免除するというものです。一方でdocomoの機種変更応援プログラムプラスでは機種代金は通常通りかかり、ポイントでの還元になります。
機種別の代金と最大(最短乗り換え時のタイミングで活用)の免除額をiPhone8の64GBモデルで比べてみると、以下のようになるはずです。
種別 | 機種定価 | 【A】 端末支払額 |
【B】 料金 |
【C】 還元額 |
【A+B-C】 負担代金 |
au UPG EX | 91,440円 | 45,720円 (24ヶ月) |
9,360円 | 0円 | 55,080円 |
au UPG EX(a) | 91,440円 | 45,720円 (12ヶ月) |
無料 | 0円 | 45,720円 |
au UPG(a) | 91,440円 | 45,720円 (12ヶ月) |
無料 | 0円 | 45,720円 |
SB 半額サポ | 94,320円 | 13,440円 (24ヶ月) |
無料 | 0円 | 13,440円 |
SB 半額サポ(1年) | 94,320円 | 30,300円 (24ヶ月) |
無料 | 0円 | 30,300円 |
d 機変応援PP | 88,776円 | 60,264円 (12ヶ月) |
無料 | 4万円P | 20,264円 |
アップグレードプログラム=UPGP(UpGrade Program)の略です。アップグレードプログラムEx(a)の利用料金無料は2017年12月31日まで。
SB,docomoの場合は機種変更向けの月月割・月々サポートを適用した場合の負担額とし、それ以外のキャンペーン/割引は考慮に入れていません。
こうして実際の機種代負担額(A+B-C)を比べるとauの負担額が大きく見えますが、auでは基本料金が1回線だけの契約でも他社より安い「ピタットプラン」の活用・アップグレードプログラム/新プラン加入時のみに適用出来る各種割引があるので、上記の表だけでは負担額は計算しきれません。
料金プランを含めて計算すると1回線だけで使う場合・インターネット回線とのセット割引・家族での複数回線契約という条件で何万円も違いが出てしまうのでここでは料金シミュレートはやりません。各社の関連サービスも活用した節約・割引を計算したい場合は以下の記事を参照ください。
☆「[ドコモ編] 3キャリアiPhone8をMNPで買うと安いのはどこか?一番安い乗り換えキャンペーンを比較検証」
☆「[au編]3キャリアのiPhone8 MNP契約時に使えるキャンペーン・特典比較」
☆「[ソフトバンク編] 近日公開予定」
旧モデルの下取り差額
さて、au,SBでは最新iPhoneの半額相当(45000円前後)、ドコモでは最大4万円相当のポイント還元として端末を返却するプログラムについて概要はおよそ理解できたと思いますが、本当にその還元が妥当な割引なのか、過去のiPhoneの下取り価格と比較してみましょう。
モデル | 容量 | 【A】 発売時の 実質価格 |
【B】 発売2年後の 下取り価格 |
【C】(A-C) 下取り込み の負担額 |
iPhone 6s Plus |
16GB | 38,880円 | 31,500円 | 7,380円 |
64GB | 51,840円 | 20,340円 | ||
128GB | 64,800円 | 33,300円 | ||
iPhone 6s | 16GB | 25,920円 | 26,568円 | -648円 |
64GB | 38,880円 | 12,312円 | ||
128GB | 51,840円 | 25,272円 | ||
iPhone 6 Plus |
16GB | 24,624円 | 25,000円 | -376円 |
64GB | 36,288円 | 11,288円 | ||
128GB | 57,024円 | 32,024円 | ||
iPhone 6 | 16GB | 11,664円 | 22,000円 | -10,336円 |
64GB | 24,624円 | 2,624円 | ||
128GB | 36,288円 | 14,288円 |
B(発売日から2年後時点での買取額)はそれぞれの時点でドコモ公式で実施されていた当時の「ドコモの下取りプログラム」より。2017年10月時点の各下取りとは異なりますのでご注意ください。
当時と今では各種割引のシステムが違っているところもありますが、買い取り時には16GBモデルでも128GBモデルでも同じ価格になってしまうというキャリアの下取り条件があるため、低容量モデルほど下取り利用時の優位性が増します。
4.7インチモデルと5.5インチモデルにも損得の傾向があり、発売時の販売価格に対してPlusシリーズより無印シリーズの方が下取り査定が割高になっています。逆に言えば、Plusシリーズの評価は低く、キャリアの下取りでは不利に働くことがあるようです。
続いて発売から1年時点(2017年10月)のiPhone 7/ 7 Plusの価格・下取りもチェックしてみましょう。
モデル | 容量 | 【A】 発売時の 実質価格 |
【B】 12ヶ月分の 月サポ適用時負担額 |
【C】 発売1年後の 下取り価格 |
【D】(B-C) 下取り込み の負担額 |
iPhone 7 Plus |
32GB | 40,176円 | 68,364円 | 46,000円 | 22,364円 |
128GB | 51,840円 | 80,028円 | 34,028円 | ||
256GB | 63,504円 | 91,692円 | 45,692円 | ||
iPhone 7 | 32GB | 26,568円 | 54,432円 | 41,000円 | 13,432円 |
128GB | 38,232円 | 66,096円 | 25,096円 | ||
256GB | 49,896円 | 77,760円 | 36,760円 |
*発売時機種変更向けには「春のお取り替え割」という5,184円引きの施策がありましたが、ここではとりかえ割を含まない通常の月サポ分だけで計算(Aの価格)しています。
【B】は12ヶ月分だけ月サポを適用させた場合の負担差額を計算しています(本体定価-発売時の月サポ×12ヶ月相当)。これにより、【C】(下取り込みの負担額)が先程計算したiPhone 8 64GBの負担代金(20,264円)と同じ想定になります。
Dの価格は、2016年9月にiPhone7シリーズを機種変更で購入し、今すぐ2017年10月時点でiPhone7シリーズを下取りに出して機種変更をするというケースになります。
ドコモの機種変更応援プログラムプラスでは、まさにこのような使い方を想定したプログラムになるわけですが・・・iPhone 8 64GBを1年間の利用負担として20,264円を高いと感じるか安いと感じるかは、人それぞれだと思います。
2016年→2017年に掛けてiPhone 7 32GBモデルを使ったときには13,432円相当(家族まとめて割や各種クーポン値引きなどを考慮しない場合)で使えたと考える事ができます。これに比べると、iPhone 8 64GBで2万円ならまだしも、256GBモデルやiPhone 8 Plusになるともっと負担額は高くなるので、Plusシリーズ・256GBモデルになるとメリットが小さくなっていきます。
ただし、機種変更応援プログラムプラスの場合は、将来端末を返却してもしなくてもデメリットは無いため、加入してもしなくてもいいと思います(詳しくは以下のページを参照)。
参照:加入しても大丈夫?ドコモの機種変更応援プログラムプラスをデメリットゼロで活用する考え方
ドコモでは1年~2年経過後のiPhoneの下取りプログラムを比較的優遇しているため、はっきり言って機種変更応援プログラムなんて使わなくても、普通にこれまでどおりの下取りプログラムを使えば十分におトクな運用が出来ると考えていいと思います。
一方のauの場合では、新料金プラン(ピタット/フラットプラン)を適用すると毎月割が適用されないため、月々の負担を抑えたいのなら48分割が出来るアップグレードプログラムへの加入が必要になります。auのアップグレードプログラムと下取りプログラムは、そのシステムだけでなく毎月の支払い・料金プラン側にも違いが出てくるため総合的な判断で利用するかどうかを各自で考える必要があります。この意味で、auのアップグレードプログラムは他社のシステムとは根本的に違うと言えます。
ソフトバンクの場合はauとドコモの半額プログラムの中間のようなシステムであり、ドコモと同様に月額割引(月月割)が使える・プログラムの利用料は無料という一方で、auと同様に次回の購入時にも半額サポートプログラム加入継続が強制となります(→2018年、独占禁止法違反として利用後の再加入が条件から外れ、適用条件が緩和されました)。
auとSBの半額プログラムは縛りが強く、ドコモは縛りが緩い反面で割引がポイントでの還元のみ&最大でも4万円相当にしかならない、という弱さがあります。
また、そもそもキャリアの半額サポートや下取りプログラムを使わず、携帯の買い取りショップ・中古専門店で高くiPhoneを売るという方法もあります。
9月時点での「ゲオモバイル」の査定一例は以下のようになっていました(本体美品中古の場合)。
機種 | au下取り | ゲオの中古査定 価格(キャンペーン適用時) |
iPhone 7 128GB | 20,520円 | 最高 41,000円 (1万円アップ) |
iPhone6s Plus 64GB | 23,760円 | 最高 34,000円(5千円アップ) |
iPhone6s 128GB | 17,280円 | 最高 34,000円(5千円アップ) |
iPhone 6 64GB | 11,880円 | 最高 16,000円(3千円アップ) |
iPhone 5s 64GB | 8,640円 | 最高 12,000円(1千円アップ) |
最新の査定は「ゲオモバイル オンライン査定ページ」を参照ください。ゲオの買い取りアップキャンペーンは2017年11月12日まで。
新しい機種の場合でも古い機種の場合でも、端末の状態が良い場合はキャリアの下取りよりも高く売れるケースはいくらでもあります。端末を大事に扱うのならアップグレードプログラム/半額サポートiPhone/機種変更応援プログラムを使わずに買うほうがオトクでしょう。
結局加入した方が良いのか?
各プログラムを理解し、メリットが感じられたのなら加入すれば良いでしょう。でも、以上の説明を読んでも全くわからない!考えるのも面倒くさい!という人には半額サポート系のプログラムの利用はしないほうが良いでしょう(ドコモの応援プログラムは加入しても追加負担はなく、使わなくてもデメリット・出費ゼロなのでどちらでも良い)。加入しなくても、下取り・白ロム売却をすれば金銭的な差異は少なく、むしろおトクになるケースがあるからです。
au/SBのプログラムは「機種代金の半額相当を免除」という、モデル/容量によって割引特典が増減するので良いですが、ドコモの場合でiPhone8 Plus 256GBを1年後4万円相当のポイントで手放すというのはかなり勿体無いことになりえるので、1年後の相場と照らし合わせて慎重に機種変更応援プログラムを使うか下取りを使うか選びましょう。
最終的な判断をするのは各個人です。半額サポート系のプログラムはどんな場合でも絶対におトク、最高に節約になる魔法のキャンペーンではありませんので、よく考えて契約することをおすすめします。