スマートフォンの処理性能を数字で見ることが出来る有名アプリ「Antutu Benckmark」のバージョンによるスコア比較をするための情報です。

ベンチマークアプリとは、Android・iOSなどのOSを搭載した端末のパフォーマンスを測定するためのアプリです。その中でも有名な「Antutu Benchmark」は2011年に最初のバージョンが公開されてから、10年以上に渡って多くのユーザーがいる最大手の無料アプリです。

Antutuベンチマークアプリでは、基本的にAndroid/iOS/ubuntu/windowsが搭載されている端末であればスマホでもタブレットでも性能を測定することが可能であり、CPU・GPU・メモリ・UX(ユーザーエクスペリエンス)の各項目でパフォーマンスを測定し、それぞれのスコア・総合スコアでスマホの性能を数値化します。

Antutu Benchmarkアプリで表示されるスコアについては、アプリのバージョンによって測定方法・評価方法が異なる場合があり、異なるアプリのバージョン/異なるOSのスコアは直接比較することは出来ません

2023年10月末時点のAntutuアプリの最新バージョンはAndroid向けは「v10.1.0」、iOS向けは「v10.0.2」です。この「ver10」系の測定スコアは、それ以前に公開されていた「ver9」系統と大きく異なる数字が表示される場合が多く、Antutu Benchmark ver9とver10(およびそれ以前のバージョン)では数字の比較が出来ません。

そこで、Antutu Benchmarkのバージョン10系統とバージョン9系統の両方で測定されたスコアから、異なるバージョンでの換算目安を計算してみました。

*2023年時点でAntutu Benchmark アプリはGoogleストア/Android端末ではリスクアプリとして利用することが通常では出来なくなっています。当サイトでも測定は実験のためだけに利用しており、一般ユーザーの利用は推奨されません。自分で測定したい場合はリスクを良く確認してご利用ください。

参照:https://www.antutu.com/en/ranking/rank1.htm

Antutu ver10ではver 9より大きな数字が出やすい

2023年10月で公開されている ver 10系のスコアと、ver 9系での測定結果をいろいろ比較してみましょう。

Pixel 7 ProのAntutuスコア
(Tensor G2搭載)
Antutu
ver 9の測定結果
Antutu
ver 10の測定結果
総合スコア 788,161 832,438
CPU 204,861 244,502
GPU 304,866 223,861
MEM 128,831 157,051
UX 149,603 207,024

Google Tensor 第2世代チップが搭載されたPixel 7 Proの場合、ベンチマーク総合スコアでは約6%高い数字が出ました。内訳を見ると、CPU/MEM/UXのスコアが上昇した一方で、GPUの評価が大きく下がっている事がわかります。

Galaxy S22 Ultra
のAntutuスコア

(Snapdragon 8 Gen1搭載)
Antutu
ver 9の測定結果
Antutu
ver 10の測定結果
総合スコア 926,896 1,017,973
CPU 217,755 305,069
GPU 408,617 312,522
MEM 146,380 198,808
UX 154,144 201,574

Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1を搭載したGalaxy S22 UltraでもPixel 7 Proの結果とほぼ同様にGPU以外の数字が大きくなり、総合スコアでは10%の差が出ました。

上記の通り、Antutuベンチマークスコアはver 9よりもver 10のほうが大きな数字が出やすい傾向にあります。これはもっと低い性能のスマホ~高性能スマホでも同様ですが、バージョンによる差は機種によって数字にバラツキがあります。バージョン9→バージョン10で測定し直すと約5~20%くらいまで差が出る機種もあります。

傾向として、スコアの差はエントリーモデル~ミドルレンジのほうが大きく最大20~30%くらいの差が出ることもあるようです。

ざっくりとver 9系とver 10系のスコアを目安にしてみると、以下のようになります。

Antutuスコア
(ver.9.x)
搭載CPU/目安 Antutuスコア
(ver 10.x)

Snapdragon 8 Gen3
/2024年の最高峰機種
200万点前後
100万点~120万点前後
Snapdragon 8 Gen 2
/2023年の最高峰機種
140万~160万点
90万点~100万点前後 Snapdragon 8 Gen 1
/2022年の最高峰機種
100万~120万点
70万点~80万点前後 Google Tensor G2
Snapdragon 888

/2021年のハイエンドクラス
80~90万点
60万点~70万点前後 Google Tensor G1
Snapdragon 865

/2020年のハイエンドクラス
70~80万点
50万点~55万点前後 Snapdragon 778・
Snapdragon 855

/2019年のハイエンドクラス
55~60万点
35万点~40万点前後 Snapdragon 765 5G・
Snapdragon 695 5Gの水準

/2021-2023年のミドルクラス
40~45万点
30万点~35万点前後
Snapdragon 690 5G
/2021年のミドルクラス
35~40万点
25万点~30万点前後 Snapdragon 480
/2022年のエントリーモデルクラス
30~40万点

*数字はあくまで目安です。機種・測定端末の環境や状況により数字は前後します。メモリが小さいスマホの場合、同じバージョンのAntutuアプリは動作しない/一部データが欠落することがあります(3Dが動かないため。さらにLiteバージョンはスコアの算出が異なる)。特に端末が発熱するとスコアが落ちる機種も多いため、同一環境で測定した数字以外は信頼できない数字であることも多くあります。

2023年末~2024年のハイエンドモデル向けの最新チップ Snapdragon 8 Gen 3では、Antutuベンチマークスコアは200万点前後まで上昇します。旧バージョンの数字を覚えているユーザーにとっては恐ろしいほど高い性能に感じられますが、ver 9以前のスコア評価とは算出方法が違うことに注意が必要です。

Antutuベンチマークスコア ver10とver9の数字換算・比較目安 同じスマホでも全然違う