2020年夏モデルのスマートフォンのうち、「高コスパモデル」のツートップと言っても過言ではない Xiaomi Redmi Note 9SとHuawei P40 lite E(それぞれ日本向け正規モデル)を両方買って、どちらがオススメできるかガチな評価をお届けします。

Xiaomi Redmi Note 9Sは2020年6月9日発売、Huawei P40 lite Eは2020年6月19日に発売されました。それぞれ本体の定価は税込み2万円台(Redmiは容量/メモリ違いの2種類あり)で販売されている格安スマホです。

価格帯は非常に似ている2台ですが、実際に使ってみるとその性能・機能面にはかなりの隔たりがありました。

ここではディスプレイ・処理性能・カメラ性能・価格・セキュリティ・アプリ・対応周波数などなど、さまざまな観点を実際に使って比較しながら「どちらが優れているか」を評価していきます。

Redmi None 9SとP40 lite E価格の違い

大前提として2機種 Redmi Note 9SとP40 lite Eの価格差を頭に入れてから考察するために、まずは価格の比較を行います。

2020年6月21日時点において、Redmi Note 9SおよびP40 lite Eについて、それぞれ格安SIMサービス(MVNO)では回線とセット契約をすることでスマホ代金の値引き・キャッシュバックなどを実施していることがあります。

キャンペーンによる値引きは後述するとして、まずはそれぞれの本体の定価(メーカーサイトの直販価格・大手量販の市場相場価格)を覚えておきましょう。

モデル メモリ/ストレージ 価格(税込)
Redmi Note 9S 4GB+64GB 24,800円
Redmi Note 9S 6GB+128GB 29,800円
P40 lite E 4GB+64GB 27,280円

Redmi Note 9Sではメモリー(RAM)とストレージ(ROM)が異なる2種類があり、P40 lite Eは1種類のみとなっています(国内向け正規モデル、2020年6月時点)。海外向けモデルは仕様・価格が異なるため、比較時には注意してください。

同じ「4GB/64GB」の仕様で比べる場合、Redmi Note 9SのほうがP40 lite Eより安く設定されています。

一方で、大容量モデルのRedmi Note 9S 6GB+128GBモデルのほうがP40 lite Eより2,520円ほど高くなります。なお、今回比較に用いたのは6GB+128GBモデルのほうです(楽天ビックで値引きクーポンがあったため)。

いずれもスマートフォンとしては価格が安い部類のモデルであり、最新の超ハイスペック5Gスマホの半額以下どころか1/3,1/4以下の価格で買えるスマホです。

価格が安いがゆえに、両機種とも「誰もが満足できる完璧で最強のスマホ」というカテゴリーの製品ではないことも理解した上で、細かい部分をチェックしていきましょう。

Redmi Note 9SとP40 liteのデザインの違い

Redmi Note 9SとP40 lite Eはどちらも大画面スマートフォンです。しかし、その大きさは少し違います。

上記写真左がP40 lite E、右がRedmi Note 9Sです。それぞれディスプレイのサイズは6.39インチと6.67インチであり、Redmi Note 9Sのほうが一回り大きくなっています。

インカメラはどちらもパンチホール型に切り抜かれたディスプレイを採用することで内側に配置されており、P40 lite Eは左側・Redmi Note 9Sは中央に穴が空いています。

数字で比較すると以下の通りです

項目 P40 lite E
6.39インチ
Redmi Note 9S
6.67インチ
縦幅 159.81mm 165.75mm
横幅 76.13mm 76.68mm
厚さ 8.13mm 8.8mm
重さ 176グラム 209グラム

P40 lite Eに比べて、Redmi Note 9Sのほうが縦横厚さ、重量のすべてが大型です。

成人男性の手で持てないほど大きなわけではありませんが、小型・軽量なスマホが好みの人にとっては気になる重さでしょう。Redmi Note 9Sは大型の電池を積んでいるため、重量感がかなりあります。

より小さい、小型なスマホが欲しい人にはP40 lite E(あるいはもっと別のスマホ)をオススメします。

背面カメラの位置も異なっており、Redmi Note 9Sは中央に、P40 lite Eは左側に寄っています。どちらもカメラレンズはボディ面より飛び出ています。

Redmi Note 9SとP40 lite主機能の違い

Redmi Note 9SとP40 lite Eの対応する機能について、主なスマホ機能の仕様・違いを列挙していきます。

項目 P40 lite E Redmi Note 9S
画面解像度 HD+相当
(1560×720)
フルHD+相当
(2400×1080)
防水・防塵機能 非対応 非対応
おサイフケータイ 非対応 非対応
Google Play
非対応 対応
3.5mmイヤホンジャック 対応 対応
テレビ(ワンセグ)
非対応
非対応
ワイヤレス充電
非対応
非対応
5G通信 非対応 非対応
Wi-Fi通信 2.4GHz対応 2.4/5GHz対応
SIMスロット nano SIM×2枚 nano SIM×2枚
外部ストレージ 最大512GB対応
(専用スロット)
最大512GB対応
(専用スロット)
接続端子
micro USB
Type-C USB

細かな違いを挙げていくとまだまだ差はありますが、全体的にRedmi Note 9Sのほうが機能性に優れています。

P40 lite Eの充電・接続端子は昔ながらのmicro USB(USB2.0 Micro B)です。一方でRedmi Note 9Sは裏表のないType-Cとなっています。他機器の充電ケーブル・接続アイテムを使いたい場合には互換性に注意してください。

ただしどちらも日本のスマホで多くが対応している防水防塵・おサイフケータイ(Felica)機能は非対応ですので、防水が絶対に必要・おサイフケータイがないと困るという場合は、どちらも向きませんので気をつけてください。

Redmi Note 9SとP40 liteの処理性能の違い

この部分にRedmi Note 9SとP40 lite Eでは大きな格差があります。

スマホの処理性能を比較するためによく使われる、Antutu Benchmark(ver 8.3)を利用して、それぞれの性能を数値で比較してみます。

Kirin 710F/RAM4GB/ROM 64GBのP40 lite EのAntutuスコアは約16万点でした。


一方、Snapdragon 720G/RAM6GB/ROM128GBのRedmi Note 9Sは27-28万点というハイスコアを記録しています。

【スコア詳細比較】

ver.8.3.7 P40 lite E Redmi Note 9S
SoC Kirin 710F SDM720G
総合スコア 163110 276025
CPU 64479 98430
CPU数学演算 15851 27111
CPU共通アルゴリズム 13122 20550
CPUマルチコア 35506 50769
GPU 26657 71659
Terracotta 非対応 20674
Coastline 9647 21171
Refinery 17010 29814
MEM 37918 52437
RAMアクセス 20651 25381
ROM APP IO 4382 6366
ROMシーケンシャル読み込み 4846 7400
ROMシーケンシャル書き込み 2589 3269
ROMランダムアクセス 5450 10021
UX 34056 53499
データセキュリティ 6596 8860
データ処理 10148 17873
画像処理 5880 8451
ユーザーエクスペリエンス 11432 18315

*ベンチマークの数字は測定ごとに若干の誤差があります。必ずしも数字の高低が性能のすべてを決めるものではありません。

メモリが4GBと6GBモデルという違いがあることを考慮しても、処理性能が高いのはRedmi Note 9Sです。この処理性能の差は主にゲームやアプリを動作させる場合に影響し、重い処理が必要な3Dアニメーションを再生する場合、Redmi Note 9Sのほうがスムーズな場合があります。

電話やメール、SNSや地図アプリなど、そこまで大きな負荷が掛からないアプリならばどちらのスマホでも十分スムーズに動く水準にはありますが、ゲームをある程度快適に遊びたいというのならばRedmi Note 9Sを選ぶことを推奨します。

*ゲーム・アプリが快適に動作するかどうかはアプリとの相性・OS・システム・バージョンによって異なります。個別のアプリが動くかどうか詳しくは各アプリメーカーにお問い合わせください。

2019年~2020年モデルのもっといろんな格安スマホとの性能を比較したデータを見たい方はこちらもどうぞ → Galaxy A41ゲーム性能評価 Helio P65/他社高コスパスマホとAntutuスコア比較

Redmi Note 9SとP40 liteのバッテリーの違い

前項にて「Redmi note 9Sのほうが重い」ことを紹介しました。Redmi Note 9Sの本体重量が大きい理由の一つは、ここにあります。

Redmi Note 9Sの電池容量は5,020mAh、対するP40 lite Eは4,000mAhです。どちらもスマホの電池容量としては大きめです。

メーカー表記の数字では、音楽再生時間としてP40 liteは111時間、Redmi Note 9Sでは147時間が可能としています(メーカーが違うため評価方法が異なる可能性があります)

Redmi Note 9SとP40 liteの認証方法の違い

これは”どちらが優れている”というより、好みの問題が大きいかもしれません。

Redmi Note 9SとP40 lite Eはどちらも指紋認証によるロック解除が可能です。

指紋認証センサーの搭載位置が異なり、Redmi Note 9Sは本体の右側・電源ボタンに内蔵されています。P40 lite Eでは背面のタッチセンサーボタンで解除することになります。

P40 lite Eの背面センサーは中央に位置しているため、利き手によらずスマホを片手で持ち上げたときに、人差し指や中指でロック解除をしやすいでしょう。

Redmi Note 9Sは本体の右側にありますので、右手で持つときは親指・左手で持つときは人差し指などで解除をすると自然なポジションです。

指紋認証センサーの感度・速度についてはいずれもスムーズにロック解除が可能です。パネルオフの状態から点灯・ロック解除完了までの速度はP40 lite Eのほうがワンテンポ速いです(何度試してもP40 liteのほうが先にパネルが点きます)。

Redmi Note 9SとP40 liteのカメラの違い

この2機種はカメラ機能も大きくことなります。

Redmi Note 9Sは4個のレンズがある「クアッドカメラ」、P40 lite Eは3つのレンズがある「トリプルカメラ」。それぞれのレンズは役割が違います。

P40 lite E Redmi Note 9S
メイン 4,800万画素
広角 800万画素
被写体深度カメラ 200万画素
メイン 4,800万画素
超広角  800万画素
マクロ 500万画素
深度センサー 200万画素

メインレンズはどちらも4,800万画素、広角レンズも800万画素、深度センサーを搭載している点も一緒です。

P40 lite Eは「ハイレゾモード」、Redmi Note 9Sでは「48M」モードにすることで、最高画素数の高精細な写真を撮ることが可能です。画素数が同じ(P40 lite Eのセンサーサイズは不明)なので大きな差はありませんが、P40 lite Eのほうがクッキリめでノイズが多め、Redmi Note 9Sのほうが輪郭がぼんやりとしてノイズ少なめの画像処理の傾向があるようです。

物理的に違うのは、Redmi Note 9Sのマクロレンズ(接写)です。

P40 lite Eでピントがあう、最も近い場所で撮影したサンプルが以下のものです。

そして、Redmi Note 9Sでマクロモードにして撮影してみると・・・

マクロ専用のレンズがあるRedmi Note 9Sでは、ここまで近づくことが出来ます。

接写能力を比較するのなら、Redmi Note 9Sのほうが優れています。

しかし、カメラに関しては定評のあるファーウェイも負けていません。

以下の写真は非常に暗い場所に花のサンプルを置いて、夜景モードで撮影した比較です。

極端に光が少ない(暗い場所)の夜景モード撮影ではP40 lite Eのほうが圧倒的に明るく、鮮明な写真が撮れます。Redmi Note 9Sでも一般的な夜景・ライトアップ風景であれば綺麗な写真を撮れますが、ファーウェイスマホの夜景モードは長時間(P40 lite Eでは最大6秒程度)の撮影写真をAIで合成・画像処理する技術によって、三脚無しでも暗所撮影を可能にしています(この機能は比較的新しいファーウェイスマホなら対応しています)。

ただし、P40 lite Eのカメラは上位モデルには及ばず、アップルのiPhone 11 ProのDeep Fusionによるナイトモード・同じファーウェイのP30 Pro HW-02Lの夜景モードで撮れる写真のほうが格段に鮮明です。2万円台のスマホと10万円近いスマホのカメラではレベルが違いすぎますので、過剰な期待をしないほうが良いでしょう。

関連記事:[比較レビュー]iPhone11カメラがiOS13.2アップデートで凄いことに「Deep Fusion」で暗闇写真で劇的画質向上

Redmi Note 9SとP40 liteのアプリの違い

これも大きな違いです。

Xiaomi Redmi Note 9Sについては、一般的なスマホと同じようにGoogle Playに対応しており、さまざまなアプリを自分で追加することが可能です。

一方、ファーウェイは海外での諸事情によりP40 lite EではGoogleモバイルサービスの全般が使えず、Google Playからアプリをダウンロードすることは出来ません

代わりに「Huawei App Gallery」という、ファーウェイ独自のアプリストアからアプリを追加(あるいはapkファイルを直接インストール)することは可能です。

AppGalleryにはLINEアプリ・NAVITIME・TikTokなどの一部人気アプリは配信されています(2020年6月時点)。しかし、Androidスマホの多くで使うことの出来るアプリがすべてAppGalleryにあるわけではなく、特定のアプリを利用したい場合には注意が必要です。

*AppGalleryの対応アプリは今後増えていく可能性はあります。

Redmi Note 9SとP40 liteの対応周波数の違い

Redmi Note 9SとP40 lite EはどちらもSIMフリースマートフォンです。

いずれもDual SIM, Dual VoLTE(DSDV)に対応しており、2つの電話番号を同時に利用可能となっていますが、対応する周波数帯は一部異なります。

【P40 lite Eの対応周波数】
FDD LTE: B1 / 2 / 3 / 5 / 7 / 8 / 18 / 19 / 20
TDD LTE: B38 / 40 / 41 (2540 ~ 2655)
キャリアアグリゲーション対応、auVoLTE対応
WCDMA: B1 / 2 / 5 / 6 / 8 / 19
GSM: 850 / 900 / 1800 / 1900 MHz

【Redmi Note 9Sの対応周波数】
FDD LTE:B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28
TDD LTE:B38/40/41
WCDMA:B1/2/4/5/6/8/19
GSM: B2/3/5/8

基本的にはP40 lite EもRedmi Note 9Sも、ドコモ・au・ソフトバンク各社の通信で使えることを確認しています(各キャリア・通信会社での利用可否はそれぞれの会社にお問い合わせください)。

Redmi Note 9Sは楽天モバイルでも2020年6月のアップデートで正規対応予定とされています(6月20日時点で、APN自動設定・通信・通話などの機能が使えることは確認しています)。

[2万円台スマホ比較レビュー]2020年夏モデル Redmi Note 9SとP40 lite Eを両方買ってみた