2022年新型のiPhoneシリーズで、過去最高の高画質カメラを搭載した iPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Max(+2023年モデルiPhone 15/iPhone 15 Proの作例追加)で月を撮影すると綺麗に撮れるのかどうか、実機作例を紹介します。
2022年9月16日に発売日を迎えたiPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxには、歴代最高の画素数「4800万画素」のメインカメラが搭載されました。2021年モデルのiPhone 13 Proよりも約65%も大きなセンサーを新搭載し、暗い場所でも綺麗に・高画質な写真が撮れるようになったとされています。
従来、iPhoneはAndroidのカメラ機能特化モデルのスマートフォンに比べてズーム性能が低く、「月の撮影/月面模様の撮影」をする場合には、iPhone 13シリーズでもキレイな月を撮るのは困難です。
iPhone 14 Pro/Pro Maxには、焦点距離13mm相当の超広角カメラ・24mmのメインカメラ・77mmの望遠カメラ、合計3つのカメラレンズが搭載されています。これが2022モデルのiPhone 14 Proでどう変わったのか、綺麗に月を撮れるようになったのか、作例を公開します。
(追加)さらに2023年モデルのiPhone 15/15 Proも買ってみました。無印iPhone 15でも4800万画素カメラによる高解像度なズームが可能になり、Proモデルほどではないにせよ月をよりキレイに撮れるようになりました(作例は本記事後半に掲載しています)。
iPhone 14 Proの4800万画素カメラで撮る場合
Apple iPhone 14 Pro/ Pro Maxでは、従来のiPhoneに比べて4倍の高画素「4800万画素」で撮影するモード(Apple ProRAW)が用意されています。
AppleのRAW撮影自体はiPhone 12 Proシリーズから利用できる機能ですが、48MPモードはiPhone 14 Pro/Pro Maxの新機能です。
iPhone 14 ProのRAW 48MPモードで月を撮ると・・・
月のとても明るい光を撮影することは可能です。しかし、4800万画素の高画素でもズーム性能が足りないため、月面の模様は映りませんでした(ズームカメラを使うと48MPにはならない)。
iPhone 14 Proの高画素モードは「明るい風景を広角のまま高画素で切り取ること」に特化した機能であるため、ズーム性能が求められる月面模様の撮影に48MPモードは向きません。”月を含めた風景撮影”であればそれなりに効果を発揮するはずです。
高画素モードの使い方・利用方法については下記を参照ください。
iPhone 14 Proで月を綺麗に撮る方法
前項ではiPhone 14 Proだけの新機能として「4800万画素モード」で撮影してみましたが、高画素モードで月の模様が撮影できないのは想定通りです。月の模様を撮影するにはズーム性能が物を言います。
iPhone 14 Proのメインカメラは光を取り込むためのセンサーが大きくなったため、月を含めた夜空を綺麗に撮ることなら可能です。
(実際にiPhone 14 Proで撮影した夜空)
iPhone 14 Proで月を含む空を撮影すると、月が明るすぎて強い光の筋が出来ます。一方で、HDR(ハイダイナミックレンジ)により月の周りにある星もたくさん撮影することが可能で、肉眼で見える星座・星団を一緒に撮影することが出来ます。オート撮影で、かんたんに夜空を綺麗に撮影可能です。
また、iPhone 14 Pro/Pro Maxのズームカメラは77mm相当(標準カメラに比べて光学3倍相当)のズーム性能、デジタルズーム併用で最大15倍のズームが出来ます。
iPhone 14 Proの15倍ズームで月を撮影すると・・・
iPhone 14 Proで月をズーム撮影すると、白い点にしかなりませんでした。これはズーム性能が足りないだけではなく、iPhone では月の撮影に適した設定が出来ないことが原因だと考えられます。
iPhone 14 Proのズームレンズを月に向けると、オート撮影だとシャッタースピードが長すぎる/ISO(感度)を高く設定しすぎてしまって、月が強く光りすぎて月面模様が消えてしまいます。
夕方(空が明るめの時間)に見える月なら模様も見える
太陽が完全に落ちたあとの夜空に浮かぶ月を撮影すると、前項のとおり明るさ調整が上手くいかず、真っ白な点になってしまう場合が多いのがiPhoneのカメラと特徴です。
一方で、空が比較的明るい時間帯に見える月を撮る場合、月の明るさと背景の明暗コントラストが小さいため、iPhoneの純正カメラアプリでもなんとか月面模様っぽいものが見える場合があります。
上記はiPhone 14 Proの標準カメラで、最大まで明るさを下げて撮影した三日月です。模様がきれいに見えるとは言い難いものの、場所によって明暗があることくらいは分かります。
無料アプリを使って明るさ調整をした場合
続いて、iPhoneの純正アプリでは出来ない”明るさのマニュアル調整”が出来るAdobe Photoshop Lightroomを利用して、iPhone 14 Proで月を撮ってみました。
上記はシャッタースピード1/200秒(0.005秒)・ISOを25に固定、望遠レンズで撮影した写真をさらに微調整したものです。iPhone 14 Proの光学3倍望遠レンズの実力を引き出せば、ここまで撮ることが出来ます。
iPhone 14 Proで撮影した満月の場合はこんな感じです。
*Adobe Lightroom iOSアプリの基本機能はアカウント登録をすれば無料で使うことが出来ます。
参照:https://www.adobe.com/jp/products/photoshop-lightroom/mobile.html
iPhone 15/15 Proで月を綺麗に撮る方法
続いて、2023年モデルのiPhone 15およびiPhone 15 Proでも撮影してみました。
iPhone 15シリーズの場合、5倍相当の光学望遠レンズを搭載したiPhone 15 Pro Maxもありますが、今回は光学3倍のiPhone 15 Proと、ズームレンズは搭載していないiPhone 15でどれくらいの月が撮れるのか試してみました。
まずはiPhone 15の場合、標準アプリでは引き続き明るすぎて「白い丸」にしかならないパターンが多くなりますが、稀に明るさをもっとも下げた状態で月の模様が映ることもあります。
ややノイズが大きく、画像の加工感がありますがズームレンズのないiPhone 15でもここまで撮れるようになりました。
そしてiPhone 15 Proの場合、「Pro RAW」モードをオンにして撮影したのちに写真アプリで調整(明るさを下げる)ことで、社外アプリ無しで月の模様が見えるようになりました。
Rawモードで撮影する場合でも明るさが調整が難しい(明るすぎる)ため、微細な描写は失われてしまっていますが、模様はそこそこ見える状態です。
iPhoneのみで月を最高に綺麗な状態で撮りたいのなら、2023年モデルiPhone 15 Pro Maxを買えば上記よりさらにキレイに撮れるはずです。
関連記事:予約なしでiPhone 15 Pro Maxを買う方法・在庫のあるショップ
他社の高性能ズームスマホの場合(2022年モデル)
他社の月面模様が撮れるカメラなら・・・
上記は2022年モデルスマートフォンのGoogle Pixel 7 Proで撮影した月です。はっきり言って、ズーム性能と月を撮影するためのカメラアプリの機能という点では、iPhone 14 Proでも他のハイエンド/高性能望遠カメラ搭載Androidスマホにはまだまだ遠く及びません。月面模様を撮りたいなら、より高倍率のズームレンズを搭載したスマホの購入検討をオススメします。
ただ、iPhone 14 Proで月面模様が全く撮れないということもありません。
iPhone 14 Proの動画モードでも月模様が見える
前述の通り、iPhone 14 Proのズームスペックがあれば、月の模様を撮ることが出来てもよいはずなのですが、Appleの方針なのか「月撮影モード」のような設定がなく、マニュアルでシャッタースピード/ISOを指定できないiPhone 14 Proの純正カメラアプリでは月面模様が映りません。
一方で、iPhone 14 Proの動画モードで撮影すると1フレームあたりの光の取り込み量が写真モードに比べて小さく出来るため、ズーム動画で月を撮れば月面模様が映ります。
上記がiPhone 14 Proで撮影した動画から切り取った写真です。くっきりはっきり、とは言い難いですが、動画モードならiPhone 14 Proでも月の模様が見えます。
また、「月の撮影」は難しいiPhone 14 Proでも、ズーム性能を必要としない”星空”の撮影なら、センサーが大きいiPhone 14 Proは有利です。
ナイトモードを使って夜空を撮れば、三脚なしの手持ち状態でもたくさんの星を撮影可能です。
iPhone 14/iPhone 14 Plusには望遠カメラがないため、iPhoneで月を撮って楽しみたいのならiPhone 14 Pro/Pro Maxを選ぶ価値があります(とても綺麗に撮りたいのなら、Pixelシリーズの星空撮影モードの利用をオススメします)。
楽天モバイルなら携帯会社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天)最安でiPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxを購入できます(2022年9月17日時点)。
もっともっとキレイにiPhoneで月を撮りたいなら
上記で解説したとおり、iPhoneで月を綺麗に撮影したい場合は、
・ズーム性能が高い新しいiPhone Pro/Pro Maxモデルを使う
・マニュアル調整が出来るアプリを使う
・動画モードから写真を切り出す
という方法がありますが、ズームレンズの性能がそこまで高くないiPhoneでは「月面の模様をくっきり・はっきり」と撮影することはまず不可能です。
iPhoneでもワンランク高い月の写真を撮ってみたいというのなら、物理的に望遠レンズを追加するという方法があります。
筆者の場合は、上記の「単眼鏡」(双眼鏡のレンズ1個バージョン)と呼ばれる、小さな望遠鏡のような機器を使っています(詳細はこちら)。
この望遠レンズを専用のスマホ固定ホルダー+三脚に載せることで、光学ズーム倍率を何倍にも底上げすることが可能です。
筆者が持っている単眼鏡は結構ガチなアイテム(日本では販売されておらず、USAから個人輸入して現在約6万円くらい)なので”お試しで使ってみたい”というには手を出しづらい価格かもしれませんが・・・
iPhoneと組み合わると、このような写真が撮れます
↓↓↓
単眼鏡(フィールドスコープなどとも呼ばれる)は通常の天体望遠鏡よりもコンパクトで持ち運びがしやすいため、スマホ・iPhoneとの組合せで撮影の幅を広げることが出来るはずです。
高倍率・高品質な単眼鏡はとても高価なものも多いですが、安価な製品なら数千円程度で買えるものもあるため、興味のある人はスマホ用のズームレンズを買ってみると、iPhoneでもっときれいな月面撮影が楽しめるはずです。