最近、格安SIMの新規顧客獲得キャンペーンが激化しており、「初月無料」や「半年間割引」といった一時的に適用される優遇キャンペーンが目立つようになってきました。このような「期間限定で値引きされている金額」がPRされすぎ、割引適用時と割引終了後の通常料金が複雑化しているように感じます。

一時的な割引額を見せて、いかにもおトクに見せる手法は今に始まったことではありませんが、そうでもしないと生き残れない格安スマホ業界の競争激化の影響を受けて、利用者にとって料金プラン体系を理解しづらいものになってきている節があります。”特典適用時期だけの限定的な安さ”というトラップに引っかからないよう、賢くキャンペーンを渡り歩いて節約をおこないましょう。

2018年9月1日より格安スマホ/格安SIMサービスのワイモバイルおよびUQモバイルが従来の価格のまま、基本プランで使えるデータ容量を2倍にアップさせるという大きな変更を発表し、利用者にとって魅力的な改定を行って話題になっています。

ワイモバイル・UQモバイルはそれぞれKDDIとソフトバンクの傘下であるため、他のMVNOに比べて質の高いサービス・回線の提供を行っており、特にその通信速度の安定性は圧倒的な状況にあります。

一方で、キャリアから回線を借りて提供を行う多くのMVNOによる格安SIMサービスの場合は、新規顧客獲得のためにさまざまなキャンペーンを出して、スタート時の負担を軽減・低価格でたくさんのデータ通信が出来るプランの提供をおこなっています。

2018年8月時点で実施されているキャンペーンの例では、契約から数ヶ月のあいだ、月額料金が大きく値引きされてほんの数百円で使えるサービスまで存在します。しかし、これは逆に言えば数ヶ月で割引は終了して、その後は通常価格に戻るという条件が裏に隠れていることを良く理解していないと、「最初の料金は安かったのに途中から料金が上がった・サービス内容が減った」ということになりかねません。

ワイモバイルやUQモバイルにも一時的な割引がありますが、基本データ容量を一気に倍増させるといった強攻策はなかなか他のMVNOにはマネできない変更のようです。

そのかわりに格安SIMサービスの場合は「一定期間だけの優遇」が多く見られますので、しっかりと内容を理解してから契約することが重要です。値引き・データ容量増量・キャッシュバックは確かにお得なキャンペーンになりますが、お得な期間が終了したら次のサービスに乗り換える・解約をするという節約テクニックを考えながら格安運用のスケジュールを立てましょう。

*以下でまとめた期間限定の値引き・優遇情報は記事記載時点の提供条件・実施条件に基づき記載しています。提供条件は延長・打ち切り・変更がされることがありますので、必ず最新情報・詳細条件を公式HPで確認してから契約を行って下さい。

ワイモバイルの場合


ワイモバイルの料金表示では、契約の1年目に適用される「ワンキュッパ割」が含まれています。

加入翌月から12ヵ月間基本使用料が1,000円割引となるキャンペーン

主要なスマホ向けプラン(S/M/L)ならば新規契約時にワンキュッパ割を適用することが出来ますが、2年目以降は1年目に比べて1,100円の料金アップとなることを理解する必要があります。

ワイモバイルの音声SIM契約は通常2年の定期契約であり、料金アップの終了と同時に解約してしまうと違約金が発生するケースがあり、注意が必要となります。

ワイモバイルでは新規契約から2年間の間、スマホ向けプランのデータ通信容量が2年間無料で2倍(2018年9月1日から改定予定)になる、オプションキャンペーンがあります。

新規契約の場合:容量2倍月額料(500円)24ヵ月無料(契約の翌月から)
機種変更の場合:容量2倍月額料(500円)最大25ヵ月無料(機変した月を含む)

機種変更をせずに3年目以降を迎えるとデータ容量が2/3に減る(2018年9月以降)、またはオプション料金500円が掛かることになる点に注意してください。

データ容量2倍オプション無料キャンペーンはちょうど更新月まで継続します。条件を維持していれば2年縛りの終了まで容量が減ることはなく、対象機種へ機種変更を行えば、引き続き同じ料金でデータの増量特典を受け続けることが出来るお得さがあります。

ワイモバイルではSIMカード単体での契約でも新規契約・MNP(2年契約)時には月額料金の割引があります。スマホプランS時には月額400円×24回、M/Lプランでは600円×24回の割引が適用されます。

このSIMカード契約特別割引も3年目以降を迎えると終了して、月々の支払額が400円・600円増加することになります。

公式HP:「ワイモバイル

UQモバイルの場合


UQ mobileの割引システムはほぼワイモバイルと同様になっており、おしゃべり/ぴったりプランのS/M/Lそれぞれのスマートフォン用プランを契約すると、1年間1000円引きが適用されます。上記のイラストでも判るように、14ヶ月目以降は料金が1000円アップすることになります。

一方でスマトク割と長期利用割引については定期契約を続けている間はずっと適用され続けます(これもワイモバイルと同様)。

データ容量の倍増オプション無料では、最初の2年間は無料ですが3年目以降は500円に値上がりします。

なお、2018年9月1日・2018年12月1日より増量オプション無料キャンペーンは改定され、2018年8月時点の基本データ容量に対して、キャンペーン期間中は3倍(プランに応じて最大3GB・9GB・21GB)にアップされる予定です。

関連記事:UQモバイルが価格破壊を開始 12月からデータ容量2倍・価格据え置き月額1480円~


UQモバイルでは新規・MNP契約時にプランS~Lに加入すると最大で13,000円の現金キャッシュバックを行うキャンペーンを実施しています(2018年8月時点)。

このキャッシュバックは1回線につき1度きりの特典となっており、毎年貰う・契約更新毎に貰うことは出来ません(番号が変わっても良いなら解約→再契約時には適用されますが、頻度高く契約・解約を行うと一時的に対象外に(いわゆるBL状態に)なる)。

mineoの場合

mineoでは2018年9月からドコモ・auに加えてソフトバンクの3キャリアのネットワークを網羅したMVNOになることを記念し、2018年7月24日~2018年11月6日までの期間に、音声通話付きの回線を契約した場合、すべてのプランで6ヶ月間割引が適用される「333キャンペーン」が実施中です。

333キャンペーンを使うと、ドコモ・au・ソフトバンクの各デュアル(音声付き)プランが最安月額333円になるように割引額が設定されており、3GBプランならば月額533円で使えてしまうという超お得なキャンペーンです。

しかし、これも逆に言えば一定期間が終了するということであり、ずっと333円で使えるわけではありません。割引終了後の価格は以下のように変更されます。

・au回線(Aプラン):月額333円~→月額1,310円~ (977円値上がり)
・ドコモ回線(Dプラン):月額333円~→月額1400円~(1,067円値上がり)
・SB回線(Sプラン):月額333円~→月額1,750円(1,417円値上がり)

割引の継続期間は最大6ヶ月であるのに対し、mineoでは音声契約から12ヶ月以内に他社へ乗り換えをするとMNP転出手数料が1万円以上掛かる割高設定になっているため、割引終了後すぐに他社へ移動すると高額請求になるトラップがあります。

一方で、mineoではMNP転出ではなく回線の純解約(引続き同じ番号を使わない)のであれば、1年未満の利用時でも短期解約違約金が発生しないという抜け道が用意されていますので、電話番号が変わっても構わない・サブ回線用途であればキャンペーン割引終了と同時に解約してしまっても損にならないというmineoならではの節約術もあります。

たとえば、複数の回線を割引価格で契約してmineoのユニークなサービス「パケットギフト」の機能を駆使し、1つの回線にパケット容量を繰越・すべて集約させる(メイン回線以外は割引終了時に解約でOK)と、わずかな負担で何十GBもの容量を手に入れることが実質上可能です。このあたりがmineoのサービスが他社よりも豊富で面白いところでしょう。


同じくソフトバンク回線の提供を記念し、有料オプションサービスが3ヶ月無料になる「人気オプション 最大3ヶ月無料キャンペーン」が実施されています(現在の実施期間;2018年11月6日まで)。こちらは4ヶ月目以降、以下のように有料課金が発生し始めます。

・mineoでんわ 10分かけ放題:月額0円→月額850円へ有料化
・ウイルスバスター モバイル 月額版 :月額0円 → 月額270円へ有料化
・端末安心保証サービス :月額0円→月額370円へ有料化
・mineo安心パック2:月額0円→月額550円へ有料化

これらの各オプションには最低利用期間はないため、有料化する前にオプション契約を解除することで、無料期間だけをお試しすることが可能です。

mineoでは、すでに契約中のユーザーが発行できる専用の申し込みページを経由して新規契約を行うと、1,000円のアマゾンギフト券が貰える「紹介キャンペーン」を実施しています(現在の実施期間:2018年8月1日~2018年11月6日)。紹介特典を受け取れるのは新規契約をした後およそ3ヶ月後に、1度きりです。

☆「mineo 紹介キャンペーン(こちらからの申し込みでギフト券が貰えます)

IIJmioの場合

IIJでも最初だけおトクなキャンペーンがたくさんあります。

2018年10月3日まで実施されている「IIJ夏祭り データ2倍キャンペーン」では3種類の特典、補償サービスなどに期間限定の割引施策があります。

期間限定の特典 対象契約種別* 特典終了後の扱い
初期費用 1円 すべてのプラン
データ容量2倍
(6ヶ月間)
全プラン 使える容量半減
6GB→3GB
12GB→6GB
24GB→12GB
600円割引
(6ヶ月間)
音声SIMプラン
(みおふぉん)
600円値上がり
端末補償オプション
(2ヶ月)
サプライサービス利用時 月額380円~
(機種により異なる)

*エコプラン、コミコミプランなど、一部キャンペーン対象外のコースがあります。

なお、この他IIJの光インターネットサービス「IIJmioひかり(またはBicひかり)」とのセットサービス「mio割」は、適用条件を満たしている限り継続します。

DMM mobileの場合


DMMでは2018年8月1日~8月31日15時までの期間、DMMの創業20周年を記念してDMMサービス内の各種料金を半額・50%オフにする総合キャンペーンを実施しており、どの一環としてDMM mobileでは基本料金・初期費用を期間限定で割引しています。

DMM mobileの半額キャンペーンは、データプラン・音声プランの1GBプランから20GBプランまで、すべて一律で基本料金が最大6ヶ月間半額になります。

データSIMの場合は最低利用期間はありませんので、割引終了と同時に解約しても違約金は発生しません。

DMMモバイル以外では、電子書籍・動画サービス・通販・レンタルサービスなど、数々の半額キャンペーンがあります。

*DMMモバイルは楽天モバイルに吸収され、新規加入は打ち切られました。

BIGLOBEモバイルの場合

ビッグローブの格安スマホサービスでも2018年9月30日までの期間に契約すると、期間限定で終了する値引きキャンペーンを実施しています。

セレクトプラン(タイプD, SIMカードのみ契約)で3GB以上の音声SIMを新規契約すると、3/6/12/20/30GBの各種容量プランで一律値引き×6ヶ月割引が適用されるため、7ヶ月目から標準価格へ負担増となります。

LINEモバイルの場合

LINEモバイルでは2018年8月31日までの期間、7月に開始されたソフトバンク回線のサービス提供を記念して「スマホ代がスリーコイン」キャンペーンを実施しています。


音声プランが月額330円から利用できる格安料金になりますが、割引されるのは6ヶ月間のみとなります。

*LINEモバイルのサービス受付は2021年3月末を以て終了しました。

基本料金割引キャンペーン適用は音声SIMのみとなり、LINEモバイルでは最低利用期間が「利用開始日の翌月を1ヶ月目として12ヶ月末日まで」となり、短期解約違約金は高額となるため、注意が必要です。

割引期間と縛りの関係一覧表

上記で紹介した各種サービスの割引・特典期間と、最低利用期間による縛りの関係性を簡単な一覧表にしてみました。「割引期間だけ使いたい」、「割引終了後の最低利用期間が来たらすぐに解約・次のサービスへ転出したい」という場合の参考にどうぞ。

サービス 割引・特典種別(期間) 最低利用期間*
UQモバイル イチキュッパ割(12ヶ月) 2年
データ容量2倍
(最大25ヶ月)
2年
ワイモバイル ワンキュッパ割(12ヶ月) 2年
データ容量2倍
(24ヶ月/25ヶ月)
2年
mineo 333キャンペーン
(6ヶ月)
12ヶ月
(純解約は縛り無し)
人気オプション無料
(3ヶ月)
縛り無し
紹介キャンペーン 3ヶ月目末に付与
IIJmio データ容量2倍
(6ヶ月)
12ヶ月
(データSIMは縛り無し)
月額600円割引
(6ヶ月)
12ヶ月
端末補償オプション
(2ヶ月)
縛りなし
DMM mobile 基本料金半額
(6ヶ月)
12ヶ月
データSIMは縛り無し
BIGLOBEモバイル 1,200円値引き
(6ヶ月)
12ヶ月
LINEモバイル 900円値引き
(6ヶ月)
12ヶ月
データ容量2倍
(7/8月のみ)
12ヶ月
データSIMは縛り無し

*契約期間のカウントは契約した月を含めるもの、翌月から数えるサービスなど様々であるため、各自で更新月・最低利用期間の確認を行って下さい。

以上、それぞれのキャンペーンは確かにお得にスマホ料金を節約できるチャンスではありますが、広告で大きくアピールされている値引き後の月額料金・特典がずっと続くものではない、ということをよく理解して、上手く格安スマホサービスの契約特典を最大限に活用しましょう。

スマホ代が途中から高くなる&使える容量が減る?格安SIM料金のトラップ「期間限定」に注意