2023年3月29日より受付が始まったKDDIの新サービス「副回線サービス」を実際に申込み・契約・設定、そして利用してみましたので、メリット・デメリット、どんなことに使えるのか、どんな意味があるのか徹底解説します。

現代においてスマートフォンは単なる「携帯できる電話」の域を超え、日常生活において必要不可欠なデバイスとなり、「スマホが使えない状態」が一時的にでも生じることは大きな損失となりかねないほど、ありとあらゆる場面でスマホを活用している人が大多数です。

一方で、災害による通信障害や携帯通信会社の不備による制御不可能・予想不能な通信の大規模障害が実際に起きており、重大な機会損失に対して「スマホの副回線」を契約・準備しておく重要性が見直されています。

日本においては2018年に発売されたApple iPhoneシリーズである「iPhone XS/iPhone XR」以降に発売されているすべてのiPhoneは副回線が利用できる「デュアルSIM」(nano SIM+eSIM)に対応できる機能を備えています。

通信トラブル発生時に通信回線を切り替えて使える「副回線サービス」は、au・UQモバイルユーザーならかんたんに申し込み・契約が出来るようになっています。それはもう、本当に、マジでかんたんです

これまで「1人で2つも電話番号を持つ/料金を支払う」ことを考えたこともなかった人も、この機会に副回線サービスで通信障害に備えましょう。

au/UQ 副回線サービスの利用条件

まず、au・UQ mobileで副回線サービスは、au・UQ mobileで音声通話に対応した料金プランを契約しているユーザーが利用できます。

音声通話機能があるプランであれば、基本的にスマートフォン・ケータイでの利用が可能です(動作保証対象外機種、申込不可のプランの例外もあります)。

タブレット・ルーター用のデータ通信専用プランでは副回線サービスは利用不可です。

副回線サービスによる電話番号の追加は、主回線となるau/UQモバイルの料金プラン1回線につき、1回線の副回線を申し込むことが可能です。

未成年の場合は、申込時に親権者の同意が必要となります。

副回線の通信にはソフトバンク 4G/4G LTEが利用されます。3G/5Gサービスは非対応となっています(2023年4月時点)。

副回線サービスの料金プラン

月額料金 429円/月
月間データ容量 500MB
通信速度 最大300kbps
(容量超過時128kbps)
国内通話料 22円/30秒
国内SMS 3.3円/通(全角70文字まで)

2023年4月1日時点で副回線サービスはワンプランのみで、上記以外のオプションやギガ容量追加機能はありません。

au/UQ副回線サービスのメリット

KDDIの副回線サービスを利用するメリットは、「KDDIの契約情報をそのまま利用して簡単に契約できる」という点に尽きます。

 

auの副回線サービスを申し込む場合、一般的な携帯電話番号契約時に必須な本人確認書類の提出・アップロード、支払情報の入力は不要です。申込時に名前・生年月日・住所情報の照会のみで手続きが出来ます(入力内容が一致しないと契約不可の場合あり)。

副回線サービスの料金はau/UQの料金プランと合算して請求されるため、決済回数が増えて把握が難しくなることもありません、

副回線サービスの申込みはオンラインで手続き出来るため、ショップに行く必要もありません。

過去1年以内に副回線の再申し込みをする場合を除き、契約事務手数料・送料等も不要です。

副回線の追加方法も簡単で、同封された設定ガイドを見ながら手続き・操作をすればものの数分で開通できます。一度設定してしまえば、iPhone/スマホの設定画面から回線をすぐ切り替えられます。

一方で、副回線サービスの利用には、他の一般的なスマホサービス・格安SIMプランを副回線として契約する場合に比べたデメリット・注意点もあります。

au/UQ副回線サービスの注意点・デメリット

au/UQ副回線サービスを契約する前に知っておくべき注意点も、実際に使ってみていくつか感じることがありました。

まず第一に、副回線サービスはeSIMを選択しても申込み直後からすぐに使えるものではありません

副回線サービスを利用するためには、ウェブで申し込みをした後に、ソフトバンク回線サービス用のSIMカード配送または「eSIM設定情報書面」の配送を待たなければなりません。

管理人の実体験(UQ mobileの副回線サービス契約)では、

・2023年3月29日ウェブで副回線申込み
・2023年3月31
日 発送
・2023年4月1日受け取り、開通操作

というスケジュールで開通しました。申込日を含めて4日目に利用開始することが出来ました(配送日数は種々の要因で変動します。目安は1週間以内程度とされています)。

通常、eSIMサービスでのスマホ開通であれば申込日当日、最短1時間足らずで使い始めることが出来るため、副回線サービスの開通には通常回線よりやや時間が掛かるといえます。

副回線サービスは「障害が起きてから」申込みをしてもたぶん間に合いません。あくまで「障害に備えて事前に契約しておく」サービスです。

副回線サービスのプラン料金は「契約後、eSIM/SIMカードの利用開始日」から課金されます。実際に「副回線に切り替えて使った」という利用有無に関わらず、月額料金はずっとかかります。

また、副回線サービスの月額料金は日割りにならず、月途中の加入でも1ヶ月分満額が掛かります。

さらに初期設定・開通操作をしない場合も、契約後10日経過時点で自動的に課金が始まります。

au/UQの副回線サービスの通信速度は最大300kbpsです。「Mbps」でも「Gbps」でもありません。通常のスマホの4G/5G最高通信速度に比べて桁違いに低速サービスであるため、常用するものではありません。あくまで障害発生時の緊急回避的回線です。

間違えて通信サービスの利用を主回線から副回線に切り替えてしまうと「スマホのインターネットがすごく遅い・・・」と感じるかもしれません。そのため、au/UQ副回線サービスでは普段は通信設定のオフ(自動切り替えをしない)が推奨されています。

au/UQの本プランで通話のかけ放題サービスに加入していても、副回線での通話は従量課金になるため、発信時の設定にも注意してください。

au/UQモバイルの副回線サービスでは、以下のような手続き時に手数料が発生する場合があります。

手続き 手数料
過去1年以内の副回線再契約 事務手数料 有料
(再契約ではないものは無料)
eSIMの再発行、SIM種別の変更 当面無料

*KDDIの手数料は2023年4月20日より値上げされる見込み。最新情報は提供条件等で確認してください。

SIMカードの再発行が必要となるケースは、

・副回線サービスを利用中のSIMを紛失
・eSIMで機種変更をする
・iPhone↔Androidの機種変更をする場合(それぞれ専用SIMでの利用)

などがあります。再発行には数日が掛かり、その間は副回線を利用できない(切り替え前に停止処理がされる)ため、注意が必要です。

副回線サービスに切り替えると「au→ソフトバンク」のネットワークに切り替わることから、以下のサービスは使えない/使えなくなる場合があります。

・ソフトバンク社のキャリアメール(@softbank.ne.jp)のアドレス取得
・LINE等の年齢認証サービス
・国際ローミング(海外でのご利用)
・国際電話(国内→海外/海外→国内)
・国際SMS(海外→国内)
※国内→海外については、ご利用いただけます。
・着信転送サービス
・災害用伝言板サービス(web171等のサービスをご利用ください)

au・UQの番号から副回線の番号に切り替えている期間、上記のように使えない機能が出てくるため、副回線を普段はオフにしておくことを忘れないようにしましょう。

また、利用する機種によってau→SBの電波(周波数)の一部を使えない端末の場合には、電波が入りづらいエリアも考えられます。ソフトバンクの電波が入りづらいエリアの場合は注意が必要です。

試しに契約してみたけれど副回線サービスを使うメリットを感じない・格安SIMサービスなどを予備にするから副回線サービスが不要になった場合には、副回線サービスを解約する事ができます。

副回線サービスの解約は、専用Webサイトまたはお客さまセンターにて承ります

副回線を解約するには、専用のウェブサイトからメール送信→解約専用のURLページへ誘導されます。ウェブサイトからの解約時には純解約のみとなります。

解約はauでの申込み→ソフトバンクでの手続き情報処理時に時間が掛かるため、申込後すぐに解約する事ができません。月末に申込むと実際の解約は翌日以降になります。

また、副回線の契約状況はau/UQのマイページからは確認することが出来ず、サポートへ問い合わせ無い限り解約手続きがどこまで進んでいるか知る方法がありません(解約完了時にメール通知で確認することは可能)。

au/UQ副回線サービスのコスパ

KDDIの副回線サービスは前述のとおり、「KDDIの契約情報を引き継いで簡単に契約できる」という点を除くと、”2つめの電話番号を使う”という目的だけを考えるとコスパに優れるというわけではありません

au/UQの副回線料金プランは月額429円で、500MB(通信速度制限300kbps)まで使える音声SIMプランです。この料金だけをみると、月額料金0円維持も出来るpovo2.0や一般的な格安SIMの最安値プランのほうが実利用には向いています。povoはauのサービスであるため、主回線がau/UQのユーザーはドコモやソフトバンクに乗り換えて、サブをpovoにするのが良いでしょう。

au系回線以外にも安く維持できるMVNOプランがあります。

例えば、格安SIMサービスの「mineo」には月額250円の新料金プラン「スーパーライト」があります。

スーパーライトプランは副回線サービスよりも通信速度が遅い最大32kbps(オプションで高速通信オプションを追加出来る)であるものの、”緊急時に通話できる他社の予備番号”を確保したいという目的なら副回線サービスよりコストを抑えられます。

mineoのスーパーライトはソフトバンク(eSIM提供なし)・au・ドコモ各回線で申し込めるため、予備回線には向いています。

副回線サービスより安いプランは他にもあります。ドコモ系回線が使えるIIJmioには「データプラン ゼロ」というサービスがあります。

 

連絡にLINEやメールしか使わないのであれば、IIJmioのデータSIM(データプランゼロ)なら月額165円で維持できるドコモ系データ回線もあります(通信容量の追加オプションあり)。

デュアルSIM対応のiPhone・スマートフォンでは、副回線サービスを使って通信障害に備えるだけでなく、普段使っているスマホ料金プランと格安SIMプランを組み合わせる方法でスマホ代を節約する手法もあります。

 

デュアルSIM対応のiPhone/スマートフォンを利用中のユーザーは、万が一の場合に備えて副回線サービスや格安SIMサービスなど、用途に応じて予備回線を確保しておきましょう。

[au/UQモバイル]副回線サービス徹底解説-実際に使ってみた/メリット・デメリット