2019年モデルの新型iPhone11や2020年モデルのiPhone12シリーズでは新たに「ナイトモード」という、夜景撮影に強い機能が使えるようになりました。

しかし、いざiPhone11・iPhone12を手に入れて夜景を撮ってみると「なにか変な光が写り込んでいる!というトラブルに遭っているユーザーが多いようです。

↓↓↓ 例えばこんな感じで・・・↓↓↓

上記は実際にiPhone11 Proで写真撮影をしている様子を別のカメラで撮ったものです。

もう少しズームしてみましょう。

矢印の先に青色~緑色の斑点があることが判ると思います。実際の風景ではここには何もないはずなのですが、iPhoneで写真を撮ろうとすると、このような現象が起こることがあります。

他にも電光掲示板や看板の文字が空中に反転して、幽霊のように映り込むこともあります。

せっかく最新のiPhoneを手に入れたのに不良品である・カメラ機能の不具合があっては残念なところですが、「夜景撮影に(存在しないはずの)光が映り込む」ことは、不具合や不良品ではなく仕様である可能性が高いです。

強い光がレンズ~センサー内で反射して生まれる「フレア/ゴースト」現象

iPhoneやスマートフォン、あるいは一般のデジタルカメラで撮影する場合でも、非常に明るい光をレンズを通して撮影しようとすると、上記の例で示したような斑点状・シミのようなものが映り込む・光源から光の帯が伸びて映り込むことがあり、これらを一般的には「フレア」や「ゴースト」と呼びます。

最新スマートフォンの場合、上記のようにカメラユニット部分には何枚ものレンズが重ねて埋め込まれており、光が内部で反射されています。それらの光が本来像を映し出すためのセンサーに直接届かず、レンズやセンサー部位で内面反射をしてしまうことで、画面上で存在しないはずの光の帯や斑点が生じてしまうことがあります。

または、レンズが汚れている場合・スマホのケースに光が当たって反射して発生することも有り得ます。

これはiPhone11だけで起こる現象ではなく、どんなスマホでも同じです。レンズの汚れ/ケースへの反射に原因が考えられない場合は、そのスマホ(カメラレンズ)の特性です。

ただし、このレア・ゴーストはレンズのコーティングやカメラユニットの不良によって生じることも考えられるため、あまりにもフレアやゴーストが異常に大きく・大量に発生する場合は、個体の不具合である可能性があります。

以下、いくつかのスマホで実際にフレア/ゴーストを発生させてみた例を見てみて下さい。

iPhone11 Proゴーストは3つのカメラすべてで発生

iPhone11 Pro, iPhone11 Pro Maxでは3つのレンズすべてで発生することを確認しています。

(iPhone 11 Pro 標準カメラ)


(iPhone 11 Pro 望遠カメラ)

(iPhone11 Pro広角カメラ)

すべての写真でLEDライトの左側に緑~青色っぽい斑点が生じていることが判ると思います。かなり明るいライトを接写すると、iPhone11 Proのカメラではほぼ確実にこのフレア/ゴーストが発生します。

2020年モデルのiPhone12、iPhone 12 Proで確認したところ、やはり全く同じように強い光源にカメラを向けると映り込みが発生しています(広角・標準レンズすべてで発生します)。

しかし、この程度は仕様の範疇です。アップルがどのように判断するかはケースバイケースながら、おそらくこの程度では不具合・初期不良とは認められないでしょう。

他のスマホでも同じくフレア/ゴーストが生じる

続いて全く同じ状況で他のスマホでもフレア・ゴーストが出るのか確認してみました。

iPhone Xでも、iPhone 11 Proとほとんど同じ位置・同じくらいの濃さで青・緑の斑点が写り込んでいます。

Google Pixel 3でも、

Xperia1でもフレア・ゴースト生じます。

今回の条件ではドコモのP30 Pro HW-02Lはほとんどフレアは見られませんでした。

P30 Proはカメラ・レンズメーカーとして有名なLeicaが開発協力をしているため、スマホカメラとは思えないクオリティを持っています。しかし、それでも状況によってはP30Proであってもフレア・ゴーストは出ますので、強力な光を撮る場合には注意が必要です。

AQUOS R7もゴースト少なめ

2022年最新モデル、Leicaの協業で圧倒的なカメラ性能向上を果たしたシャープスマホ AQUOS R7では、高いレンズ品質でゴーストの発生が少なくなっています。

iPhoneだと上記のように、光源の上に薄緑色のゴーストが現れる状況でも・・・

AQUOS R7だと、どの角度から撮影してもゴーストは発生しませんでした(光源から伸びるフレアは発生)。このあたりは圧巻のコーティングです。

続きを読む → [AQUOS R7実機レビュー]1インチセンサースマホ第2世代こそ本命 R6と比較・新型評価

フレア・ゴーストが出た場合の対処法

iPhoneおよびスマホカメラの撮影時にフレアやゴーストが出てしまうのは、上記の通り「カメラパーツ内部での光の入射・反射」が主な原因です。したがって、物理的にカメラを何とかする、という方法の対処をするのは極めて難しいでしょう(通常のデジカメレンズであればフィルターをつける・フードを付けて余計な光を防ぐこともあります)。

撮影の時点でフレア・ゴーストの発生に気づいた場合は、カメラ設定の明るさを下げることで、フレア・ゴーストを目立たなくすることが出来ます。

(ゴーストが出ないように明るさを調整した作例)

上記は本記事の冒頭で青緑色のゴースト・フレアが発生した状況において、iPhone11 Proの明るさを最大まで下げて撮影したものです。写真全体の明るさを下げることで、若干まだLEDライトによるフレアがありますが、背景と見分けがつかない状態になりました。

iPhoneの場合なら画面をタッチして焦点を合わせたあと、タッチした指を上下に動かすことで明るさ調整が出来ます。

また、フレア・ゴーストは強い光源に対して発生することが多いため、強い光を入れないように構図を工夫する・光-レンズの角度を調整することで、フレアやゴーストを目立たない位置・発生しない位置へ移動させることも出来るはずです。

もし撮影後にフレアやゴーストの存在に気づいてしまった場合、フォトショップや画像加工ソフトを使って修正することならば可能です。

Windowsのパソコンであれば、デフォルトでインストールされている「フォト」アプリの調整→「スポット修正」機能を使うと、周辺部位と馴染むようにフレアを消すことが出来る可能性があります(背景・フレアの大きさによっては不自然になってしまうこともあります)。

iPhone11を購入したのにフレア・ゴーストが発生してしまって「不良品かもしれない!」と感じた場合は、もう一度どんな状況で発生したのか・どの程度のフレア・ゴーストが写り込んでいるのかを確認してみてください。もし強い光がある状態で生じているのなら仕様であると諦めるしか無いかもしれませんが、極端に光の帯が出たり不自然なくらい斑点が映り込む場合は、一度アップルストア・サポート店に相談に行くべきかもしれませんので。

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