2022年夏モデルの最高峰モデル「AQUOS R7」(型番SH-52C/製品コード ASH47088/ASH47075)の実機レビューです。

AQUOS R7 SH-52Cの発売日は2022年7月15日に日本で登場した、シャープの高性能スマホです。本機は”1インチセンサー”を積んだ旧型 AQUOS R6後継機であり、いわば”第2世代の1インチセンサースマホ”といえます。

(旧型AQUOS R6)

携帯電話やスマートフォンの機種では機能やデザインが大きく変更される初期モデルより、その後継機・マイナーチェンジモデルとなる「第2世代」のほうが本命となることが多い傾向があります。これは前モデルで出た悪い口コミ・評判・評価をメーカーがフィードバックにより改善して新機種の開発を行うためです。

AQUOS R6→AQUOS R7の関係はまさに”旧機種の不満点を改善した次世代機となっており、シャープ渾身のフラッグシップモデルAQUOS R7の優れた点・魅力を実際に旧機種AQUOS R6(およびさらに旧シリーズからずっとシャープ機を使い続けた)のユーザー視点からレビュー・再評価していきます。

AQUOS R7のスペック・仕様

ディスプレイ
(解像度)
6.6インチ
IGZO 有機EL
(2400×1080)
生体認証 指紋認証
(画面内)
顔認証
サイズ 縦:161 mm
横:77 mm
厚さ:9.3 mm
重さ:208グラム
カメラ 4720万画素
+190万画素
(モノクロセンサー)
バッテリー 5000mAh SIMスロット nano SIM+eSIM
充電速度 対応 おサイフケータイ 対応
ワイヤレス充電
対応 5G
ミリ波/Sub6対応
CPU Snapdragon 8 Gen1
防水/防塵 対応
RAM/ROM 12GB/256GB 外部ストレージ
最大1TB

*より詳しい仕様・すべての対応サービス、機能についてはドコモサイト(SH-52C製品ページ)を参照ください。

AQUOS R6→R7の進化点・改善点

2021年に発売されたシャープのAQUOS R6は、発売当時「スマホに高級コンデジ並の1インチセンサースマホをシャープが出した」として話題になりました。

しかも老舗カメラブランドとしても有名なLeica(ライカ)と手を組み、シャープスマホの写真グレードを大幅にアップさせてきました。


ライカとの協業と1インチセンサーカメラによって大進歩したAQUOS R6ですが、AQUOS R7ではさらに以下のような点を極めてきました。

デザインを大幅変更・新設計
5G SA対応で最大4.9Gbpsで通信
eSIM対応のデュアルSIMに
ストレージが2倍の256GBに
CPU11%/GPU44%/AI性能50%アップ

排熱効率をアップ
ワイヤレス充電に新対応
新しい1インチセンサーを開発(1.8倍明るい)
カメラのオートフォーカス性能アップ
大型スピーカーで約1.5倍の広域帯を再現

このように、1年前にフルモデルチェンジをしたばかりとは思えないほど、AQUOS R7はまた新規開発・新設計盛りだくさんの進化・変更をしています。

まず見た目の大きな変更点として、ディスプレイガラスはラウンドエッジからフラットに変わりました。

(AQUOS R7のガラス)

(AQUOS R6のガラス)

AQUOS R6ではディスプレイガラス面の両縁がなめらかにカーブしていました。ラウンドガラスは指ざわりは良いのですが、誤タッチしやすい・保護フィルムが貼りづらいといったデメリットもありました。

一方で、R7のフラットディスプレイでは角張ったフラットガラスになり、横幅が少し太く・大きく(74mm→77mmへ変更)なっています。デザインの良し悪しは好みの問題が強くなりますが、フラット型のほうが使いやすいというユーザーには歓迎されているようです。

また、フレームがアルミ金属素材であるため排熱性能にも寄与しています。

本体横側のフレームは金属を削り出した重厚感・高級感のあるデザインです。

実際にAQUOS R6から使っていて感じていた変更点で「ここを改善したのは良かった」と強く感じたのはオートフォーカス性能と排熱性能です。

(AQUOS R6で撮影した夜景)

旧モデルのAQUOS R6では、フォーカス(ピント)合わせにToFセンサー(レーザー)を使っていたため、上記のような窓越しの風景撮影時にピントが合いづらいというデメリットがあり、写真がボケてしまう・いつまでもピントが合わずに写真が撮れない事例がありました(これはR6でもアップデートで多少マシになりました)。

これがAQUOS R7ではToFセンサーを廃止、モノクロ測位用センサーの全面位相差AF方式によって高速AFが出来るようになりました。

 

発熱に関して、旧モデルに積まれていたSnapdragon 888も最新のSnapdragon 8 Gen1も、正直に言ってチップの特性として発熱しやすい・過熱状態になりやすい傾向があります。

Snapdragon 8 Gen1になったAQUOS R7でも、連続で高負荷が掛かるゲーム・動画撮影を行うと発熱を感じられます。

シャープが公開しているイラストでは、AQUOS R6よりもR7のほうが若干熱の上がりが鈍いとされています。実際に使ってみるとやはり熱は感じますが、そもそものパフォーマンスが高いため、「熱によってパフォーマンスが落ちている」と感じる場面はありません。

(実際にAQUOS R7の発熱を確認した)

AQUOS R7では数分間の短時間利用でも、利用環境の温度が高い場合は本体温度は40度を大きく超える場合がありました。しかし、前述の通り排熱効率が良いためか、利用を中止・涼しい環境での利用であればすぐに温度が下がる印象です。

Snapdragon 8 Gen 1を積んだ他社スマホでは発熱によってカメラ機能が停止したりすることもあるため、AQUOS R7(R6も同じ傾向)ではあえてパフォーマンスを落とし、過熱状態発生を抑えるコントロールがされるようです。

AQUOS R7のAntutuスコア

AQUOS R7には歴代モデルで最も高い処理性能を誇る新しいチップ Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1が搭載されています。

AQUOS R7の処理性能は、Antutuベンチマークアプリの実測値で1,002,309点(ver9)です。ついにAQUOSも大台突破です。

ただし、これはスマホ本体を冷却しながら測定した場合に限ります。AQUOS R7では前項で解説した通り、温度が高くなるとパフォーマンスを抑えて、発熱を抑えるコントロールが自動で働きます。

通常環境下(室温26度)でのAntutuスコアはおよそ70万点~80万点でした(3回の測定平均)。

Antutuベンチマークのスコアと搭載CPUの目安を比較表にしてみると、以下のような感じです。

Antutuスコア(ver.9.x) 搭載CPU/目安
【AQUOS R7はココ】
90万点~100万点前後
Snapdragon 8 Gen 1
/2022年の最高峰機種
70万点~80万点前後 Snapdragon 888
/2021年のハイエンドクラス
60万点~70万点前後 Snapdragon 865
/2020年のハイエンドクラス
50万点~55万点前後 Snapdragon 855
/2019年のハイエンドクラス
35万点~40万点前後 Snapdragon 765 5G・
Snapdragon 695 5Gの水準

/2021-2022年のミドルクラス
30万点~35万点前後
Snapdragon 690 5G
/2021年のミドルクラス
25万点~30万点前後 Snapdragon 480
/2022年のエントリーモデルクラス

*AntutuベンチマークアプリはリスクアプリとしてGoogle Playストアから排除されています。一般利用ではインストールしないことを推奨します。上記スコアは目安であり、モデル・測定条件により数値は前後します。

AQUOS R7では発熱によるパフォーマンス低下時であっても1~2年前の最高峰スマホクラスの全力処理性能水準を維持しています。AQUOS R7はあらゆるゲームが快適に、長く遊べる水準となっています(実際のアプリ動作快適性は、アプリ個々の相性に依存します)。

AQUOS R7の電池持ち・バッテリー性能

AQUOS R7は5000mAhという大型のバッテリーを搭載+独自のチューニングを行うことでフラッグシップ級スマートフォンとしては比較的電池持ちが良い機種です。

AQUOS R7のバッテリー性能 仕様・データ
電池容量 5,000mAh
充電時間 約100分
連続通話可能時間 約1910分 (VoLTE利用時)
待ち受け可能時間 約460時間(LTE)

*ドコモの公式データより。

さらに上記の数字には表れていませんが、AQUOSスマホのPro IGZO 有機ELディスプレイでは表示内容によってリフレッシュレート(画面の表示更新頻度)を自動で低くして、節電を行うモードも用意されています。

カメラの連続利用・高負荷ゲームなどを連続でプレイすると高いパフォーマンスを発揮するために電池はみるみる減っていきますが、「使っていない時間帯」の電池消耗は少なく、快適に使えるはずです。

AQUOS R7は急速充電に対応します。最短で約100分(ACアダプタ08利用時)でフル充電可能です。昨今では100%充電に20分もあれば十分という超急速充電技術が他社スマホでは採用されることもあるため、AQUOS R7の充電速度はフラッグシップ級としては速い水準とはいえません

AQUOS R7のカメラ性能・画質

AQUOS R7を購入検討するユーザーは十中八九「最高のカメラ性能」を期待しているでしょう。

AQUOS R7では旧型のR6と同じ「1インチセンサーのシングルカメラ」である点は変わりないものの、最高画素数が2020万画素→4720万画素に変更されています。


撮影時には複数の画素を合算してピクセルサイズを3.2μmにすることで、AQUOS R6に比べて1.8倍も明るく撮影が可能となっています。これにより、暗い場所での撮影・夜景撮影に強くなりました。

ただし、AQUOS R7では写真撮影に使うカメラは1レンズだけ、広角レンズ1個のみであるため、超広角の画角・望遠(ズーム)性能は他社の超高性能スマートフォンカメラに比べると劣ります。高いズーム性能を期待して買う場合にはAQUOS R7はあまりオススメ出来ません。

もちろんAQUOS R7でもズーム撮影が出来ないというわけではなく、ズーム時には47メガピクセルの高画素モードに自動で切り替わり、解像度を上げる仕組みが採用されました。

また、旧モデル同様AQUOS R7は接写性能が低く、あまり近寄れません

(AQUOS R7だと手前(10cm)の人形にピントが合わない)

最短でおよそ10~12センチくらいまでなら寄れますが、それ以上近寄るとピントが合わなくなります。マクロ撮影が出来るスマホなら2~4センチくらいまで寄れる他メーカー機種もあるため、AQUOS R7の拡大(マクロ)撮影は”少し離れたところからズームで切り取る”という撮影テクニックが必要となります。ズームでは高い解像度が得られますので、”近寄って撮れない”ということを理解していれば問題はありません。

それ以外の場面であれば、スマホとしてはトップクラスのセンサーサイズそしてLeica協業による画質調整の効果で、どんな場面でもスマホ離れした綺麗な写真を撮影可能です(AQUOS R7で撮影できる綺麗な写真が見たい場合はドコモ・シャープの公式HPを参照ください)。

AQUOS R7の価格・値引きクーポン

AQUOS R7は2022年夏モデルのうち、一番高価なスマートフォンです。ドコモスマートフォンを買うなら各種値引き・割引クーポンを使って買うことを推奨します。

2022年8月16日時点、ドコモのAQUOS R7値引きオンラインクーポンを以下のページで配っています(対象者ならすぐ発行・利用できます)。

割引後の価格は、クーポン適用時に確認できます。

また、ドコモではスマートフォンの購入負担額を下げられる「いつでもカエドキプログラム」があります。コレを使うと最大8万円以上負担額が安くなりますので、2年間同じスマホを使うつもりなら絶対に加入を推奨します。

なお、ドコモのAQUOS R7は契約割引は一切ありません(2022年8月16日時点)。新規契約・他社から乗り換えたいユーザーは「SIMのみ契約特典」を貰ってから、本体のみを機種変更購入することで実質的な割引を受けられる裏技を使いましょう(必ずポイント付与後に機種購入をしてください。でないとポイントがもらえない場合があります)。

AQUOS R7の物足りないところ・不満点

続いてAQUOS R7を買って損をした・失敗したと感じるかもしれない、AQUOS R7の不満点・弱点・デメリットも挙げていきます。

スマートフォンの満足度は「比較対象」および「スマホに何を求めているか」という主観が強く関わってきますので以下の点を気にするユーザーは注意してください。

・価格が高い(旧モデルより8万円値上げ)
・カメラのズーム性能は高いとは言えない
・カメラで接写がし辛い
・電池持ち/容量は十分だが充電速度があまり速くない
・ボディは大きめ/重め

AQUOS R7は全体的に高い性能・多くの機能に対応したモデルであることは間違いありません。しかし、人によっては”今使っているスマホより重すぎ/デカすぎて使いづらい”、”連続利用で発熱が気になる”、”高すぎて買えない”といった問題点を強く感じる可能性があります。

ドコモでは安いスマホ・軽いスマホも各種取り揃えていますので、自分に合わせた価格と性能のバランスを考えて機種選びをしてください。

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[AQUOS R7実機レビュー]1インチセンサースマホ第2世代こそ本命 R6と比較・新型評価(SH-52C)