11月3日の発売日以降、iPhone Xをいち早く入手した人の間では「新しいiPhone Xは熱くなりやすい」・「冬にありがたいホッカイロ機能搭載」と揶揄されるように、本体の発熱が問題になっているようです。
その噂の実証するために、夏休みの自由研究用?に面白いかと思って購入した赤外放射温度計を使い、iPhone XおよびiPhone 8 Plusを利用中の表面温度を測定してみることにしました(赤外放射型温度計については過去記事「発熱したスマホで低温火傷のキケンも!放射温度計を使ってスマホの温度を物理的に測る方法」を参照下さい)。
iPhone XとiPhone 8 Plusにベンチマークテストアプリ「Antutu Benchmark」をインストールし、連続で動作テストを続けてみました。同様のテストは「iPhone7とiPhone 8 Plusの発熱比較」でも実施しています。
Antutuベンチマークの測定には1回あたり4分程度が掛かり、通常のスマホ操作よりも高い負荷を掛け続けることになります。一般的なゲームアプリよりも発熱・電池消耗が大きいテスト条件だと考えてよいでしょう。
iPhone X/8 Plusの2台を同じ環境下で同時に、5回連続(トータルで30分弱)のディスプレイ表面(表側)の温度を追跡した結果は以下のとおりです(記載した温度はディスプレイ面で最も高く表示された場所の温度)。
測定 | iPhone 8 Plus | iPhone X |
1回目 | 31.4℃ | 32.0℃ |
2回目 | 32.2℃ | 32.8℃ |
3回目 | 36.0℃ | 34.8℃ |
4回目 | 36.8℃ | 35.8℃ |
5回目 | 37.6℃ | 38.3℃ |
今回の実験では、iPhone Xの方が若干iPhone8 Plusに比べて高めの温度が検出されましたが、ほとんどiPhone Xも他のシリーズと変わらない発熱具合であることが確認できました(室温は21℃、柔らかいデスクマットの上に静置して測定)。
部位別ではディスプレイ面よりも本体のサイドフレーム・背面のカメラレンズ下あたりが熱くなりやすく、最大で39.3℃ほどになりました。従来の金属素材のボディ時に比べて、iPhone Xは表面/背面がガラス+手に当たるエッジが金属素材で出来ているため、実際の温度よりも手で触った時の発熱を感じやすいと言えるかもしれません。
40℃近い温度になると、長時間に渡って手で触り続けている場合はたしかに少し気になる発熱具合です。ゲームを長時間操作し続けると、キケンなほどではないせよ、熱く感じるでしょう。冬の時期でこの発熱だと、来年の夏場は少し心配です。
ただ、それはiPhone 8/8 Plusや旧モデルシリーズのiPhoneも同じです。iPhone Xだけが特別熱いというわけではないと言っていいでしょう。「iPhone Xの発熱が(他のiPhoneより大幅に)酷いという感想は、気のせい」というのが実験の結論です。多少の温度上昇はあっても、故障するほどではありませんので安心して使っていいと思います。
また、2017年モデルのiPhoneはバックパネルがガラス素材になったことで確かに熱を感じやすくなりましたが、その分だけ排熱/温度下降も早く、ゲームのプレイを少し止めて、スマホを休ませればすぐに温度は下がります。
ロット・個体差で過熱・発熱不具合が出ることもありますので、あまりにも温度が高すぎると感じる場合は、アップルストアで故障診断をしてもらうべきです。持てないほど熱くなるようなことは通常有りえませんので、不良品の疑いがあります。また、充電しながらの利用は上記のテスト以上に過熱・バッテリー劣化を引き起こすためオススメしません
ゲームを連続でやっても熱くならないスマホが欲しいのなら、今年の冬はXperiaシリーズ(SO-01K,SO-02KおよびSO-04J)のスマホがいい感じです。
同様のテストをXperia XZ Premium SO-04J, Xperia XZ1 SO-01Kでも実施しましたが、30分の連続動作でも40度を超えることはなくパフォーマンスを維持しつづけましたので、快適にゲームが出来るでしょう。
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