2022年モデルの新型iPhoneで使えるようになった新機能、ディスプレイの「常にオン」がどのくらい電池を消耗しているのか、詳細な検証を行いましたので結果を公開します。
2022年9月16日により発売された新型モデルの上位機種 iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxで使えるようになった「常にオン」機能は、いわゆる”スリープ状態”にしても画面が点灯し続け、時計や設定した情報を画面に表示させることが可能となりました。
これまでのiPhoneだと情報を確認するためにいちいちiPhone本体を持ち上げたり、タッチしなければならなかったところ、iPhone 14 Proならいつでも必要な情報を確認できるというメリットがある一方で、パネルを点け続けるには当然ながら電池の消耗を伴います。
この「ディスプレイの常時点灯」(Always On Display)は、すでに他社では何世代も前のスマホや低価格モデルでも利用できる機能ではあるものの、やはり同様に電池消費問題がありました。
(AndroidスマートフォンのAOD電池消耗を記録したデータ)
Appleが「ディスプレイを常にオン」を採用したiPhone 14 Proではどのようなバッテリーマネジメントが行われ、どのくらい消費を抑えた常時点灯を実現したのか、あるいはやはり電池消耗が激しくなってしまうのか気になっている人向けに、ディスプレイの常時点灯機能をオン/オフにして、電池消耗具合を追跡した結果を参考にしてみてください。
ディスプレイ常にオン/オフの電池消耗比較
Apple iPhone 14 Proのディスプレイ常時点灯機能は、初期設定でオンになっています。
ディスプレイの常時点灯を変更するには、
[設定]→[画面表示と明るさ]→ 【常にオン】のスイッチをタップして切り替え
この手順で変更できます。
今回、iPhone 14 Proの常時表示機能による電池消耗を検証するために、以下のような条件で実験を行いました。
・iPhoneに一切社外アプリを入れない(初期のまま)
・通知内容/設定も一切変更なし(初期のまま)
・SIMなし/機内モードを常にオン(電波の良し悪しの影響を排除)
・iPhoneは屋内デスクに静置
このように、ディスプレイAOD以外の電池消耗へ影響すると考えられる条件を極力排除し、数時間おきに、電池残量をチェックしつづけました。
その結果をグラフにしてみました。
上記図の水色のラインがディスプレイの常時点灯オフ、赤色のラインは常時点灯オンの電池残量変化です。グラフからもiPhone 14 Proのディスプレイ常時点灯をすると電池消費が大きくなることが一目瞭然です。
ここで、具体的に電池消費量と待機時間を計算してみると、常時点灯オフの場合は1時間あたり0.26%の消費、常時点灯オンの場合は1時間あたり1.34%となっています。つまり、常時点灯をオンにすることで増える消費は1時間あたり1%程度であることがわかりました。
この「1時間あたり1%の待機電力が増える」ことをどう考えるかはユーザー次第でしょう。iPhoneの画面をタッチせずに情報を確認できる利便さ、何度も画面を点けて通知を確認する場合には、AODによる電池消耗以上のメリットを感じられるでしょう。
逆になるべく長くiPhoneの電池を保たせたいという人は、やはりディスプレイの常にオン機能は切ったほうが電池は長持ちするでしょう。1時間あたり1%ということは、1日で2割近くの消費になります。1日に20%もの消費増は、なかなか無視できる数字ではないでしょう。
ただ、この常時表示はポケット・カバンの中に入れた場合や、画面を下にして置くとディスプレイを暗くして電池消耗も減らす機能があります。今回の実験中はAOD利用時に明るい室内に置き続けたため、実際の利用ではもう少しAODの影響を減らせる可能性もあります。
「iPhoneでようやくディスプレイの常時表示が出来る!」と楽しみしていたユーザーは、電池消耗の大きさと利便性を天秤にかけて、利用するかどうか、よく考えて設定変更をしたり、消耗が増えないように使わない時間は画面を伏せたりして運用することをオススメします。
*あくまで当サイトでの検証結果・実験環境による結果です。実際の利用状況や通知設定など、待機時に電池消費が大きくなることが予想される設定ではさらに大きな差になることも考えられます。