2019年10月より、楽天が「第4のキャリア」として、携帯通信サービスの自社提供を開始します。これに伴い、現在「楽天モバイル」という名称で提供されている格安スマホサービスからプラン変更ができることが案内されています(*正規サービス開始日が2020年4月8日に決定しました。詳細は下部に追記しています)。
2019年10月以前に提供されている「楽天モバイル」のサービスは、ドコモおよびauから回線設備(インフラ)を借りて電話・インターネットが出来るMVNO(仮想移動体通信事業者)を楽天が運営している状態です。
(「”教えて!格安スマホ/SIM”より)
一方、日本では「3大キャリア」とも表現されることがあるNTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクの3社は、それぞれの回線設備を持ったMNO(移動体通信事業者)であり、楽天も2019年10月からドコモやau、ソフトバンクと同じようにネットワークサービスを直接ユーザーに提供する事業を開始するということになります。
ココで問題となるのは、楽天モバイルがMVNOからMNOに変わることで利用する設備-通信を可能とするネットワーク周波数が変わってしまうため、現在「楽天モバイル」として提供されているドコモプランのSIM/auプランのSIMで使っているiPhoneやスマートフォンが、自社回線で利用できるとは限らないということです。
2019年10月から楽天が自社回線として使うネットワークは「1.7GHz帯」という周波数に対応したスマートフォンでしか通話・ネットが出来なくなる可能性があります。
楽天モバイルでは公式サイトにてすでにMNOサービス開始後に使えるスマートフォンのリストを公開しています。
関連記事:2019年10月参入楽天モバイル自社回線で使えるスマホ・iPhoneはどれ?利用・対応周波数(Band)
楽天モバイルの機種販売ページでは、「楽天自社回線対応製品」という目印も表示されるようになりました。
今楽天モバイルを利用中のユーザーで、ドコモ回線/au回線、そして楽天自社回線のすべてに対応しているスマートフォンを購入した場合には問題ありませんが、MVNO回線→自社回線へのサービスへ2019年10月以降に切り替える場合、自社回線非対応のスマホしか持っていない場合は通話やデータ通信が利用できなくなる可能性があります。
楽天自社回線ではiPhoneが使えない可能性もある
楽天モバイルの格安SIMを使ってApple iPhoneシリーズを利用しているユーザーも多いと思いますが、実は楽天自社回線ではiPhoneが使えない可能性もゼロでありません。
最新のiPhoneでは楽天モバイル自社回線で利用が予定されている1.7GHz帯(Band3)にも対応しています。しかし、端末がBandに対応している=その通信会社のネットワークで使える、というほどことは単純ではありません。
モバイル端末とそれぞれのネットワークでの接続を可能とするにはアクセスポイント・プロファイルなどの提供状況と、端末の利用周波数とシステム/プログラムの問題で接続ができないケースも存在します(例えば、過去にはiPhoneの特定のOSにアップデートするとau系のMVNOでは接続が出来なくなるというトラブルもあった)。
楽天自社回線でiPhoneが利用できる(接続プロファイルが提供される)かどうかは2019年6月時点では未定となっており、今使っているiPhoneが楽天のMNO回線で使えるかどうかはっきりする前に切り替えてしまうのは待つべきだと言えます。
2020年3月最新の楽天MNOにおけるiPhone利用可否状況
2019年のサービス発表時点においては「未定」とされていた楽天自社回線サービスにおけるiPhoneの利用可否について、2020年3月時点で公式のよくある質問に回答が掲載されました。
【よくある質問】iPhoneは利用できますか?
(回答)楽天回線では、iPhoneは動作保証の対象外となります。 楽天モバイル(ドコモ回線・au回線)でご利用されていたiPhoneも同様となります
楽天モバイルによる公式の回答は「すべてのiPhoneは動作保証対象外」となります。SIMフリー・キャリアモデル問わず、すべて動作確認が取れなかったことが判明しています(2020年3月時点)。
2020年時点で実施された無料サポーター試用期間においてiPhone(SIMフリーモデル)ではデータ通信が使えることは確認していますが、通話機能は使えません(利用可否はやはり対象外であるため、今後仕様が変わることも考えられます)。
また、楽天自社回線における各種サービス・特典を利用するために使う「Rakuten Link」というアプリがiOSでは対応していないため、楽天の専用無料通話サービスなどの利用もiPhoneではどのみち不可能となる見込みです。
今後楽天自社回線でiPhoneが使えるようになる可能性はゼロではないながら、楽天が正式に対応を発表・動作確認保証がされるまではiPhoneで楽天自社回線は利用不可、と考えたほうが無難です。
楽天モバイルは自社回線への移行を”推奨”
2019年6月時点では、まだ楽天モバイルの自社回線サービスの具体的なプラン・料金は開示されていません。しかし、「移行を推奨する」ということは、おそらく現在の格安SIMサービスとしての楽天モバイルよりも安い/お得・快適に使える・便利に使えるといったメリットが期待できるでしょう。
ここで、楽天のホームページを見ると2019年3月14日10時以降に楽天モバイルのMVNO回線を契約したユーザーには、2019年10月以降に順次自社回線用のSIMカードを配布する旨がアナウンスされています。
2019年10月以降、専用SIMカードを順次送付いたしますので、お手元に届き次第交換するようにお願いいたします。
この説明を読むと、「何もしなくてもMVNOサービスから自社回線サービスに切り替わってしまうのかな?」とも感じられます。
先述の通り、MVNO回線にも楽天自社回線にも対応したスマートフォンを持っている場合ならばすぐに切り替えをしても問題ないかもしれませんが、自社回線の対応端末を持っていないユーザーはどうすれば良いのか?という点が気になりましたので、楽天に問い合わせて確認してみました。
楽天自社回線には”自動では切り替わらない”
2019年3月14日10時以降に楽天MVNO回線を契約したユーザーへ、前項で解説した通り自社回線用のSIMカードが順次送付されることは間違いありませんが、”SIMカードを受け取る”だけでは、それまでに使っていたMVNO回線が使えなくなることはありません。
具体的な手続方法については2019年6月時点では案内されていませんが、何らかの切り替え手続き(おそらく現在のMNP(乗り換え契約)と類似の手続き)をするまでは、そのまま楽天モバイルのドコモ/au回線サービスおよびプランを継続して使うことが可能だということです。
SIMカードを交換していただけない場合でも、楽天モバイルのネットワーク(MVNO)を継続してご利用いただけます。
自社回線用のSIMカードが10月以降に届けられたとしても、勝手にプランが切り替わってしまうことはありませんので安心してください。
既存の楽天モバイルユーザーは、自社回線対応端末を手に入れてから・楽天の自社回線サービスがどの程度MVNO回線に比べてどの程度快適・有利なものになるのかを見極めてから手続きをしても遅くはない、ということです。
楽天モバイルのスマホが自社回線で繋がらなくても保証・交換は不可?
前項でも解説したとおり、楽天モバイル(MVNO)としてのサービスで販売されているiPhoneやSIMフリースマートフォンの多くは、2019年9月時点でも動作確認が公表されておらず、楽天自社回線では使えない・繋がりにくくなってしまう可能性が残っています。
ここで、楽天モバイルで購入したスマホが自社回線に切り替えた場合に使えなくなったとして、その場合に今使っているスマホを自社回線で使えるスマホに無料で交換・返品出来る仕組みは現時点では存在しません。
回線の切り替えを行うのも「ユーザー自身が切り替えを行う」ことになるため、楽天自社回線で使えるスマホを用意するのも自己責任となり、楽天モバイル MVNO→MNOの切替えに伴うスマホ利用不可の損失を楽天が補填・保証することはまず考えられません。
一方で、楽天モバイルとしては古いスマホを買取するサービスを提供しています。
中古のiPhoneやAndroidスマホなど、各種端末を買取代金として楽天スーパーポイントを付与するという仕組みです。ポイントは楽天モバイルの利用料金に充てたり、楽天ポイントが使えるさまざまなサービスで使う事が可能です。
楽天自社回線で使えないスマホを、楽天モバイルから購入した時の定価で買い取ってくれるということは残念ながらありませんが、不要なスマホを手放して自社回線対応端末への交換を促す優遇・優待キャンペーンなどが行われる可能性はありそうです。
楽天自社回線の設備設置の遅れも指摘
2019年8月時点において、楽天の自社回線モバイルサービスに必要な設備の設置が遅れているということに対して総務省が行政指導を行っているという報道がされています。
また、楽天自社回線サービスの提供開始についても2019年10月直後の時点では一部のエリア・回線数に限定してサービスを提供する”スモールスタート”になると決算説明会にて発言があったため、楽天モバイル(MVNO)のユーザーがすぐに自社回線に移行出来ない可能性が出てきました。
自社回線のサービスインまでに設備設置が間に合わなかった場合や十分な検証がされていない状態で始まってしまう可能性も考えられなくはないため、自社回線を使ってみようという方は最新情報を確認してから各自の判断で移行を行ったほうが良いでしょう。
一般的には格安SIMとその本家回線(ドコモ/au/Softbank)と直接契約したサービスでは、混雑しやすいお昼・夕方時、人の多いエリアやイベント時に通信品質に差が出ます。楽天モバイルを利用中のユーザーなら体験していると思いますが、平日の12時10~50分くらいには通信速度の低下を感じるケースもあるはずです。
(MVNOダウンロードスピードテスト結果例)
楽天モバイルの自社回線は、特にサービス開始直後には回線が空いている状態になることが期待出来るため、非常に速く・安定した通信出来るかもしれません。そのためすぐに楽天自社回線の切り替えてみたいというユーザーも居ると思いますが、楽天自社回線で使える端末かどうかを確かめてからSIMカードの切り替え/自社回線サービスプランへの切り替えをしないと通話やネットが使えない(端末が自社回線に非対応)というトラブルに合わないよう、十分に気をつけてプラン変更に備えてください。
楽天モバイルでは、自社回線に対応したSIMフリースマホのセールをすでに開始しています。
楽天自社回線で使えるスマホに先に機種変更しておけば、サービス開始後にすぐSIMカードが届き次第、新しいプラン・回線に切り替えられるはずです。
楽天モバイルのMVNO(ドコモ・au)および自社回線(MNO)で使えるスマホについては下記公式サイトを御覧ください(動作確認機種は2019年10月までに順次増えていくはずです)