ソニーのスマートフォンシリーズ Xperia 10 IIの専用夜景モード「ナイトモード」の画質をチェック・評価してみます。
ソニーのXperiaスマートフォンでは2019年モデルのXperia 1やXperia 5でも背面に3つのカメラを搭載していましたが、本体価格が安いXperia 10 IIでもトリプルカメラ仕様を引き継ぎました。
そして、Xperiaシリーズとしてはおそらく初めて(2020年7月時点)となる、夜景撮影用の専用モードが搭載されています。
これまでのXperiaシリーズでも「プレミアムおまかせオート」として、AIが自動で夜景シーンを判定して撮影する機能自体はありましたが、Xperia 10 IIでは独立したモードとして「ナイトモード」というモード選択ができるようになりました。この機能は2020年7月時点において上位モデルのXperia 1 II(SO-51A)にも無い、Xperia 10 IIの新機能となっているはずです。
最近のカメラ機能が高いスマートフォンであれば同じように夜景モード・ナイトモードを搭載した機種自体はいくらでもあり、はっきり言って最新のXperia1 IIのカメラよりも格段に評価が高いスマホも多くあります。
スマートフォン機種 | DxOmarkによる スコア評価* |
P40 Pro | 128点 |
Find X2 Pro | 124点 |
Galaxy S20 Ultra | 122点 |
iPhone 11 Pro Max | 117点 |
Galaxy Note 10+ | 117点 |
P30 Pro | 116点 |
Pixel 4 | 112点 |
iPhone SE2(2020) | 101点 |
Xperia 5 | 95点 |
(https://www.dxomark.com/category/mobile-reviews/ 参照。DxOmarkの評価は特定の状況を想定した独自のものであり、必ずしもすべての状況で、誰が見比べても同じ評価になるとは限りません)。
2020年7月時点でXperia 1 IIやXperia 10 IIの評価はDxOmarkにはありません(Xperia 1 IIについては夏に更新予定とされています)。実際にXperia 1 IIを使った感想として、Xperia 1 IIのスコアが他社スマホを超えて1位になるようなことは無いと予想しています。
Xperiaでキレイな写真を撮れないという意味ではないのですが、2019年モデルのXperia 5のカメラ評価では同世代のスマホの多くに後れをとっていました。
参照:Xperia5(SO-01M/SOV41)とXperia1実機比較レビュー 良いところ・悪いところ 違いの総まとめ
このような状況でソニーが作るXperiaのナイトモードがどのような機能なのか、どのような水準の性能なのか、実際に撮影した写真を見ながら評価していきます。
Xperiaのナイトモードとは?
Xperiaシリーズで夜景をキレイに撮影したい場合、通常のカメラモード(標準カメラアプリを立ち上げ、そのまま撮影した場合)でも「低照度」という判定によって、通常よりも長いシャッター時間が自動で設定され、明るめの写真を撮ることは出来ます。
ナイトモードでは最大10秒ほどの撮影時間(シャッターボタンを押して、「カシャ」と音がなるまでの実測時間)を掛けて写真を撮ります。
Xperia 10 IIの場合はカメラUI/モード選択画面に「ナイトモード」という専用のアイコンがあります。
カメラアプリを起動した状態で、三日月のマークをタップするとナイトモードに切り替わります。
または、モード一覧から「ナイトモード」を選んでも夜景モードに切り替えられます。
Xperia 10 IIのナイトモードは搭載された3つのレンズ「超広角」「標準」「望遠」のすべてのレンズで有効です。
ナイトモードに設定後、ズーム選択により0.6倍~10倍まで選ぶことが出来ます。
撮影の難しい夜景のような暗いシーンでも、明るさとダイナミックレンジを自動で調整。白飛びや黒つぶれのない、目で見たままの美しい写真がかんたんに撮れます
ソニーの公式サイトでは、上記のように「目で見たままの美しい写真」が撮れるとされています。
ソニーによるナイトモード公式サンプル
Xperiaの公式サイトには、Xperia 10 IIで撮影したとされる以下のような画像がアップされています。
東京のビル群の夜景がとてもキレイに撮影できている様子が判ります。
ナイトモードのビフォア・アフターのサンプルでは、シャンデリアの明暗が補正され、画像中央あたりの暗い部分がより明るく・もともと明るい部分も白飛び(明るすぎる調整)することなく、くっきりと写っています。
Xperiaのナイトモードの特徴はまさに上記のサンプルの通りで、「暗い部分をより明るく/明るい部分もキレイな状態を保って合成する」というような技術であることが確認出来ます。
Xperia 10 IIのナイトモード実写比較
続いて実際にXperia 10 II SO-41Aを使って、ナイトモードのオン/オフ、他機種と撮り比べた写真も見てみましょう。
まずLEDライトでライトアップされたミニチュアのおもちゃをSO-41Aのナイトモードあり/無しで比較してみました。
ナイトモード無し | ナイトモードオン |
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(画像をタップすると拡大出来ます)
写真の中央下部、黄色~白色に光っている部分に注目してみると、左のナイトモード無しのほうが明るく、ナイトモードをオンにしたほうが暗くなって(白飛びが抑えられて)いることが判ります。
一方で写真の右端上の背景部分に注目すると、ナイトモード無しの場合に比べてナイトモードを使うと影が浮かび上がって判別できる(暗い部分が明るく見える)ようになっています。
これはソニー公式サイトに掲載されているシャンデリアの写真の効果と同じで、暗い部分をより明るく/明るい部分もキレイな状態を保って合成して、見た目にキレイな写真を作り出した例であり、たしかにナイトモードを使ったほうが格段にキレイな写真に仕上がっていると感じられました。
しかし、ソニーのナイトモードが他社に比べて弱いと感じる部分もあります。
以下の実写例を見てください。
ナイトモード無し | ナイトモードオン |
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上記は薄暗い室内に撮影サンプルを置いて、Xperia 10 IIのナイトモードを試したものです。
ナイトモードをオンにした場合には若干明るく撮影が出来ているものの、ノイズが多めの写真となりました。
他社スマホのナイトモードだと、以下のようになります。
上記はLG Style 3 L-41Aの夜景モードを使って撮影した写真です。Xperia 10 IIの夜景モードで撮影した場合に比べて、全体が明るく・ノイズも少ないキレイな写真がカンタンに撮れます。
このLG Style 3はドコモではXperia 10 IIと全く同じ価格で売られており、決してLG Style 3が特別に高いカメラパーツを使ったスマホというわけではありません。LGの夜景モードの技術の高さはもちろんあるものの、同じような水準の写真は最新の上位機種であるiPhoneでもGalaxyでもPixelでも撮れます。
Xperia のナイトモードは他社の「薄暗い場所でも明るく調整する」という効果が低く、一定以上の明るさがある場面でないと、きれいな写真にならないことがあります。
通常の夜景撮影を撮影する場合においても、Xperia 10 IIのカメラユニットは最上位モデル Xperia 1 IIに使われているセンサーより劣っており、ナイトモードを使ったXperia 10 IIよりナイトモード無しのXperia 1 IIのほうが明らかに高画質です。
Xperia 1 IIの低照度モードではシャッター時間が0.25秒・ISO 2000という設定になっています。この状態で比較してみても、Xperia 1 IIのほうがノイズが少なく、明るく撮影が出来ています。
Xperia 10 IIのカメラ評価まとめ
Xperia 10 IIはナイトモードを搭載することによって確かに夜景やライトアップシーンを「見たままにキレイ」に撮影することができるようになっていると言えます。
しかし、それはあくまで「低価格なカメラとして/旧モデルの格安Xperiaシリーズとしてはキレイ」な水準であるというのが当サイトの評価です。
Xperia 10 IIのトリプルカメラはそれぞれメインが1200万画素、望遠・超広角レンズがそれぞれ800万画素です。他社のよりカメラに力を入れた機種に比べると、正直に言って安価なカメラセンサー・ユニットが使われているため、上位機種に比べるとどうしても画質は見劣りします。
Xperia 1 IIのメインカメラのセンサーはXperia史上最大の1/1.7型が採用されており、旧型のXperia 1の1/2.6型より画質が良くなりました。
Xperia 10 IIのメインカメラセンサーは1/2.8型ですので、Xperia 1のものより更に小さいのです。
Xperia 1は型落ちとは言え1年前には10万円の高額スマホであり、Xperia 10 IIは4万円の格安モデルであることを前提とすれば十分に楽しめるカメラになっていると言えます。
「最高にキレイな写真が撮れるスマホが欲しい!」という希望があるのなら、より上位のスマートフォンと価格を比べながら判断する必要があると感じました。
☆「ドコモ Xperia 10 II SO-41Aの価格・値引き情報をみる」
☆「ドコモ Xperia 1 II SO-51Aの価格・値引き情報をみる」
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