2019年夏モデルとして人気のXperia 1は「21:9比の4Kディスプレイ」が最もユニークで目立つ進化点ですが、カメラ機能も大幅に変化しています。
Xperia 1のメインカメラはXperiaシリーズ初となるトリプルレンズ仕様になっており、それぞれ広角-標準-ズーム用です。
ソニーと言えばカメラ分野では「αシリーズ」のデジタルカメラや「Gレンズ」など、カメラ機器では高い評価を得ていますが、スマホのカメラに関して従来のスマホモデルではカメラ性能・品質が高い・他社にないずば抜けた新機能があるという印象もありません。
Xperiaシリーズだと2018年夏モデルとして登場した Xperia XZ2 Premiumが2つのカメラ(標準+モノクロセンサー)を搭載しており、更に古いモデルから比べるとワンランク高い品質だと感じました。
レビュー記事:Xperia XZ2プレミアム SO-04Kは買いか- カメラの性能評価と比較・Antutuベンチマーク結果
Xperia XZ2 Premiumのカメラも良かったのですが、この頃から他メーカーでは複数のカメラレンズを搭載してズームや広角撮影機能が使えることは標準的となってきており、2レンズでもズームも広角撮影も出来ないXperia XZ2 Premiumではやや物足りないという印象もまた、感じていました。これはシングルレンズであった古いXperia、Xperia XZ3も同様です。
レンズが多ければ良いカメラという問題でもないのですけれど、この物足りなさを解消してくれるのがXperia 1のトリプルレンズカメラとなりました。
Xperia 1のカメラ仕様
スマートフォンのカメラは「ダブルレンズ」(レンズが2個)・「トリプルレンズ」(レンズが3個)、最近は「クアッドレンズ」(レンズが4個)にまで増えたモデルもありますが、そのレンズが何をする機能のためのものかによって、利用できる機能・撮影される写真の仕上がり・仕様に影響があります。
Xperia1(ドコモモデルSO-03L・auモデルSOV40・ソフトバンクモデル)のカメラは、以下のような仕様のレンズになっています。
Xperia1のカメラ | 仕様 |
標準レンズ | 1220万画素 焦点距離:26 mm F値:1.6 メモリー積層型 イメージセンサー使用 ハイブリッド手ブレ補正 |
ズームレンズ | 1220万画素 焦点距離:52 mm (光学2倍相当) F値:2.4 ハイブリッド手ブレ補正 |
広角レンズ | 1220万画素 焦点距離:16 mm F値:2.4 |
Xperia1の背面カメラは、すべて有効画素数1220万画素という数字ですが、それ以外の数値は異なります。
カメラに詳しい人ならばカメラのレンズ・画素数・絞り・焦点距離などを見るだけでもある程度まで仕様を理解できる・他機種との違いが分かる人もいるかもしれませんが、やはり実際に写真を撮ってみないと品質が良いのか悪いのかは判りませんので、管理人が撮影した作例をいくつか掲載してみます。
Xperia1の広角カメラ作例
Xperiaシリーズでは旧モデルの一部にフロントカメラとして超広角レンズを搭載しているモデルもありますが、背面の超広角レンズを搭載しているのはXperia1が初となります。
広角レンズを使うと、通常カメラと同じ距離・同じ場所から撮影するとより広い範囲が1枚の写真に入るようになります。
まず、下の写真は標準カメラで撮影したファイルです(クリックすると拡大出来ます)。
この写真を撮影した場所から、全く動かず広角カメラに切り替えると・・・
橋が架かっている反対側の陸地まで、1枚の写真に入るようになりました。これが広角レンズの効果です。
広角レンズでの撮影は広い風景をダイナミックに写したい場合に特に有効ですが、すぐ近くにある被写体を撮影した場合にも広角レンズならでは効果が現れます。
標準カメラ | 広角カメラ |
この2枚も全く同じ位置から撮影しています。
標準カメラで撮影した場合に比べて、広角カメラを使うと赤い2階建てバスの上部が窄まっているように歪み、横の街灯が斜めに立っているかのように見えます。
人間が目で見た状態により近いのは標準カメラの仕上がりですが、広角カメラを使うことであえて歪ませて不思議な印象を感じる写真を撮ることが可能です。
水槽を接写で撮影すれば、まさに「魚眼」で魚になった気分の写真が撮れたりします。
Xperia 1に限らず広角専用のレンズを搭載したスマホで撮影した写真は周辺部がかなり歪み、くっきりと映るとは言い難いです。しかし、この歪みを含めて写真を作品として考えるのなら、普通の標準レンズしか搭載していなかった旧モデルのXperiaとは違ったカメラ撮影の楽しみが増えています。
Xperia1 広角→標準→ズームの作例
Xperia 1の3つのカメラは焦点距離で16mm→ 26mm → 52 mmの3種類になり、拡大・縮小という観点でみると0.6倍→1倍→2倍のズームイン・ズームアウトに相当します。
Xperia 1ではデジタルズームも含めると10倍まで拡大出来ます。
上記は広角カメラで撮影した風景です。写真の中央左あたりに架かっている橋を最大ズームにすると・・・
ここまで大きく撮る事が出来ます(ウェブサイト用に小さく圧縮しています)。光学2倍×デジタル5倍=10倍という仕様であるため、パソコンのディスプレイなどで大きく表示すると画像の粗さが目立ってしまいますが、肉眼でも確認しづらいような遠くの鉄橋の様子が判ります。
次は、写真中央にご注目。
10倍ズームをしてみると・・・
子猫に睨まれていました。
ここで、標準カメラで撮影した写真とズームをした写真の解像度の差を比べてみます。
先程の2枚の写真を一部切り出したものが上の比較イメージです。
1倍(標準レンズ)を利用した場合には広いエリアを写し取っていますが、ズームレンズ利用時に比べると微細な表現に違いが出ます。遠くにあるもの・小さなものをアップにしたい場合にはズームを使ったほうが綺麗に仕上がります。このような高画質なズーム機能も今までのXperiaでは出来なかったことです。
Xperia 1の夜景撮影作例
Xperia1のメインレンズはF値1.6の明るいレンズを採用しています。一般的にF値は小さければ小さいほど、暗い環境での撮影に強くなる傾向があります。
Xperia1には他社のスマホが採用している夜景専用の特殊な撮影モード機能はありませんが、AIで夜景シーンを自動で判定し、効果的な設定・色付けが行われるようです。
正直言って夜景撮影に関しては業界最高クラスと言われるGoogle Pixel 3やHuawei P20 Proほど綺麗な仕上がりになっているとは感じられませんでした(管理人はPixel 3もP20 Proも所有しています)。しかし、古いXperiaスマホに比べればかなり夜景撮影でもノイズが少ない、綺麗な写真が撮れます。
Xperia 1はトリプルレンズを採用することで広角からズーム写真まで、スマホ一台でいろんなシーン・目的にあわせて写真を楽しむことが出来るスマホに変わっていると言えます。
このような機能は今まで他社スマホのほうが先んじて複数レンズを採用していたため、Xperia1でようやくソニーも時代に追いついてきたと感じました。
過去のXperiaスマホのカメラに物足りなさを感じていたユーザーは、ぜひXperia 1の広角・ズーム機能を使って今までのXperiaでは出来なかった写真撮影を楽しんでみてください。
Xperia 1はドコモ・au・ソフトバンクのそれぞれで販売中です(カメラ機能は基本的に同一ですが、ソフトウェアアップデートのタイミングなどで多少仕様が変わることがあります)。
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