2023年夏モデルのシャープ製高性能スマートフォン「AQUOS R8」(型番SH-52D/製品コード ASH47293/ASH47307)の実機レビュー・評価を公開します。
2023年モデルのAQUOS R8は従来のシャープスマホシリーズ「R」シリーズから構成を変更し、これまでの「R」が付いた1つのモデル( AQUOS R7/AQUOS R6/AQUOS R5G)がその年の最高峰であったのに対して、最上位を「AQUOS R8 pro」/その廉価モデルを「AQUOS R8」として、ラインナップを増やしました。
2023年モデルのシャープ・AQUOSスマートフォンを選ぶ際の大雑把なカテゴリーは、
・AQUOS 「R pro」/ 価格が高い最上位モデル
・AQUOS 「R」/廉価ハイエンド
・AQUOS sense (およびplus)/ミドルレンジ
・AQUOS wish / 価格が安いエントリーモデル
という構成になっています。
AQUOS R8 pro | AQUOS R8 |
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AQUOS R8を選ぶ・検討すべき人は、
スマホに20万円超は出せない
カメラ機能をそこまで求めてない
200グラムオーバーの重いスマホはイヤ
ゲームを最高状態の快適さで遊びたい
これらの条件に全て当てはまる人は、AQUOS R8が向いている可能性があります。
本稿では2023年の最新モデル上位2機種を実際に入手、使い比べて感じた差を紹介しますので、AQUOS R8 proとAQUOS R8の購入で迷っている人は、それぞれの違いを参考にしてみてください。
さきにAQUOS R8 proの実機評価を見たい人はこちら →AQUOS R8 pro実機レビュー AQUOS R6から2年で大幅進化
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AQUOS R8とAQUOS R8 proの違い一覧
まずは最上位のAQUOS R8 proと、廉価版のAQUOS R8で明確に差がついている部分を列挙してみましょう。
主な仕様・スペック | AQUOS R8 pro | AQUOS R8 |
本体サイズ | 縦:161mm 横:77mm 厚さ:9.3mm |
縦:159mm 横:74mm 厚さ:8.7mm |
本体重量 | 203グラム | 179グラム |
RAM/ROM | 12GB/256GB | 8GB/256GB |
ディスプレイ (解像度) |
6.6インチ (2730×1260) |
6.39インチ (2340×1080) |
ピーク輝度 |
2000nit |
1300nit |
カメラセンサー | メイン 1.0インチセンサー |
メイン 1/1.55インチセンサー +超広角カメラセンサー |
スペクトルセンサー | 搭載 | 非搭載 |
レンズ | ズミクロンレンズ | ヘクトールレンズ |
電池容量 | 5000mAh | 4570mAh |
5G SA | 対応 | 非対応 |
ワイヤレス充電 | 対応 | 非対応 |
生体認証 |
指紋認証(画面内)/顔 |
指紋認証(本体横)/顔 |
搭載CPUの分類としてはどちらも「ハイエンド」クラスにあたるAQUOS R8シリーズですが、上記のように「CPU以外はAQUOS R8はミドルレンジ(senseシリーズ)寄り」です。
(見た目のデザインもsense7とR8は似ている)
AQUOS R8は最新のCPU Snapdragon 8 Gen 2を採用しているため高い処理性能を誇ります。一方で、搭載されたカメラ性能は2022年モデルで実売価格3~4万円台のAQUOS sense7シリーズと同程度です。最高峰を極めたAQUOS R8 proとは全くの別物となっています。
ではもう少し細かくAQUOS R8を使って感じた評価を解説します。
AQUOS R8のデザイン・サイズ感
AQUOS R8はproモデルに比べて一回り小さいディスプレイを採用しており、本体重量は24グラムも軽いハイエンドスマホです。
今回入手した「クリーム」カラーでは、マット仕上げでさらさらとした手触りのパネルとなっています(フレームはメタル系、背面部分はガラス/金属ではなく樹脂っぽい感じ)。”クリーム”というと黄色っぽいカラーを思い浮かべるところですが、色合いとしては黄色みは弱めでシルバーに近い感じです。
光沢/高級感は低めで光を反射せず、指紋が全く目立たないマットコーティングが施されています。
Proモデルはかなりずっしりとした印象を受けるのに対して、AQUOS R8はシンプルで扱いやすいサイズ感です。指紋認証を電源ボタンと一体化させて本体横に配置することで、片手でロック解除・そのままスマホを操作をしやすい作りになっています。
クリームカラーの場合は黒い電源ボタンのコントラストが映える、シンプルながらカッコいいデザイン。この指紋認証センサー内蔵の電源ボタンを使うことで割り当てた決済アプリをすばやく開く「Payトリガー」の利用も可能です。
本体上部には有線イヤホン用の端子と、SIMピンを使わずに爪で引っ張り出せるSIMトレー/SDカードスロットが配置されています。
AQUOS R8のディスプレイ
AQUOS R8のディスプレイは6.39インチのPro IGZO OLED(有機ELパネル)を採用しています。
パネル上部には”U字”型に切り抜かれ、インカメラが中央に配置されています。
R8 proと比べると最大輝度(屋外・太陽光下での見やすさに影響)・解像度が劣るものの、通常利用では十分にキレイで滑らか(最大駆動240Hz)な表示を楽しめます。AQUOS R8シリーズではディスプレイが新素材に変わっており、黄色みの少ないブルーライトカットを実現しています。
AQUOS R8のカメラ評価
AQUOS R8のカメラは1/1.55というサイズのセンサーを搭載したLEICA監修のメインカメラと、1300万画素の超広角カメラのデュアル仕様です。
LEICA監修により夜景やポートレートの品質が上がっており、手軽に綺麗な写真が撮れます。ただし、AQUOS R8にはズームレンズ(望遠)がなく、より大きなカメラセンサーを積んだカメラ機能特化ハイエンドスマホに比べると平凡な画質・クオリティという印象も受けます。
AQUOS R8で写真撮影をしていて感じた印象は、十分な明るさがある環境で、他機種に比べてやや暗めの画になりやすいと感じました(2023年8月時点のソフトウェアの場合)。
全く同じ環境・オートモードで撮る比べると、iPhoneに比べてAQUOS R8の写真は上記の通り、少し暗く感じられる調整がされます。
ただ、明るさ自体は撮影時に調整する/撮影後に変更すればキレイに加工することは可能です。
AQUOS R8 proの場合は「14chスペクトルセンサー」を搭載することで色合いを自然に調整する機能がありますが、AQUOS R8にはありません。
それでもAQUOS R8のカメラは格安モデルに比べれば性能は高く、AQUOS R8 proと基本的に同じ設定やモードが使えます。夜景モードでは「花火」・「星空」モードなど、AQUOS R8シリーズから対応した新機能も利用可能です。
AQUOS R8を三脚に固定し、星空モードで撮ると以下のような満天の星空が写せます。
肉眼で見るよりも断然綺麗な星空になります。エントリーモデル・古いスマホの画像処理ではここまでの星空はなかなか撮影出来ないでしょう。夜景モードは手持ちだと5~7秒程度、三脚固定だと最大47秒ほどの撮影時間が設定されるようです。
AQUOS R8ではマニュアル設定(プロ)モードも使えます。
LEDライトによる強い光源があるおもちゃの撮影時にも、HDR効果で白飛びが抑えられた綺麗な写真に仕上がります。もちろん普通の夜景やライトアップイベントもキレイに撮れます。
このほか、「ハイレゾ」モードを選ぶことで50.3MPの高画質な状態で保存することも可能です(ただし、いろんなシチュエーションで撮り比べてみたものの、標準モードとそれほど画質の差を感じられません。画像処理時に十分に滑らか・高画質に加工されるためだと推測されます)。
ただ、やはり1インチ級の大型センサーを搭載した機種と比べた場合にはまだ及ばない画質であるため、カメラ機能を何よりも重視したいのならAQUOS R8 proを選びましょう。
☆「ドコモオンラインショップ AQUOS R8 proをみる」
AQUOS R8のゲーム性能と発熱対策
AQUOS R8は上位モデル「AQUOS R8 pro」や、2023年モデルのハイエンドAndroidスマホと同じCPU Snapdragon 8 Gen 2を採用しているため、処理性能・ゲームパフォーマンスは最高峰です。
1世前(AQUOS R7など2022年発売モデル)のSnapdragon 8 Gen 1搭載機種に比べてCPU性能が約32%、GPU性能は24%アップ、さらにストレージがUFS3.1→UFS4.0に変更されており、データの読み込み/書き込み速度も大幅にアップ(1.6~1.7倍)しています。
RAM(メモリ)は上位モデル・ゲーミングスマホに良く使われる12GB/16GBに比べてやや少ない8GBであるものの、AQUOS R8でスムーズに動かないゲームはほとんど無いはずです(個々のアプリ動作状況はアプリ配信メーカーへお問い合わせください)。
また、ハイエンドCPU搭載モデルにありがちな発熱・過熱による性能低下対策もされており、AQUOS R8では背面カメラのユニットパーツが熱を逃す役目を持っており、ゲームの連続利用をしてもエラーが起きにくくなっています。
実際にAQUOS R8の連続で高負荷を掛けてみたところ、本体温度は40度前後まで上昇したものの30分以上動作を続けてもトラブルはありませんでした。
旧世代のAQUOS R7より、発熱問題は改善していると言えるでしょう。
発熱の傾向としては、本体背面上部~カメラユニットのある部分が始めに熱くなり、20~30分経つ頃にはボディ全体が36~42℃ほどまで上がります。40℃程度ならまだ「熱くて持てない」ということはないものの、数値どおり体温よりはかなり高い熱を感じます。
AQUOS R8のAntutuスコア
AQUOS R8の実機にベンチマークアプリ(Antutu Ver9系)を導入し、連続で動作させ続けた場合のスコアは以下の通りとなっています。
測定回数 | AQUOS R8 Antutuスコア |
1回め | 120万点 |
2回め | 110万点 |
3回め | 102万点 |
4回め | 104万点 |
4回の連続測定でおよそ30分掛かっています。測定を繰り返すごとに、徐々に発熱によるパフォーマンス低下が観測されました。十分に時間を空けて本体冷却後に再測定すると120万点に戻ったことから、誤差ではなく熱による若干の性能低下が起きていると考えて良いでしょう。
Antutuスコアの目安は、
Antutuスコア(ver.9.x) | 搭載CPU/目安 |
【AQUOS R8はココ】 100万点~120万点前後 |
Snapdragon 8 Gen 2 /2023年の最高峰機種 |
90万点~100万点前後 | Snapdragon 8 Gen 1 /2022年の最高峰機種 |
70万点~80万点前後 | Google Tensor G2 Snapdragon 888 /2021年のハイエンドクラス |
60万点~70万点前後 | Google Tensor G1 Snapdragon 865 /2020年のハイエンドクラス |
50万点~55万点前後 | Snapdragon 778・ Snapdragon 855 /2019年のハイエンドクラス |
35万点~40万点前後 | Snapdragon 765 5G・ Snapdragon 695 5Gの水準 /2021-2023年のミドルクラス |
30万点~35万点前後 |
Snapdragon 690 5G /2021年のミドルクラス |
25万点~30万点前後 | Snapdragon 480 /2022年のエントリーモデルクラス |
*数字はあくまで目安です。測定状況・アプリバージョンの異なる場合には数字が大きく変わることもあります。iPhone用のアプリとは評価基準が異なるため、比較は無意味です。
このように、連続利用で多少本体が熱を生じてパフォーマンスが落ちたとしても、1世代前の最上位機種より高い性能を維持できます。AQUOS R8の最高スコアはAQUOS R8 pro(120万点)とほぼ同じであり、RAMによるスコア差はほとんどありません。
AQUOS R8 pro/R8の電池持ち比較
AQUOS R8 proとAQUOS R8ではバッテリー性能にも少し差があります。
ドコモの公称値では以下のような違いです。
項目 | AQUOS R8 pro | AQUOS R8 |
容量 | 5000mAh | 4570mAh |
ワイヤレス充電 | 対応 | 非対応 |
充電時間* | 約100分 | 約120分 |
連続待ち受け時間 | 約470時間 | 約550時間 |
連続通話時間 | 約2490分 | 約2350分 |
*ドコモ純正ACアダプタ08を使った場合。
上記の通り、電池容量自体がAQUOS R8 proのほうが1割ほど大きく、充電速度にも差があるようです。一方で、待ち受け時間だけならAQUOS R8のほうが2割弱も長く、消耗が少ない仕様となっています。
AQUOS R8/R8 proはどちらも大容量のバッテリーと、「長エネスイッチ」による節電モード・使っていないアプリのバッテリー消耗を制限するモード、充放電による電池劣化を防ぐインテリジェントチャージなど、長くスマホを使うための機能が搭載されています。
AQUOS R8/R8 proの価格差
2023年8月29日時点における、AQUOS R8とAQUOS R8 proの価格差は以下のとおりです。
一括購入時:62,150の差
返却プログラム利用時*:33,110円の差
*良品として2年後に返却した場合(2023年8月29日時点、オンラインショップ価格)。
この価格差分を出してでも、1インチセンサーのカメラを使いたいと感じるかどうか、AQUOS R8とR8 proの性能差と、そして何より予算に合わせて選んでみてください。
なお、ドコモでは機種購入に関してキャンペーンがあります(2023年8月時点)。詳しくは公式HPの表記を確認してください。