2018年9月14日、日本国内で最新モデルのiPhoneシリーズ「iPhone XS」「iPhone XS Max」の予約受付開始と共に、各キャリアが端末販売価格を発表しました。
過去シリーズ最大となった6.5インチディスプレイモデル iPhone XS Maxの最上位モデルの販売価格は、18万円~19万円という値段も史上最高額を更新するモンスター級モデルとなりました。
もちろんストレージ容量を小さなものにすれば18万円までもは高くならないモデルもありますが、最も値段が高いiPhone XS Max 512GBモデルは、一般人が買うようなモバイル端末ではなくなっています。
Apple Store:177,984円
ドコモ:184,680円
au:184,800円
ソフトバンク:192,960円
*2018年9月14日時点、税込。
本当にこれは携帯電話の「端末だけ」の価格なのか?と目を疑うような超ハイプライスです。
この携帯端末の価格とは思えないほどの最高級端末をそのままの定価価格で買う人は、いわゆる「アップル信者」にも居ないのではないかと思われるほどです。
ドコモ・au・ソフトバンクの3社では、このエグゼクティブモデルをどうやって売るつもりなのか気になっていましたが、そのポイントは「半額負担のレンタルシステム」にありました。
*半額サポートなどの料金プランは新型iPhoneの予約時ではなく、入荷後の購入本手続き時に選択出来ます。発売日にすぐiPhone XS, iPhone XS Maxを手に入れたい人はとりあえず先に予約をしてからじっくり考えましょう → 「ドコモ・au・ソフトバンク キャリア別iPhone XS/ iPhone XS Max 予約ページと注意事項」
2年で返却すれば9万円~の値引きに
ドコモ・au・ソフトバンクの3社では、以前より「指定の期間スマホを使ったあと、スマホを返却することにより端末分割残債の支払いを免除(ドコモはポイント付与)」することにより、機種代金の負担を軽くするシステムを提供しています。
それぞれソフトバンクの場合は「半額サポート for iPhone (またAndroid)」、auの場合は「アップグレードプログラム EX/EX(a)」,ドコモの場合は「機種変更応援プログラム(プラス)」という名称です。
各社のサービスには微妙に違いがある(ドコモの場合はかなり違う)ので一括りに価格・割引額を比較することは出来ないのですが、大雑把に言えば「iPhoneのレンタルシステム」的なサービスになっています。
例えば、ソフトバンクでは半額サポート for iPhoneを利用した場合の機種負担額を目立つように表示して、iPhone XS Maxの価格を案内しています。
最大19万円を超えるソフトバンクのiPhone XS Maxを、25ヶ月後にソフトバンクに端末を返却することで74,880円~96,480円分の本体支払いをせずに次の機種へ取替えを行えます。
もっと言えば、iPhone XS Maxを通常購入すれば月額6240円~8,040円掛かるところを、半額の負担・月額3,120円~4,020円でレンタルをしていることとほぼ同義です(もちろん実際の契約は「購入」なので、「レンタル」というのは便宜上の比喩的表現です。半額サポートを使って次の機種変更を行うまでの所有権はユーザーにあります)。
ただし、2年後にソフトバンクへ端末を返却しなかった場合や、端末に故障・破損があった場合には残債の免除なし・破損負担金(2万円・2000円)を支払う必要が生じます。
当社指定の査定基準を満たしていない場合に、お客さまが本特典の利用を希望するときは、20,000円(不課税)(あんしん保証パックwith AppleCare Services、あんしん保証パックプラス又はあんしん保証パックにご加入の方は2,000円(不課税))を一括でお支払いただく必要があります
これまで、端末の本来の定価が安い機種であれば、わざわざ半額サポートを使っても「免除される半額の代金」が小さかったため、利用するメリットが小さい、あるいは全く無いようなスマホも存在しました。しかし上記の通り、iPhone XS Maxや512GBモデルの高額機種だと、この半額サポートが威力を発揮します。
その半額サポートの割引効果は、以下の価格リストを見れば一目瞭然です。
機種名 | 半額サポートの 最大免除額 |
iPhone XS Max 512GB | 96,480円を免除 |
iPhone XS 64GB | 68,400円を免除 |
iPhone 8 64GB | 43,200円を免除 |
iPhone SE 32GB | 32,400円を免除 |
Android One S3 | 15,360円を免除 |
*2018年9月14日時点の価格。
いずれの機種も、2年後に返却するという前提がありますが、返却時に免除される価格が最新のiPhoneでは非常に高額になることが判ると思います。
下取りプログラムとの比較
半額サポートでは「2年後に端末をソフトバンクに返却する」という条件が付いていますが、これは従来「下取りプログラム」として提供されていたサービスの変形であるとも言えます。
ここで、半額サポートを使わず、本体を自分自身で「売却」をしても、事実上本体代金の支払い負担額を減らしてiPhoneを利用した、と考えることも出来ます。
つまり「半額サポートで免除される金額」と「2年後の端末の中古価値(売却価格)」のどちらが高くなるのかが重要なポイントになります。
例えば、2018年9月から見て2年前に発売されたiPhone 7 Plus 256GBモデルの場合では、中古品買取相場は以下のようになっています。
SB iPhone 7 Plus 256GB | 最大買取額 |
新品(未使用) | 51,000円 |
Aランク(美品・傷がないもの) | 38,000円 |
Bランク(若干の使用感・目立たない傷) | 34,000円 |
Cランク(目に見える傷がある) | 28,000円 |
Dランク(目立つ傷・凹みがある) | 26,000円 |
2018年9月14日時点「携帯・スマートフォン買取のダイワンのリアルタイム査定」より。
ソフトバンクのiPhone 7 Plus 256GBモデルの発売当時の販売価格は「125,280円」でした。
ここから、2年後に同じ割合でiPhone XS Max 512GBモデルの買取額が変動したとすると、以下のような査定になることが予想されます。
SB iPhone XS Max 512GB | 最大買取額 (予測) |
新品(未使用) | 79,000円 |
Aランク(美品・傷がないもの) | 59,000円 |
Bランク(若干の使用感・目立たない傷) | 52,000円 |
Cランク(目に見える傷がある) | 43,000円 |
Dランク(目立つ傷・凹みがある) | 40,000円 |
(iPhone 7Plus 256GBの2016年→2018年の価値減少率より算出された割合から予測したもの)
スマートフォンを実際に2年間利用した場合、全くの未使用状態で維持することはまず不可能であるため、新品ランクでの買取額になることはありません。
ケースやフィルムを装着して、毎日丁寧に使えばAランク(傷がない美品)~Bランク(僅かなスレや使用感程度まで)の査定が出るでしょう。一度でもケースを使わずに落としたり、硬いものにぶつける・擦ってしまうとCランク・Dランク査定まで落ちてしまうでしょう。
iPhone XS Max 512GBモデルを2年間使い続けてから売却すると、2020年には4万円~6万円程度の価値にまで落ちていることが予想されます。
しかし、ここでソフトバンクの半額サポートを使えば、多少の傷・使用感があったとしても激しい画面割れ・故障していなければ、96,480円相当で売却したことと同じ効果が得られます。
iPhone XS Max 512GBモデルのように超高額な端末の場合は、普通に本体代金を自分で全額支払って購入→2年後に売却するよりも、半額サポート for iPhoneを使って9.6万円の残債を免除してもらったほうが3~4万円くらいお得になる可能性が高いと言えます。
iPhone XS Max 512GBモデルは2年後でも比較的高い中古市場価値を保っているとは予想されますが、傷が多ければ高く売れるはずがありません。ギズでボロボロになったものが10万円以上(半額サポートの免除額より高い金額)で売れることは絶対にないでしょう。
端末の販売価格が小さな機種ではここまでの「残債免除額」と「下取り価格」に差が生じません。販売価格が尋常ではなく高いiPhone XS Maxだからこそ、この半額サポートシステムの威力が大きくなると言えるのです。
auの場合は「アップグレードプログラム」で半額に
上記で解説したソフトバンク用の「半額サポート for iPhone」と非常に似ていますが、auでも「アップグレードプログラム(a)/EX(a)」により、iPhone XSやiPhone XS Maxを半額の負担で購入(端末要返却)することが来ます。
auのアップグレードプログラムEXでは、機種代金の半額相当の残債を免除することが出来る点は同じです。プログラムの利用料として月額390円が別途必要になりますので、実際の負担額は「機種代の半額+プログラム利用料390円×24ヶ月分」となります。
機種名 | UPGP利用時の 最大免除額 |
iPhone XS Max 512GB | 92,400円を免除 |
iPhone XS 64GB | 64,320円を免除 |
iPhone 8 64GB | 45,720円を免除 |
Qua Phone QZ | 16,200円を免除 |
*プログラム利用料(24ヶ月の場合 390円(非課税)として9360円の負担あり )が別途必要。
auのアップグレードプログラムでも同様に、機種代金が高いモデルほど残債免除のメリットが大きくなります。
詳細はauのアップグレードプログラムについては「au新プランの罠 「4年縛り」アップグレードプログラムEXは加入するべきか?機種別の「本当の割引額」を知ろう」のページでも解説しています。
ドコモの機種変更応援プログラムは「半額」ではない
ドコモの機種変更応援プログラムプラスは「半額サポート」「アップグレードプログラム」とは異なり、残債の免除をするシステムではなく、端末をドコモに返却して機種変更をした場合に、利用経過月数に応じて、以下の金額が還元されます。
(画像はiPhone Xのものですが、iPhone XS, XS Max, XRも最大6万円とされていますので、同じ価格になるはずです)
機種変更応援プログラムの利用料金(月額料金)はなく、無料で利用できます。応援プログラムを使わずに通常の機種変更を選んでもOKです。
ドコモの機種変更応援プログラムは月々サポートと併用が出来るため、au・ソフトバンクのプログラムとは事情が大きく異なります。
13ヶ月目で機種変更するとして、12ヶ月目まで月々サポートを適用した場合の割引額+還元額は以下のようになります(月々サポートは機種変更契約時)。
対象機種 | 機種変応援 最大還元(ポイント) |
月々サポート* (12ヶ月分) |
合計割引額 |
iPhone XS Max 512GB | 60,000円 | -29,484円 | 89,484円 |
iPhone XS 64GB | 60,000円 | -29,484円 | 89,484円 |
iPhone X 256GB | 60,000円 | -28,836円 | 88,836円 |
iPhone 8 64GB | 40,000円 | -34,668円 | 74,668円 |
au, Softbankでは25ヶ月目で機種変更をした場合の免除でしたが、上記ドコモの場合は13ヶ月目で機種変更をしている点に注意してください(つまり1年でほぼ半額分の代金は支払わなければならない)。
ドコモの機種変更応援プログラムの場合は、ストレージ容量による還元価格差が無いため、64GBモデルより価格が高い256GB,512GBモデルで使ってしまうと損になる可能性があります。この点で、au・SBのレンタルシステムとは利用してトクするケースが異なっています。
機種変更応援プログラムは「還元ポイントと月々サポートの合計金額が、本体価格に比べて高い割合」であるほどお得です。よって、iPhone XS Max 512GBよりもiPhone XS 64GB、さらにiPhone 8 64GBで使ったほうが実質上のお得さが高くなるという仕組みです。
ただ、ドコモの機種変更応援プログラムは加入後に使わなくてもデメリットが一切ない(加入後に月額負担が生じるわけでもなく、ドコモに端末を返却・機種変更をしなくても、ペナルティが無い)ので、とりあえず購入時に加入しておけば問題ありません。
参照:加入しても大丈夫?ドコモの機種変更応援プログラムプラスをデメリットゼロで活用する考え方
まとめ
以上のように、au・ソフトバンク・ドコモで超高額なiPhone XS Maxや512GBの大容量モデルを買おうと考えている人は、1年後・2年後に端末を返却することが前提とした割引額の大きさと、予想される2年後の中古端末の価値を比較して、レンタルシステムを使うかどうか考えることが従来の機種にも増して重要な節約の鍵になっていると言えます。
ただし、ドコモ・au・Softbankそれぞれの「機種変更応援プログラムプラス」「アップグレードプログラム」「半額サポート for iPhone」は全く同じサービス・値引き額では無いため、それぞれの特徴を理解して活用するかどうか判断が必要になっています。
これまで「購入した機種を安く手放す・返却するのは嫌だ」と考えていた人も、今回の10万円をゆうに超えてしまったiPhone XS, iPhone XS Maxを、将来の機種変更時にどうするのか(手元に残すのか、売るのか、返却するのか)よく考えてみることをオススメします。