スマートフォンの行き過ぎた高性能化と円安・物価高の影響を受け、ハイエンドモデルはついに20万円にまで到達してしまったソニーのXperiaシリーズにおいて、価格と性能のバランスが良いことで人気の「Xperia 10」シリーズの2023年最新作「Xperia 10 V」(えくすぺりあてん まーくふぁいぶ)と、型落ちになったことで投げ売り・在庫処分価格で買えるオトクな「Xperia 10 IV」の違い、どちらを買うべきか迷った場合の比較ポイントを解説します。
ソニーのスマートフォン「Xperia 10」シリーズは、上位モデルの高性能機種より安く、かつ初心者向けモデルより高性能な機能を持つ、中間的な機能・仕様、そして価格が設定された人気シリーズです。
例えばドコモの場合、2023年5月の1週目における売れ筋ランキングでは、iPhone14に次いで第2位にXperia 10 IVが入っています。
つまり、ドコモオンライン販売分のAndroidスマホとしては今、一番売れている機種です。新発売になったGalaxy S23シリーズよりも、上位のXperia 1/5シリーズよりも、本当にユーザーに選ばれているのは「価格と性能のバランスがよいXperia 10 IV」だといえます。
2023年5月に発表された新型「Xperia 10 V」もまた、これまでユーザーに評判の良かったXperia 10シリーズらしい”性能と価格のバランス”を維持しながら、いくつかの機能・性能のアップグレードが行われました。
実際に歴代Xperia 10シリーズを使って感じた不満点が改善されている部分もあります。各ポイントを重要視するかどうかは人それぞれです。「割引・値下げがされていなくても新型を買うか、型落ちで安いモデルを買っておくべきか」、Xperia 10 IVとXperia 10 Vの違い・価格差を把握して判断してみてください。
Xperia 10 IVとXperia 10 Vの違い
まずはXperia 10 IVとXperia 10 Vの具体的な違い・変わらない部分を一覧にして列挙してみましょう。
スペック・仕様 | 2022年モデル Xperia 10 IV |
2023年モデル Xperia 10 V |
発売日 |
2022年7月8日~ |
2023年7月予定 |
ディスプレイ | 6.0インチ FHD+ 有機EL |
6.1インチ FHD+ 有機EL |
リフレッシュレート |
60Hz |
60Hz |
サイズ | 153× 67 × 8.3 mm |
155 × 68 × 8.3 mm |
重さ | 161グラム |
159グラム |
SIMスロット |
nano SIM+eSIM |
nano SIM+eSIM |
電池容量 | 5000mAh | 5000mAh |
連続待受(4G) |
約1025時間 |
約1085時間 |
CPU | Snapdragon 695 5G |
Snapdragon 695 5G |
RAM | 6GB | 6GB |
ROM | 128GB |
128GB |
5G通信 | 対応 | 対応 |
おサイフケータイ |
対応 |
対応 |
フロントスピーカー |
モノラル |
ステレオ |
3.5mmイヤホンジャック |
あり |
あり |
ワンセグ/フルセグ |
非対応 |
非対応 |
ワイヤレス充電 |
非対応 |
非対応 |
外部ストレージ |
micro SD(最大1TB)対応 |
micro SD(最大1TB)対応 |
カメラ | 1200万画素[メイン]
(1/2.8インチセンサー) +800万画素[超広角] (1/4インチセンサー) +800万画素[望遠] (1/4.4インチセンサー) |
4800万画素[メイン] (1/2.0インチセンサー) +800万画素[超広角] +800万画素[望遠] |
防水防塵 |
対応 | 対応 |
生体認証 |
指紋(本体横) | 指紋(本体横) |
価格 |
Rakuten:59,800円 |
Rakuten:72,800円 |
*待ち受け時間は楽天モバイルの公称値より。価格は発売時点の定価。より詳しい仕様は販売サイトを参照ください。
Xperia 10 Vの進化点・優れたポイント
上記の通り、2022年モデルと2023年モデルで大きく変わらない部分もありますが、実際の利用で体感できるレベルの差も少しだけ見られます。
ユーザーにとって嬉しい変更点としては、メインカメラの進化とスピーカーのステレオ化でしょう。
従来のXperia 10 IVでもそれなりにキレイな写真は撮れます。
(実際にXperia 10 IVで撮影した写真/タップで拡大可能)
今回、Xperia 10 Vではメインカメラ(広角)に従来よりも大きなイメージセンサーが採用され、より高画質な写真が撮れるようになります。
Xperia 10 IVでは(おそらくVも)夜景撮影用の「ナイトモード」も搭載しています。iPhoneや他社のスマホなら当たり前に使えるようになってきたナイトモードですが、Xperiaでは10シリーズのみに採用されています(2023年5月時点。Xperia 1 IVなどは”低照度モード”やマニュアルで夜景撮影なら可能)。
メインレンズ以外に大きな仕様変更はありませんが、Xperia 10 IV/Vは低価格~ミドルレンジのスマホだと搭載されないことも多い望遠専用レンズも搭載していますので、バランスよく写真撮影を楽しみたい人には新型 Xperia 10 Vを選ぶメリットがあります。
*ただしあくまで「歴代Xperia 10シリーズ」において”比較的キレイ”というだけで、Xperia 10 Vでも上位モデル・他社機種の超高性能カメラ搭載機種とは比較になりません。Xperiaで本当にキレイな写真をスマホで撮りたいなら、安くなってきた Xperia Pro-Iをオススメします →[7.8万円値下げ]ソニーSIMフリーXperia PRO-Iが安く Xperia1V発売でそろそろ在庫処分の時期
歴代Xpeira 10シリーズと上位の1/5シリーズを実際に使い比べて個人的に不満だった、モノラルスピーカー→ステレオスピーカーになったことも大進化の一つです。
Xperiaスマホでは、高額モデルのXperia 1/5シリーズにはステレオスピーカーが使われてきましたが、低価格機種はモノラルスピーカー仕様でした。旧型のモノラルスピーカーだと、高性能機種とは明らかに聞こえ方に差が出てしまっていました。
Xperia 10 Vは本体の前面上下に配置されたスピーカーから音楽や動画のサウンドを再生できるため、自然で臨場感ある立体的な音響を楽しめます。スマホでYoutubeやAbema TV,Prime Videoなどの動画をよく見る人は、Xperia 10 Vを選ぶ価値があります(イヤホンでしか音を再生しないのならIVもVもあまり変わりません)。
また、前項のスペック比較表には表れていませんが、Xperia 10 Vではディスプレイパネルサイズがほんの少し大きくなっただけでなく、輝度(明るさ)が約1.5倍になり、屋外でも見やすいパネルに変更されています。
この他、若干の電池持ちの向上や、ディスプレイがわずかに大きく・本体が軽量化しているなどの変更がXperia 10 Vのメリットです。
Xperia 10 V/IVは約160グラムという比較的軽量なボディ・細長で持ちやすいという点も人気の理由です。
一方で、Xperia 10 IVとXperia 10 Vは同じCPU Snapdragon 695 5G/メモリ 6GB/ストレージ 128GBという仕様のままであるため、処理性能にはほぼ進化はありません。
Xperia 10 IVは”2022年のミドルレンジモデル”としてはスタンダードな性能を持っていました。しかし、2023年型になっても全く変わらない性能という意味では、少し物足りなさを感じてしまうところです。
Xperia 10 IV/Xperia 10 Vでもある程度のゲームアプリやSNSアプリはスムーズに動きますが、ゲーミングスマホのような高機能・”新型だから性能が高くなっているはず”と思ってXperia 10 Vを買ってしまうと少しガッカリするかもしれません。
同じような価格帯で性能が高いスマホが欲しいなら、Xperia 10 Vに比べて処理性能は2倍近く高い(ベンチマークアプリのスコア基準で)Google Pixel 7aを買うことをおすすめします。
続きを読む → Google Pixel7aついに発売 気になるカメラやバッテリー、価格や仕様
値上がったXperia 10 Vと、激安のXperia 10 IV
機種選びの問題はここからです。
性能が部分的に向上した2023年モデルのXpeira 10 Vは、旧型Xperia 10 IVよりも価格設定が高くなり、かつ型落ちしたXperia 10 IVは発売時よりも大幅な値引き価格になっています。
楽天モバイルの販売価格で比べると、Xperia 10 IVの発売時価格59,800円 → Xperia 10 V 72,800円へ、13,000円・約22%の値上げです。
さらにXperia 10 IVは白ロム(本体のみの流通品)だと、未使用品が3万円前後で買える相場まで値下がっています。これは発売当時(6~7.5万円程度)の半額以下の水準であり、在庫処分の大安売り状態と言えます。
*価格・ポイント還元はショップや購入するタイミングにより変動します。
☆「アマゾン Xperia 10 IV 本体一覧」
☆「 楽天市場 Xperia 10 IV本体一覧」
☆「Yahoo!ショッピング Xperia 10 IV本体一覧」
*Xperia 10 IVにはキャリア版(A202SO/SOG07/SO-52C)とSIMフリー(型番XQ-CC44)などがあります。仕様が異なる場合がありますので、購入時には注意をしてください。
2023年5月時点で実売価格3万円前後のXperia 10 IVと、7万円超のXperia 10 V。この価格差を支払う価値が前述の差に感じられるなら新型を選ぶのも良いでしょう(2023年5月15日時点、Xperia 10 Vの価格は楽天モバイルのみ発表済み。他社でも契約時セット割引などキャンペーンが実施される可能性はあります)。
あるいは、Xperia 10 Vも今後発売から時間が経てば徐々に価格が下げられる・割引強化によって1年後くらいに投げ売りされることは目に見えていますので、それまではXperia 10 IVを使っておくのがオススメです。