いよいよ発売日を前日に控えたApple 2017年モデルのiPhone 8, iPhone 8 Plusなのですが、これまでのモデルと違いauの3G通信(CDMA2000)が利用できなくなるとして話題にになっています。
auの公式ページにも記載があり、すでにキャリアへの問い合わせでも本当に使えないことが確定しています。
*iPhone 8/iPhone 8 Plus/iPhone Xは、日本国内において3G通信はご利用いただけません。(auホームページ iPhoneスペック比較一覧より)
では、auの3G通信が使えないとどういうことになるのか、auのやや特殊な通信方式と合わせて考えてみましょう。
auの3G方式(CDMA2000)
格安スマホ・SIMフリースマホなどを購入検討したことがある人なら調べた経験のある人も多いと思いますが、携帯電話のキャリアではそれぞれ通信/通話に異なる周波数帯を利用しています。
詳しい技術的な話は実利用上にはほとんど関係がないのでここではばっさりと省略します(興味のある人はWikipediaでもご覧ください。かなりマニアックなことまで書いてあります)けれど、auは4G通信に主にBand 18および26と呼ばれるバンドを使っています。
一方の3G通信用には「CDMA 2000」という通信方式を採用しています。
CDMA2000とは、「IMT-2000」(International Mobile Telecommunications 2000) と呼ばれる、ITU (International Telecommunication Union: 国際電気通信連合) で規定された3Gシステムのひとつで、3GPP2 (3G Partnership Project 2) で標準仕様の開発が行われている。単に「CDMA」といわれることもある。2GシステムのcdmaOne (IS-95) と上位互換性があり、日本ではKDDI (au) がCDMA2000方式を採用している。音声通信と144kbpsのデータ通信を行なう規格「CDMA2000 1X」、データ通信に特化した拡張規格「EV-DO (Evolution Data Only/Optimized)」などが含まれる-KDDI 用語集より
難しい話はともかく、auはこの3G通信方式による通信端末を減らして行く方針を採っており、最近の「VoLTE専用スマートフォン/4G ケータイ」ではすでに3G通信が出来ない機種も少なくありません。すでにauでは広い4G(LTE)による通信エリアをカバーしており、事実上日本中のほとんどのエリアで3Gが無くても通信可能エリアに違いが無いと考えているようです。
4Gが繋がらず、3Gだけ繋がるエリアは?
しかし、ネット上でここまで問題になる(なりそうだと考えている人が居る)ということは、実際の現場では4Gが繋がりにくく、3Gだけがつながるエリアがあるのか?という点が気になります。
auではインターネットにて4G/WiMAX2+/3Gによるエリアマップを公開しており、どの地域で電波を受信できるかを地図上で見ることが可能です。
☆「https://www.au.com/mobile/area/」
試しに群馬県の赤城山付近のサービスマップを出してみました。通信方式によるエリアはマップの上にあるタブで切り替えられます。
都心部・人口集中エリアでは4G LTEが圏外になることはまずありませんが、地方・山間部になると4G/3Gともにつながらないエリアは確かにあります。しかし、ぱっと見る限りでは「4Gがエリア圏外で3Gだけ繋がる」という地域もまた、マップ上ではほとんど見られません。
もし普段利用しているエリアで4Gが繋がりにくい気がする・・・という人は、一度上記のエリアマップでサービスエリアを確かめてみると良いでしょう。必ずしもエリアマップのポイントと、実際の接続状況が一致するとも限りませんので、本当に4Gが繋がりにくく3Gだけ繋がるエリアに良く居る・行くのなら、iPhone8シリーズは避けたほうが良い可能性もあります。
au版iPhone 8が3Gに繋がらない場合の問題はどの程度起こり得るか?
現在auの3G通信も可能な端末を持っていて、たまには4G→3Gへ切り替わっている状態になる経験をしている場合もあるかと思います。そういった場合、4Gしか使えず3GにもつながらないiPhone 8/8 Plus/ Xでは圏外になってしまうのか?という懸念が、いま心配されている主な原因かと思われます。
4G→3Gへの切り替わりは上記で表示させた3G/4Gの電波が繋がりにくい山間部や地方だけではなく、意外と都市部でも起こったりするものです。これは、電波自体のつながり易さの問題というより、スマートフォン機種が4G/3G接続への切り替え・電波受信時の調整がうまく行われておらず4Gに繋がっていないだけという可能性もありそうです(実際はどうなのか確かめる術がないのでわからないですけど)。
そうした場合、3G非対応になったiPhone8以降のauモデルがどのような挙動を示すのか、実際に使ってみるまでは差は感じられないでしょう。
一方で、すでに格安SIMサービス(MVNO)向けにはau VoLTE専用のSIMが提供されており、例えばインターネットイニシアティブ社のauプランでは3G通信は使えない状態でサービスが提供されています。
☆「IIJmio」
IIJmioのauプランのSIMを管理人も実際にSIMフリーのiPhone 7で3Gに繋がらないSIMで運用していますが、1年近く使ってきて電波の受信感度が悪いと感じたことは一度もありません(ただし、速度はau本家に比べて非常に厳しい時間帯もあります(苦笑)。
iPhoneで3G通信が使えないことで圏外状態が発生しまくるというのなら、すでにMVNOで同じ状況になっているはずです。しかし、私も実際に使っていてそのようなつながりの悪さを感じていません。IIJmioは国内MVNOサービスの中でもトップクラスの契約者数があり、多くの人がすでにiPhoneで利用しているはずです。それでもそのような問題をあまり聞かないということは、「auの3G通信に繋がらないiPhone」がトラブルを引き起こす可能性は極めて小さいと予想されます(そうでなければKDDIがこのタイミングで3Gを排除するはずはないですけれど)。
しかしながら、今ならまだ3G方式でも通信・通話が出来るiPhone 7, iPhone 7 Plusが安く買えますので、将来的にはさらに4G通信のエリアが拡大・接続が安定することを期待して、今はまだiPhone8ではなくあえてiPhone 7 シリーズに買い換えておくという安全策を採るのも悪くないでしょう。
上記で紹介したエリアマップで対応しているからといって、必ずしもすべての個別のポイントで4Gが繋がることが保証されるわけではないため、よく考えて新型のiPhoneを選ぶのか、3Gで今後もしばらくは使えるはずのiPhone7シリーズを買うのか決めれば良いと思います。