2021年春夏モデルのハイエンド5Gスマートフォン Galaxy S21 Ultra(Snapdragon 888搭載)の実機レビューです。NTTドコモの発売日は2021年4月22日です。
Galaxy S21 Ultraは、従来GalaxyのNoteシリーズ限定の機能だったSペンにSシリーズで初めて対応したモデルです。細かい筆圧に応じて滑らかな描き味を再現したペイント・メモ機能を大画面ディスプレイで利用できます。
一方で、2021年モデルのGalaxy S21シリーズは旧モデルに比べてグローバル価格が大幅に値下げ(定価基準で200ドル値下げ)されており、高くなり続ける最先端・ハイエンドモデルとしてお買い得といえる水準になっています。
Galaxy S21シリーズの3モデル「Galaxy S21」/「Galaxy S21+」/「Galaxy S21 Ultra」のうち、今回は最も性能が高い上位機種のGalaxy S21 Ultra (Qualcomm Snapdragon 888搭載)の購入レポート・実際に使ってみて感じた旧モデルからの進化点やメリット・デメリットをレビューします。
Galaxy S21 Ultraのスペックと機能
ディスプレイ (解像度) |
6.8インチ (Edge Quad HD+) |
生体認証 | 指紋認証 (パネル内蔵) 顔認証 |
サイズ | 縦:165.1 mm 横:75.6 mm 厚さ:8.9 mm 重さ:229グラム(mmW対応版) |
カメラ | 12MP +108MP +10MP +10MP |
バッテリー | 5,000mAh (ワイヤレス充電対応) |
5G通信 | 対応 |
CPU | Snapdragon 888 | SIMスロット | single/dual e-SIMモデルあり *SC-52BはシングルSIM |
RAM/ROM | 12GB・16GB/ 128GB・256GB・512GB SC-52B:12GB+256GB |
防水/防塵 | IP68対応 |
(CPU/RAM/ROM/対応バンド/SIMスロットは販売国・モデルによって異なります)
Galaxy S21シリーズのうち、S21 Ultraだけの特別な機能・仕様としては、
・画面解像度がQuad HD+(他はフルHD+相当)
・RAM(メモリ)が大きい(他は8GB)
・画面リフレッシュレートが10~120Hz
・インカメラが40MP
・108MPの広角カメラ/100倍スペースズーム対応
・Sペンに対応
といった違いがあります。
関連記事:2021年モデルGalaxy S21は安いか 型落ちGalaxy S20との違い・スペック・価格比較
Galaxy S21 Ultraの新デザイン・外観
Galaxy S21 Ultraは、従来のGalaxy Sシリーズからデザイン・外観も少し変わっています。
今回購入したカラーは「ファントムシルバー」という色です。
全体的には明るいシルバーを基調としたカラーリングで、光の当たり具合によって青~赤みを帯びたような風合いに変わります。
背面パネルはマットな質感であり、指紋が目立たないコーティングとなっています。
Galaxy S21 Ultraのカラーラインナップは、
・ファントムブラック
・ファントムシルバー
・ファントムブラウン
・ファントムネイビー
・ファントムチタニウム
があります(カラーラインナップは取り扱いサービスによって異なる)。ドコモ発売カラーはファントムシルバーとファントムブラックの2色となります。
Galaxy S21シリーズのカメラユニットのデザインも大きく変わっています。
Galaxy S21シリーズのカメラレンズはブロック状の金属パーツで囲まれており、部分的にフレームの縁と一体になっています。
(Galaxy Note 20 Ultraのカメラパーツ)
従来機ではカメラ部分全体が背面パネルから飛び出て段差がありました。新型のGalaxy S21 Ultraでもカメラレンズ部分は大きく飛び出ているものの、カメラのレンズはカバーよりも1段低くなっているため、机上に置いたときにレンズ自体に傷や汚れが着きにくくなったといえます。
Galaxy S21 Ultraは非常に大きなスマホで、2020年モデルのGalaxy Note20 Ultraとボディの大きさはほぼ同等・重量はより重くなっています。
Galaxy S21 Ultraの229グラムという重量は、iPhone 11 Pro Max/iPhone 12 Pro Max(226グラム)と同程度です。
カメラ部分以外は薄めで、片手で操作できないわけではありませんが、はっきり言ってかなりの重量級であるため、200グラムをゆうに超えるボディを重すぎると感じる人にはあまりおすすめしません。
スピーカーはディスプレイ上部とボディ下部にあるステレオ式です。有線のイヤホンジャック(3.5mm)には対応していません。
Snapdragon 888の性能・Antutuスコア
Galaxy S21 Ultraはシリーズ史上最強のCPU「Qualcomm Snapdragon 888」を搭載しており、処理性能もアップしています。
ベンチマークアプリによる性能評価だと、Antutuベンチマークのスコアは約70万点(複数回測定の平均値)に到達しました。
Snapdragon 865+を搭載していたGalaxy Note20 Ultra(60万点程度)、Snapdragon 865搭載のGalaxy S20シリーズ(50-55万点程度)を超えるスコアです。
旧モデルでもあらゆるゲームアプリが快適に遊べる水準でしたが、Galaxy S21 Ultraならさらにスムーズに動くはずです。
Galaxy S21 Ultraのカメラ性能
Galaxy S21 Ultraはカメラも歴代シリーズ最強です。
Galaxy S21 Ultraのメインカメラは1/1.33″大型センサー 1億800万画素であり、旧モデルのGalaxy S20 Ultra, Galaxy Note 20 Ultraから進化していません。
一方で、ズームカメラは光学3倍と光学10倍に相当する10メガピクセルのユニットに変更されました。
カメラのズームレンジは35mm換算で焦点距離13mm(超広角カメラ)→24mm(標準カメラ)→72mm(3倍ズーム)→240mm(10倍ズーム)となります。10倍を超えるズーム部分はデジタル併用となります。
(13mmの広角カメラで撮影)
(10倍ズーム時)
(100倍ズーム時)
100倍までズームをすると、もはや肉眼では見えないような細かな部分まで見えてきます。ただし、超高倍率にすると画質は大きく劣化します。パソコンモニターなどの大きな画面でも綺麗に見えるのは10倍~20倍程度まででしょう。
(超広角カメラ撮影時)
(10倍ズーム時)
Galaxy S21 Ultraでは超高倍率ズーム時に強力な手ブレ補正が働く(通常ではありえないほど「ピタっ」と止まる、ズームロック機能がある)ため、高倍率でもブレにくい写真が撮れます。
光学5倍相当・最大50倍ズームのGalaxy Note20 UltraとGalaxy S21 Ultraのズーム写真画質を比較してみましょう。
全く同じ距離から50倍ズームで撮影した写真を見比べると、Galaxy Note20 Ultraでは潰れてしまっている細かい文字が読めたり、S21 Ultraのほうがノイズが少なくなり、明らかな画質向上が認められます。”50倍でもきれいな写真が撮れる”とは言えないものの、最高水準のズームカメラが楽しめます。
動画では8K 24fpsの画質でムービーを撮影することが可能です。8K動画になるとデータ容量が非常に大きくなってしまいますが、「8Kビデオスナップ」を利用して、動画から写真を取り出しても高画質なままです。
また、「モーションフォト」(iPhoneで言えばLIVEフォト)機能を使えば、動きの多い動物・ペットの撮影に使えば、ベストショットを後から選ぶという使い方も出来ます。
(キョロキョロと動くカワウソも撮れます)
新対応のSペンについて
Galaxy S21 UltraではGalaxy NoteシリーズのSペンが使えるようになりました。
実際にGalaxy S21 Ultraで文字や絵を書いてみると、4096段階の筆圧でNoteシリーズでの利用時と変わらない滑らかな書き味を体験出来ます。
ただし、Galaxy S21 UltraにはSペンは付属しておらず、別売りとなります(Galaxy Note20 Ultra用や、本物の鉛筆と同じサイズの「Staedtler Noris digital」も使えます)。また、NoteシリーズのようにSペンの収納スペースが本体には無いため、別途持ち歩く必要があります。Sペンはアメリカでは39.99ドルで販売されています。
Galaxy S21 UltraでSペンを使いたい場合、Sペンを保護ケースに収納できるアクセサリーが発売されています(シリコンケース型・フリップケース型などがあります)。
また、現時点ではGalaxy Note20 UltraのSpenで利用できるエアアクションに非対応であるため、既存のSペンを使ってスマホをコントロールすることが出来ません。Sペンを使って離れた場所からカメラのシャッターを押したり、スライドショー機能を操作したい場合はBluetooth機能に対応した「S-pen Pro」等が必要となります。
このように、Sペンの利用に関しては本体に直接内蔵できるGalaxy Noteに利便性で及ばず、(専用のSペン収納機能付きケースを使わない場合は)Sペンを頻繁に使うユーザーはNote20 Ultraを買ったほうが良いでしょう。
☆「Samsung Galaxy S21 Ultra Silicone Case with S-Pen Bundle」
日本版(ドコモ)でもSペンは同梱されていないため、別途Sペン本体やSペン収納ケースを買って利用が出来ます(ドコモオンラインショップおよびアマゾンでも販売予定となっています)。
Galaxy S21 Ultraの電池持ちについて
Galaxy S21 Ultraには大容量の5000mAhのバッテリーが搭載されています。
電池容量としてはGalaxy S21シリーズの中で最大のGalaxy S21 Ultraですが、解像度が高い設定で利用すると電池消耗も大きく、連続使用すると結構早く電池が減る印象です。
ゲームの利用・カメラ機能を多用する場合は1時間あたり10~15%程度(あるいはそれ以上)の電池減少が起こることもあり、特にGalaxy S21 Ultraの電池持ちが良いという感じではありませんでした。
超急速充電は専用のTravel Adapterを使うことで25Wの急速チャージが可能です。
このトラベルアダプターは最大で45Wに対応していても、残念ながらGalaxy S21シリーズは25W止まり。歴代のGalaxyシリーズではGalaxy Note10+のみが45W対応になっています。25Wでも十分にスピーディな充電と言えますが、昨今ではもっと早い急速充電規格を採用するメーカーもあるため、Galaxy S21 Ultraの急速充電は特に大きな魅力には感じられません。
Galaxy S21 Ultraの発熱・オーバーヒートについて
Galaxy S21 Ultraは新しいSoC・Qualcomm Snapdragon 888を採用しています。性能が高いCPU/GPUを搭載したチップは連続で高速処理を行うと発熱が気になることもあります。
Galaxy S21 Ultraも、連続で使っているとちょっと発熱が感じられます。
主に3Dアニメーションを多用したゲームアプリや写真・ビデオ撮影を連続で利用した場合、カメラレンズの横あたりを中心に本体が熱くなります。
およそ20分くらいの利用で、本体の背面は最大で40度近くにまで熱くなることがありました。しかしながらGalaxy S21 Ultraの中央~下部まで熱が広がるにはもっと長時間高負荷を掛けなければ、本体が持てなくなるほど熱くなることはありません。
40℃程度まで上昇してもパフォーマンスに大きな影響はなく、フリーズや機能停止は今のところ生じたことはありません。ただ、冬場の測定でこの発熱状態ですので、夏場の連続利用には注意が必要かもしれません。
値下げされたGalaxy S21 Ultraの価格
Galaxy S21シリーズは、旧モデルのGalaxy S20シリーズよりも値下げされています。
アメリカの販売価格基準では、S20シリーズに比べてそれぞれ200ドル(約2.1万円)値下げされました。
2021年2月10日時点アメリカのアマゾンではセールが実施され128GBモデルの場合には、
・Galaxy S21:699.99ドル(約7.4万円)
・Galaxy S21+:799.99ドル(約8.5万円)
・Galaxy S21 Ultra:999.99ドル(約10.6万円)
に値下げされていました(価格は変更されることがあります)。日本では2020年モデル Galaxy S20 Ultraが16.5万円で販売されていますので、Galaxy S21シリーズの安さが際立っています。
Galaxy S21 Ultraは5G対応の最高峰モデルであるため、値下げされてもお手軽に買える価格とは言い難いものの、最先端の上位機種を試してみたい人にとっては多少手が届きやすい価格変更となりました。
☆「イオシス Galaxy S21 Ultra SM-G9980の価格をみる」
*価格・サービス・仕様は販売国・キャリア・モデルによって異なります(2021年2月時点、日本国内のキャリアでは公式発売予定情報は出ていません)。詳しくは各販売サービスの公式サイトを参照ください。
[追記]2021年4月22日、docomo SC-52B発売
NTTドコモは2021年4月8日、Galaxy S21 Ultra SC-52Bの予約受付を開始、2021年4月22日より発売することを発表しました。
Galaxy S21 Ultra SC-52Bは12GB+256GB/ミリ波対応、おサイフケータイにも対応させてきました。
発売記念特典として、2021年4月21日までに予約・購入すると市場価格2万円の完全ワイヤレスイヤホン Galaxy Buds Proがもれなく貰えます。
☆「ドコモ Galaxy S21 Ultraの価格・値引き情報をみる」