屋外でインターネット接続をしたい場合に、スマートフォンもモバイルルーターも不要でLTE通信が可能なSIMフリーパソコン YOGABOOK(ヨガブック・ZA160003JP)の購入レビューです。

Lenovoが2016年に発売したこのYOGABOOKには、OSにスマートフォンと同じAndroidを搭載したモデルと、Windowsを搭載したモデルがあり、今回購入したのはWindows版です。発売当時の価格は定価7万円ほどになっていたようですが、2018年4月時点では5万円を切っています。

YOGABOOKのスペック

ディスプレイ 10.1インチ IPSパネル
1,920×1,200ドット
サイズ 256.6 × 170.8
× 9.6mm
重さ 690グラム OS Windows 10 Home 64bit
CPU Atom™ x5-Z8550 USBポート micro USB 2.0
RAM 4GB Bluetooth v4.0
ストレージ 64GB 外部ストレージ micro SDスロット有
バッテリー 8500mAh
約13時間駆動
LTEバンド B1/3/5/8/9/18/19
B38 (nano SIMサイズ)

より詳しいデータは公式サイト「レノボ Yoga Book with Windows」を参照ください。モデルによって仕様が異なる部分もあります。

YOGABOOKの魅力・長所

YOGABOOKの最大の魅力は、なんと言ってもその軽量さです。一般的な15インチノートパソコンの重さは1.5kg~2kgくらいあるものですが、ヨガブックはキーボード部分を含めてもわずか690グラムしかありません。

「ウルトラブック」と呼ばれる軽量なモバイルPCのカテゴリーにおいても690グラムはかなり軽量です。厚みも折りたたみ状態でも厚みは1センチを切っており、カバンに入れて持ち歩いても邪魔になりません。

キーボード/ディスプレイ部分は折りたたんだ状態からフラット→逆方向まで360度動かす事ができます。

ヒンジ部分にはそれなりの抵抗があり、浅い角度でも勝手にディスプレイが下がってしまうこともなく、安定して利用する事ができます。ノートパソコンスタイル・タブレットスタイル・スタンドスタイルなど、自由な使い方を可能としています。

CPUにはインテル Atom™ x5-Z8550を採用。Microsoft SurfaceのようにCore i/mシリーズを搭載した高級モデルに比べると動きが鈍く感じる場面もありますが、ネットサーフィンや動画を見る、オフィスソフトを動かすくらいならばストレス無く動作するレベルです。

処理性能は高くはありませんが、そのぶんだけ省エネ性能に優れており、バッテリー駆動で最大13時間の利用が可能とされています。管理人がもう一台持っているモバイルPCのHuawei Matebookはフル充電でも最大4時間くらいしか保たないため、この電池の持ち具合だけでも感動的です。


YOGABOOKはその名の通り、外観は本を連想させるようなヒンジデザインになっています。

キーボード部分は物理ボタンではなく、タッチ式の完全フラットタイプになっています。キーボードのパネルはバックライトにより浮き上がる近未来的な仕組みです。普通のキーボードに比べてタイプがしやすいとは言い難いですが、オシャレ感は圧倒的。

電源を入れていない状態では薄っすらとキーの枠・イラストが見えます。

キーボードをオンにすると、明るい環境でも視認性の高い仮想キーボードとして利用できます。デフォルトの状態ではキーボードをタッチすると音とバイブが動作するように設定されています。不要ならばこのサウンドと振動は「Program Files」→「Lenovo」フォルダの中にある「ControlApp」を実行し、タッチトーン/キーを押すと振動の項目からチェックを外すと消すことができます。キーボードの輝度調整・キーボードの自動スリープ時間もこのアプリから設定します。


キーボード部分はスタイラスペン対応のペンタブになっており、付属のリアルペンを使うことで筆圧2048段階に対応したスムーズな入力が可能です。このリアルペンは、ペン先を交換することでボールペンとしても使うことが出来ます。


本体パッケージにはYOGAブック用のサイズに最適化されたメモ用紙も付いています。専用の紙ではなくても、厚みが大きく違わなければ利用が可能です(分厚いノートをそのまま設置すると距離が遠くてスタイラスペンが反応しなくなります)。

キーボード部分に紙の実物ノートを設置し、このリアルペンで書き込めば紙とパソコン画面の両方に同じデータを残すことが可能です(ペン先をいちいち交換しなければいけないのは面倒ですけれど)。

YOGABOOKのSIMフリー通信機能

そして、もう一つのYOGABOOKの特徴は、LTE通信が可能なことです。

本体の左側にスマートフォンやタブレット端末のようにnano SIMとmicro SDカード用のスロットトレイがあり、ここにモバイル契約をしたSIMカードを差し込み、APNを設定するとWi-Fi環境がなくても、どこでもインターネットが出来ます。


試しに、月額480円から使える格安SIMイオンモバイル(docomo回線)で接続をしてみたところ、最大90Mbpsの高速通信が出来ました。キャリアアグリゲーション等に対応しているかどうかは公式サイトの仕様には記載が無いようですが、これだけ速度が出ればあらゆる通信が快適に出来るはずです。むしろ、速度が早すぎてデータ通信費用・パケット量の消費が大きくなりすぎないように注意が必要です(携帯回線を利用したデータ通信プランの制限設定等も出来ます)。

通信方式は3G/4Gに対応しています。

LTE         FDD LTE Band 1/3/5/8/9/18/19
TDD LTE Band 38
W-CDMA (HSPA+)   Band 1/3/5/6/8/9/19

対応バンドは豊富というほどではありませんが、ドコモ系ネットワークとソフトバンク系ネットワークで利用できることを確認しています。auの3G通信方式は利用できず、LTEバンドもメイン利用帯域が違うため、ドコモ・SB系回線での利用をオススメします。キャリアロックは掛かっていませんので、通信方式さえ一致していればどのサービスでも利用は可能なはずです。

YOGABOOKの物足りない部分

YOGABOOKは実売5万円を切る低価格モデルであり、1年以上前の機種であるため、2018年時点から見ると少しもの足りないと感じる部分もあります。以下のポイントを重要視する場合は、もっと別のパソコン・高性能モデルを選んだ方が良いかもしれません。

まず、この機種の外部接続インターフェイスはmicro USBポートが1個しかありません。そのため、充電をしながらマウスを使う・多数の機器をケーブルで繋ぐことはそのままでは出来ません。

micro USBポートはOTG機能には対応していますので、一般的なパソコン用マウスを接続して使うことも出来ますが、標準USBサイズの場合は上記写真のように変換ケーブルが必要です。

複数のUSB機器を使いたい場合はハブ装置を使えば利用は可能ながら、ごちゃごちゃとしてしまいますので、折角の薄型・軽量さのメリットを損なうことになるでしょう。また、最近では多くのスマートフォン・タブレットがType-C USB形式に変わっています。iPhoneのLightningケーブルとも異なるため、充電するためにmicro USBケーブルが必要な点も利用する機器の組み合わせによってはマイナスと言えます。

他には、本体のストレージは64GBとされていますが、WindowsのOS・システム領域だけで30GB以上が購入時から占有されているため、ユーザーの利用可能領域は30GB以下しか残っていません(不要なアプリ・バックアップデータなどを消せばもう少し増やせます)。たくさんのソフトをインストールしたり、大量の動画・画像データを本体に入れて使うには向いていません。ストレージやメモリを拡張する事はできませんので、標準の仕様で利用できる範囲で使い方を考える必要があります。YOGABOOKをメインに使うなら64GBか128GBくらいのmicro SDXCカードを利用しましょう(安いものなら3~5千円程度で買えます)。

以上、SIMフリーモバイルパソコンのLenovo YOGABOOK with Windowsを使ってみた感想でした。万能のモバイルPCと呼ぶにはもの足りない部分・クセがあるものの、キャンペーン利用により超格安入手が出来たので十分満足できる面白アイテムでした。

テザリング不要でネットが出来るノートパソコン SIMフリーYOGABOOK(ZA160003JP)レビュー