2019年モデルのPixel 4およびPixel 4 XLにて、eSIM(いーしむ)を使った簡単なパケット料金節約方法とさまざまなSIMカード(回線)でeSIMと一緒に使った場合の動作確認・挙動チェックをしてみました。
”Dual SIMスマートフォン”自体は、昨今多くの海外製スマートフォンで物理的に2枚のSIMカードをセットし、同時利用できるスマホ機種も少なくありません。しかしPixel 4およびPixel 4 XLはまだ日本で発売されたばかり&国内サービスでは「eSIM」形式による接続・契約自体が非常に珍しいため、その挙動については公式に動作確認が行われていない部分があります。
eSIMが利用できるモバイル端末としてはAppleの2018年・2019年モデルiPhone(XS/XS Max/XR/11シリーズ)の各種が利用できることを、今回も動作確認のために契約した「IIJmio-eSIMサービス」が公式に動作確認を行っているものの、2019年10月24日時点では公式HPにはPixel 4の記載はありません(IIJで動作確認の予定があるそうなので、後日情報が追加される見込みです)。
そこで一足先に、管理人の所有するさまざまなSIMカード・契約プランとeSIMを同時利用した場合にどのような使い方が出来るのか、実際に確認した結果を紹介します。
*以下、各種SIMカードの動作状況は2019年10月時点に管理人が確認したものであり、動作を保証するものではありません。OSやソフトウェアのバージョンや回線のサービス条件・仕様変更などにより動作が変わることもありえるため、詳しくはGoogle・各通信会社の公式HPやサポートを参照ください。
Pixel 4+IIJ eSIMで出来るのは「DSDS」
2枚のSIMカードが利用できるスマートフォンを一般的に「Dual SIM」対応と表記することが多く、Pixel 4/Pixel 4 XLも「Dual SIM対応」スマートフォンと言えます。
しかし、その「Dual SIM」の挙動には複数のタイプがあり、それにより”2枚のSIMで出来ること”が違います。
例えば、
・2枚のカードを入れる事が出来ても、同時には利用できない(1枚ずつ切り替えて使うことが出来る)
・2枚のカードでそれぞれ通信・通話が同時に利用できる(Dual SIM, Dual Active=DSDA)
・2枚のカードで4G+3Gの同時待ち受けが出来る(これが一般的な意味でDual SIM, Dual Standby=DSDS)
・2枚のカードで4G+4Gの同時待ち受けが出来る(Dual SIM, Dual VoLTE stanby=DSDV)
このようなさまざまなタイプと表現方法が使われます(広義では2Gを用いたスタンバイもDSDSに含まれるかもしれませんが、国内利用においては3G/4G回線が今は一般的です)。この「2枚のSIM」には、Pixel4やiPhone11のように「物理的なSIMカード」+「eSIM」と、2枚とも物理的なSIMカードを挿入出来る機種もあり、やや使い方に差が出ます。
このうち、Pixel 4とIIJ mioのeSIMプランで出来ることは「DSDS」に相当します。この組み合わせは「DSDA」・「DSDV」の状態ではありません(詳しくは以下の各確認状況で併せて解説します)。
Googleの公式表記では、以下のように記載される仕様となっています。
Pixel 4 では、物理的な SIM カードと eSIM という 2 つの SIM を利用できます。テキスト メッセージの送受信や通話など、どの操作にどちらの SIM を使うかを選択できます。この機能は、デュアル SIM デュアル スタンバイ(DSDS)と呼ばれます
eSIMで利用できるプランは国内では極限られており、ドコモ・au・ソフトバンクの一般的なスマホ契約を「eSIM」で行うことは出来ませんので、物理的に2枚のSIMカードが利用できるスマホに比べてPixel4では利用可能な組み合わせはやや限られる点に注意してください。
eSIMの設定方法・契約手順についてはこちら → [実体験レポート]iPhone11/Pixel4でeSIM契約(Dual SIM利用)をする方法・手順(申し込みからプロファイルインストールまで全体の流れ)
[追加]楽天モバイルeSIMでPixel4でDSDV利用可能に
Pixel4の発売時点では正規サービスが開始されていなかった楽天モバイルのMNO回線において、eSIMによる音声契約が可能となったため、楽天のeSIM+他キャリアのVoLTE音声SIMを使うことにより、DSDV(VoLTEによる2回線待受)が実現します。
2020年10月時点で、楽天モバイルの公式サイトでもPixel 4/4XL/4aシリーズは動作確認がされています(楽天モバイルではPixelシリーズの販売は行っていません)。
これまではeSIMにデータ通信専用のIIJくらいしかサービスがなかったためPixel4の利用は「音声+データ回線」のDSDS的使い方しか国内では出来なかったところ、「2つのVoLTE回線電話番号で待ち受けたい」という場合にPixel4シリーズが使えるようになっています。
ワイモバイルをPixel 4で使う場合
Pixel 4のSIMフリーモデルは、ワイモバイルの回線で利用できることを確認しています(2019年10月24日時点、公式動作確認対応機種にはPixel4は入っていません)。
ワイモバイルのSIMカード(Androidスマートフォン用)を挿入すると、ちゃんと「Y!mobile」として認識されていることが判ります。
ワイモバイルの回線で通信させるためには、APN(アクセスポイントネーム)の設定を行います。
名前 任意名称 APN plus.acs.jp ユーザー名 ym パスワード ym MCC 440 MNC 20 認証タイプ CHAP MMSC http://mms-s MMSプロキシ andmms.plusacs.ne.jp MMSポート 8080 APNタイプ default,mms,supl,hipri
ワイモバイルとIIJのeSIMを同時利用する場合には、IIJのデータ通信を使うか、通話・データ通信の両方をワイモバイルで行うかを設定出来ます。
IIJのデータ通信(LTE)を普段利用している状態において、ワイモバイル回線で通話スタンバイが出来ます。ワイモバイルの電話番号宛に電話がかかってくると、当然受話が出来ます。また、Pixel4から電話をかけるときもワイモバイルの番号が表示されます。
ただし、Pixel 4は「DSDA」(デュアルSIM,デュアルアクティブ)ではないためワイモバイルの回線で通話をしている状態では、IIJのデータ通信を利用することは出来ません。「ワイモバイル=通話」+「IIJ=データ通信」の設定中で、通話中にネットを見ようとすると「ネットワークはオフライン」と表示されてしまいます。
eSIM利用時にPixel4で通話中もネットを使う方法
DSDAではないPixel 4では、2社の回線を同時に通話+データ通信を「スタンバイ」出来ても、「利用」することは前述のとおり出来ません。通話中にもネット接続をしたい場合には、通話回線に使っているサービスでデータ通信も行う設定にすれば利用が出来ます(IIJの公式動作確認によると、この設定をしても利用できない組み合わせがあるとの情報が出ているため、注意してください)。
設定方法は、【設定】→【ネットワークとインターネット】→【モバイルネットワーク】→ 音声通話に使っている回線名をタップ → ”通話時のみデータ”を許可(スイッチを右にオン)の手順で行います。
つまり、この設定を行うことで
待機時: ワイモバイルで通話待受 + IIJプランでデータ通信
通話中:ワイモバイルで通話・データ通信利用 + IIJプランは利用しない
このような状態で運用することになります。通話が終了すると、再びデータ通信はIIJの回線を利用できます。
この仕様は、ワイモバイル以外の回線を利用する場合も同様です。ドコモやソフトバンク・auの回線をIIJのeSIMと同時利用したい場合にも、通話中にはIIJのデータ通信は無効になりますので、この「通話時のみデータ」の許可を設定するようにしてください(音声通話のSIMカードがデータ通信プランに対応している必要があります)。
ワイモバイルではSIMカードのみを契約することが出来ますので、SIMフリーのPixel 4を購入して格安運用することも可能です。
*IIJの公式動作確認状況として、ドコモ/auのSIM+eSIMを設定したときに、通話中はデータ通信が出来ない不具合があるとされています。この状況になると「通話時のみデータ」を設定してもデータ通信不可となる挙動が確認されているため注意が必要です。
UQモバイルとeSIMでPixel4を使う場合
auのネットワークを利用した格安スマホサービスであるUQモバイルを使う場合、2019年10月時点のソフトウェアではアンテナピクトは「KDDI」と表示されます。他機種だと「UQmobile」と表示される端末もありますが、KDDIの表示でも通常通りUQモバイル(VoLTE SIM)の通話・データ通信が利用できることを確認しました。
SIMカードを挿すと、「設定のバージョン」という部分にKDDIのMVNOサービスであることは認識されるようですが、APNは自動では設定されませんでした。
以下のアクセスポイント名を手動で設定する必要があります。
代表的な設定項目名 設定値 APN名、アクセスポイント名 uqmobile.jp APN、APN設定 uqmobile.jp ID、ユーザーID、ユーザー名 uq@uqmobile.jp Password、パスワード uq 認証タイプ、PPP認証タイプ、暗号タイプ CHAP APNプロトコル IPv4v6、IPv4/IPv6 APNタイプ default,mms,supl,hipri,dun
通話・待受・データ通信に関わる挙動は、ワイモバイル+IIJ eSIMプランを利用した場合と全く同じで、IIJプランでLTE通信をしながら、UQモバイルの通話スタンバイが出来ています。UQモバイルでの通話は「HD」という表示も出ます。
モバイルデータ通信をIIJからUQ mobileに切り替えることも、Pixel 4の設定画面から簡単に行うことが出来ます。
通話回線のPixel 4アンテナピクトは「×」表示になる
Pixel 4では2枚のSIMカード(一方はeSIM)を認識している際、デュアルスタンバイ状態においてスマホ画面の一番上に表示されるアンテナピクトは、2個のアイコンが表示されます。
このとき、アンテナマークの通話回線側のマークは「×」印が表示されます。これは、通話回線が利用不可であることを示しているのではなく「データ通信を使っていない」という意味であり、この状態で通話スタンバイ自体は出来ています。
(iPhone 11 ProでeSIM契約をした場合の表示)
iPhoneの場合(iOS 13)だと、アンテナピクトは2個ともアンテナが立っている状態で表示され、Pixel 4の表示方式とは少し異なります。Pixel 4で一方のアンテナマークが「×」になっていても、通話回線はスタンバイ出来ているはずなので安心してください。
【追加情報】:2019年11月、IIJの公式情報としてPixel 4のeSIM利用動作確認結果が公開され、上記の通り別のSIMと組み合わせたときに「×表示」になるケースが確認されています。これらの不具合が今後修正されるのか、それともこのままなのか現時点では公式サイトでも不明とされていますので、利用時には公式サイトの動作状況情報もチェックすることをオススメします。
IIJ eSIMプランはドコモ回線網のみ利用可能
Pixel 4/Pixel 4 XLは、SIMフリーモデルの場合ドコモ・au・ソフトバンク・ワイモバイル・UQモバイルなど、さまざまな携帯サービスのネットワークが利用できる(周波数帯域に対応)仕様になっています。
一方、2019年10月時点で提供されているIIJのeSIMプランは、ドコモ回線網を利用したデータ通信MVNOサービスのみとなっています。
IIJでは通常のSIMカードプランとしてはau・ソフトバンクのネットワークを利用した格安プランも提供していますが、eSIMプランでは必ずドコモ回線になるため、もしドコモ回線が入りづらいエリア・地域で利用する場合には注意が必要です。また、現時点ではeSIMに音声通話プランを契約することも出来ないため、Pixel 4で通話も使いたい場合には、物理SIMカードの回線契約側で通話が可能なサービスを利用する必要がある点にも注意してください(物理SIMカードもデータ通信しか出来ないプランを契約中の場合、Pixel 4では通話が出来ません)。
IIJmioでは2019年10月28日まで、eSIMの契約キャンペーンとして初期手数料1円・3ヶ月間月額1,000円引き特典を利用することで、6GBデータプランを月額520円で使うことができちゃいますので、eSIMが使えるPixel 4,iPhoneなどを手に入れたのなら、ぜひこのチャンスを逃さず契約しておくことをオススメします(eSIMはネットから申し込みが出来て、手続きから5分くらいですぐに開通・利用出来るようになります)。
各キャンペーン情報は記事執筆時点のものです。内容は変更されることがあるため、必ずIIJmio公式サイトで正しい情報をご確認下さい。