2020年4月17日より予約受付開始、4月24日より発売開始となるアップルの新型「iPhone SE(第2世代)」は、現行のiPhone最高スペックモデル「iPhone 11 Pro Max」とも同じ、A13 Bionicというチップセットを搭載します。
”スマホの処理性能”という点において、iPhone SE2は旧モデルのiPhone・Androidスマートフォンを突き放すパフォーマンスを持ちつつ、価格が4万円台から買えるという驚異的なデバイスとなります。
アップルがiPhone 11シリーズを発表した際に示された、A13 Bionicを搭載したモデルのGPUパフォーマンスでは、型落ちのiPhone XR(2018年モデル)やアンドロイドスマホである他社の最高峰機種を軽く超える性能であることを強調していました。
iPhone 11と同じチップセットを搭載するiPhone SE2のCPU/GPU性能も、iPhone XR/XSを含む旧型のiPhoneシリーズ、Snapdragon 855を搭載した2019年のハイエンドAndroidスマホ(Galaxy S10+/Xperia 5/AQUOS zero2など)、ファーウェイの最高峰機種 P30 Pro(Kirin 980搭載機種)を超えるスピードで、あらゆる動作が快適になります。
ここではiPhone SE2の処理性能について、アップルが公開している「旧モデルとどのくらいスピードが違うのか」という評価と、ベンチマークテストアプリ「Antutu Benchmark(iOS)」のスコアを基準に、どのくらい旧機種から進歩しているのか、5万円という価格でA13チップが搭載されているということがどれほど衝撃的なことなのかをチェックしてみます。
iPhone SE(第2世代)と旧型iPhoneのCPU/GPU比較
アップルは「iPhone SE(第2世代)にアップグレードする理由」として、以下のように旧機種のiPhoneシリーズとA13チップを積んだiPhone SE2の性能比較をしています。
モデル | 搭載チップ | *対iPhone SE2 CPU/GPUの性能 |
iPhone SE(第2世代) (2020年モデル) |
A13 Bionic | 基準 |
iPhone 8/8 Plus (2017年モデル) |
A11 Bionic | 最大1.4倍/2倍 |
iPhone 7/7 Plus (2016年モデル) |
A10 Fusion | 最大1.8倍/2.8倍 |
iPhone 6s/6s Plus (2015年モデル) iPhone SE 第1世代 (2016年モデル) |
A9 | 最大2.4倍/4倍 |
iPhone 6 (2014年モデル) |
A8 | 最大4倍/10倍 |
*iPhone SE2が旧モデルに対して発揮できる、処理スピードの倍率。大きい数字ほど、旧モデルに対してiPhone SE2が優れていることを意味します。
このように、iPhone SE2のベースとなっている2年半前のiPhone 8シリーズに比べてもCPUは最大1.4倍、GPUはなんと2倍も処理性能が上がっていることになります。
同じチップを搭載した2019年モデルのiPhone 11シリーズと2020年モデルのiPhone SE2はほぼ同等の性能ということになりますが、本体の価格を考えればiPhone SE2のコスパがずば抜けていると感じられます。
A13チップ搭載モデルの参考価格(Apple SIMフリー価格)
A13搭載モデル | 64GBモデルの価格 |
iPhone SE(第2世代) | 44,800円 |
iPhone 11 | 74,800円 |
iPhone 11 Pro | 106,800円 |
iPhone 11 Pro Max | 119,800円 |
*発売日時点、アップルストア価格。
もちろんiPhone SE2とiPhone 11シリーズではA13チップ以外の部分は大きく性能・仕様が異なります。CPU/GPUの性能がスマホ選びのすべてではありませんが、iPhone SE2の機能性・仕様のほうが好みであるという場合には、これほどの処理能力を持つモバイル端末が4万円台から買えるという事自体が驚異的です。
*キャリア版の価格は異なります。各種割引・クーポン値引き・還元が適用出来ますので、それぞれの価格は公式サイトを参照下さい。キャリアでは4月20日10時から予約受付開始、5月11日より発売となります(発売日が変更されました)。
A13チップ搭載・iOS端末のベンチマークスコア目安
旧モデルiPhone同士のCPU/GPUの処理性能に関する評価は前項のようにアップルが公式で出しているものの他に、大手ベンチマークテストアプリ「Antutu Benchmark」のスコアも参考になります。
Antutu BenchmarkではスマホのCPU/GPUだけではなく、メモリや表示・スキャンなどのさまざまな動作をチェックして、数字として総合スコアを出してくれます。
ベンチマークテストは特定の処理を行った場合の性能を数字化したものであり、必ずしも「正確に性能の差を表す」ようなものではないのですが、一定の評価・比較には役立ちます。
2020年3月時点におけるAntutu Benchmark (iOS用、ver 8系)のスコアランキングを見ると、iPhone SE2と同じA13チップを搭載したiPhone 11シリーズは52万点~54万点くらいのスコアを叩き出しています。
Antutuベンチマークテストではメモリ容量やディスプレイの解像度によってもスコアの評価基準が変わるため、iPhone SE(第2世代)とiPhone 11シリーズで同じ数字になるとは限りませんが、ほぼ同水準のスコアあるいは若干低い程度(RAMがiPhone11シリーズより少ない可能性があるため)になります。
ここで、旧モデルのiPhoneシリーズのスコア・搭載チップとも比較してみると以下のような差になります。
モデル | 搭載チップ | Antutuスコア目安 (ver8時) |
iPhone SE2 |
A13 |
実測値 470,000点 |
iPhone 11シリーズ | A13 | 520,000点程度 |
iPhone XS iPhone XS Max iPhone XR |
A12 | 420,000点程度 |
iPhone 8 iPhone 8 Plus iPhone X |
A11 | 300,000点程度 |
iPhone 7 iPhone 7 Plus |
A10 | 230,000点程度 |
iPhone 6s iPhone 6s Plus iPhone SE(第1世代) |
A9 | 170,000点程度 |
アップルの評価では初代iPhone SEに対して、iPhone SE(第2世代)のCPUは最大2.4倍/GPUは最大4倍という評価でした。Antutuベンチマークテストのスコアだと第2世代は第1世代の3倍程度の数字になるはずです(antutuの総合スコアはCPU/GPUの両方およびその他項目をトータルで比較していることになります)。
同じA13チップを搭載したiPhone 11 Proと比べると、iPhone SE2ではCPU/GPUの値がそれぞれ数万点ずつ低いという結果が得られました。
なお、Antutu BenchmarkにはAndroidスマホ用のアプリもありますが(2020年4月現在、Google Storeではダウンロード出来ませんが、Antutu公式サイトからapkファイルとして入手可能)、OSが異なる場合はテスト方法が若干異なるため、数字の直接的な比較は出来ません。
参照:https://www.antutu.com/en/ranking/ios1.htm
いずれにせよ、iPhone SE(第2世代)は2018年モデル以前のiPhoneに比べて格段にCPU/GPUの処理性能がアップしている、ということだけは間違いありません。旧型のiPhoneを使っていてゲームやアプリの動きが鈍いと感じることが多いのなら、iPhone SE2に機種変更すれば、他社スマホなら10万円を超えるようなハイエンドモデル相当の快適さを体験出来るはずです。
*アプリの動作は、OSやアプリ自体の相性・環境によって感じる動作が異なります。あくまで「A13チップとしての性能」が高いのであって、iPhone SE2ですべてのアプリが従来以上にスムーズに動くことを保証するものではありません。