ソフトバンクとKDDIは2018年9月21日、2018年モデルの最新iPhone発売と同時にそれぞれ「半額サポート for iPhone (Andoid)」および「アップグレードプログラム/ EX/EX(a)」の適用条件から一部条件を削除しました。
半額サポート for iPhone/Androidおよびアップグレードプログラムは、大雑把にいうと「将来購入した端末を返却することを前提に、返却時の端末代金の支払い残債を免除する」≒「実質上のレンタル利用」のような新しいスマホの購入方法として考案されたシステムです。最近の最上位スマートフォン・iPhoneは行き過ぎた高性能化によって本来の端末代金は10万円を軽く超え、最新のiPhone XS Maxの場合は最高で20万円弱にもなります(参照:iPhone XS/XS Max価格/情報一覧)。
この超高額になってしまった機種代金の支払い負担を軽減するため、機種代金を従来の2年分割(24回)から4年分割(48回)に長く(24分割での適用可能制度もあります)することで、1月あたりの支払い負担を抑え、かつ2年後に端末を返却したときに残っていた残債も無くことで「半額で買える」(ただし端末は手元に残らない)ことを強調したものでした。
しかし、現在提供されているソフトバンク・auの端末返却を前提とした残債免除システムを利用する場合、指定期間の利用後に端末を返却したあと、さらに同じプログラムに継続して加入しなければならないという条件がありました。これが公正取引委員会により独占禁止法に当たると指摘されていました。
関連記事:au新プランの罠 「4年縛り」アップグレードプログラムEXは加入するべきか?
auの場合ならば「機種変更後も「アップグレードプログラム(EX)」に再加入」という部分がNGとされました。
この条件があることで、実質的に割引を受けるためにユーザーは永遠にau/SBで同じプランに加入し続けることを強く誘導され、他社への乗り換えを阻害すると判断されたのです。これはニュースでは「4年縛り」などとも表現されるようですが、実質的に4年どころではなく、「永年縛り」と言ってもいいほどの強制力を感じさせるものでした(むしろ「4年」というのは端末代金の分割期間というだけのことであり、「4年」によって何かが縛られているというわけではありません。定期契約という意味であれば別途「2年の定期契約」(いわゆる2年縛り)もアップグレードプログラム/半額サポート利用時に通常同時適用されます)。
公正取引委員会の指摘を受け、すでにKDDI・ソフトバンクともに「永久縛り」の条件見直し・検討をすること自体は2018年8月時点で言及しています。
詳しい解説はこちら→「auに続きソフトバンクも半額サポート4年縛り再加入条件を廃止・2年縛り見直し-公取委の指摘受け」
そして今回、新型iPhone発売と同時にプログラムの改定を発表、適用時期を確定させたという流れです。
半額サポートの改訂内容(2018年11月から)
これまでに提供されていた条件の第3項「機種変更後に同種の端末返却前提サービスに再加入すること」というところが、ばっさりと削除されました。
ソフトバンクの改訂は2018年11月29日より適用されます。
ソフトバンクの半額サポートは2017年9月15日より提供開始されていますが、特典利用条件は過去に契約したユーザーにも遡って適用されます(9月21日時点の提供条件はまだ改訂されていません。詳細は後日公式HPにも反映されるということです)。
アップグレードプログラムの改訂内容(2019年1月から)
auはアップグレードプログラム/EXの内容を、以下のように改定します。
改定点は非常にわかりやすく、「機種変更後の再加入を必須にしない」と考えればOKです。
この改訂は2019年1月16日より適用され、すでに各種アップグレードプログラムを利用して契約/購入したユーザーにも遡って適用されます。
2019年1月16日から特典利用の条件を変更します。なお、それ以前に対象のプログラムに加入されているお客さまが、同日以降に特典を利用する場合も、変更後の条件が適用されます
今使っている機種をauに返したくない(自分でずっと所有し続ける)場合は変わらず特典(残債の免除)を受けることは出来ません。購入の段階で「この機種はずっと使いたい・利用後は家族に渡して使い続けよう」と決めているのなら、新しいルールになってもアップグレードプログラムへの加入はしないほうが良いでしょう。
一方で、「この機種は定価が非常に高いから2年・半額相当の負担だけで使いたい」と考えると有利になるケースもありえますので、うまく使い分けていくことが重要になります。
解説記事:18万円超えのiPhone XS Maxを安く使う鍵-3キャリアの半額/端末返却システムが効果的に
元から安い機種を買う場合には半額サポート・アップグレードプログラムの割引効果が薄いものの、発売されたばかりのiPhone・ハイエンドスマホを1~2年だけ使い、次々と買い替えたい人にとっては便利に・安く使えることだってあります。
ソフトバンクのiPhone XS Max 512GBモデルなら、半額サポートによる残債免除額は最大9万円を超えます。
[追記]2019年9月30日、アップデートプログラム自体を打ち切りへ
auは2019年9月30日を以って、現行のアップデートプログラム/EX/EX(a)のすべてのサービスにおいて新規受付終了することを発表しました。
携帯電話業界では2019年秋より販売に関わるガイドラインが改定・施行される見込みであり、かつ「4年縛り」として公正取引委員会にも指摘されたこともあるアップグレードプログラムを継続することが不可能となると早期判断をしたようです。
このレンタルシステム自体を使うと必ず損・使うべきではないプログラムということではありませんので、改訂されて使いやすくなったサービスを利用するかどうかは各自の使い方に合わせて判断しましょう。
なお、ドコモの「機種変更応援プログラム(プラス)」にはもともと特典利用時の再加入が強制されていなかったため公取委にも指摘されておらず、今回の騒動には無関係です。
☆「加入しても大丈夫?ドコモの機種変更応援プログラムプラスをデメリットゼロで活用する考え方」
上記は2018年9月21日発表時点の情報に基づいて記載しています。各社の機種返却特典を前提とした契約条件について、詳しくは公式HPを参照ください。