アップルが正確な情報を出していないので気になっている人も多いかもしれない「iPhone15/iPhone 15 Pro」の充電速度を手元の充電アダプタ・ケーブルを使って測定してみることにしました。
Apple iPhone 15シリーズは従来の充電接続「Lightning」を廃止し、「USB-C」と呼ばれる規格のケーブルで接続できるようになりました。UBS-CはすでにApple製品でもMacシリーズ・iPadシリーズの一部製品で利用されており、iPhone 15も同じ充電器・ケーブルで今後は利用できるようになります。
一方で、すでにこれまでのiPhoneを使ってきたユーザーは、LightningケーブルではなくUSB-Cに対応した充電器(充電アダプターとケーブル)に買い替える必要があります。
iPhone 15を購入すると1本のUSB-C-USB-Cのケーブルは同梱されていますが、これ以外は別途ユーザー自身で買う必要があります。
ここで、「iPhone15が充電できる充電器・充電アダプタ・ケーブル」を入手する場合、利用する製品によって充電速度が変わる(遅い充電しかできない)場合があるため、USB-Cアクセサリーを初めて買うユーザーは注意が必要です。
iPhone 15は「20W」以上の充電器が利用可能
iPhone 15シリーズの充電速度について、Appleの公式サイトの表記では
30~35分で最大50%充電(別売りの20Wアダプタまたはそれ以上のアダプタを使用)
という表記のみがあり、具体的な「最大充電速度の出力」は記載されていないはずです。
アップルの公式で使われている充電器は、「20WモデルA2305」という製品であり、アマゾンでも買えます。
この充電器(とiPhone同梱のケーブル)を使えば、Appleが想定する約30分で最大50%の充電速度が得られることが期待出来ます。”どの充電器を買っていいかわからない!”という人は、とりあえずこれを買っておけば安心です(本記事後半で実際の充電速度測定結果を公開しています)。
予算に余裕がある人は、30WモデルだとiPhone以外も早めに充電出来る可能性があります。
☆「アマゾン – Apple純正 30Wモデル USB-C電源アダプタ」
このほか、より出力が高いアップル純正でiPhone 15 /iPhone 15 Proに利用可能なアダプタは以下のとおりです。
製品ページ | アップル定価 (2023年9月27日時点) |
20W USB-C電源アダプタ | 2,780円 |
35W デュアルUSB-Cポート搭載 | 7,800円 |
35W デュアルUSB-Cポート搭載コンパクト | 7,800円 |
70W USB-C電源アダプタ | 7,800円 |
96W USB-C電源アダプタ | 10,680円 |
140W USB-C電源アダプタ | 13,800円 |
☆「アマゾン – Apple Store – 電源アダプタ一覧」
ここで、「20W」よりも大きな数字の出力がある充電器を使っても、必ずしもiPhone15の充電時間が短くなるというものではありません。20Wを超える充電器を用いた場合でも製品が利用可能な出力を制御するため、必要以上の最大出力を持つ充電器を買う意味はありません。
非公式には「iPhone15の充電速度は最大27W」や25W、発売前の噂データとして30W/45Wに対応するなどのデタラメな情報もたくさん出回っています。
Androidスマホのメーカーでは「45W対応」「120W対応」など数字を出すこともあるのですが、アップルの公式サイトに表記されない限りどの数字が「真実」であるかは確かめる方法はありません(一般ユーザーが電流チェッカーで測定しても、その数字が”100%正しい数字である”ことを証明する方法がないため)。
とはいえ、やはり気になるiPhone 15の充電速度。以下の数字が「事実」であることを証明は出来ませんが、いくつかの実験・検証結果を公開しておきます(それぞれの充電はiPhone本体の発熱が影響しないよう室温程度に冷却したことを確認してから行っています。充電状態は30%以下、電流チェッカーの数字が安定した状態で読み取っています)。
今回利用した電流チェッカーは、非常に安価な一般用です。業務用・研究用の高性能な製品ではありません。数値には大きな誤差もありえるため、以下のデータはあくまで目安として参考にしてください。自分で試したい方はアマゾンで買えます。
iPhone 15/ProにApple純正 10W充電器を使った場合
まずは昔のiPhoneについてきた?10W用の充電器+USB-Cケーブル(3A用/どうやって入手したケーブルか不明)を利用した場合です。
利用電源アダプタ | iPhone 15 Pro | iPhone 15 |
Apple 10Wアダプター | 7.08 W | 7.06W |
古い10Wアダプターを使うと、iPhone 15 Pro/iPhone 15の充電出力はわずか7W程度であり、急速充電とは言えない水準になりました。
iPhone 15/Proにマイクロソフト純正 18W充電器を使った場合
次はマイクロソフトの折りたたみスマホ「Surface Duo(初代)」を買ったときに同梱されていた18Wの充電器を使った場合です。
利用電源アダプタ | iPhone 15 Pro | iPhone 15 |
Microsoft 18W | 17.1 W | 17.2W |
Microsoftの純正電源アダプター(18W)は、最大9V-2A=18Wの出力があります。iPhone 15/15 Proともに理論上の最大値に近い17W前後の充電が出来るようです。
Surface Duo(初代)は日本では発売されておらず、検証に使った18W電源アダプタも日本では発売されていないはずです。新型Surface Duo2用は23Wに対応しているため、おそらく23W電源アダプタでもiPhone 15を急速充電出来るでしょう。
iPhone 15/ProにApple 純正 20W充電器を使った場合
これがアップル公式で紹介されている電源アダプター+純正ケーブルのパターンです。
利用電源アダプタ | iPhone 15 Pro | iPhone 15 |
Apple 20Wアダプタ | 17.1 W | 17.1W |
マイクロソフトの純正アダプタ(18W)とほぼ同じ充電速度になりました。
iPhone 15/ProにGoogle純正 30W充電器を使った場合
続いて、Google Pixelスマートフォンに使うために購入した「GA03501-US」を使った場合です。利用するケーブルはApple純正ケーブルと、Galaxy純正ケーブル(45W対応)をそれぞれ入れ替えて試してみました。
利用電源アダプタ+ケーブル | iPhone 15 Pro | iPhone 15 |
Google 30W+Appleケーブル | 20.8 W | 20.8W |
Google 30W+Galaxyケーブル | 20.0W | 20.5W |
ケーブルはApple純正でもGalalxyの電源アダプタに同梱されていたものでも、ほぼ出力は変わりませんでした。
iPhone 15/ProにGalaxy純正 45W充電器を使った場合
さらに高出力な充電器として、「Galalxy Travel Adapter」(最大45W/現在はPower Adaptorという名称に変更)を使った場合の結果は以下の通りです。
利用電源アダプタ+ケーブル | iPhone 15 Pro | iPhone 15 |
Galaxy 45W+Appleケーブル | 20.1 W | 20.6W |
Galaxy 45W+Galaxyケーブル | 19.8W | 21.0W |
30W充電器を使った場合の充電時間
上記の実験で約20Wの出力状態であることが確認できたGalaxyの45W電源アダプタ+純正ケーブルを用いて、iPhone 15 Proの充電時間を測定してみました(バッテリー充電の最適化はオフにしていあります)。
充電時間 | 電池残量 |
0 min(開始時) | 5% |
11 min | 28% |
17 min | 39% |
62 min | 86% |
74 min | 94% |
87 min | 97% |
95 min | 99% |
上記の通り、iPhone 15 Proを45W対応の充電器でチャージすると、バッテリー残量が少ない状態から急速に残量が増えていき、充電が終了に近づくと充電速度が落ちていきます。
17分までの平均充電量は1分あたり2%。つまり、この速度で30分充電すれば60%程度に到達しますので、およそアップルのいう「30分で最大50%」の数字に近い充電スピードになっていると言えます。
30Wと10Wの電源アダプタを用いて充電時間に対する電池残量をプロットしたものが以下の図です。
このとおり、Galaxyの45W対応電源アダプタを使っても、Appleの20W充電器の2倍の速度が出るわけではありません。逆に、上記のテストでiPhone 15/iPhone 15 Proともに20Wくらいまでの数字なら出ているため、電源アダプタの最大出力が20W以下のものだと、iPhone本来の対応充電速度より遅く、充電に時間が掛かってしまうかもしれません(充電速度はiPhoneの発熱状態によっても変動します。過熱時には充電が止まります)。
以上から、これからiPhone 15/15 Pro用に電源アダプタを追加購入するなら、アップル純正の20W~最大出力が30Wあれば十分だと言えます(iPhone用のみを想定した場合。Macやその他より高出力が必要な機器と一緒に使うなら65Wなどを選ぶのもアリ)。
☆「アマゾン Apple 20W USB-C電源アダプタ」(参考メーカー定価:2,780円/ケーブル別売り)
☆「アマゾン Apple 30W USB-C電源アダプタ」(参考メーカー定価:4,800円/ケーブル別売り)
古いスマホ充電器・聞いたこともないメーカーの安物充電器だと20W未満の電源アダプタも流通していますから、購入時・手持ちの充電器を流用する場合は対応出力をよく確認してください(複数口の充電端子があるものは”合計”ではなく、1つの端子で20W以上の出力が出ることを確認してください)。ケーブルも出力が落ちる可能性がある粗悪品もありえますので、信頼できるメーカー品を選ぶことを推奨します。
iPhoneに対応した充電器・電源アダプタは、ソフトバンクの公式アクセサリー販売サイトでも購入できます(ソフトバンクユーザー以外も買えます)。