2025年2月からクラウドファンディングにて、2025年3月から一般販売が予定されているファーウェイの新型オープン型イヤホン「FreeArc」(フリーアーク)を先行入手しましたので、実機レビューをお届けします。

Huawei FreeArcは、ファーウェイが日本で販売している耳の穴を塞がないシリーズの第3の選択肢となる「耳掛けオープン型」のイヤホンです。

耳掛けオープン型イヤホンは音が鳴るスピーカー本体+メガネのつる/テンプル部分のような構造で、それ自体は珍しい製品ではありませんが、ファーウェイのFreeArcは事前のクラウドファンディングでは支援額3000%超え(2025年3月18日/受付終了済み)を達成している、話題のアイテムです。

メガネ型
Eyewear2
イヤーカフ型
FreeClip

既存のオープン型オーディオであるメガネ型オーディオ「Eyewear2」およびイヤーカフ型「FreeClip」とも少し違った特徴・使い勝手のイヤホンとなっていますので、実際に使ってみて感じた評価を列挙していきます。

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FreeArcの主な仕様・概要

FreeArcはいわゆる「完全ワイヤレスイヤホン」の一種で、iPhoneやスマートフォン、パソコンなどの各種本体にBluetoothで接続し、音楽再生や通話を可能とするデバイスです。正直に言って、家電量販店のオーディオコーナーに行けば、見た目が似ている製品はいっぱい見つかるような製品です。そんな中で、クラウドファンディングで十分な需要が生じたであろう理由をいろいろと見ていきましょう。

Freearcの主な仕様は以下のとおりです。

製品名称 FreeArc(フリーアーク)
タイプ 耳掛けオープン型
(ノイキャン非対応)
カラーバリエーション ブラック
グレー(本レビューの色)
グリーン 全3色
連続音楽再生時間 本体のみ:約8時間
ケース込み:約36時間
充電時間 イヤホン:約40分
ケース:約60分
イヤホンサイズ(1個) 45.4mm×18.35mm
×47.50mm
約8.9グラム
オーディオドライバー 17mm×12mm高感度ドライバー
防水仕様 IP57(イヤホンのみ/ケースは防水非対応)
充電端子(ケース) USB-C

*より詳しい最新の仕様はメーカーサイトを参照ください。

イヤホンはよほどのマニアでも無い限りスペックカタログを見ても「使いやすさ」は良く分からないと思いますので、早速実際に使ってみた評価をしていきましょう。

FreeArcの装着感

まず、フリーアークの一番の特徴であると思われる「装着感」についてです。

上記の写真が実際にFree Arcを耳につけた状態です。耳に引っ掛けるように装着すると、スピーカーが内蔵された本体部分が耳の穴の上に配置されます。この耳掛けパーツにサイズバリエーションはなく(調整や交換はできない仕様)、1サイズでの展開となりますが、1万人以上の耳のデータを参照して最適化された大きさであるため、多くの人に自然にフィットします。

この耳掛けパーツはさらさらな手触りのシリコンコーティングがされたニッケルチタン合金で出来ており、非常に柔らかで耳の形に絶妙な具合でぴったりと沿うように作られています。耳の穴を塞がず、かつ耳にはぴったりフィットするため、快適な装着感が得られます。

イヤホンの重さは1個あたり8.9グラムとなっており、一般的なインイヤー型完全ワイヤレスイヤホンに比べると重めですが、耳全体で支えるため、重さを感じることもまったくなく、文字通り1日中付けていても気にならない水準です。耳掛け部分に締め付けを感じることも皆無です。

このフリーアークは運動・スポーツ時の利用も想定されているため、激しく体や頭を動かすような動作をしても、イヤホンが外れることはまずないでしょう。

一方で、この「耳掛け」の構造はメガネ・サングラスあるいはマスクなどと同時利用する場合、併用するメガネフレームのデザインや厚みによっては干渉する可能性はあります。特に重心バランスを取るために耳の後ろに当たるパーツはややぶ厚めなので、マスクの紐などは引っ掛かり易いかもしれません。

一般的なメガネならばフリーアークと同時利用しても問題ないはずですが、当然ながらイヤホンをつけたままメガネを脱着すると(耳掛けパーツが当たって)、フレームがイヤホンに引っかかる場合があります。この点は耳に差し込むタイプのイヤホンとは物理的に違いが出ますので、メガネ併用を検討している場合は少し注意が必要です。

イヤーカフ型のFreeclipと比べた場合、上の画像の通りイヤホン全体は結構大きめ。耳にかけるパーツは耳に大部分が隠れてしまうはずですが、デザイン性としてはFreeclipのほうがおしゃれだと感じました。

”安定感”という意味ではどちらもかんたんに外れることは通常無いという前提で、FreeArcのほうがより外れにくい構造だと言えそうです(FreeClipは”耳を挟む”構造なので、装着していることを忘れて手で弾いたりすると落ちる可能性がある)。

また、FreeArcの大きな本体を収納するために充電ケースもやや大きめです。FreeClipには左右の差がない(入れ替え可能で、耳に装着すると自動判定する)のに対して、FreeArcは配置が固定されている普通の構造です。

FreeArcの操作性

ファーウェイ FreeArcには物理的なボタンはありませんが、左右イヤホンそれぞれにタッチセンサーが(スピーカーが内蔵されているあたりに)搭載されており、接続したスマホを取り出すことなく各種操作が出来ます。

デフォルトの状態だと、

・音量調整 → イヤホンをスワイプする
・シングルタップ → 一時停止
・トリプルタップ → 曲送り
・長押し → 通話/着信拒否

などが割り当てられています。各操作(ジェスチャー)はスマホのアプリ(AI Life)からカスタマイズも可能です。

タップ・スワイプでの操作については、平常利用時であれば非常にスムーズで、正確に反応します。操作に慣れれば、音量調整・曲送りに失敗することはまずありません。

一方で、初期設定の「トリプルタップ」は運動中だと少し操作しづらいと感じました。実際にランニング中にフリーアークで曲送りをしてみたところ、走りながらだと体・指がどうしてもブレるため、3回連続でのタッチ操作に失敗することがありました(曲送りにならず、一時停止扱いになった)。1回や2回ならともかく、動きながら3回分のタッチを正確に行うのは無理がある気がします。もちろん立ち止まって操作したり、特別に意識して丁寧にタップすれば操作自体は出来ますが・・・運動中の操作はもっと手軽に行いたいです。

2025年3月18日時点のシステムではダブルタップの割当はありません。また、長押しには「着信拒否」と「音声アシスタントの起動」しか割り当てられません(現時点のソフトウェアの場合)。長押しは誤作動を想定した仕様なのかもしれませんが、もう少し設定の自由度があると良かったです。

筆者の場合はトリプルタップを使うことは諦め、アプリからのカスタマイズで左右のタップと長押し/スワイプの組み合わせで、曲送りと音量調整・一時停止など必要な機能を割り当てました。

デフォルトの状態だと、左右どちらのイヤホンをタップしても一時停止になりますが、「左タップを一時停止/右タップを曲送り」といった異なる操作を割り当てられますので、設定を覚えて慣れてしまえば問題ありません。

同じオープンタイプの「FreeClip」の場合は、本体のタップと長押しの2種類しかジェスチャー設定ができない(スワイプが無い)ため、操作性という意味ではFree Arcのほうが快適です。Freeclipもアップデートで音量調整が出来るようにはなりましたが、FreeArcのスワイプのほうが確実で素早いコントロールが可能です。

FreeArcの音質

Free Arcには「17×12 mmの高感度ドライバーユニット」を搭載しています。Free Flipのドライバーは約10.8 mmとされているため、フリーアークのほうが一回り大きく、低音~高音まで幅広い音域でクリアなサウンドが楽しめます。

音楽再生・通話ともに、特に違和感なく快適な音楽再生が出来ますが、オープンタイプなのでアクティブノイズキャンセリング機能はなく、周囲がうるさい環境ではそれなりに大きな音に調整しないと聴きづらいことはあります(この点で、Freeclipより音量調整がしやすいFree Arcは有利)。

音の聞こえ方としては、高音の強調やボーカル強調などのサウンド効果設定のほか、カスタムサウンド(音域ごとに調整)で細かく好みに合わせて変更することも出来ます。

また、音漏れ防止機能として、イヤホンから逆位相の音波を出す「指向性音声伝送」が可能であり、周囲が静かな環境での音漏れを抑えてくれます。実際に音楽を再生中のイヤホンを外から試聴してみると、音量が大きな場合はある程度の音漏れは生じますが、通常の音量範囲内/ある程度の距離さえ離れていれば、他人に再生中の内容を把握されるほどの音漏れは感じませんでした。

FreeArcの接続安定性

FreeArcを実際に使ってみて感じた”装着感”以外の強みとして、この”接続安定性”も大きな魅力の一つです。

Free ArcはBluetoothで接続するイヤホンですので、接続したスマホやパソコン本体からある程度離れて使うことが出来ます。

公式の表現だと、

400mランニング場や100m²のオフィスでも安定

とされているように、通常の他社イヤホンに比べて、接続した本体からやや遠く離れたり、扉などの障害物があっても安定してつながったままの状態を保つ傾向にあります。

具体的な例だと、筆者のオフィスでは他のイヤホンだとブツブツと切れてしまう(かろうじて接続は切れない)距離にあるトイレの個室に入っても、FreeArcは完全に安定して再生が続くような感じです(もちろん限度はあります。分厚い壁を貫通したりはしません)。FreeArcでは特許を取得したアンテナレイアウトを採用しているということなので、これが接続安定性を実現しているようです。

ちなみに、ファーウェイのスマートウォッチ「Watch GT5 Pro」では時計本体に音楽をダウンロード・保存しておけば、FreeArcとウォッチを接続させて、スマホなしで音楽を楽しめます。

FreeArcの防水性能

これもFreeArcのメリットの一つです。

FreeArcはIP57という等級の防水性能を備えており、多少の雨・汗がかかっても通常は壊れません。

IP57等級とは、一定の管理されたテスト条件下で、水とデバイスの温度差が5℃以下の場合に、デバイスが最大30分間、最大1mで静水の浸入から保護されることを意味します

とのことですので、”水没しても絶対壊れない”というほどではないにせよ、水しぶきに耐えられる”防滴”よりもワンランク上の防水だと考えて良さそうです。

過去のファーウェイイヤホンシリーズでは、

・FreeClip:IP54
・Eyewear2:IP54
・FreeBuds Pro4 :IP54
FreeArc:IP57

などとなっており、多くが機種が「IP54」であるのに対してFreeArcはIP57と、上位の防水性能を備えていますので、水・汗が掛かりやすい環境・利用条件を想定しているのなら、FreeArcなら安心して使えそうです。

*完全防水ではなく、防水性能は使用環境等や使用時間により劣化するものです。実際の利用時にはなるべく水を避け、早めに乾燥させて利用することをオススメします。水滴がスピーカーについていると、音自体もこもってしまうので。

Free Arcの価格

ファーウェイ FreeArcのメーカー販売想定価格は18,800円です(2025年2月の発表時点)。イヤーカフ型FreeClipは現在27,800円ですので、Freeclipよりもかなり安い設定です。

予算に余裕があるならFreeArcとFreeClipの両方を買って試してみるのも良いですが、どちらも「オープンタイプで、着け心地がよいイヤホン」という評価になるため、耳を密閉しない”ながら聴き用のイヤホン”として用途が被ります。

もしこの2種類から選ぶ基準を挙げるとすれば、Free Arcの大きな特徴である”装着感”もかなり優れていますが、Freeclipの場合は”付けていることを忘れる”レベルです(実際に筆者はしばしば付けていることを忘れて、パソコン/スマホとの接続が切れたアラートで気づくことが何度もある)。装着感とデザイン性を何より重視するのであれば、高くてもFreeclipがオススメです。

一方で、前述の通り”操作感”を重視したいなら、FreeArcのほうが豊富なジェスチャーと接続安定性に優れ、かつ防水性能も上ですので、Free Arcを選ぶほうが快適に使えるユーザーもいるはずです。FreeArcとFreeClipにはそれぞれ良さがありますので、価格と仕様を比べて目的の使い方に合わせて選んでみましょう。

*公式サイトでの一般販売は2025年3月下旬頃が予定されています。最新の価格は上記公式サイトの表記を確認してください。

[PR]しなやかなフィット感が魅力なHuawei FreeArc(耳掛け型イヤホン)レビュー-FreeClipとの違い