スマホの大画面化が進むところまで進み、6インチサイズも当たり前となった2019年というこの時代に、3.3インチ・重さ62.5グラムという手のひらサイズ・超小型スマートフォン「Palm Phone(PVG100E-2A1PJPD)」が日本上陸です。
「Palm Phone」はAndroid 8.1を搭載したスマートフォンで、ちゃんと日本の通信回線・電波を利用して使えるように技適が取得されています。
Palm Phoneは2019年4月24日に発売されます。
日本では今回発売される「Palm Phone」の他にも、「Unihertz ATOM」や「Unihertz Jelly Pro」という小型モデルもすでに発売されています。過去の小型スマホも小さいスマホが好みであるというユーザーには受けていたようですが、それらに比べてPalm Phoneが買う価値があるのかどうか、価格とスペック・機能をチェックしておきましょう。
小型スマホ3種比較
比較項目 | Palm Phone |
Unihertz ATOM |
Unihertz Jelly Pro |
発売時期 | 2019年4月 | 2018年11月 | 2018年2月 |
OS | Android 8.1 | Android 8.1 | Android 8.1 (初期7.0) |
ディスプレイ (解像度) |
3.3インチ (1280×720) |
2.45インチ (432×240) |
2.45インチ (432×240) |
サイズ | 縦:96.6mm 横:50.6mm 厚さ:7.4mm |
縦:96mm 横:45mm 厚さ:18mm |
縦:92mm 横:43mm 厚さ:13mm |
本体重量 | 62.5グラム | 108グラム | 60.4グラム |
CPU | SDM435 | MediaTek Helio P23 MT6763 |
MediaTek MT6735 |
ROM/RAM | 3GB/32GB | 4GB/64GB | 2GB/16GB |
カメラ (メイン/サブ」) |
12MP/8MP | 16MP/8MP | 8MP/2MP |
電池容量 | 800mAh (取外不可) |
2,000mAh (取外不可) |
950mAh (取外可能) |
防水/防塵 | IP68対応 | IP68対応 | 非対応 |
SIMスロット | nano SIM×1 | nano SIM×2 DSDV対応 |
nano SIM×2 DSDS対応 |
生体認証 | 顔認証 | 指紋認証 +顔認証 |
非対応 |
*価格 | 4.48万円 | 2.94万円 | 1.37万円 |
*2019年4月19日時点、税込
Palm Phoneは過去のUnihertz ATOM, Jelly Proと比べて、
・本体の厚みが圧倒的に薄型に
・ディスプレイの解像度が大幅アップグレード
・CPUはSDM435のエントリー~ミドル向け
・電池が取り外せない
・RAM/ROMはATOMのほうが上
・デュアルSIMではなくなった
・指紋認証には非対応
・電池容量は昔のガラケー並に小さい
といった、性能がアップした部分とダウンした部分があります。2018年冬モデルのATOMは「小型タフスマホ」というカテゴリーであり、今回のPalm Phoneとはコンセプトが少し違います。
従来の2機種はディスプレイの解像度が非常に低く、電話としての基本操作を行うには必要最低限だったとしても、「スマートフォン」としてある程度のアプリやゲームもちょっと遊んでみたい、というのならPalm Phoneの解像度の高さが活きてきます。
Palm Phoneは比較した3種類の中で最も電池が小さく、連続通話可能時間はや約200分、連続待ち受け時間は3日以上とされています。ディスプレイの解像度が高くなったことで電池の持ち自体は短く感じるでしょう。
一方で、電池容量自体は小さいので、わずか30分程度で50%・1時間強(公式表記では68分)で100%まで充電できるため、外出するまえにサッと充電して回復させられるという手軽さはあります。
対応周波数の違い
ATOM, Jelly Proでは2種類のSIMカードを入れて同時待ち受けすることが出来るという便利な機能がありましたが、Palm Phoneには1つのSIMスロットしかなくなってしまったため、メイン利用する場合には使う回線との相性も大切です。
日本向けPalm Phoneモデルの対応周波数は以下のようにデータが公開されています。
ドコモのネットワークで使えるのは LTEでB1/B3のみ、3GもB1のみとされています。都心部では問題なく使えるはずですが、山間部・地方では繋がりにくいエリアがあることが予想される対応度です。
auではB1が対応していますが、主要バンドであるB18/26が無いため、非常に厳しいでしょう。auの3G回線には非対応です。
ソフトバンクの回線で使う場合にはB1,B3,B8に対応します。
端末が対応している周波数帯と各キャリアの使用周波数帯の対応状況を示していますが、 各社ネットワークにおける動作を保証するものではありません。
ATOMの対応周波数は以下の通りでした。
GSM: Band 2/3/5/8
WCDMA: Band 1/2/4/5/8
TDSCDMA: Band 34/39
FDD-LTE: Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28A/28B
TDD-LTE: Band 34/38/39/40/41
CDMA2000: BC0/BC1
Jelly Proの対応周波数は以下のようになっています。
サポートするバンド:
GSM: 850(Band5)/ 900(Band8)/ 1800(Band3)/ 1900(Band2)MHZ
WCDMA: 850(Band5)/ 900(Band8)/ 1700(Band4)/ 1900(Band2)/ 2100(Band1)MHZ
FDD-LTE: Band 1/2/3/4/5/7/8/12/17/19/20
TD-LTE: Band 40
国内向けのPalm Phoneではなぜか非常に対応周波数が(公式サイトの表記では)少なくなっていますので、さまざまなエリアで使いたいのならPalm PhoneよりATOMのほうがつながりやすい可能性があります。
“スマホ”として使いやすい3.3インチ
ATOM, Jelly Proはディスプレイが2.45インチと非常に小さく、”こういうものだ”と割り切って使えばギリギリなんとかなるレベルの操作性でした。画面が小さいので文字の視認性・入力操作にも困る部分も少なからずあります。
一方のPalm Phoneは画面サイズが3.3インチまで大きくなり、従来のガラケーのディスプレイサイズくらいの大きさにまでアップグレードしています。
このサイズでもまだ小さなアイコンや文字入力がしやすいとは言い難いものの、独自の一筆書き入力”Graffiti(グラフィティ)”により、各機能へのショートカットアクセスが可能とされています。
通話、メールだけをしたいのならドコモが発売しているカードケータイ KY-01LもPalm Phoneと同じく「カードサイズ」です。
KY-01LはPalm Phoneより更に軽い47グラム、薄さ5.5mmという究極のコンパクトさを実現(発売時点で4Gストレート携帯として世界最軽量・最薄)していましたが、ディスプレイパネルは液晶や有機ELではなく、電子ペーパー技術を使っているためモノクロの表示であり、タッチ感度もスマホのようにサクサクと動くわけではありません。
☆「[実機購入レビュー]ドコモカード携帯 KY-01Lの良いところ・不満点、出来ること/出来ないこと 全まとめ」
カード携帯はスマホのようにタッチパネルで操作することが出来るものの、あくまで「ケータイ/ガラケー」としての通話機能以外を求めてしまうと厳しい使い勝手です。
それに対して、Palm Phoneはしっかりと”スマホ”である端末です。KY-01Lが「カード携帯」なら、Palm Phoneは「カードスマホ」でしょう(Unihertz ATOMやJelly Proは分厚かったので、”カード”という印象ではないでしょう)。カード携帯のサイズやコンセプトに面白みは感じたけれど実用面ではちょっと物足りないと感じた方には、Palm Phoneがしっくり来るかもしれません。
発売時点の価格は約4.5万円と、他の一般的なSIMフリースマートフォン・格安スマートフォンと比べると高めの設定であることも確かです。
4.5万円出せばSIMフリーのiPhone 7も新品で買えますし、最新モデルでも4万円を超えるモデルはハイエンドとは言えなくても、かなりの高性能機種が買える価格帯です。
それでもあえてPalm Phoneのサイズ・コンセプトに魅力を感じるユーザーには”買い”な端末になりそうです。