ドコモより発売中の2021年夏モデルスマートフォン ソニー Xperia 10 III (えくすぺりあてん・まーくすりー/型番SO-52B) の実機評価・使用感レポートです。

Xperia 10 III SO-52Bの発売日は2021年6月18日に登場したばかりのソニー製最新5G対応ミッドレンジモデルです。

ドコモでは2021年夏モデルとしてハイエンドクラスのXperia 1 IIIおよびローエンドのXperia Ace2も取り扱っており、Xperia 10 IIIは中間クラスの性能・機能と中間の価格に設定されています。

Xperia 10 IIIを買うべきユーザーは「10万円以上もするような最新モデルは買えない/買うメリットを見いだせない、かといって低スペックの格安スマホではつまらない/物足りないと感じる人」です。

Xperia  10 IIIは低価格のスマホ・旧型モデルに比べれば大きく進歩した性能や機能がある部分と、価格を抑えるために最高峰性能モデルから見ると劣る性能に感じられる部分がありますので、「どの点を重視してスマホを選ぶか」がXperia 10 IIIが買いといえるかどうかの判断基準となります。

当サイトでは歴代Xperiaシリーズの低価格モデルからハイエンドモデルまで、多数のXperia機種を実際に入手して使い比べてきた実績から、Xperia 10 IIIの良い点・悪い点を実際に使って感じた印象から「買って満足できるかどうか」の判断基準になりそうなポイントを中心に紹介します。

Xperia 10 IIIのスペックと機能

まずはXperia 10 IIIの基本情報となる、主なスペックと機能・対応サービスについて列挙します。

ディスプレイ
(解像度)
6.0インチ
有機EL
(フルHD+)
生体認証 指紋認証
(側面ボタン)
サイズ 縦:154 mm
横:68 mm
厚さ:8.3 mm
重さ:169グラム
カメラ 1200万画素(メイン)
+800万画素(超広角)
+800万画素(望遠)
バッテリー 4,500mAh 5G sub6対応
CPU Snapdragon 690 おサイフケータイ 対応
RAM/ROM 6GB/128GB 防水/防塵 対応

(それぞれおよその数値。より細かいスペック はドコモ公式サイトのスペック表を参照ください)

Xperia 10 IIIはドコモの5G通信に対応しています。最高下り通信速度は2.1Gbpsとなり、従来の4Gスマホよりも速いインターネット速度が体験出来ます。一方で、ミリ波には非対応です。

2021年8月27日発売予定のSIMフリーの廉価版 Xperia 10 III Liteは一部仕様変更を除くと性能・機能は同等です。キャリア版とSIMフリー版(Lite)の違いについては下記ページも参照ください。

関連記事:SIMフリーXperia10III Lite評価-通常モデルとの違い・スペックと価格-XQ-BT4

Xperia 10 IIIの大きさ・デザイン評価

上位機種のXperia 1 IIIの本体重量は188グラムもあり、Xperia 10 IIIのほうが1割近く軽量です。歴代のエクスペリアコンパクトシリーズより画面が大きく、軽さと大画面を両立したモデルがXperia 10 IIIの立ち位置です。

Xperia 10 IIIは比較的シンプルなデザインです。ディスプレイは6.0インチでほどほどに大きく、有機ELパネルであるため発色も綺麗です。ディスプレイ面にはノッチやパンチホールなどはありません。

本体の右側には音量ボタン・指紋認証センサー内蔵の電源ボタン・アシスタント起動ボタンがあります。左側にはSIMカードスロットがあります。

3.5mmイヤホンオーディオジャックが本体左上側にあるため、有線のイヤホンを使うことも出来ます。

カメラレンズパーツはボディからわずかに飛び出していますが、平面の机に置いてもガタガタ揺れるようなこともなく、安定したバランスです。

最近ではディスプレイガラスに内蔵したタイプの指紋認証センサーを搭載したスマホも多い中で、画面を指紋で汚さずに解除出来るXperiaの生体認証が好みという場合もあるでしょう。

Xperia 10 IIIのデザインには斬新さやユニークだと感じられる部分は無いものの、ほどほどに軽く、スリムな横幅で持ちやすい機種という評価です。

Xperia 10 IIIの処理性能評価

Xperia 10 IIIにはQualcommの新しいSoC Snapdragon 690が使われています。

このチップセットはミドルレンジのモデルに使われること多いパーツであり、超高性能とは言えないものの、4~5年前のハイエンドクラスモデル並の処理性能を持っています。

具体的にいうと、Antutuのベンチマークスコア(ver8系での当サイト測定)は約28万点ほどであり、Xperia 10 IIIはperia XZ1 (2017年型、Snapdragon 835搭載)~Xperia XZ2(2018年型, Snapdragon 845搭載)と近い処理性能と言えます。

4年前のハイエンドであったXperia XZ1やXperia XZ2世代はRAM4GB/ROM64GBでしたが、2021年のミドルスペックはこれを上回るRAM6GB/ROM128GBを搭載しており、3~4年くらい前にハイスペック~ハイエンドスマホを買ったユーザーがXperia 10 IIIに機種変更しても、それほど動作に違和感なく使えるはずです(数年前のスマホと比べると単純な処理性能だけでなく、OSやメーカーUIによる挙動の違いも大きくなります)。

最先端のゲーミングスマホのような高性能さではないものの、ある程度までのゲームアプリは十分に快適に動く水準です(個別のアプリ動作についてはメーカーにお問い合わせください)。

Xperia 10 IIIはeスポーツをしたい・ゲームをとことん快適に遊びたい人には物足りなく感じる可能性あり、ゲームはライトに楽しむだけという人には十分に満足できるスペックという評価です。

もし「Xperia 10 IIIの性能ではちょっと物足りなかも」と感じた場合は、2021年冬モデル Xperia 5 IIIの検討をオススメします。当サイトではXperia 5 III SO-53Bも実機を入手して評価を公開しています。

関連記事:Xperia5III実機レビュー 進化したカメラ・片手で使えるコンパクトハイエンド

Xperia 10 IIIのカメラ性能の評価

Xperia 10 IIIには3つのカメラレンズが搭載されています。

上から順番に、8メガの超広角用・12メガのメイン・8メガの望遠用レンズとなっています。倍率でいうと0.6倍・1倍・2倍相当の焦点距離です。

Xperia 10 IIIのカメラはやはり中間的な性能であり、上位のXperia 1 IIIより低く、Xperia Ace2より綺麗に撮れます

Xperia 10 IIIにはナイトモードやマニュアルモードもあります(Xperia Ace2には無い)。一方ではXperia 1/5シリーズに搭載されている「Photography Pro」(ソニーのαデジタルカメラのようなUIで撮影出来る機能)アプリはありません。

ただしXperia 10 IIIのマニュアルモードはフルマニュアルではなく、シャッタースピードとISOの一方しか設定できない(他方が自動でオートになる、いわゆる「SS優先」/「ISO優先」モード)仕様です。シャッタースピードも最長1秒しか設定がなく、三脚を使うような高度な設定撮影をしたい人には不向きです。

スマホで細かい設定をしたことがない/オートモードで十分というユーザーには、Xperia 10 IIIにもAIで最適な設定を自動で選択する機能があるため、普通にキレイな写真が取れます。

(Xperia 10 IIIで実際に撮影した写真)

カメラの画素数やセンサーサイズもXperia 10 IIIは最先端のカメラ機能特化スマホに比べると劣るため、画質に期待しすぎるとがっかりするかもしれません。ナイトモードも他社の夜景モードに比べるとフォーカスが合いにくい(ある程度の明るさがないとフォーカスに時間が掛かる・ピンぼけが多発する)、ノイズもやや多く残るように感じられます。

同じトリプルカメラのXperia機種で比べると、2年前のXperia 1 (SO-3L)のほうが写真の画質は上です。Xperia 10 IIIもXperia 1も「12メガピクセル」のカメラではあるものの、センサーの大きさ・カメラレンズの明るさともにXperia 10 IIIのほうが劣っているため、まだ「過去のハイスペック機種並のカメラ」といえるほどではありません。

しかし、「写真はとりあえず撮れれば良い」というユーザー、古いXperiaスマホのカメラから比べれば超広角・2倍ズームに対応したXperia 10 IIIのカメラでも楽しめるでしょう

Xperia 10 IIIのバッテリー性能評価

Xperia 10 IIIには従来モデルよりも大きな4500mAhのバッテリーが内蔵されています。

モデル/電池容量 4G連続待受可能時間
Xperia 10 III / 4500mAh 約600時間
Xperia 10 II / 3600mAh 約460時間
Xperia 5 II/ 4000mAh 約420時間

連続待ち受け可能時間はXperia 10 IIIが圧倒的です。

Xperia 10 IIIは高いフレッシュレート・解像度のディスプレイを搭載したモデルとは違い、ハイエンドモデルに比べて消費する電力がそれほど大きくないことも期待できるため、電池持ちはよく感じられます。

一方では、ゲームや5G通信利用時には従来機より消費が早くなることもあります。

Xperia 10 IIIのバッテリー充電時間は約135分(ドコモ純正急速充電器 ACアダプタ 07利用時)であり、特に遅くも速くもありません。

Xperia 10 IIIのオーディオスピーカー評価

Xperia 10 IIIには正面に2つのスピーカーが搭載されています。

しかし、オーディオ(音楽や動画のサウンド)再生はモノラルスピーカーです。音楽は下部の幅の広いスピーカーのみから出ており、ディスプレイ上部のスピーカーは通話用となっています。

Xperiaの上位モデルではステレオスピーカーのモデルもあるため、スマホのスピーカーでより自然な音楽を聴きたい場合はXperia 10 IIIでは物足りなく感じました

一方で、イヤホンを使った場合は音質をハイレゾ相当にアップする「DSEE Ultimate」に対応しているため、スマホでいつもイヤホンを使うユーザーなら十分なオーディオ体験が出来るでしょう。

Xperia 10 IIIの価格評価

Xperia 10 III SO-52Bの価格は、上位モデルXperia 1 IIIと下位モデルXperia Ace2の中間です。

ソニー製のドコモ5G対応スマートフォンとしてはXperia 10 IIIが最安値です(旧型のXperia 1 II/Xperia 5 IIより安い)。

モデル 機種変更価格
Xperia 10 III SO-52B 一括51,480円
Xperia 1 III SO-51B 一括154,440円
Xperia 5 III SO-53B 一括113,256円
Xperia Ace2 SO-41B 一括22,000円

(2021年11月12日時点、ドコモ公式オンラインショップ価格)

Xperia 1 IIIを買う予算で、Xperia 10 IIIが3台買えます。しかし、Xperia Ace2はXperia 10 IIIの半額以下です。

2021年モデルのXperia 3モデルは、スペック・機能と価格が大きくかけ離れており「ユーザーが何を望んでスマホを選ぶか」次第で、買うべきスマホのランクと料金が大きく変わります。

☆「ドコモ公式サイト:Xperia 10 III(SO-52B)の価格・割引情報をみる

上記でピックアップした「ディスプレイ」「大きさ」「カメラ」「処理性能」「オーディオ」、そして「価格」のバランスの良さで言えばXperia 10 IIIは無難な選択肢と言えます。

Xperia 10 IIIの性能・機能を見て「物足りないな」と感じたのなら、Xperia 1 IIIが購入候補になります。

Xperia 1 IIIなら、Xperia 10 IIIのカメラ・オーディオ・処理性能を完全に上回る性能を体験が出来ます。歴代最高峰のXperia 1 IIIは旧世代のXperia 1 IIに比べても完成度の高さが魅力となっています。

これまでXperiaのハイエンドモデル・最新機種を使い続けてきたというユーザーには、10IIIよりXperia 1 IIIを買ったほうが満足度は高くなるかな?というのが正直なところです。

関連記事:Xperia 1 III実機レビュー・評価

ロマンを求めるなら最上位のXperia 1 III(2021年7月以降に発売延期中)を、とにかく安いソニースマホが欲しいならXperia Ace2を選んで納得できるかどうかで機種変更候補を選んでみてください。

続きを読む:[実機レビュー]2万円の格安スマホXperiaAce2を買って感じたデメリット・欠点・弱点を評価

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どっちが人気?Xperia 10 IIIとXperia Ace2

最後に、日本のユーザーが最安のXperia Ace2と中間モデルのXperia 10 IIIのどちらを選んでいるユーザーが多いのか、実際のデータを公開しておきましょう。

2021年6月の売上数では、Xperia 10 IIIを選ぶユーザーが多くなっています。ドコモのウェブ販売ではiPhoneやその他の最新モデルを抑えて、Xperia 10 IIIが一番人気です。

上記でレビューしたとおり、「値段が高すぎず、性能もそこそこ。買って失敗が少ないこと」がXperia 10 IIIの人気理由でしょう。

値段の安いXperia Ace2も高めの人気を維持していますが、安さに比例して性能に物足りない部分が出てくることを心配するならXperia 10 IIIへ機種変更するのが無難だと考えるユーザーが多いです。

もう少し予算を出してXperia 1 IIの購入検討を

以上の実機レビューを読んだ上で「Xperia 10 IIIではちょっと物足りないかもしれない・・・」と感じたユーザーは、あと1万円の予算を用意できるのならドコモオンライン限定値引きのXperia 1 II SO-51Aへ機種変更の検討をすべきです。

Xperia 10 IIIよりも発売日は古いXperia 1 IIですが、Xperia 1 IIのほうが性能は格段に上です。

Xperia 5 IIは2021年12月に、2022年2月からXperia 1 IIもドコモのオンライン購入手続き限定で値引きが開始されました。

 

Xperia 10 IIIの5.1万円→Xperia 5 IIの機種変更価格 6.6万円という価格差で、処理性能はおよそ2倍・カメラ性能も段違いにアップします。

比較項目 Xperia 10 III Xperia 5 II
機種変更価格 51,480円 オンライン限定価格
60,170円
CPU Snapdragon 690 Snapdragon  865
Antutuスコア* 約28万点 約55万点
ROM/ROM 6GB/128GB 8GB/128GB
カメラセンサー メイン:1/2.8インチ
超広角:1/4.0インチ
望遠:1/4.0インチ
メイン:1/1.7インチ
超広角:1/2.5インチ
望遠:1/3.4インチ
+3D iToF
5G最大速度 受信最大2.1Gbps 受信最大3.4Gbps
画面大きさ 6インチ 6.5インチ
重さ 169グラム 181グラム
電池容量 4500mAh 4000mAh
ワンセグ/フルセグ
なし
あり

*Antutuアプリver8系統での当サイト実測結果。

Xperia 10 IIIがXperia 1 IIに勝てる部分は軽さで電池持ちくらいです。カメラはどちらも「広角+超広角+望遠トリプルレンズ」であるものの、カメラセンサーが大きいXperia 1 IIではより綺麗に撮れます(細かいマニュアル設定が出来るPhotography Proが使えるのも1IIだけ)。

1世代分型落ちしたとは言え、もともとXperia 1 IIは12万円の高性能モデルです。定価が安いミドルレンジのXperia 10 IIIとはカテゴリーが違うスマホです。

+9,000円の価格差を許容出来るのなら、値下げによってお買い得になったXperia 1 II SO-51Aのほうが満足度・評判は高くなっています。

*Xperia 1 IIの特別価格は在庫がなくなり次第終了となります。

☆「ドコモオンラインショップ限定割引 Xperia 1 II SO-51Aの価格・在庫を見る

[実機レビュー]ドコモXperia10III SO52B 買うときに注意すべきポイント/良い評価・悪い評価