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2020年4月発売の新型iPhone SE(第2世代)にてゲーム・アプリを連続で使用した場合に発生する発熱・過熱具合を実機で検証した結果をレポートします。

2020年モデルのiPhone SE2は、ボディデザインは型落ちのiPhone 8(4.7インチ)と同じものを再採用し、中身のチップは2019年モデルのハイエンド機種 iPhone 11シリーズと同じ「A13 Bionic」を搭載することにより、4万円台で買えるモバイルデバイスとしては圧倒的な高処理性能を誇ります。

一方で、iPhoneを含むモバイルデバイスでは「高い処理性能を実現するSoC(チップ)は発熱が大きい」傾向にあります。

iPhone SE2に搭載されたAppleの最高峰チップであるA13 Bionicチップは歴代の旧型4.7インチモデルに比べて格段に「最大の処理能力が高い」ことは疑いないところですが、発熱によってパフォーマンスの低下・機能の停止・フリーズが起きてしまっては困ります。

実はiPhone 11シリーズのときにも、この発熱が少し話題になっていました。

そこでiPhone 11シリーズで発熱しやすいと感じられたA13 Bionicを積むことでiPhone SE2も同じように熱くなりやすくなってしまったのかどうか、詳しく検証してみました。

モバイルデバイスの発熱検証方法

当サイトでは長年さまざまなモバイルデバイスに対して、非接触型の赤外温度計を利用して、簡易的にiPhone・スマホの表面温度を測定検証しています。

温度の測定時にはスマートフォンをスマホスタンドに立て掛け、体温などが影響しないようにしています。

「ゲームを連続プレイしている状態」を再現するため、ベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」を利用しています。

このベンチマークアプリでは3Dアニメーションを含む、さまざまな処理をスマホ上で連続して実行しつづけて、その処理速度をスコアとして算出します。ベンチマーク測定を連続で行うことにより、iPhone SE2に高負荷をかけ続けています(長時間大きな負荷を掛け続けることはデバイス・バッテリーによくない影響を与える可能性があるため、真似しないで下さい)。

なお、本来非接触型温度計で測定する場合には「放射率」と呼ばれる物質の熱放射特性に合わせて係数を設定して補正します。今回は簡易的に「温度の変化」を見ることが目的であるため、放射率は一律0.95にて測定しています(室温・手で触れた感覚でも確認しているため、それほど極端に実数値から外れてはいないはずです)。下記で示す数字はあくまで個人測定による参考用ですのでご了承下さい。

温度計はアマゾン等で買えますので、温度測定に興味のある方は手持ちのデバイスを測って遊んでみましょう。

☆「アマゾン-非接触赤外温度計

iPhone SE2連続使用時の温度とパフォーマンスの変化

iPhone SE2の連続動作時の温度変化をボディの表面(ディスプレイ面)と背面で測定し、ベンチマーク各回のスコアの変化を記録しました。

Antutu Benchmarkアプリのバージョンは8.1です。1回の測定には約7分が掛かっていますので、5回の測定で30分以上連続でゲームをした場合を想定しています。

その結果は以下の通りです。

測定回数 表面の温度 背面の温度 ベンチスコア
0回(開始前) 24.0℃ 24.1℃
1回め 32.0℃ 34.5℃ 455,627
2回め 34.5℃ 35.0℃ 450,575
3回め 35.8℃ 37.3℃ 450,631
4回め 36.3℃ 37.5℃ 439,660
5回め 36.6℃ 37.8℃ 432,324

(測定時室温22.0℃。表面温度はディスプレイの中央よりやや上部、背面の温度はカメラレンズの横あたりを狙って測定)。

測定の結果、30分程度連続で負荷をかけ続けると、iPhone SE2の本体は37~38度程度まで上昇し、手で触れると明確に熱を感じる状態となりました。

温度上昇の傾向として、動作開始から10分程度までに急激に温度が上昇しています。15分程度が経過した後(測定3回目あたり)は緩やかに温度が上がり続けています。

ベンチマークアプリのスコアに着目すると、1回目に最高点の45.5万点を記録したのち、測定を繰り返すごとに若干のスコア低下が見られます。最終の5回めでは43万点まで下がっており、5%ほどの下落となりました。

iPhone SE2の発熱傾向とパフォーマンスに関する考察

iPhone SE2を連続で動作させた結果、30分以上の連続使用時で本体の温度は体温よりもやや高い38度程度まで上昇することが判りました。iPhone 11 Proでは15分程度の利用で最大40℃を超える温度が出ていたため、それに比べると同じA13を積んだiPhone SE2の発熱は穏やかだと言えそうです。

実際に連続動作後のiPhone SE2を手にとってみると、ボディ全体が熱くなっていると感じられます。

ただ、その発熱の状態は均一ではなく、ディスプレイパネル面に比べて背面のほうが先に熱くなる傾向が見られました(放射率の違いによる数値の違いだけでなく、実際に触った感覚でも背面のほうが熱く感じられる)。

また、前面・背面についても、ボディの上部ほど熱くなりやすく、中央より下は2~3度程度低く数字が出ていました。

5回のベンチマークアプリ実行後、背面の上部・中央部・下部の温度を測定してみたところでは、

・上部(カメラの横辺り):37.8℃
・中央部(りんごマークのある部分):36.4℃
・下部(ロゴがある辺り):35.1℃

という数字が出ています。

実際にiPhoneを操作する場合、手が触れる部分は中央~下部あたりになるはずです。35度程度ならば体温と大差ないため、30分経過後も触っていられないほど熱く感じることはないでしょう。

今回の実験ではiPhoneをスタンドに静置して測定しているため、「実際にゲームで遊ぶ」ような場合には体温による伝達から、さらに温度が高くなることもありえます。また、室温も22℃と涼しい気温でしたので、夏場・屋外での利用時にはより高い温度になることも想定されます。

iPhoneが熱くなりやすい状況はゲームで遊んでいるときだけではなく、

・充電しながら利用をする
・初期設定時(バックグラウンドでOS更新・データバックアップの同期などが長時間実行されるため)
・カメラを長時間起動、連続撮影しているとき

などが考えられます。特に初期設定、アップルサービスの同期時に「何もしていないはずなのに熱くなっている」と感じるケースがあります。常時異常なほど発熱している場合を除き、短時間(10~20分以内程度)の発熱はiPhone・スマートフォンでは異常動作とは限りません。

30分経過時点でのAntutu Benchmarkスコアは43万点となっており、1回目の測定に比べると5%ほど低いスコアですが、ほとんどパフォーマンスの低下は気にならないレベルだと言えます。他社スマホでは発熱により、もっと大きく処理性能が落ちる機種もあります。

関連記事:SDM845発熱チェック ドコモXperia XZ2 Compact SO-05Kで連続利用テスト

43万点というスコアも、A12チップを搭載したiPhone XSシリーズと同等程度であり、動作には全く支障ありません。ベンチマーク測定中に表示されるアニメーションも、超スムーズに動いていました。

一方、iPhone SE2はボディがガラスとアルミニウムで出来ており、排熱・冷却も早いです。

今回は1回約7分のベンチマーク測定を(温度の測定・アプリの再起動で30秒くらいの間をおいて)連続で実行しつづけていますが、アプリを止めて数分も待てばiPhoneの温度は下がります。

iPhoneの温度が40度くらいまで上昇しても、処理性能の低下・アプリの停止・機能の制限も掛かっておらず、問題なく利用が可能です。

以上から、周囲の温度が非常に高い場合やよほど無茶な使い方をしないかぎり、iPhone SE2が過熱して触れないほどになる・発熱が問題になることは無いと考えられます。連続利用でのパフォーマンス低下もほとんど無視できるレベルです。

とは言え、ガラスの質感と相まって37~38℃まで上がった状態でもそれなりに熱く感じます。iPhone SE2の熱が気になる場合は、発熱が少ない本体の下部を持つ・少し使用を控えて待てばすぐに温度が下がり、もとのパフォーマンスに戻るはずです。

*上記は個人による検証結果です。iPhoneの発熱具合は利用状況・iPhone個体・人によって感じ方が異なります。不具合で異常発熱をする不良品が存在する可能性もありますので、問題を感じた場合はアップルおよび販売元にお問い合わせ下さい

[実機検証]iPhone SE2(第2世代,2020)の発熱・過熱・連続ゲームプレイ時のパフォーマンス低下について
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