2019年9月20日に発売日購入したiPhone11 Proの新カメラの実力を試すべく、旧モデルのiPhoneや最先端のAndroidスマホと作例比較をして感じたiPhone11 Proの強さ・弱さをレポートします。

2019年モデルのiPhone11シリーズには、新しく35mm換算で13mm相当だという超広角なレンズが追加されました。広角なレンズを使うことで1枚の写真により広いエリアが映る、パノラマ写真をiPhoneで手軽に撮れるようになったことで高い評価を得ています。

今回はiPhone11 Proを利用していくつかのシチュエーションで写真撮影、同じ環境で今だに根強い人気がある3年前のiPhone7、2019年夏モデル時点でドコモスマホの中ではトップレベルをカメラ搭載したP30 Pro HW-02Lと撮り比べて感じた印象を解説します。

iPhoneで”超広角”が撮れるという利点

iPhone11シリーズで共通した新機能「超広角レンズ」の追加によって、従来のiPhoneでは「パノラマ」機能を使ってiPhone本体を動かして撮らないと撮影が不可能だったパノラマ風の写真撮影がカンタンに撮れるようになりました。

(以下、画像をタップすると拡大できます。拡大後のサイズはオリジナルではなくウェブに圧縮・縮小しており、本来のファイルはもっと高画質です)

広角レンズを使うことで、風景をダイナミックに撮影したり、距離を取ることが出来ない室内・近距離からの撮影でも多くの情報を1枚の写真に収める、広角ならではの使い方・印象的な写真を撮ることが出来ます。

温室内にある樹を撮影する場合、室内であるがゆえに限界まで後ろに下がっても通常カメラでは上記のように幹と枝が一部分しか映らない場合でも、

広角カメラに切り替えるとことで、全く同じ場所から撮影しているのに枝全体を写真に収めることが出来ました。このような撮影は広角レンズが付いていない2018年モデルiPhone XS, XS Max, XR以前のモデルでは出来なかった、iPhone11シリーズからの判りやすい新しい機能です。

iPhone11 Proのカメラなら、ライトアップされた夜景撮影もカンタンに綺麗な写真に仕上がります。上記は通常カメラで撮影したものですが・・・

広角レンズに切り替えると建物がより広く映り込み、写真の雰囲気が変わります。

ただ、同じようなことはAndroidスマホの広角レンズ搭載スマホでも出来ます。ドコモのスマホならソニー Xperia 1でも、Samsung Galaxy S10+シリーズでも、Huawei P30 Pro HW-02Lでも、カメラの画質・調整などの違いは多少ありますが、「広角な写真が撮れる」という機能自体はスマホ業界全体では目新しいものではありません。

iPhone11シリーズと他機種の広角カメラ撮影を撮り比べていて、iPhoneはレンズの切り替えがとてもスムーズで、使いやすいと感じました。

iPhone11 Proのカメラレンズの切り替えは、カメラのシャッターボタンの上に「0.5」「1」「2」という3つの丸で囲まれたボタンをタッチするか、いずれかの数字をロングタッチすることで上記の写真のように0.5~10倍までスライド式で切り替える事が出来ます。

他のスマホに比べて極端にiPhoneのズーム切り替え・倍率切り替えが異なる、他機種は全部使いにくいというわけではないのですが、例えばソニーのXperia 1は、広角レンズに切り替えるには「W」と書かれた、独立したボタンをタッチしないと切り替わりません。

iPhone11 Proでは指一本で0.5倍~10倍までぐりぐりとズーム倍率を切り替えられるので、いろんな大きさで写真を残しておきたい場合にも短時間でたくさんの記録が出来ます。

新機能ナイトモードは優劣が激しい

iPhone11シリーズから追加された「ナイトモード」を使うと、従来以上に綺麗な夜景撮影・暗い場所でも明るい写真が撮れるようになります。この機能は古いiPhone 7と比べると圧倒的な進歩を実感できます。

(iPhone 7で撮影したもの)

(iPhone11 Proで撮影したもの)

全体の明るさ・ノイズの少なさ・ディティール部分まで、iPhone 7ではぼんやりとした写真になってしまうようなライトアップ写真も、iPhone 11 Proなら綺麗に撮ることが出来ます(写真自体が少し白み掛かっているのは、窓ガラス越しに撮影しているため。カメラアプリでもっと色調整を行えば綺麗に仕上げることも可能ですが、上記写真はトリミング以外は無加工)。

ただ、iPhone11 Proでナイトモードを使いながら他機種のカメラと比較してみると、iPhoneでは出来ないことが他社スマホなら出来る・もっと綺麗に撮れるスマホもあり、iPhone11 Proのカメラが最強だとは感じられない部分もあります。

まず、iPhone11シリーズのナイトモードは標準レンズと望遠レンズでしか使えず、新機能である広角レンズ撮影時には利用が出来ません。一方、ファーウェイのP30 Pro HW-02Lでは超広角レンズ状態でも夜景モードが使えます。

広角レンズでナイトモードが使えないため、暗い場所での撮影に強いP30 Proと撮影比較をするとクオリティに差が出ます。上記のようなやや薄暗い時間帯で、広角カメラを使ってiPhone 11 ProとP30 Pro HW-02Lを使い、全く同じ場所から撮影を行った写真を拡大比較してみた例が以下の画像です。

(写真右上を拡大したもの)

(写真の中央付近を拡大したもの)

上記はどちらも夜景モードを使わず撮影しています。iPhoneではこの薄暗さだとそろそろナイトモードを使いたい環境だと感じる場面だったのですが、広角レンズではナイトモードが使えないため、どうにもなりません。十分に明るい場所ならiPhone11の広角レンズで綺麗な写真が撮れますが、薄暗い場面ではややノイズが目立ちます。一方、P30 Proはややベッタリとした仕上がりになりますが、少なくともiPhone11 Pro よりも上記作例ではくっきり・ハッキリ写って綺麗に見えると思います。

また、iPhone11 Pro/Pro Maxのズーム性能においては、iPhone X/XSシリーズと同じ2倍ズーム相当であるため、極端な進歩は感じられません。ズームレンズがない旧モデルのiPhone 8/XR/7/6sなどのモデルに比べれば、ズーム写真を楽しむことが出来ると思います。すでに高クオリティのズームレンズを搭載したスマホを使っているユーザーがiPhone11 Proシリーズに買い替えた場合には、あまり驚きは無いでしょう。

(広角写真で撮影+10倍ズームの写真を切り出したもの)

デジタル併用最大50倍ズームまで使えるP30 Proには及びませんが、iPhone11 Proの0.5倍→10倍までの拡大率はお手軽に使えるスマホのカメラとしては十分に便利です。

iPhone11 Proのカメラを使った感想まとめ

iPhone11 Proは発売されたばかりということもあり、新機能の目玉であるカメラ性能ばかりに注目が集まりがちですが、あらゆる場面・どんな状況でもiPhone11 Proのカメラが既存の全スマホ機種のカメラに勝っているとは言えません。しかし、十分に高いクオリティを持っており、広角からズーム撮影、夜景撮影まで対応するiPhoneということで、古いiPhoneから買い換えるのであればきっと楽しめると思います。

一方で、

・広角カメラではナイトモードが使えない
・広角/ズーム性能では他社にもっと優れたカメラを持ったスマホも存在する
・iPhone 11Proシリーズは価格が高い(最も安い11 Pro 64GBでさえ12万円)

といったデメリット・・・とまでは言いませんが、「iPhone11 Proを選ばなくても、もっと安いスマホ・別のスマホを検討したほうが良いかもしれない」というポイントもある、というのが毎年何十台も新機種を使うマニアの感想です。

どの機種からiPhone 11 Proに買い換えるのか、予算はどれくらいなのか、そして”iPhoneに何を求めているのか”という点を各自で考え、高額なiPhoneを買うべきか安くなった旧モデルを狙うか検討してみることを推奨します。

関連記事:[ドコモ版HW-02L購入レビュー]P30 Proのズームカメラは噂通りヤバイ!型落ちのP20 Proが霞む写真性能

関連記事:2019年9月~ iPhone 8/iPhoneXR値下げ情報(SIMフリー/ドコモ/au/SB) 型落ちのお買い得モデル

[実機レビュー]iPhone11 Proが旧モデルiPhone7やAndroidスマホより優れている点・劣っている点 カメラ編

Tagged on: