NTTドコモより発売された富士通(FCNT)初の5Gスマートフォン「arrows 5G」(あろーず・ふぁいぶじー/型番F-51A)の実機レビューです。

arrows 5G F-51Aはその名称の通り、ドコモの5Gミリ波(sub6/mmw)に対応した最新鋭の超高速通信が出来るスマホです。

富士通のモバイルブランドとして「arrows」シリーズは長く続いていますが、近年ではドコモ向けの「arrows Be」は人気の格安スマホとして、あるいは「らくらくホン/らくらくスマホ」シリーズも富士通から継続して登場している一方で、ハイエンドクラスのarrowsシリーズとしては久しぶりの投入となりました。

ドコモ向け富士通の高性能モデルは「arrows NX」というシリーズがあり、2017年arrows NX F-01Kはミドル~ハイスペックモデル、2016年モデルのF-01J/2015年のF-02Hも当時のハイエンド向けチップは使用しておらず、富士通はハイエンド路線から「安心して使える、買いやすいスマホ」へシフトしていました。

一方で、今回のarrows 5Gは「超速の一矢」というPRフレーズを使っているように、歴代arrowsとは比べ物にならない最強・最速のスペックを持ったスマホとなっています。

ここ数年間ハイエンド・フラッグシップモデル開発から遠ざかっていた富士通が作る5Gスマホがどんな品質になっているのか、実際に他の5Gスマホとも使い比べて感じた評価を細かく解説します。

arrows 5G F-51Aの外観・デザイン

arrows 5G F-51Aは久しぶりのハイエンドモデルらしく、従来の格安シリーズ・古い4Gスマホに比べて高級感&最先端を感じさせる流行のデザインを取り入れています。

(F-51AのNavy Black)

今回レビューするモデルは「Navy Black」(ネイビーブラック)です。上記の写真のとおり、濃いブルー~ブラックによるグラデーションが特徴的なカラーリングです。

ちょっと写真では見づらいかもしれませんが、バックパネルは複数の方向から差し込む光の線・波が重なり合うようなテクスチャー柄になっており、高級な印象を受けるデザインです。

arrows 5Gは7.8mmという本体の薄さと、ガラスパネル・バックパネルともに左右エッジが滑らかにカーブさせることで手に触れる部分がより薄く、持ちやすい形状になっています。

背面のカメラは四角形に飛び出たパネルにトリプルレンズとフラッシュパーツが組み込まれています。

ディスプレイ面は上下左右ともにベゼルレス(縁が細い)デザインになっています。右上には穴が空いており、インカメラが埋め込まれています。ホールはやや大きめの印象です。

本体右側に電源ボタンと音量上下ボタン、本体下部にはSIMカード/SDカードのスロット、Type-C USB、スピーカーがあります。

arrowsシリーズには本体の横・背面に「エクスライダー(Exlider)」と呼ばれる指紋認証内蔵の特殊なタッチ操作ボタンが搭載されている機種もありますが、arrows 5Gはエクスライダー非搭載となっています。指紋認証はディスプレイ面下に内蔵されています(指紋認証に関しては後述します)。

arrows 5Gのスペックと対応サービス

ドコモが提供する「5G」通信は規格によって通信速度が一部異なる機種が存在します。

2020年夏モデルのドコモ5Gスマートフォンのうち、実は同じ「5G対応スマホ」でも通信速度の最高速が異なります。arrows 5G F-51Aは現時点でドコモ最速、下り4.1Gbps・上り480Mbpsに対応しています。

ドコモ5Gスマホ 5G Sub6
(最大3.4Gbps)
5Gミリ波
(最大4.1Gbps)
arrows 5G F-51A 対応 対応
Xperia 1 II SO-51A 対応 非対応
AQUOS R5G SH-51A 対応 非対応
Galaxy S20 SC-51A 対応 非対応
Galaxy S20+ SC-52A 対応 対応
LG V60 ThinQ 5G 対応 非対応

(通信速度はエリア・ソフトウェアのバージョン等によって変わります)

arrows 5Gは通信速度が速いだけではなく、各種スペックももちろんハイエンド仕様となっています。

スペック・仕様 arrows 5G F-51A
ディスプレイ 6.7インチ 有機EL
縦の長さ 164mm
横幅 76mm
厚さ 7.7mm(カメラ部含む9.5mm)
重さ 171グラム
実利用可能時間 5G 110時間/4G 125時間
電池容量 4070mAh
CPU Snapdragon 865
RAM 8GB
ROM 128GB
最大通信速度 上 4.1Gbps/下 480Mbps
防水防塵 対応
おサイフケータイ 対応
テレビ 非対応
カメラ 広角+標準+ズーム
トリプルレンズ

arrows 5G F-51Aのすべてのスペック・対応サービスは公式サイト「NTTドコモ arrows 5G F-51A」を参照ください。

arrows 5Gの処理性能と発熱

arrows 5G F-51Aには5G通信に対応したチップ Qualcomm Snapdragn 865が搭載されています。

メモリーは8GB,ストレージ(保存容量)は128GBです。これは2020年夏モデルのハイエンド機種の中では標準的な仕様ながら、旧モデルのarrowsシリーズとは比較にならないほど性能が上がっています。

スマホの処理性能を数値化出来るアプリ「Antutu Benchmark」(ver8.3系)を実行したところ、最大で53万点弱のスコアが出ており、他のSDM865搭載2020年夏モデル最高峰スマホと同程度の処理性能を持っていると言えます。

また、arrows 5Gはゲーミングスマホとしての機能性・利便性を高める工夫も採用されています。

arrowsといえば旧世代のスマホに本体が熱くなりやすい機種があり、発熱によりスマホがフリーズ・機能停止・動作遅延が生じるというトラブルが多発した機種が存在したことが強く印象に残っているユーザーもいることでしょう。

そこでarrows 5Gでは「ベイパーチャンバー」と呼ばれる熱拡散構造が取り入れています。

一般的にスマホが発熱する場合には、CPUがある部分を中心に熱くなります。arrows 5Gの場合はCPUから熱を逃し、スマホ全体に広げて局所的な高温を避けることが出来るようになっています。

上記画像のように、arrows 5Gではカメラパーツがある上部が最初に熱くなり、徐々に熱が広がるという傾向があるため、手で持つ本体下部まで熱くなることが少なくなっています(横向きでゲームプレイをする場合には発熱部分を感じやすいかもしれません)。

実際にアプリを連続動作させてみると、arrows 5Gでも発熱自体は発生することが確認出来ました。

30分ほど連続でアプリを動かしながらarrows 5Gの背面温度を測定したところ、カメラレンズ横の最も熱く感じられる部分で43℃程度の高温状態になっていました。

しかし、前述のとおりベイパーチャンバーが効いているのか、本体の下部あたりまでは高い温度は広がっておらず、ボディの中央よりやや下あたりは36℃程度であり、やや温かい程度の発熱に収まっていす。

また、連続で負荷がかかる場合には処理性能を部分的に抑えるようなシステムがあるようで、ベンチマークアプリを連続動作させると複数回実行時に、稀にベンチスコアが大きく落ちる(最大4割程度)現象が確認できました。

エアコンの効いた環境であればアプリを連続使用しても大きな処理速度低下は起きにくく、Antutuベンツマークスコアだと45~48万点前後を維持しました。

処理性能を抑えた時点でも十分にゲームが快適に動く水準のまま過剰な発熱を抑えるようで、30分程度連続でベンチマークアプリを動かしても持てないほど熱くなることはありません(発熱は周囲の状況、負荷の掛かり方次第で変動します)。

この他、ゲーミングスマホとして利便性を高めるためにゲームプレイ時に着信や通知を停止させたり、パフォーマンスを優先する「ブースト」モードなどもあります。

arrows 5Gのカメラ性能

arrows 5Gには富士通のスマホとしては初のトリプルレンズ仕様となっています。

メインカメラは4,800万画素、超広角レンズは1630万画素、そして800万画素の望遠レンズが搭載されています。写真では少し見にくいですが、レンズの下には暗い場所でもフォーカスが合いやすい、レーザーオートフォーカス用のセンサーも搭載されています。

arrows 5Gのカメラ画質については、ハイエンド同士・カメラ性能が高いスマホ同士で比べてしまうと平凡という印象です。今の時代はどのメーカーもカメラ性能が高くなっており、全く同じ環境で撮影比較をするとarrows 5Gで撮影した写真は、他社より画質が低めに感じられる(他社ハイエンドのほうがキレイ)ケースもあります。

例えばarrows 5GにはAI判定により「夜景」を認識すると通常よりも長いシャッター時間を確保してノイズを少なく、キレイに撮影できるとしていますが・・・

(画像をタップで拡大出来ます)

arrows 5Gの夜景モードも通常の夜景であれば十分にキレイな写真が撮れます。しかし、arrows 5Gの夜景モードに比べて、Apple iPhone 11シリーズに搭載された夜景モードのほうが圧倒的にキレイに、ノイズが少なく撮れます。これはiPhoneの夜景モードと仕組み自体が異なっており、iPhoneではより長い撮影時間を掛けることで、ノイズを劇的に減らす技術が取り入れられているためでしょう(関連記事:[比較レビュー]iPhone11カメラがiOS13.2アップデートで凄いことに「Deep Fusion」で暗闇写真で劇的画質向上)。

さらに下記の写真は富士通のarrows 5Gの他、高いズーム性能で高評価を得ているP30 Pro HW-01Kと、iPhone 11 Proで約10倍時のズーム画質を比較したものです。

(タップで拡大出来ます)

ズームレンズが無い低価格スマホに比べるとarrows 5Gの写真もよく撮れているとは感じるものの、拡大して比較するとarrows 5Gでは微細な部分が完全につぶれてしまうような状況でも、P30 Proなら高解像を実現します(画像中央下の植木鉢に入っている緑色の葉に注目して比較するとよく判ります)。

arrows 5Gの特色としては、デフォルトで「フォトショップ」の画像編集機能が使えるという点が挙げられます。

カメラの設定画面でPhotoshop Expressモードをオンにして撮影すると、自動で画質・色の調整をした写真が保存されます。目で見える自然な写真とは異なりますが、いわゆる「映える写真」が簡単に出来上がります(Photoshop Expressモードはオフにする事もできます)。

はっきり言って、単純に「高画質な写真が撮れる/夜景がきれいに撮れる/ズーム性能が高い」というだけで比較した場合、他社のカメラ特化ハイエンドスマホのほうがarrows 5Gより優れている機種は多くあります。しかしながら笑顔や表情を識別して自動でシャッターを切る「AIオートショット」、指定した被写体を自動追尾・ボケ味を追加することも出来る「Live Auto Zoom」など、arrows 5Gのカメラはソフトウェア・機能面で便利に使えるように工夫されているという印象です。

指紋認証でアプリ起動 Fastランチャーが便利

富士通スマホらしい機能として、arrows 5Gでは「Fastフィンガーランチャー」と呼ばれる、生体認証機能をさらに便利に工夫した機能が使えます(低価格なarrows Be4も対応)。

Fastフィンガーランチャーでは、指紋認証時に登録した指に応じて指定のアプリを直接起動することが出来ます。

arrows 5Gに搭載されている「Fast Appドライブ」というアプリの起動短縮技術と組み合わせることで、例えばQRコード決済アプリを画面消灯→1秒で起動することも可能です。カメラやメモ帳など、よく使う機能をそれぞれの指に割り当てて覚えておけば、思い立ったときにすぐにアプリを使うことが出来るというユニークな機能です。

一点arrows 5Gの指紋認証で気になった点として、指紋認証センサーの内蔵位置がやや高め(中央寄り)であると感じました。


ドコモで大幅値下げ販売中のP30 Pro HW-02L(上記画像右)に比べて、2センチくらい高い位置にarrows 5Gの指紋認証センサーがあります。

個人の感想としては、慣れの問題もあるかもしれませんが片手でスマホを持ちながら親指で解除する場合には、arrows 5Gではやや不自然に親指を伸ばさないと解除しにくいと感じられました。解除のスピード・認証精度は特に問題なく動作しています。

arrows 5G F-51Aの価格・割引情報

ドコモ arrows 5G F-51Aの販売価格・割引情報です。

富士通の国産5Gスマホ arrows 5G F-51Aは、初めて5Gプランに変更するユーザー限定で「5Gウェルカム割」による値引きと、発売記念の先着キャンペーン特典を受けることが出来ます。

2021年3月5日より、FOMAプランからの買い替え・他社3G回線からの買い替え時は「はじめてスマホ購入サポート」の対象となり、10万円以上の値引き(ポイント還元)となります。

5Gウェルカム割を使うと、本体価格から5,500円値引き(2020年8月時点)を差し引いて購入できます。

さらに、2020年9月30日までに期間かつ先着順で5,000円分のdポイントがもれなく貰えるキャンペーンがあります。

5Gウェルカム割は購入時の一括値引き/dポイントプレゼントは購入後に専用応募ページから申請すると貰えます(応募完了月の翌々月末までに付与予定)。

さらに「スマホおかえしプログラム」を使った場合、月々の支払いは3,125円(×24回=総額75,005円)の負担で利用可能です。

ドコモの5G通信サービスプランの料金込・家族割引などを含んで維持費は、下記公式シミュレーターで簡単に計算出来ます。

*キャンペーン・価格情報は2020年8月23日時点のもの。最新情報はドコモの公式HPを参照ください。

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オンライン手続きで事務手数料無料化

NTTドコモではオンライン手続きによる機種変更・契約変更は、事務手数料無料にて契約が出来るようになっています。

携帯ショップ店頭で手続きをすると通常4Gプラン→5Gプランの契約変更は手続き費用として3,300円が必ず掛かります(2020年時点)。ただでさえお高い5Gスマートフォン本体代金の負担もありますので、少しでも安く機種変更をしたい方はオンラインでの購入・手続きを推奨します。

オンラインでの購入方法は下記ページも参照ください。

[日本製5Gスマホ]ドコモarrows 5Gレビュー 数年ぶり富士通製ハイエンド機 発熱・使いやすさ・カメラ評価と使用感

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