2018年夏、auとソフトバンクが導入した携帯電話契約における「4年縛り」に批判・非難が集まり、公正取引委員会が動いたことで携帯業界に衝撃が走っています(→現在、キャリアプランに基本的に2年縛りは無くなりました)。

auが現在実施しているアップグレードプログラムの場合、スマートフォンの本体代金を48分割として、一定の期間を利用したあと、スマホ本体をauに返却して新しいスマホへ機種変更すると、48分割(4年間)のうち支払いが残っている金額相当を請求しない(残債を無料化する)という特典を用意しています。

これだけ聞くと「スマホの代金を支払う金額を減らして機種変更出来る」というメリットがあるシステムに感じられますが、その実態は違います。

2018年8月時点でアップグレードプログラムによって機種変更時に残債を免除されるための条件には、”機種変更後もアップグレードプログラムに継続加入する”というものが含まれます。継続加入をしなかった場合には残債の支払いはそのまま続き、本体代金の請求が何万円も生じてしまうというトラップが仕組まれています(もちろん、契約時に説明はされているはずです)。

従って、多くのアップグレードプログラム加入者は1度でも利用を開始すると、割引を受けるために永遠にアップグレードプログラムをやめることができなくなり(機種代金を全額負担してもいいなら止められる)、他社への契約移動がしづらくなります。この強力な囲い込みが公正取引委員会によって独占禁止法違反の恐れがある、として問題視されました。

この段階でニュース等でよく言われる「4年縛り」という言葉自体は、実は独占禁止法云々の問題にはあまり関係ありません。”4年間で機種代金を分割して購入するときに使えるアップグレードプログラムの再加入誘導”が問題なのであり、”誘導”の部分が解決されれば、独占禁止法には当たらないと考えられます。現行のアップグレードプログラムでは再加入後も縛りが続くため、「永続縛り」とでも表現したほうが近いのかもしれません。

KDDIはすでにこの独占禁止法違反にあたる可能性があるアップグレードプログラムのシステムに関して見解を出しており、今後システムの見直し(おそらくは上述の通り、残債免除の条件となる”機種変更時のプログラム再加入”という部分を取り消す)を実施することを決めています。

auでずっと契約を続け、2年を待たずに次々と機種変更を繰り返して新しいスマートフォンを使い続けたいユーザーにとっては、アップグレードプログラムの適用によって残債の一部が免除されることはお得なシステムであるとも言えますので、加入すべきかどうかは、各自で判断すべき内容です。

参照:au新プランの罠 「4年縛り」アップグレードプログラムEXは加入するべきか?機種別の「本当の割引額」を知ろう

今後、アップグレードプログラムのシステムが見直されて、次回の機種変更時に再加入強制が無くなればさらにauが使いやすくなることが期待できますので、KDDIの動きに注目しておきましょう。

なお、ほぼ同様のシステムをソフトバンクでも導入しており、「半額サポート」という名称で提供をしています。

ソフトバンクでは2018年8月3日時点においてシステムの見直しに関する見解を出していないはずですが、公正取引委員会が独占禁止法違反の可能性を指摘しているのはSBも同様ですので、KDDIと同じ修正(再加入条件を緩和)を行うと見られます。

追記:2018年8月6日、ソフトバンクも半額サポートの再加入条件見直し・2年契約の更新月の延長見直しを発表しました。関連記事→auに続きソフトバンクも半額サポート4年縛り再加入条件を廃止・2年縛り見直し-公取委の指摘受け

ドコモに4年縛りはない

ここで、ドコモで提供されているサービスにおいては「4年縛り」というものは存在しません。au/SBのアップグレードプログラムと少し似たサービスとして「機種変更応援プログラム/応援プログラムプラス」という機種下取りの変形サービスのようなものがあるだけです。

ドコモの機種変更応援プログラムでは、プログラムを使って買い替えを行う時に、”古い機種を返却することを事前に約束する”という点においてはアップグレードプログラム/半額サポートと類似していますが、上のイラストにある通り「プログラムの継続加入は任意」になっています。公正取引委員会によって問題視された「強すぎる囲い込み」のルールがドコモの応援プログラムには無いため、安心して利用できるというメリットがあります。

参考記事:加入しても大丈夫?ドコモの機種変更応援プログラムプラスをデメリットゼロで活用する考え方

4年縛り(機種変更時の継続加入誘導)が問題視されるなか、ドコモでも2年縛りを見直す動きが出ています。

ドコモが見直しを検討している内容は、現在の携帯電話の定期契約更新月を2ヶ月→3ヶ月に伸ばすというものです。それがユーザーに求められているものかどうかは微妙ですが・・・

更新月が3ヶ月に延長されるメリットは、2年おきの買い替えのタイミングに幅が出ることで新機種の発売時期を待ったり、古いモデルが値下げされるタイミングをより狙いやすくなる、解約・他社への乗り換えを検討する期間が延びる等が考えられます。

契約更新の時期は短いより長いほうがユーザーにとっては有利だと言えるため、ドコモが検討している2年縛りの見直しは悪い方向ではないはずです(それに付随して他の改悪を行わなければ)。

しかしながら、ドコモでは2年間契約した後であれば、いつ解約・他社へ転出しても違約金が掛からなくなる、フリーコースが2016年からすでに提供されています。2年毎の自動更新をやめたい人は、フリーコースへの変更を検討しましょう。

フリーコースのメリット/デメリット

ドコモでスマートフォン・携帯を購入後、解約・他社への乗り換え時に違約金を支払いたくないというユーザーは、2年を経過したあとならいつ解約しても違約金が生じない「フリーコース」を選べます。

2年間の定期契約を行った場合には最初の2年後、契約更新月の間に「フリーコース」または「ずっとドコモ割コース」を自由に選択する権利がドコモ契約者にあります。

2年間の定期自動契約更新を中止したい場合、My docomoのオンライン手続き・またはドコモショップの窓口でずっとドコモ割→フリーコースの変更手続きが可能です。

フリーコース/ずっとドコモ割コースの選択が行えるのは、以下のプランに加入している場合です(2018年8月時点)

カケホーダイプラン(スマホ/タブ)、カケホーダイプラン(ケータイ)、カケホーダイライトプラン(スマホ/タブ)、カケホーダイライトプラン(ケータイ)、シンプルプラン(スマホ)、シンプルプラン(ケータイ)、データプラン(スマホ/タブ)、データプラン(ルーター)をご契約のお客さま

オンライン手続きの場合は、My docomoへログイン後、「契約内容・手続き」へ進みます。

フリーコースの選択は、定期契約の更新月にのみ行なえます(更新月以外にはフリーコースの選択肢がなく、普通の料金プラン変更のみ可能)。

フリーコースに変更しても、各基本料金・パケットプランの月額料金は変わりません(ただし、ずっとドコモ割の特典はなくなります)更新月を過ぎてしまうと再びずっとドコモ割コースになるため、更新月についても事前に確認しておきましょう。

家族でドコモの回線を複数契約を行い、パケット容量のシェアしている場合にはフリーコース・ずっとドコモ割のコース変更について、一部制限があるため注意が必要です。

ずっとドコモ割の割引はパケットシェアをしているグループ単位での適用があるため、代表回線がずっとドコモ割に加入うしている場合は、子回線(副回線)のみをフリーコースに変更することが出来ない仕様です。そのため、副回線だけをいつでも違約金無しで解約できる状態(フリーコース)にしたい場合には、シェアグループから外すか、代表回線もずっとドコモ割の対象外にしてしまうことになります。

2019年1月、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク(およびワイモバイル)の3社は従来の定期契約(いわゆる2年縛り)の契約満了月を「2ヶ月→3ヶ月」へ延長することをそれぞれ発表しました。

ドコモの場合はもともと自動更新にならないフリーコースについて、契約満了月の前月に通知を送付することを決定しています。

この変更は2019年3月に契約満了・更新月を迎えるユーザーから適用開始されます。

「定期契約満了月の”当月”」が対象に追加されたことにより、当初より実質的に1ヶ月前倒しで満了するユーザーが出てくるはずです。

この変更によるユーザーへのデメリットは何もないハズです。今後は契約更新を従来よりもじっくりと考えることが出来ますので、同じ通信会社で続けるか、他社へ乗り換えるべきかゆとりを持って調べることが出来るでしょう。

2年定期契約を続けるとお得も続く

ドコモでの継続利用を前提とした「ずっとドコモ割」ユーザーにはフリーコース選択者にはない優遇があります。

1つ目の特典は「更新ありがとうポイント」です。2年間の定期契約を更新すると、毎回3,000円相当のdポイントを貰うことが出来ます。フリーコースに変更した場合には、更新ポイントを貰う権利が失効します。

さらに、長期ユーザーの場合には「ずっとドコモ割」による、月額料金値引き・またはポイント付与があります。

ずっとドコモ割の割引・ポイント還元は契約中の年数・利用中のパケットプランに応じて変動します。最高のステージになると年間で3.6万円相当のポイントを貰うことが出来るため、長年ドコモで使っている・家族で利用するために大容量プランを契約しているのなら、フリーコースに変えて使い続けるのは損です。

2年間の自動更新がイヤだ、2年使った後に違約金が生じるのが不満という人はフリーコースを選びましょう。フリーコースを選んでも毎月の支払い料金が高くなることはありません。

今の時代ではいわゆる”格安SIMサービス”でもドコモのスマートフォン・iPhoneがそのまま使えるサービスがありますので、ドコモに留まるメリットを感じない・スマートフォン端末もキャリアから買う必要が無いのであれば、フリーコースに変えて準備が出来次第、転出するという選択肢もあるでしょう。

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ただし、フリーコースに変更したまま利用を続けていると「更新ありがとうポイント」・「ずっとドコモ割」による優遇措置は受けられなくなります。長期契約・利用継続を前提に料金を安くしたり、特典を付けるのはビジネス上は普通のことであり、どんな業界でも同じでしょう。

どちらを選ぶかは、ユーザー次第です。2年縛りに悩まされているユーザーは、ドコモに縛られ続ける必要はありません。しかし、ドコモをずっと使ってきて今後も使い続けるつもりがあるのなら、ずっとドコモ割を活用してスマホ料金の節約効果を享受出来ることも考慮して、お得に機種変更を続けるのも自由です。

2年縛り以外のドコモの問題点「頭金」

ドコモのiPhoneやスマートフォンを契約する時に、「機種代とは別途、頭金が○○円掛かります」というフレーズを聞いたことはありませんか?

一般的に頭金と言えば、購入商品支払額の一部を先払いして、残りの残債を分割にしたり後払いにするシステムのことを指しますが、ドコモでは「機種本体・事務手数料に上乗せして頭金を請求する」という、一見すると不可思議な料金が生じます。

頭金として請求される額はおよそ3,000円~8,000円程度となっており、広告やポップに強調して掲載される機種代金とは別途必要になり、契約手続き時になって初めて頭金が上乗せされることに気付くケースも。頭金のせいで思ったよりも安くない契約をしてしまった経験がある人も少なくないはずです。

このドコモの頭金システムは各ドコモショップ・ドコモ取扱店が各自で設定するものであり、ショップ・ストアが独自に収益を確保するために、自由に設定することが出来る手数料として「頭金」という名目で料金が発生します。

このドコモの頭金、さらに機種変更時の事務手数料を無料化するテクニックも当サイトでは詳しく解説・公開しています。

ドコモショップの頭金(と称した割増手数料)相場 頭金0円のショップと無料化の条件」を読む

ドコモの長期利用者が使う節約術

ドコモの携帯電話・スマートフォンを長く使い続けている場合、ドコモずっとドコモ割・更新ありがとう割のような特典もありますが、ドコモユーザーが実施すべきは今はもうほとんどありません。ドコモに限らず既存ユーザー軽視の流れは止まらず、長期契約のメリットはほぼありません。

とくにメリットを感じない人は、ドコモから他社に乗り換え(MNP)で契約特典を受け取りながらグルグル移動したほうが有利です。

ドコモが2年縛り見直し 2年以降はいつ解約しても違約金が無い「フリーコース」のデメリット/メリット

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