NTTドコモが2020年12月3日に発表、2021年3月26日(開始日が決定しました)に提供開始予定の新料金プラン「ahamo」(アハモ)について、料金プラン・サービスの内容・申込方法、契約時の注意点や従来のドコモ契約との違いなどを解説します(2021年3月1日新着情報も更新中)。

ドコモの新料金プラン「アハモ」は、総務省からの携帯料金値下げ圧力によって生み出された、「極力シンプルで安い料金プラン」です。

アハモプランは従来の一般的なドコモ料金プランに比べて非常に安い設定になっており、一言で表すと「5G対応の5分間かけ放題付き20GBプランで2780円(税込み2,970円)」です。

従来の5G料金プランで通話のかけ放題オプションを含めた場合、楽天モバイル以外の3キャリアでは1万円近くの月額料金が一般的となっていた(楽天モバイル 5G料金プラン1年無料についてはこちら)のに対して、「20GBまで」「5分以内」という制限こそ付きますが、家族割引・ネットセット割引・その他期間限定の割引などの条件無く月額2,970円を実現しています。

さらに、ドコモの新料金プラン「アハモ」では、新規契約事務手数料・MNP転出手数料も無料となることが決定しています。

これだけを見ると大変に魅力的なプランで、多くのユーザーがドコモ契約からアハモに変えたほうが有利なように思われますが、安い料金プランの罠、契約やサービスに関するトラップにも注意は必要です。

従来の「ドコモ」と「アハモ」にはいくつもの決定的な違いがあり、場合によっては「アハモプランに変えたら料金が高くなる」・「割引や便利なサービス・特典が消える」というケースもありえますので、事前の確認をしっかりと行いましょう。

1.アハモプランのサービス内容

アハモの料金・サービス内容は以下のとおりです。

サービス内容 アハモプラン
サービス開始日 2021年3月26日
月額料金 2,970円
(値下げされました)
データ容量 20GB
(超過時1Mbpsで利用可能)
データオプション +80GB(大盛りオプション)
+1,980円/月
音声通話 1回あたり5分以内通話無料
(カケホオプション1100円)
5分超過 20円/30秒
通信サービス ドコモ 4G/5Gネットワーク
手数料 新規契約・機種変更
MNP転出手数料 すべて0円
最低利用期間 なし
(2年契約なし)
ドコモ回線継続利用期間 継続可能
海外利用 海外対象国・地域で20GB
データ容量を利用可能

(別途ユニバーサル料金やオプションサービス料金などが発生する可能性もあります)

アハモのスマホプランは、2021年2月時点では1種類のみです(→2022年より「大盛り」として+80GB使える追加容量オプションが登場しました)。

通信容量(いわゆる「ギガ」)は月間20GBまで利用可能となっており、20GB超過時は中速(1Mbps)で利用可能、あるいは1GBあたり550円で高速通信の追加購入も可能です。

現時点で発表されているアハモプランは、本当にシンプルです。

*2021年3月1日時点(更新)のサービス内容です。提供内容は変更される可能性もあり、より詳しいサービス内容はNTTドコモ公式サイトを参照ください。

2.アハモの契約方法・利用方法

”ドコモの新料金”であるahamo(アハモ)は、ドコモショップでは取り扱われず、オンラインのみで契約ができるようになります。

ahamoは実店舗ではなく、オンラインで受付いたします。新規契約の手続きは専用のWEBサイトで受付いたします。新規のご契約や契約後のお手続き・ご相談など、全てahamo WEBサイトや専用のアプリで受付いたします

とされており、すべてネットで利用することを前提に作られた新サービスとなっています。

現在のドコモプランであってもmy docomo」と「ドコモオンラインショップ」を使うことで契約からプラン変更まで各種手続きの操作をオンラインで出来ますが、アハモでは”オンラインのみ”という違いがあります。

この点からアハモは「デジタルネイティブ世代にフィット」するサービスといえます。

アハモの契約は「専用の受付サイトでのみ申し込み・手続きができる」という点以外は明らかにされておらず、具体的な申し込み手順は追って解説する予定です。

アハモの契約事務手数料(新規・機種変更・乗り換え、ドコモからの番号移行含む)は無料です。最低利用期間・違約金もないため、もしサービスが気に入らなければいつでも解約・乗り換えができるというメリットもあります。

なお、「契約事務手数料無料化」は公式オンラインサイトの申し込みであればすでにソフトバンク・ワイモバイル・ドコモ・楽天モバイルが導入済みであるため、特に新規性があるものではありません。

3.ドコモ通常料金と値段を比べる方法

ドコモの新プラン「アハモ」では、上記の通り「月額2,970円」の固定プランです。

一方で、ドコモの通常料金プランでは利用したデータ容量に応じて料金が変わる「ギガライト」、より大容量な「ギガホ」、従来型携帯電話向けの「ケータイプラン」、あるいはすでに受付は終了している4G/3Gプランなど、ドコモプランを今後も継続して使うことも出来ます(ドコモのFOMA/3Gサービスは2026年3月に終了します)

今契約しているプラン・利用の用途によってはアハモよりドコモの通常スマホプランのほうが安くなる可能性もあるため、両方の料金プランをしっかりと把握する必要があります。

ドコモでは現在の利用状況に応じた適切な料金プランを計算・表示できるシミュレーターを公開しています。

使いたい機種・利用料や、アハモでは無くなる「学割」「家族割引」「ネット割引」などを考慮して複雑な比較が必要となるユーザーは、必ず一度は公式シミュレーターを使って試算しておきましょう。

3-1. アハモとドコモ料金プランの違い

2021年3月27日時点における、ドコモの通常プラン(ギガプラン)とアハモのサービス内容の主な違いをリスト化してみました。

サービスの比較内容 ドコモプラン アハモ
利用可能データ容量 1GB~無制限 20GB
家族通話 家族間通話無料 家族通話無料無し
(5分以内かけ放題あり)
ずっとドコモ特典 対象 対象外(契約期間引き継ぎのみ)
ファミリー割引 割引対象 割引・特典対象外
みんなドコモ割 割引対象 割引対象外
(カウントのみ)
ドコモ光セット割 割引対象 対象外
(ドコモ光契約は可能)
キャリアメール 有り 無し
留守番電話 有り 無し
イマドコサーチ 有り 無し
契約対象者 中学生以上の個人・法人 20歳以上の個人

ドコモユーザーがアハモにプラン変更すると、いくつかのサービス・特典などが廃止になるため注意してください。

*すべてのサービスの違いはドコモサイトを参照ください。

3-2 アハモをさらに安く、お得に契約する方法

上記シミュレーションで「自分・家族にはアハモが向いている」と感じたら、さらにアハモをお得に契約する手段があります。

 

NTTドコモのクレジットカードサービス「dカード」/「dカード GOLD」を持っていると、アハモの契約者にも優待特典が付くことが発表されました(2021年3月1日決定)。

特典名 特典内容
dカードボーナスパケット dカードで支払い設定:毎月1GB増量
dカード GOLDで支払い設定:毎月5GB増量
(通常1GB増量は有料550円)
dカードGOLD利用額10%還元 毎月のカード利用額10%分ポイント還元
(上限300ポイント)
ドコモオンラインショップポイント2倍 ドコモオンラインショップの購入時、カード支払いでポイント2倍(100円につき2ポイント)

ドコモ契約者でdカードを持っていないユーザーは少ないと思いますが、他社携帯利用者もアハモに切り替える前に作っておきましょう(dカードはドコモ携帯の契約者以外でもネットで加入申し込み・審査が出来ます)。

4.アハモプランの罠・注意点

続いて、2020年12月の発表時点(2021年最新情報追加)で明らかになっている、アハモプランに変更した場合に生じるであろう不利益な点・ドコモ契約との違いや注意点を列挙していきます。

*ahamoプラン発表時点の情報に基づいており、以下に挙げるサービスの仕様は変更される可能性があります。2021年3月以降のサービスイン時に、必ず最新情報をご確認ください。

ahamoにはキャリアメールがないことが確定しています。

2020年冬時点において、携帯会社を移動してもキャリアメールを保持・維持できるといったサービスへの対応を総務省が要求・検討しているというニュースもありますが、現時点ではドコモユーザーがアハモに移動した場合にも「XXXX@docomo.co.jp」といったメールアドレスを引き継ぐことが出来ない可能性が高くなっています。

昨今、キャリアドメインのメールアドレスを認証に使うサービスも存在しているため、「キャリアメールが必須/ドコモのメアドを変えたくない」という場合にはahamoへの乗り換えは不向きです。

ahamoで利用できるiPhone・スマートフォンの機種は、NTTドコモ本体とは異なる可能性があります。

ahamoでの動作確認ができた端末については、WEBサイトで順次お知らせする予定です(→2021年4月発表予定)

ahamoのプランでドコモが販売するiPhoneや各種スマートフォンがそのまま使えるのか、キャリアSIMロック解除の状態などにおける動作状況も不明です。

また、ahamoがドコモと同じ「spモード」を利用するのかどうか不明であるため、ドコモで利用していたサービス・アプリをそのまま使えない機能が出てくる可能性もあります。

特定の機種をアハモで利用したいと考える場合には、今後公開される見込みの動作確認リスト等を確認する必要があります。

アハモの通信速度・エリアはドコモと同等とされているため、現在のドコモプランで利用ができているエリア・回線速度の面では問題は生じない見込みです。

2021年3月1日、アハモで販売・対応するiPhone・スマートフォンが発表されました。

アハモプランではiPhone 6からiPhone 12シリーズまでの新旧モデルが利用可能です。Androidスマートフォンも4G/5G対応の各種ドコモスマートフォンが利用可能と確定しました。

アハモではiPhone 11・Xperia 1II・Galaxy S20を販売する予定です。その他の機種はドコモオンラインショップで買えます(2021年6月頃まで、ドコモプランにして機種変更手続きを必要があります)。

ahamoは「申し込み・受付はオンラインのみ」という手法を取ることで地代家賃・人件費を減らし、コストを安くすることで圧倒的な低料金を実現します。

そのため、全国のドコモショップでのahamoのサポートや案内がどのように区分されるのか、現時点では不明です(現時点ではアハモのサポートはされず、ギガプランへの誘導に使われているとの報道が出ています)。ある程度までショップ店頭でもサポート対応が可能なのか、有料・無料の区分など心配があります。

現在ドコモの通常契約でも、一部ショップにおけるサポート業務の有料化が行われているため、ahamo利用者が各種設定などのサポートを受けるためにはおそらく有料対応となることが予想されますが、オンラインではすぐに解決できない修理やトラブル時のサポートの範囲にも注意が必要です。

関連記事:2019年12月1日よりドコモショップのサポートが一部有料に お金が必要なのはどんな場合?

ahamoの料金プランは「月間20GB」のパケット定額プランとなっており、それ以上の容量を高速通信で使いたい場合には追加料金(550円/1GB)が必要となります。

*2022年6月、新しく+80GBを1980円/月で追加できる”大盛りオプション”が登場しました。

アハモの5Gがドコモの5G通信と同じベストエフォートだとして下り最大4.2Gbpsの速度が仮に出た場合、20GBの容量を使い切るまでの時間はわずか40秒足らずです。理論値通りのベストエフォート通信速度が継続して出る・20GB以上のデータファイルを転送するという事自体もまず考えられませんが、高画質や大容量アプリを大量にダウンロードする・テザリングでPCなどを接続してガンガン使うと20GBでは足りない可能性もあるでしょう。

20GB超過時は1Gbpsの通信速度で継続して使えるとされているため、低画質な動画ストリーミング配信くらいなら再生することができると予想されますが、5Gスマホを利用して気づかないうちに使いすぎて速度制限が掛かるという心配もあります(これは5Gスマホを使う限り無制限系プラン以外のすべてのプランで共通される懸念事項です)。

アハモプランを検討するユーザーは「自分の利用頻度でどれくらいのパケットデータ量が必要なのか」を理解していることが前提であり、20GBでは全然足りない使い方をしながらも契約内容を理解していないユーザーは、速度制限解除をして使うと割高になってしまうこともありえます。

「5分かけ放題付き・20GBで2970円」という料金は確かに”同程度の利用を想定した基本料金”としては格安となっていますが、さまざまな条件を満たせば、ドコモでもっと安い料金プラン・お得な優待を利用できることもあります。

例えば、ドコモでは2020年10月30日より提供を始めた最新版の学割「ドコモのロング学割」では、5Gプランを最安で月額1078円~、60GBプランも半年間は990円、その後も月額4378円~で使えるようにできる強力な割引があります。

学割を含む割引を最大併用したギガホプランでは、アハモの「20GBで2970円」すら容量の割に高く感じるほどです。

ドコモのギガホプランでは「家族がみんな一緒にドコモを使っている」「ドコモ光回線を使っている」、あるいは「dカード GOLD」による支払い割引・ポイント特典などを使えます

ahamoはドコモの「みんなドコモ割」のカウント人数対象外となるため、家族の一部だけがアハモプランに変更するという使い方も不利になる可能性があります。

→ 2021年1月14日の発表ではahamo契約者もみんなドコモ割・家族割のカウント対象/割引対象外になるとの変更がありました。これにより、ドコモ側に残った家族が家族割引で受けている値引きは継続できることになります。ただし、ahamo料金としてこれ以上安くなることはありません。

さらにアハモとドコモ間の通話は、家族同士(ファミリー割引グループ内)でアハモ回線から通話をかけても家族間無料通話が適用されなくなります(ドコモ回線の家族からなら無料)。

特に新規受付が終わっている旧プランで安い維持費を実現している場合(例えばdocomo withによるシェアグループを作っているなど)には、一度アハモにプラン変更してしまうともとに戻せないため、旧プランをそのまま使ったほうが有利なのかどうか、検討が必要でしょう。

ドコモ回線継続利用期間は引き継ぎOK

2021年2月5日、ドコモからアハモへ乗り換えた場合、ドコモでの契約利用年数がアハモでも継続されることが発表されました。

これにより、アハモからドコモへ戻った場合に長期ユーザー優待がある「dポイントクラブのステージ優待」「ずっとドコモ特典」が継続できるようになる見込みです。

ただし、現時点で「アハモ契約中における長期契約特典」のようなものがあるかどうかは不明です(2021年3月26日サービス開始時点ではありません)。

ドコモ光とアハモの関係性について

ドコモのインターネットサービス「ドコモ光」を契約中の場合の家庭も注意が必要です。

ドコモ光とドコモ回線をペアにしていた場合、これまでは「ドコモ光セット割」による割引対象になっていたプランも、ahamoに変更すると割引が消滅します。

ただし、ahamo回線でもドコモ光回線とペア設定は可能であり、ahamo回線の他にファミリーグループ内にドコモ回線利用者が残っていて、光セット割対象のドコモプランを継続して利用していれば、ドコモ回線は割引対象になります(ahamoプランは安くなりません)。

その他のアハモデメリット・危惧点

また、アハモプランでは「料金プランはシンプルで安い」ことは間違いないにしても、携帯機種代金部分に関する割引やキャンペーンも不明です。

→2021年3月時点で発行されている各種クーポンはアハモでは利用できない状態となっています。

今のドコモ回線・プランであれば回線契約時に値引きやポインと還元、機種変更の場合にもクーポンや端末購入割引などの購入補助がある場合あります。

関連記事:ドコモiPhone12mini最安料金は?ドコモ5G料金は月額980円~ 機種代もクーポン値引きOK

アハモの契約時に何らかの端末購入補助や優遇があれば良いのですが、アハモプランでは高額になりがちな最新ハイエンド端末を買いづらい状況になる可能性もあります。

端末の購入代金以外にも、ドコモ回線・ドコモプランのみの優待がアハモでは一部使えなくなります

関連記事:ドコモ新プラン-ギガホ(期間限定でギガライトもOK)のアマゾンプライム特典を適用する手順(ドコモの特典は終了しました)

料金プランが安くとも端末購入費用が割高になってしまうのでは節約には繋がりません。ドコモの通常プランで割引や特典の恩恵を受けられない条件のユーザーにとってアハモプランは魅力的ながら、「アハモをずっと使い続ける」ことが料金節約に効果的かどうかは今後のキャンペーンや優待の発表を待つ必要があります。

一方、「ドコモ回線」ではなく「dアカウント」に紐付いたサービスであればアハモに変更しても継続して使えます(dアカウント自体はキャリアフリーであり、ドコモ携帯回線・プラン利用者以外でも利用できるため。”ドコモ携帯契約が必須”のサービスの場合は変更の恐れがあります)。

【ahamoでも利用できるサービス例】
・dポイントクラブ/d払い
dヒッツ
dマガジン
dブック
dカーシェア/登録費用&月額利用料無料
dフォト/初回1冊無料(送料込)
スゴ得コンテンツ
・ケータイ補償サービス

*対応は変更される可能性もあります。

アハモプランは”単なるドコモの新しい料金プランの選択肢”ではありません。以上のような「ドコモの通常スマホプラン・契約・サービスとの違い」を十分に理解してからアハモプランへの変更を検討する必要があります。


*上記は2020年12月3日時点(2021年3月更新)の情報です。アハモプランのメリット・デメリット、注意点は今後変更される可能性があり、正しい情報は必ずNTTドコモ公式サイトにて確認してから契約検討をするようにしてください。

参照:NTTドコモ-新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表 <2020年12月3日>

[(更新/値下げ)2022年ドコモ新料金]ahamo(アハモ)でスマホ代は安くなるか調べる方法・契約手順 プランの罠を解説

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